生成AI研修に人材開発支援助成金を使うとき|対象になる研修の条件と申請の順番、『実質無料』の案内の見分け方(2026年の改正を反映)
社員向けの生成AI研修に人材開発支援助成金を使うときの、コースごとの率と上限、対象になる研修の条件、2026年8月3日の改正で対象外になった汎用的なプロンプトの研修、計画届と支給申請の期限、「実質無料」「実質◯円」の案内の見分け方、研修を仕事に使える形にする設計を、厚生労働省のパンフレットと支給要領で確かめて整理しました。
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この記事の要点
- 会社が研修の費用を全額払い、審査を経てその一部が戻る制度で、研修が無料になることはない。研修会社の案内にある「最大75%」は、中小企業が事業展開等リスキリング支援コースなどで受ける経費助成の率で、受講者1人あたりの上限がある。
- 2026年8月3日以降に計画届を出す事業展開等リスキリング支援コースでは、汎用的なプロンプトの作り方やDXの概念を学ぶだけの研修は対象外。受ける人の業務に直結する中身にして、その業務の担当者を選ぶ。eラーニングは1人1年度1回まで。
- 計画届は研修開始の6か月前から1か月前まで、支給申請は終了日の翌日から2か月以内(疎明書を添える)。返金、キャッシュバック、別の契約の謝礼、ツールの導入費の上乗せを含む案内は、契約の前に労働局に相談する。
助成金の流れと、会社が払うお金
受講料は会社が先に全額を払い、審査の後にその一部が戻る。計画届を出せるのは研修開始の6か月前から
研修は無料にならない。返金・キャッシュバック・別の契約の謝礼を受け取ると、経費は助成されない
計画届が受け付けられても、支給が決まったわけではない。審査は支給申請の後に行われる
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」(令和8年8月3日版)40〜45ページ、厚生労働省『「訓練経費」は無料になりません』(2026年9月30日確認)をもとに当社が整理
社員向けの生成AI研修は、厚生労働省の人材開発支援助成金の対象になり得ます。ただしこの助成金は、会社が研修の費用を全額払い、研修が終わった後に支給申請をして、審査を経てその一部が戻る仕組みです。厚生労働省は、この助成金で訓練経費が無料になったり、利益を得たりすることは制度上できないと注意を出しています(厚生労働省『「訓練経費」は無料になりません』)。研修会社の案内にある「最大75%」は、中小企業が事業展開等リスキリング支援コースなどで受ける経費助成の率で、受講者1人あたりの上限があります。
研修の中身で気をつけたいのは、2026年8月3日の改正です。事業展開等リスキリング支援コースでは、この日以降に出す計画届から、生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方や、DXの概念を学ぶだけの研修が助成の対象外になりました。受ける人の業務に直結する中身にして、その業務の担当者を受講者に選ぶ必要があります(厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」)。手続きは、研修を始める日の6か月前から1か月前までに計画届を出し、研修が終わった日の翌日から2か月以内に支給申請をする順番です。
この記事では、使える可能性のあるコースの率と上限、対象になる研修の条件、8月3日の改正の中身、申請の順番と期限、2026年4月・5月の改正、「実質無料」「実質◯円」をうたう案内の見分け方、研修を仕事に使える形にする設計、研修会社に見積もりを頼むときに確かめることを、厚生労働省の各コースの詳細版パンフレットと支給要領(令和8年8月3日版)、改正のお知らせ(2026年9月30日に確認)をもとに書きます。書き手の Aurant Technologies も生成AIの研修を行っていますが、この記事では特定の研修を勧めません。助成の対象になるかどうかは、管轄の労働局が審査で判断します。
使える可能性があるコースと、「最大75%」が指すもの
人材開発支援助成金には7つのコースがあります(厚生労働省「人材開発支援助成金」)。会社が業務として社員に生成AIの研修を受けさせる場合に使える可能性があるのは、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースの3つです。ほかの4つは、教育訓練休暇の制度を入れる会社向けのコース、建設業の2つのコース、障害者の職業能力開発のコースです。
中小企業の経費助成の率
研修の後に賃金を上げたときなどの上乗せを除く。大企業の率は、人材育成訓練30%、定額制訓練45%、高度デジタル人材訓練と事業展開等リスキリング支援コース60%
出典:厚生労働省の各コースの詳細版パンフレット(人材育成支援コース・人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コース、令和8年8月3日版)の助成率の表(2026年9月30日確認)。人材育成訓練は正規雇用の労働者の場合
どのコースも、業務の場を離れて行う研修(OFF-JT)で、10時間以上であることが基本です。率と上限を並べると、次のようになります。
| コース・メニュー | 経費助成の率 | 賃金助成(1人1時間) | 1人1訓練の経費助成の上限(中小企業) | 受講回数と期限 |
|---|---|---|---|---|
| 人材育成支援コース(人材育成訓練) | 45%(大企業30%)。賃金などの要件で15%を上乗せ | 800円(大企業400円)。要件で200円(大企業100円)を上乗せ | 研修の時間が10〜100時間未満で15万円、100〜200時間未満で30万円、200時間以上で50万円 | 1人1年度3回まで。期限の記載なし |
| 人への投資促進コース(定額制訓練) | 60%(大企業45%)。要件で15%を上乗せ | なし | 1人1か月2万円 | 定額制サービスの研修を合わせて1人1年度3回まで。令和8年度末まで |
| 人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練) | 75%(大企業60%) | 1,000円(大企業500円) | 30万円、40万円、50万円(時間の区分は同じ) | 1人1年度3回まで。令和8年度末まで |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 75%(大企業60%) | 1,000円(大企業500円) | 30万円、40万円、50万円(時間の区分は同じ)。eラーニング・通信制は15万円。定額制サービスは1人1か月2万円 | 1人1年度3回まで(うちeラーニングは1回)。令和8年度末まで |
表の注と、中小企業に当たるかの目安
大企業の経費助成の上限は、人材育成訓練が10万円・20万円・30万円、高度デジタル人材訓練と事業展開等リスキリング支援コースが20万円・25万円・30万円、事業展開等リスキリング支援コースのeラーニング・通信制が10万円です。1年度は、支給申請の日を基準に4月1日から翌年3月31日まで。1事業所が1年度に受けられる額は、人材育成支援コースが1,000万円、人への投資促進コースが2,500万円、事業展開等リスキリング支援コースが1億円までです。
中小企業に当たるかは、主な事業ごとに、資本金(出資の総額)か常時雇用する労働者の数のどちらかで判断し、どちらかに当てはまれば中小企業です。判断するのは支給申請の時点です。
| 主な事業 | 資本金または出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内(詳細版)」14〜15ページ、「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」5〜6ページ、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」12・38〜39ページ(いずれも令和8年8月3日版)(2026年9月30日確認)
「最大75%」は、中小企業が事業展開等リスキリング支援コースか、人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練で受ける経費助成の率で、大企業は60%です。高度デジタル人材訓練は、ITスキル標準(ITSS)やDX推進スキル標準(DSS-P)のレベル3・4に当たる資格の取得を目標にする課程などが対象で、会社にも、主な事業が情報通信業である、IPA(情報処理推進機構)のDX認定を受けている、DX推進指標で自己診断してIPAに出し、それを踏まえた計画をつくっている、といった要件のどれかが求められます(厚生労働省「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」9〜10ページ)。一般の社員向けの生成AIの研修がこの訓練に当たるかは、目標にする資格や講座のレベルで決まります。人材育成訓練と定額制訓練は、研修の修了後に受講者の賃金を5%以上上げるか、資格等手当を払って賃金を3%以上上げると、率に15%が上乗せされます(45%なら60%)。
率を掛けた額は、受講者1人1訓練あたりの上限までしか支給されません。事業展開等リスキリング支援コースのeラーニングと通信制の上限は、研修の時間数にかかわらず中小企業で15万円(大企業は10万円)です(厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」38ページ)。中小企業が1人20万円のeラーニングを受けさせると、75%を掛けた額が15万円で上限と同じになり、受講料がこれより高くても助成額は15万円のままです。賃金助成は、通学制と同時双方向型の通信訓練(オンラインのライブ研修)で、所定労働時間内に受けた時間だけが対象です。企業規模は支給申請の時点で判断され、助成金は予算の範囲内で支給されます(同10ページ)。
人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースには期限がある
この2つのコースは、詳細版パンフレットの表紙で令和4〜8年度の期間限定の助成とされ、助成額の表の注に「令和8年度末までの時限措置」と書かれています(「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」の表紙と2ページ)。令和8年度末は2027年3月31日です。研修会社の記事にある「令和8年度が最終年度」という説明は、この2つのコースについては厚生労働省の資料と合っています。ただし、令和9年度以降にどうなるか、年度末をまたぐ研修や4月以降の支給申請をどう扱うかは、確認した資料には書かれていませんでした。人材育成支援コースの資料には、このような期限の記載はありません。
研修の費用のほかにかかるものと、別の制度
生成AIのツールの導入費用は、人材開発支援助成金の対象経費ではありません。厚生労働省は、AI研修とAIツールの導入をセットにすればツールの導入費用も研修費用として申請できる、という勧誘に注意を促し、AI研修の費用は対象経費だがAIツールの導入費用は対象経費ではないとしています(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」21ページ)。
ツールの利用料には、中小企業庁のデジタル化・AI導入補助金2026があります。通常枠では、ソフトウェアのクラウド利用料(最大2年分)と、導入・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修などの導入関連費が補助の対象です(中小企業庁「中小企業デジタル化・AI導入支援事業『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要」)。ただし、交付決定の前に契約・発注したものは対象にならず(事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」)、同じ経費・賃金・研修について複数の助成制度を使うと、どちらか一方しか支給されない場合があります(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」10ページ)。
社員が自分で指定の講座を受け、本人に支給される教育訓練給付金は、会社が受講料を払う人材開発支援助成金とは別の制度で、本人が住所を管轄するハローワークに申請します(厚生労働省「教育訓練給付制度」)。
対象になる研修の条件:10時間以上、職務に直結、業務として受けさせる
3つのコースに共通する条件は、詳細版パンフレットの冒頭のチェックリストと、計画届に添える事前確認書(様式第11号)にまとまっています。会社が業務として社員に研修を受けさせる場合は、次の条件をすべて満たす必要があります。
業務として受けさせる研修の、共通の条件
研修の時間は10時間以上か
昼食の休憩や移動の時間は数えない。eラーニングは標準学習時間10時間以上か、標準学習期間1か月以上
受ける人の職務に直接かかわる内容か
職務に間接的に必要な知識や、職種を問わず共通の内容は対象外
所定労働時間に受けさせ、その間の賃金を払うか
eラーニングも労働時間として扱う。年次有給休暇を取らせて受けさせる研修は対象外
受講料を、支給申請までに会社が全額払うか
社員に一部でも負担させると支給されない
受ける人は、研修の期間中も自社の雇用保険の被保険者か
計画届の対象労働者一覧に載せた人
研修を始める日の1か月前までに計画届を出せるか
計画届を出す前に始めた研修は対象外
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」3・11・17〜19・29〜30ページ、事前確認書(様式第11号)(2026年9月30日確認)をもとに当社が整理
10時間は、昼食などの休憩を除いた時間から、移動の時間や対象にならない内容の時間を引いた「実訓練時間数」で数えます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」11ページ)。研修の合間の小休止は1日に計60分まで、主に事務的な説明をする開講式・閉講式・オリエンテーションは1つの計画届で計60分まで含められます(同29ページ)。研修の前後の予習・復習(宿題、事前の動画の視聴、確認テストなど)は、研修の時間に数えません(同27ページ)。
研修は、通常の業務と区別して、業務の場を離れて行います。自社の会議室などで行う場合は、受ける人がその間に通常の業務をしていないかを審査で確かめることがあります(同18ページ)。所定労働時間の外や休日に行った時間は賃金助成の対象にならず、年次有給休暇を取らせて受けさせる研修は対象外です(同29〜30ページ)。eラーニングでも、業務として受けさせる研修は労働時間に当たるので、その間の賃金を払います(同17ページ)。
研修の実施方法は、通学制、同時双方向型の通信訓練(講師にその場で質問できるオンラインの研修)、eラーニング、通信制、定額制サービス(講座ごとの費用が決まっておらず、同じ額で複数の講座を受けられるeラーニングなど)に分かれ、条件が違います(同22ページ)。
| 通学制・同時双方向型の通信訓練 | eラーニング・通信制 | 定額制サービス | |
|---|---|---|---|
| 時間の数え方 | 実訓練時間数が10時間以上(計画届と支給申請の時点) | 1コースの標準学習時間が10時間以上、または標準学習期間が1か月以上 | 修了した講座の標準学習時間の合計が、支給申請の時点で1人10時間以上 |
| 受講の要件 | 実訓練時間数の8割以上を受ける | 受講できる期間のうちに修了する(受講管理のシステムや添削で確かめられること) | 期間のうちに修了し、研修会社が出す一覧で10時間以上を確かめられること |
| 社内で開く研修(事業内訓練) | できる | できない | できない |
| 研修会社のサイトでの募集 | 求められない | 計画届の時点で、自社のサイトで広く受講者を募っていること | 同じ(特定の会社に向けたものは対象外) |
| 賃金助成 | ある | ない | ない |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」11・22〜24ページ(2026年9月30日確認)
社内で開く研修か、研修会社が開く研修か
会社が企画して主催する研修は、外部の講師を招いたり社外の会場を使ったりしても「事業内訓練」、研修会社などが企画して主催する研修は「事業外訓練」として扱われます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」11ページ)。自社向けに内容を決めてもらう研修がどちらに当たるかは、誰が企画し主催するかで決まるので、見積もりの段階で研修会社と確かめ、迷う場合は労働局に確かめます。
事業内訓練は、通学制と同時双方向型の通信訓練だけが対象です。外部の講師には、その分野の講師の経験が3年以上であること、講師の経験を除く実務の経験が10年以上であることなどのいずれかが求められます(同19ページ)。助成の対象になる講師への謝金は、実訓練時間1時間あたり、人材育成支援コースで1万5千円、人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースで3万円(いずれも消費税を含む)が上限です(「人材育成支援コースのご案内(詳細版)」41ページ、「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」43ページ、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」30ページ)。
事業外訓練では、民間の研修会社は、計画届を出す日までに定款や登記簿の事業目的に教育訓練事業が書かれている、日本国内の法人である必要があります(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」20ページ)。eラーニング・通信制・定額制サービスの研修は、計画届を出す時点で、研修会社が自社のサイトに研修の概要と連絡先を載せ、申し込みや資料請求ができる状態で広く受講者を募っていることが条件で、特定の会社に向けたものや、SNSやメールで案内しているだけのものは対象外です(同20ページ)。支給申請のときは、研修会社に支給申請承諾書(様式第12号)を書いてもらいます。研修会社が不正受給に関わった場合に、会社と連帯して返還すること、名称などが公表されることを承諾する書類です(同21ページ)。
8月3日から、汎用的なプロンプトの研修は対象外(事業展開等リスキリング支援コース)
事業展開等リスキリング支援コースは、会社がDX化などを進めるにあたり、関連する業務に就かせるうえで必要な専門的な知識と技能を学ばせる研修を助成するコースです。2026年8月3日の改正で、このコースのDX化・GX化(グリーン・カーボンニュートラル化)の研修でも、職務に間接的に必要となる知識・技能を学ばせるものと、職種を問わず職業人として共通に必要なものが、助成の対象外になりました(厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について」)。改正前の事業主向けQ&A(令和6年10月版)では、DX化の研修のカリキュラムの一部に概論などが入っていても、職務に間接的に必要な知識として対象になり得るとされていました(A13)。
8月3日以降の計画届で見られる3つのこと(事業展開等リスキリング支援コース)
DX化・GX化の研修でも、職務に間接的に必要なものと、職業人として共通に必要なものは対象外になった
確かめること1
特定の職務に必要な知識と技能か
- 対象:営業担当者が、生成AIで商品提案書の構成案をつくる、文章を生成する、直す方法を学ぶ
- 対象外:生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ
分かれ目:その人の業務に、そのまま当てはめられる中身か
確かめること2
リテラシーや概念の理解で終わっていないか
- 対象外:DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ
- 対象外:職種を問わず共通に必要な内容(接遇・マナーなど)
分かれ目:作業として業務に使う中身か
確かめること3
研修の中身に合わせて、受ける人を選んでいるか
- 対象:研修で扱う業務を担当している人
- 対象外:研修で扱う業務を担当していない人
厚生労働省の例:CO2の算定の研修は、算定の担当者なら対象、人事や営業の人なら対象外
全社員を集めて生成AIの使い方の基本を学ぶ研修は、厚生労働省の例に照らすと、このコースでは対象外に当たる
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」28ページ(2026年9月30日確認)をもとに当社が整理
厚生労働省は、この改正の説明で生成AIの研修の例を挙げています。営業担当者が、生成AIを使って商品提案書の構成案をつくる、文章を生成する、直す方法を学ぶ研修は、担当者の具体的な業務に直結し、そのまま使える内容なので対象です。生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修は、特定の業務に当てはめる中身を伴わないので対象外です。DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ研修も、業務に直接当てはめる作業の中身ではないので対象外です。受ける人の選び方も見られ、研修で扱う業務を担当していない人に受けさせる場合は対象外になります(同)。
この例に照らすと、全社員を集めて生成AIの使い方の基本を学ぶ研修は、このコースでは対象外に当たります。部署や職種ごとに、どの作業に生成AIを使うかを決め、その作業の担当者に、その作業の進め方を学ばせる研修に組み直すことになります。
このほか、デジタル機器で文章や数値を入力する、書式を変えるといった初歩的な操作だけの研修、既存のアプリやシステムを買ってその操作方法を覚える研修、コンサルタントによる指導は、このコースの対象になりません(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」13ページ)。DX化の研修の場合は、計画届を出す時点で会社のDX化の具体的な取り組みが決まっている必要があり(事業主向けQ&A A13)、事業展開等実施計画(様式第1-3号)に、研修を行うきっかけになるDX化の中身を具体的に書きます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」52ページ)。
eラーニングは1人1年度1回まで
このコースで助成を受けられる研修は、同じ人について1年度に3回までです。8月3日以降に出した計画届にもとづくeラーニングの研修(ほかの実施方法と組み合わせたものを含む)は、そのうち1回までになりました。1年度は、支給申請の日を基準に4月1日から翌年3月31日までです(改正のお知らせ、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」39ページ)。厚生労働省の例では、同じ年度に2つめのeラーニングの研修を申請すると、それは不支給になり、3回の数にも入りません。
8月2日までに契約した研修の扱い
8月3日以降に計画届を出す場合でも、研修会社との契約か申し込みを8月2日以前に済ませていた事業外訓練には、対象外の研修の扱いについて、5月14日に改正された、ひとつ前の支給要領が使われ、eラーニングの回数にも数えません。社内で開く研修は、講師への謝金や会場の借り上げなど、助成の対象になる経費の契約・申し込み・発注のどれかが8月2日以前なら同じ扱いです。計画届には、契約の日や申し込みの日が分かる書類を添えます(事業展開等リスキリング支援コース 支給要領の1402(経過措置)、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」39ページ)。
ほかのコースでの扱い
8月3日の改正は、事業展開等リスキリング支援コースについてのものです。人材育成支援コースと、人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練の支給要領でも、職務に間接的に必要なものと、職業人として共通に必要なものは対象外で、DX化の研修だからといって外す注記はありません。人材育成支援コースには、職業人として共通の内容が実訓練時間数の半分未満なら対象として扱う特例があります(人材育成支援コース支給要領)。
一方、人への投資促進コースの定額制訓練では、8月3日版のパンフレットと支給要領に、会社のDX化を進めるうえで必要な知識と技能の研修であれば、職務に間接的に必要なものと職業人として共通のスキルの研修も助成の対象になる、という注記が残っています(「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」41ページ、人への投資促進コース 支給要領)。定額制のeラーニングで生成AIの基本を学ばせる場合は、このコースのほかの条件(業務として労働時間に受けさせる、修了した講座の標準学習時間が1人10時間以上、対象外の講座が全体の5割以上なら対象外、1人1か月2万円まで)と合わせて、計画届の前に労働局に確かめてください。
申請の順番と期限:計画届は研修の1か月前まで、支給申請は終了の翌日から2か月以内
手続きは、社内の準備、計画届、研修、支給申請、審査の順に進みます。
申請の順番と期限
事業展開等リスキリング支援コースの場合。ほかの2つのコースも期限は同じ
計画届を出す日まで
社内の体制をそろえる
- 職業能力開発推進者を選ぶ(人事や教育訓練の担当の部長・課長など)
- 事業内職業能力開発計画をつくり、社員に知らせる
- 研修会社と研修の中身・日程・受講料を決める
様式:決まった様式は無い(事業内職業能力開発計画)
研修開始の6か月前から1か月前まで
計画届を労働局に出す
- 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)と事前確認書(様式第11号)
- 事業展開等実施計画(様式第1-3号。事業展開等リスキリング支援コース)
- カリキュラム、受講案内、契約書か申込書の写し
eラーニング・定額制:受講できる期間・契約期間の初日の1か月前まで
研修の期間
研修を行い、受講料を払う
- 所定労働時間に受けさせ、賃金を払う
- 日時や内容が変わるときは、前日までに変更届
- 受講料は支給申請までに全額を払う
残すもの:出席の記録、修了証、eラーニングの受講記録、領収書
終了日の翌日から2か月以内
支給申請をする
- 支給申請書と経費・賃金の内訳
- 支給申請承諾書(様式第12号。研修会社の研修なら研修会社が記入)
- 受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)
期限:厳守。過ぎると支給されない
審査は支給申請の後にまとめて行われる。書類は支給決定の後も5年間保存する
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」4〜6・17・40〜46ページ、事業内職業能力開発計画、職業能力開発推進者(2026年9月30日確認)をもとに当社が整理
計画届の前に、推進者と社内の計画を用意する
計画届を出す日までに、職業能力開発推進者を選び、労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画をつくり、社員に知らせておきます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」4〜6・17ページ)。推進者は、人事や教育訓練を担当する部署の部長・課長などから選びます(厚生労働省「職業能力開発推進者」)。事業内職業能力開発計画は、自社の人材育成の方針などを書く計画で、決まった様式はありません(厚生労働省「事業内職業能力開発計画」)。
計画届は、研修開始の6か月前から1か月前まで
計画届は、研修を始める日の6か月前から1か月前までに、事業所の所在地を管轄する労働局に出します。たとえば7月1日に始める研修なら1月1日から6月1日まで、7月31日に始める研修なら1月31日から6月30日までです。期限が土日や休日なら翌開庁日になり、郵送は労働局に届いた日が提出日です(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」41ページ)。eラーニングは受講できる期間の初日の1か月前まで、定額制サービスは契約期間の初日の1か月前までです(同27・41ページ)。
提出は、窓口、郵送、電子申請(雇用関係助成金ポータル。GビズIDが要る)のいずれかです。計画届を電子申請で出していないと、その計画の変更届と支給申請も電子申請ではできません(同41ページ)。計画届には、研修会社と契約するに至った経緯や、費用の負担を軽くする提案を受けたかどうかを書く欄もあります(同51ページ)。
計画届と支給申請で出す主な書類(事業展開等リスキリング支援コース)
計画届:職業訓練実施計画届(様式第1-1号)、事業展開等実施計画(様式第1-3号)、対象労働者一覧(様式第3-1号。定額制サービスは様式第3-2号)、事前確認書(様式第11号)、研修のカリキュラムと受講案内(目的、日時、日ごとの内容と場所、実訓練時間数、受講料の体系。eラーニングは受講できる期間、標準学習時間、受講を管理する機能)。社内で開く研修は講師の要件の確認書(様式第10号)、研修会社の研修は契約書か、受講案内と申込書の写し。研修会社から費用の負担を軽くする説明の資料を受け取っていれば、その資料も出します。
支給申請:支給要件確認申立書、支給申請書(様式第4-2号)、賃金助成と経費助成の内訳、受講の記録(通学制・同時双方向型はOFF-JT実施状況報告書、eラーニングは実施結果報告書と修了証、受講の記録)、雇用契約書か労働条件通知書、賃金台帳と出勤簿(通学制・同時双方向型)、受講料の請求書と領収書か振込の記録、支給申請承諾書(様式第12号)、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)、研修会社から説明を受けた資料一式の写し。
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」42・45〜46ページ、申請書類(令和8年8月3日以降に計画届を提出された方)(2026年9月30日確認)。様式は計画届を出した時点のものを使います。
研修の間に日時や内容が変わったら
研修の日時や内容が変わるときは、当初の実施日と変更後の実施日のうち早いほうの前日までに変更届を出します。研修の開始日を1か月以上後ろにずらすときは、変更届ではなく計画届を出し直します(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」43ページ)。受講料は支給申請までに全額を払い、出席の記録や修了証、eラーニングの受講記録を残します。
支給申請は、終了日の翌日から2か月以内
研修の終了日(計画届に書いた実施期間の最終日)の翌日から2か月以内に支給申請をします。この期限は厳守です。eラーニングは、全員が修了した日の翌日から申請できますが、最後の期限は同じです(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」44ページ)。支給申請では、支給申請承諾書(様式第12号)、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)、研修会社から説明を受けた資料一式の写しも出します(同46ページ)。
審査は支給申請の後にまとめて行われ、計画届が受け付けられたことで助成金が確実に支給されるわけではありません(同40ページ、事前確認書)。関係する書類は支給決定の後も5年間保存し、労働局の職員が事前の連絡なしに研修の場所を訪ねて確かめることもあります(同7〜8ページ)。
年度末に近い研修は、日程を決める前に確かめる
人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。2027年2月に終わる研修なら、支給申請の期限は4月にかかります。この場合の扱いは確認した資料に書かれていないので、年度末に近い研修でこの2つのコースを使うときは、日程を決める前に管轄の労働局に確かめてください(厚生労働省「助成金のお問い合わせ先・申請先」)。
申請の手続きは、会社か社会保険労務士が行う
申請するのは会社です。手続きを代わりに頼めるのは社会保険労務士で、研修会社など社会保険労務士でない者が、報酬を得て申請書の作成や提出、申請後の審査への対応を行うことは、社会保険労務士法第27条で禁じられています。研修会社が手続きを無償で行うとうたっていても、受講料にその対価が含まれていると評価される場合は同じ問題が生じます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」21ページ)。事前確認書は、代理人に手続きを頼む場合も、会社自身が中身を確かめて記入します(事前確認書(様式第11号))。
4月・5月・8月の改正で変わったこと
2026年度は、4月8日、5月14日、8月3日に、生成AIの研修の費用と手続きにかかわる改正がありました。
2026年度の改正で変わったこと
生成AIの研修の費用と手続きにかかわるもの
4月8日
eラーニングの上限と、定額制の10時間
- eラーニング・通信制の1人1訓練の上限:中小企業30万円→15万円、大企業20万円→10万円(事業展開等リスキリング支援コース)
- 定額制サービス:修了した講座が1人10時間以上の人だけが対象(人への投資促進コースも)
全コース:密接な関係の相手に払う経費は対象外
5月14日
疎明書を出す
- 経費助成を申請するときに、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)を出す
- 計画届を出した時期は問わない
申し立てること:助成金の有無で価格差がないこと
8月3日
対象外の研修が広がった
- DX化の研修でも、職務に間接的に必要なものと、共通に必要なものは対象外(事業展開等リスキリング支援コース)
- eラーニングは1人1年度1回まで
経過措置:8月2日以前に契約・申し込みをした研修
8月3日
不正受給の公表の特例
- 自主申告のないまま不正が認められると、支給申請の段階で公表の対象になる
- 8月3日以降の支給申請から(全コース)
除かれる場合:支給決定の取り消しなどの額が100万円未満の場合など
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」、「人材開発支援助成金」のお知らせ、「令和8年8月3日からの変更点について」、『不正受給した事業主は公表されます』(2026年9月30日確認)
4月8日の改正では、事業展開等リスキリング支援コースのeラーニングと通信制の1人1訓練あたりの経費助成の上限が、中小企業で30万円から15万円に、大企業で20万円から10万円に下がりました。研修の時間数にかかわらず、通学制や同時双方向型の通信訓練と組み合わせた場合も、この上限が一律に当てはまります。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスでは、修了した講座の標準学習時間が、支給申請の時点で10時間以上の人だけが対象になりました(厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」)。
同じ改正で、全コースについて、会社と密接な関係にある相手との間の研修の経費は経費助成の対象外と示されました。会社の代表者などの配偶者や3親等以内の親族が外部の講師を務める場合の謝金、親会社・子会社から施設を借りる場合の借上費、会社の代表者や社員が代表を務める研修会社に払う受講料などが当たります(同)。
5月14日の支給要領の改正で、経費助成を申請するときに「受講料等の価格設定に関する疎明書」(様式第28号)を出すことになりました。計画届を出した時期は問わず、5月14日の時点で支給申請をしていないもの、支給申請をしていても支給・不支給が決まっていないものが対象です(厚生労働省「人材開発支援助成金」のお知らせ)。疎明書では、研修会社が示した金額をもとに、通常の取引の慣行と社内の手続きで受講料を決めたこと、同じ内容の研修と比べて助成金の有無による不合理な価格差があるとは認識していないことを、事業主が申し立てます(様式第28号)。
8月3日からは、不正受給の公表の特例も始まりました。8月3日以降の支給申請で不正が認められた場合、労働局の調査より前に自主申告していなければ、支給決定の前でも原則として事業主名などが公表されます。支給決定の取り消しなどの額が100万円未満の場合や、事業主が不正に関わっていないことが明らかな場合は除かれます(厚生労働省『不正受給した事業主は公表されます』)。
「実質無料」「実質◯円」の案内を見分ける
人材開発支援助成金は、会社が研修の経費を全額負担することが要件です。助成金は払った経費の一部を助成するもので、受講料が無料になったり、利益が出たりすることは制度の上でありません(厚生労働省『「訓練経費」は無料になりません』)。研修会社やコンサルティング会社から「実質無料」「負担ゼロ」といった案内を受けたら、次の点を確かめます。
契約の前に、この案内を確かめる
「実質無料」「負担ゼロ」「助成金で利益が出る」と説明された
助成金は払った経費の一部。無料や利益は制度の上で起きない。「専門家の監修だから問題ない」という説明も同じ
研修とは別の契約で、お金を受け取る話がある
業務委託、アンケートや感想・インタビューの謝礼、営業協力金、紹介料、協賛金など、名目を問わない
お金以外のものを受け取る話がある
キャッシュバック、クーポン、ギフト券、製品やサービスの無料・割引、貸付、ほかの支払いの相殺
助成金を使うときだけ受講料が高い、不支給なら返金する
差額は対象経費から外れる。支給申請では、疎明書で不合理な価格差がないと申し立てる
AIツールの導入費も研修費として申請できると言われた
AI研修の費用は対象経費、AIツールの導入費用は対象経費ではない
研修会社が、申請の書類づくりや提出を引き受ける
社会保険労務士でない者が報酬を得て行うのは禁止。無償とうたっても、受講料に対価が含まれると問題になる
出典:厚生労働省『「訓練経費」は無料になりません』、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」20〜21・33ページ(2026年9月30日確認)をもとに当社が整理
研修会社か、研修会社に関連する者(資本関係のある会社、代理店、研修会社から紹介された業務委託の相手など)から、名目を問わずお金や金銭的な価値のあるものを受け取ると、会社が経費を全額負担したことにならず、経費助成の対象外になります。クーポン、貸付、ほかの支払いの相殺や免除、製品やサービスの提供も含み、受け取る予定があるだけでも同じ扱いです(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」33ページ、人材育成支援コース 事業主Q&A(令和6年11月版)A23・A24)。
助成金を使うかどうかで受講料を変える案内にも注意が要ります。厚生労働省は、助成金を申請する会社の受講料を30万円、申請しない会社の受講料を10万円にしている場合や、通常の受講料が30万円で、不支給になったら20万円を返す約束をしている場合は、差額の20万円分を支給の対象にしないと例を挙げています(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」33ページ)。支給申請では、こうした不合理な価格差がないことを疎明書で申し立てるので、見積もりを取るときは、助成金を使わない場合の受講料も書いてもらいます。
計画届の様式には、研修会社と契約するに至った経緯(営業を受けたか、自分で探したか)、「研修の実施に際して費用負担がかからない」といった提案や広告宣伝の仕事の依頼を受けたかを書く欄があり、負担を軽くする説明の資料を受け取っていれば提出します(同51ページ)。受けた案内は、計画届と支給申請で労働局に出す前提で残しておきます。
「実質◯円」の数字を読む
「実質負担◯円」は、受講料から見込みの助成額を引いた数字で、見込みどおりに支給されるとは限りません。率を掛けた額が1人あたりの上限を超えれば上限で止まり、賃金助成は通学制と同時双方向型の研修で、所定労働時間内に受けた時間の分しか出ません。受ける人や研修の中身が条件に合わなければ、審査で不支給になります。なお、消費税も対象経費に含まれます(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」32ページ)。
「実質◯円」を読むときに確かめること
受講料先に全額を払う
支給申請までに会社が全額を払う。社員に一部でも負担させると支給されない
消費税も対象経費に含まれる
経費助成率を掛け、上限で止まる
中小企業の75%は、事業展開等リスキリング支援コースと高度デジタル人材訓練の率
事業展開等リスキリング支援コースのeラーニング・通信制は1人15万円まで。助成金の有無で生じた価格差の分は対象外
賃金助成通学制と同時双方向型
所定労働時間内に受けた時間が対象。eラーニングなどには無い
審査支給申請の後に決まる
計画届の受付は支給の約束ではない。条件を満たさなければ助成は無い
当社の整理。根拠は厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」10・30〜33・38・40ページ(2026年9月30日確認)
不正受給と判断されたときの扱い
不正受給と判断されると、助成金を返したうえで、年3%の延滞金と返還額の20%の違約金を払い、5年間は雇用関係の助成金を受けられず、会社名や代表者名が公表され、悪質な場合は刑事告訴されることがあります(『「訓練経費」は無料になりません』、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」8ページ)。研修会社が不正に関わった場合も、会社と連帯して返還する義務を負い、名称などが公表されることがあります(同8ページ)。案内の中身に迷ったら、契約の前に管轄の労働局に相談できます(厚生労働省「助成金のお問い合わせ先・申請先」)。
研修を仕事に使える形にする:題材・演習・研修の後
Microsoft 365 の Copilot の研修を頼む場合に、研修の前に社内で決めておく、ライセンスを渡す人と共有しすぎている SharePoint の整理は「Copilot 研修を買う前に、社内で決めること」で解説しています。
8月3日の改正で求められるようになったのは、受ける人の業務に直結し、そのまま使える中身です。これは、研修の後に業務で使われるための条件とも重なります。助成の対象になる研修を組むときに、先に決めることと、題材・演習・研修の後の扱いを整理します。
助成の条件と、研修を仕事に使う形を両立させる
先に決める
どの部署の、どの作業に使うか
- 部署と作業を具体的に挙げる(例:営業の提案書の構成と文章)
- 事業展開等実施計画に、DX化の中身として書ける具体さにする
決めないと:受ける人と題材を選べない
受ける人
その作業の担当者を選ぶ
- 全社員を一律に集めない
- 研修の題材と担当業務がずれる人は対象外になる
全員に伝えること:使ってよい情報の決まりなどは、助成金と切り離して社内で伝える
演習
研修用の題材で手順を身につける
- 自社の業務の情報を題材にしてよい(研修会社が開く研修の場合)
- 研修の中で、本番で使う成果物を仕上げない
- 研修用に切り離した環境で練習する
対象外になる例:研修の場で業務に使うツールをつくる、経営改善の計画を立てる
研修の後
本番の作業への当てはめは社内の仕事として
- 学んだ手順を本番の作業に移すのは研修の後
- 予習・復習は研修の時間に数えない。業務として課すなら賃金を払う
- 使った件数と作業時間の変化を記録する
残すもの:作業ごとの手順と、使ってよい情報の範囲
当社の整理。根拠は厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について」、「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」27〜28ページ、事業展開等リスキリング支援コース 事業主向けQ&A(令和6年10月版)A12(2026年9月30日確認)
題材には自社の業務の情報を使えます。詳細版パンフレットは、自社の業務の情報を研修の題材に取り上げるだけで、業務改善の指導や事業活動の成果物づくりにつながらないものは「通常の事業活動として遂行されるもの」に当たらないとしています(研修会社が開く事業外訓練に限る)。例として、自社の財務諸表を使って財務分析の手法を学ぶ研修は対象、分析の結果から経営改善の計画を立てる研修は対象外と書かれています(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」28ページ)。事業主向けQ&Aでも、自社の業務マニュアルなどを題材に、実際の事業で使うツールを作る研修は対象外になる可能性があり、研修用に別に用意した環境で、自社独自のツールの開発を目的とせずにツールづくりのためのアプリの使い方を学ぶ研修は対象になり得るとしています(事業主向けQ&A A12)。自社の業務の情報を題材にしてよいというこの扱いは、研修会社が開く事業外訓練に限られ、社内で開く事業内訓練には書かれていません。
生成AIの研修に当てはめると、過去の提案書を題材に構成と直し方を練習するのは前者に近く、研修の時間に翌週出す提案書を仕上げたり、業務で使うプロンプト集や社内向けのAIの設定を完成させたりするのは後者に近いと当社は読んでいます。判断は労働局が行うので、題材の扱いに迷うときは計画届の前に確かめてください。迷いを避けるなら、研修では研修用に作った架空の題材で手順を練習し、本番の業務への当てはめは研修の後に社内で行う形にする方法もあります。
研修で身につけた手順を本番の作業に移すのは、研修の後の業務です。研修の前後の予習・復習は研修の時間に数えず、業務として課すなら労働時間として賃金を払い、予習・復習が主な目的と判断されるほど多いと対象になりません(「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)」27ページ)。研修の後に、使った件数や作業時間の変化をどう記録するかは、AI CoE立ち上げと生成AI活用推進担当の1年目の記事でKPIの置き方として書いています。職種ごとに身につける技能の目標を決めるときは、デジタルスキル標準のロールに職務を当てはめる方法の記事が使えます。
研修会社に見積もりを頼むときに確かめること
Google Workspace で Gemini の研修を頼む場合に、管理コンソールで先に決める使える人とデータの扱いは「Gemini 研修を買う前に、Google Workspace の管理コンソールで決めておくこと」で解説しています。
見積もりを頼む前に、研修の対象にする部署・作業・人数と、研修を始めたい時期(計画届はその1か月前まで)を決めて伝えます。そのうえで、次の点を確かめます。
見積もりを頼むときに確かめること
金額の前に、助成の条件に合う作りかを確かめる
研修の時間は、昼食の休憩や移動を除いて10時間以上か
開講式やオリエンテーションを含めた時間の内訳。eラーニングは標準学習時間
実施方法は何か
通学制、同時双方向型(オンラインのライブ)、eラーニング、定額制サービスのどれか。eラーニングなら受講の記録を出せるか
誰が企画し、主催する研修か
研修会社の研修(事業外訓練)か、自社が主催して講師を招く研修(事業内訓練)か
研修会社は、事業目的に教育訓練事業を書いた国内の法人か
eラーニング・定額制サービスなら、自社のサイトで広く受講者を募っているか
日ごとのカリキュラムは、受ける人の職務と対応しているか
汎用的なプロンプトや概論だけの時間がどれだけあるか
助成金を使わない場合の受講料はいくらか
使う場合と同じか。不支給のときに返金する約束はないか
受講料のほかに受け取るものはないか
キャッシュバック、謝礼、紹介料、ツールの無料提供など
AIツールの利用料や導入費が研修費に入っていないか
研修費と分けた見積もり
支給申請承諾書(様式第12号)に記入してもらえるか
修了証や出席の記録を出せるか
申請の手続きは誰が行う前提か
会社が自分で行うか、社会保険労務士に頼む。研修会社は報酬を得て代わりに行えない
当社の整理。根拠は厚生労働省の各コースの詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)(2026年9月30日確認)
見積もりと、助成金を使わない場合の受講料が分かる資料、研修会社から受けた説明の資料は、計画届と支給申請で出すことがあるので残しておきます。申請の書類の作り方で迷うところは、管轄の労働局か、手続きを頼む社会保険労務士に確かめます。
研修の題材を、どの部署のどの作業から選ぶかを申し込む前に整理したい場合は、Aurant Technologies のAIセミナーのページ(「申し込む前」に分かることを載せています)と、研修と推進役の育成を含むAI活用支援のページで、相談で扱う内容を案内しています。助成の対象になるかどうかは、計画届を出す前に管轄の労働局で確かめてください。
AI活用支援
Claude・ChatGPT・Gemini・Copilotのどれをどの業務に使うかの見極めから、社内のAIチャット環境、権限と情報の扱いの設計、MCPやAPIでの既存システム連携、研修・伴走までを支援します。
