株式会社B2X(BeeQuest)|商談から提案・採用まわりまで、営業を「with AI」で再設計
スキル習得支援アプリ「BeeQuest」を運営する株式会社B2X。商談からの提案書づくり、その場で動くデモの提示、採用後のフォローまで、営業活動にAIを組み込む「with AI化」で属人化しない営業をめざす取り組み。

株式会社B2Xの代表取締役・金子佳樹氏に、自社の営業活動を「with AI化」していく取り組みについて、じっくりお話をうかがいました。聞き手はAurantです。ツールを入れて満足するのではなく、自社のどこにAIを効かせるかを見極めながら進めてこられた、その手触りを率直に語っていただきました。
入れて終わりにしない
― まず、なぜ「with AI化」という言い方をされているのですか。
正直に言うと、最初はAIを入れさえすれば営業がうまく回るんじゃないか、と少し甘く考えていた時期もあったんです。でも実際にやってみると、入れただけでは何も変わらない。むしろ、現場が「で、これ何に使うの」と戸惑って終わってしまう。だから私は、AIを「導入する」とは言わずに、営業のプロセスと一緒に動かす、という意味で「with AI」と呼んでいます。大事なのは、自社の営業のどこが詰まっているのか、どこに手間がかかっているのかを先に見極めること。そこを見ないままツールだけ並べても、棚に置いた道具が増えるだけなんですよね。使いどころの見極めと、自社の営業に対する深い知見、それがあって初めてAIが効いてくる、という実感があります。
勘に頼っていた営業
― もともと営業は、どんな状態だったのでしょう。
うちに限った話ではないと思うのですが、営業ってどうしても担当者の経験や勘に左右されがちなんです。よく話す人はよく話すし、抜けが多い人は抜けが多い。同じ商談をしても、終わったあとに何をどう残すかが人によってまるで違う。以前は、商談が終わるとそれぞれが自己流でメモを取って、それを後で思い出しながら入力していました。当然、書く人によって粒度がバラバラで、あとから見返しても何が起きたのか分からない、ということが起きていたんです。ここを「気合い」で揃えようとしても無理がある。だったら、揃えるところはAIに任せて、人は人にしかできないところに集中したほうがいい。そう考えたのが、そもそもの出発点でした。
商談に集中するために
― 商談まわりでは、具体的にどう変えたのですか。
いちばん手応えがあったのが、商談の録音をAIに解析させるところです。以前の私自身がそうだったのですが、商談中もずっと頭の片隅で「これ、あとで記録しなきゃ」と考えていて、目の前のお客さまの話に半分しか集中できていなかった。終わったあとも、顧客管理に起票して、要点を整理して、そこから提案書をつくって、と一連の作業が待っている。それが憂うつで、つい後回しにして記憶が薄れる、という悪循環でした。今は録音をAIが解析して、顧客管理への起票から提案書づくりの下地までを自動でつないでくれる。だから商談のあいだは、相手の表情やためらいや、言葉にならない引っかかりに全神経を向けられる。営業が商談そのものに集中できる、という当たり前の状態を、ようやく取り戻せた感覚があります。
その場で動かして見せる
― 提案の進め方も変わりましたか。
変わりましたね。以前は「持ち帰って検討します」と言われると、そこから先がなかなか動かなかった。資料を送って、返事を待って、また説明して、と時間ばかりかかる。今は、その場で動くデモをお見せするようにしています。口で「こういうことができます」と説明するのと、実際に画面が動いて目の前で結果が出るのとでは、相手の納得感がまるで違うんです。お客さまが「あ、これならうちでも使えそうだ」とその場で表情が変わる瞬間がある。あの瞬間に提案が一歩前に進むんですよ。考える材料を持ち帰っていただくのではなく、見て、触れて、その場で前に進んでもらう。デモを動かすこと自体が、いちばん雄弁な提案になっています。
採用後のフォローを止めない
― 採用後のフォローについてもうかがえますか。
これは私のなかでも、わりとこだわっているところです。商談やお申し込みの瞬間は一生懸命なのに、そのあとのフォロー連絡が、忙しさにまぎれてつい後回しになる。気づいたら連絡が空いてしまっていて、「あの件どうなりましたか」とこちらが催促されてしまう、という気まずさが昔はありました。連絡そのものは手間というほどでもないのに、タイミングを逃すと一気にぎくしゃくする。だから採用後のフォロー連絡は、できるところから自動化しました。そうすると担当者は、定型の連絡に追われなくなって、「次に何を考えるべきか」「何を発信すべきか」という、本当に頭を使うべきところに気持ちを向けられる。連絡を切らさない安心感と、考える余白の両方が手に入った感じです。
一人ひとりに届くメール
― メールのやり取りでも工夫されているそうですね。
はい。以前は、まとめてメールを送ろうとすると、どうしても文面が一律になってしまっていました。みんな同じ件名、同じ本文。受け取る側からすれば、自分宛てじゃない感じがすぐ伝わってしまうんですよね。かといって一人ひとり手で書き分けるのは、件数が増えると到底回らない。担当者が夜遅くまで似たような文面を少しずつ直して送っていた、なんて時期もありました。今は、お客さまの情報をもとに、一人ひとりに合わせた件名と本文をAIが自動で組み立てて、まとめて届けてくれます。手書きの温度感は残しつつ、量はさばける。「自分に向けて書かれている」と感じてもらえる文面を、無理のない手間で出せるようになったのは大きいです。
問い合わせと発信を仕組みに
― 日々の問い合わせ対応や発信はどうでしょう。
ここは、いきなり全部やろうとせず、できるところから少しずつ仕組み化しています。問い合わせ対応って、似たような質問が繰り返し来るんですよね。以前はそのたびに担当者が手を止めて、過去のやり取りを探して、同じような返事を一から書いていました。日々の発信も、ネタを考えて、文章にして、というところで止まりがちで、忙しいと真っ先に後回しになる。そういう、繰り返しが多くて止まりやすいところから順にAIで仕組みにしています。一気に理想形をつくるのではなく、効くところを見極めて一つずつ。地味ですが、この積み重ねが日々の営業をいちばん軽くしてくれている気がします。
属人化しない営業へ
― 最終的に、どんな営業をめざしているのですか。
めざしているのは、誰が担当しても一定の質で回せる営業です。さっきも言ったとおり、これまでの営業はどうしても属人化していて、できる人が抜けると一気に回らなくなる、という危うさを抱えていました。新しく入った人が一人前になるまで、先輩の背中を見て覚えるしかない、という状態でもあった。記録の揃え方、フォローのタイミング、メールの組み立て、そういう「型」になる部分をAIと一緒に回すことで、誰がやっても土台の質が崩れない。そのうえで、人は人にしかできない判断や関係づくりに集中する。属人化を脱して、再現性のある営業をつくる。そこに向けて、自社のどこにAIを効かせるかを、これからも一つずつ見極めていきます。
単純な営業は任せて、商談に全力を
― AIと人の役割は、どう分けていますか。
考え方はシンプルで、単純な営業はAIに任せて、人間は商談にすべてのリソースを注ぐ、ということです。お客様への一斉のお知らせや、問い合わせをきっかけにした初動の対応——こうした定型的な動きは、AIのほうがむしろ早くて、もれもありません。人がやるべきは、目の前のお客様と本気で向き合う商談そのものです。そこに全部のエネルギーを振り向けられるよう、手前の単純な作業をどんどんAIへ寄せています。営業のいちばんおいしいところに人が集中できる——これが「with AI化」で本当にやりたかったことです。
空いた時間を、次の一手に
― 手が空いたぶん、何に時間を使えるようになりましたか。
これが思っていた以上に大きくて。単純な作業から解放されると、これまで「やりたいけれど手が回らない」と後回しにしていたことに、ようやく取りかかれるんです。世の中に向けたプレスリリースを出したり、事業をもう一段伸ばすための仕込みに時間を使ったり。AIは営業まわりだけでなく、自分たちのLPをつくったり、サイトに手を入れて見せ方を磨いたりするのにも使えます。守りの定型作業はAIに渡して、人は攻めの時間に回す。その循環が回り出したのが、いまいちばん面白いところです。
主な取り組み
- 自社の営業のどこにAIを効かせるかを見極め、日々のプロセスに組み込む「with AI化」の推進
- 商談の録音をAIが解析し、顧客管理への起票から提案書づくりまでを自動でつなぐ
- その場で動くデモを見せて、提案を前に進める
- 採用後のフォロー連絡を自動化し、担当者は「考えること・発信すること」に集中
- 顧客の情報をもとに、一人ひとりに合わせた件名・本文のメールをAIが自動で組み立て、まとめて届ける
- 問い合わせ対応や日々の発信を、できるところからAIで仕組み化
- 誰が担当しても一定の質で回せる、属人化しない再現性のある営業をめざす
- メール配信や問い合わせ対応など単純な営業はAIに任せ、人は商談にすべてのリソースを集中。
- 空いた時間を、プレスリリースや事業を伸ばす施策、自社のLPづくり・サイト改善といった“攻め”に振り向け。
※ 記載は取り組みの一例です。発言内容は確定事実をもとに構成したものです。