営業の型を業種×段階の表で作る|提案ページとトークスクリプトの下書きを出す
営業の型を、業種と商談の段階の表で作ります。送った文面・提案書・商談の記録・失注の理由からマスの4項目を埋め、マスを選べば提案ページとトークスクリプトの下書きが出る形を、型の直し方まで図と画面で書きます。
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初めての業種の会社から問い合わせが来て、入って数か月の担当が受け持つことになった。社内のフォルダで先輩の提案書を探して開くと、別の業種に向けたもので、言葉が合わない。結局、会社紹介の資料をそのまま送り、初回の商談は自社の説明から始めて、相手の話を聞く前に時間が終わってしまう。そんなことはないでしょうか。
私たち Aurant Technologies は、企業の営業とマーケティングの仕組みづくりを支援している会社です。当社でも、フォーム営業の文面や営業の台本(トークスクリプト)を作ってきました。フォーム営業の文面では、業種ごとの文面に会社名を差し込むだけの形をやめ、1社ごとに文面を書く決まりにしています。差し込みだけでは、受け取った側から一斉に送った文面に見える、と判断したからです。一方で、文面の段の並びは型として決めてあります。
だから、ここで考える営業の型も、受け持つのは骨組みと言葉までにします。営業の型を、業種と商談の段階の表で作り、マスごとに、相手の状況の読み方、話が止まりがちな所、出す提案3点、使うページの4つを決めておきます。新しい相手には、業種と段階でマスを引けば、提案ページとトークスクリプトの下書きが出ます。相手ごとの1段落と数字は、型で埋めずに人が書きます。ねらいは、担当が変わっても、初回の連絡と初回の商談で話す中身をそろえることです。
最後にできあがるのは、次のような表です。
縦に商談の段階、横に業種を並べています。マスの中身は4つありますが、この図では「止まる所」の一言だけを出しました。下のほうの3つのマスは、もとにする記録が無いので、点線の「まだ」のままです。
決めたいのは、誰が出ても初回に話す中身がそろうこと
型を作る前に、型で何をそろえたいかを決めます。ここでは、初回の連絡(問い合わせフォームやメールで送る最初の文面)と、初回の商談に重心を置きます。どちらも、相手のことをまだほとんど知らないまま話す段階で、担当が自分の言葉で埋めるしかない場面だからです。提案と見積の段も表には入れますが、相手の事情で中身が大きく変わるので、型に持たせるのは、提案ページの節の並びと、含むもの・含まないものの書き方までにします。
進め方は、次の5つの段です。このあとの節も、この順に書きます。
材料は、送った文面・提案書・商談の記録・失注の理由
型の中身は、新しく考えるより、手元にあるものから取ります。集めるのは4つです。送った文面は、送信の控えから、返事が来たものと来なかったものの両方。提案書は、受注した版と失注した版。商談の記録は、文字起こしや議事録。失注の理由は、入力する欄があればそこから取れます。商談の記録の集め方と抜き出し方は、商談分析の進め方の記事に書きました。
集めたら、業種ごと、段階ごとに分け、マスごとに何件の記録から作ったかを数えておきます。図の「記録」の件数がそれです。件数の少ないマスは仮のものとして扱い、商談のたびに直します。
マスごとに、読む所・止まる所・出す提案3点・使うページを決める
マスの4項目は、当社がフォーム営業の文面で使っている型にならって決めます。その型は、宛名、名乗り、相手の公開情報から読み取った1段落、止まりがちな所、支援の一例3点、リンク2本、現状を一言たずねる一文、連絡を断れることの案内、結びの9段です。ここでは、このうち相手ごとに中身が変わる真ん中の4段を、段階ごとに書き分けられるように、マスの4項目にします。同じ業種でも、会社の規模や相手の立場で気にすることが大きく違うなら、横の軸を「買い手の型」(立場と状況で分けたもの)に替えてもかまいません。
材料のどの言葉を、どの項目に移すかを、1マス分だけ通して見ます。
「読む所」は、返事が来た文面から取ります。返事が来た文面が相手のどこに触れて書き出していたかを見ると、相手の公開情報のどこを読めばよいかの手がかりになります。図の例なら、施工事例の更新の頻度と、対応している地域です。「使うページ」も、返事が来た文面に入れていたリンクから取ります。
「止まる所」は、商談の記録と失注の理由から、その段階で話が止まった所を1つだけ取ります。図では、商談の記録の「見積を出したあと、誰からも連絡していなかった」と、失注の理由の「他社の連絡のほうが早かった」を、「見積を出したあとの連絡が担当者まかせ」という1行にまとめています。「出す提案」は、受注した提案書で最初に示した提案のうち、止まる所への答えになるものを3点まで取ります。当社のフォーム営業でも、支援の一例は3点にしています。4点、5点と並べると、相手の状況への答えではなく、製品の説明に近づくからです。
どのマスでも、自社の仕組みの説明より、相手の状況を先に書きます。記録の無いマスは、埋めずに「まだ」のまま残します。想像で埋めたマスは、そのまま新しい担当の口から相手に届きます。
マスを選ぶと、提案ページとトークスクリプトの下書きが出る
表ができたら、マスから下書きを出します。次の画面は、住宅リフォーム会社の「提案」のマスを選んだところです。
画面の左でマスを選ぶと、真ん中に提案ページ、右にトークスクリプトの下書きが出ます。①の言葉は、すべて表のマスから差し込んだものです。下書きを AI に書かせる手もありますが、ここでは雛形への差し込みだけにしています。文章を新しく作らないので、表のマスを直せば下書きも同じように直り、どの文がどのマスから来たかを追えます。
提案ページは、いまの状況、期限からの逆算、提案、含むもの・含まないもの、費用、参考の順です。期限からの逆算を前のほうに出し、含むもの・含まないものを1枚で見せる並びは、当社が商談の記録を並べて出した、提案書の直しどころ(まだ案の段階のもの)にならっています。トークスクリプトは、最初の一言、前回相手が言ったこと、聞く質問、よく出る懸念と答え、次の約束の順です。前回相手が言ったことは、型では書かず、商談の記録から相手の言葉のまま写します。聞く質問には、提案ページで人が埋める数字を聞くものを入れておきます。画面のマスなら、春の繁忙期がいつか、最初に使う事務の担当が何人か、です。
型から出す提案ページは、相手ごとの非公開のページにして、検索には載せません。Google 検索のスパムに関するポリシーは、利用者の役に立つためではなく「検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成すること」を、大量生成されたコンテンツの不正使用としています。問題にしているのは、通常、利用者にとってほとんどまたはまったく価値が無く、独自性の無いページを大量に作ることで、作り方は問わないとしています。型から出すページは、検索から人を集めるためではなく、1社に送るためのものです。業種ごとのページを公開して検索から人を集めたいなら、型の差し込みで並べるのではなく、その業種の読み手に向けた記事として別に書きます。送ったページは社内で転送されることもあるので、ほかの会社の名前や、相手に出せない数字は入れないでおきます。
相手ごとの1段落と数字は、型で埋めずに人が書く
画面の②は、型では埋めません。1つめは、相手の公開情報と前回の商談から書く1段落です。冒頭に書いた、差し込みだけの文面をやめた理由と同じです。書き出しは、その会社の公開情報に結びつけ、提案の箇条も、その会社の商売の時期に合わせて言い換えます。マスの「出す提案」3点は、その出発点です。
2つめは数字です。期限の日付、人数、費用は相手ごとに違い、間違えたまま送ると、型で整えた中身まで疑われます。型には何の数字を聞くかだけを書いておき、数字そのものは、商談で聞いた値と見積から入れます。実際に作るときは、②が1つでも空いているあいだは送れないようにしておきます。画面の「送る」は、その状態を示すために、押せない形で描いてあります。
初回の連絡をメールで送るなら、型の文面に特定電子メール法の表示も入れておきます。会社や個人事業主が広告や宣伝のために送るメールは、送ってよい相手が決まっていて(あらかじめ同意した人や、定められた条件でメールアドレスを公表している団体など)、送信者の氏名または名称と、受信を断るための連絡先などを表示する決まりがあります。
商談のあと、型に無かった質問と懸念を表に戻す
型は、作った日から古くなります。商談が終わったら、その日のうちに担当が、マスに無かった質問と懸念、話が次の段階に進んだか止まったかを、1行ずつ残します。項目は、商談の記録で使う項目(検討のきっかけ・引っかかり・決め手・質問・約束)とそろえておくと、記録からそのまま写せます。
型の表を受け持つ人を1人決め、週に1度、たまった行をマスに足します。1件だけの話は、その会社に固有の事情かもしれないので、すぐにはマスに入れず、同じ話が2件目に出たところで足します。点線の「まだ」のマスも、こうして記録がたまったところで埋め始めます。
効き目は、段階ごとの進み方を型の前後で数える
型が効いたかどうかは、段階ごとに何件が次へ進んだかを、型を使う前と後で数えて確かめます。先に、何をもって次の段階に進んだとするかを決めておきます。ここでは、初回の打合せの日が決まったら初回商談へ、提案ページを送ったら提案へ、見積を出したら見積へ進んだ、と数えます。日付が残る出来事で区切っておくと、担当によって数え方がぶれません。前と後で期間の長さをそろえ、業種ごとに、問い合わせから来た相手と、こちらから連絡した相手を分けて数えます。入口が違うと、同じ型を使っても進み方が違うことがあるからです。
1つのマスで数える相手は、はじめは数件しかありません。5件なら、1件違うだけで率は20ポイント動くので、件数が少ないうちは率ではなく件数で見ます。待つ日数も先に決めます。自社の記録で、初回連絡から見積まで何日かかっているかを調べ、その日数がたつまでは、見積の段の数を確定させません。話す中身がそろったかどうかは、数とは別に、同じマスを使った担当どうしの初回の文面や台本を並べ、4つの項目に触れているかで見ます。
型が受け持たないこと
型がそろえるのは、初回に話す中身の骨組みと言葉です。相手の事情を読むことや、その場で質問を深めることは、型では代われません。また、新しい業種ほど「まだ」が多く残ります。この記事の型で段階ごとの進み方を数えた記録は、当社にもまだありません。この形で初回の話の中身がそろうか、進み方が変わるかは、まだ言えません。
表1つと雛形2つで作れる
図と画面は、表1つと雛形2つから作りました。表は1マス1行で、業種、段階、読む所、止まる所、出す提案(3列)、使うページ、もとにした記録の件数を持ちます。雛形は提案ページとトークスクリプトに1つずつで、「業種の言葉」「期限」のような差し込み口に表の列を流し込み、②の所は空欄の印のまま出します。商談のあとの1行は、別の表に、日付・業種・段階・出た質問や懸念・進んだか止まったかで残します。表計算でも作れます。
まずは1つの業種の「初回連絡」のマスから
明日からできるのは、1つの業種の「初回連絡」のマスを埋めてみることです。直近に送った文面を、返事が来たものと来なかったものあわせて3〜5本、受注した提案書を1〜2本、同じ業種の商談の記録か失注の理由を2〜3件集め、読む所・止まる所・出す提案3点・使うページの4つに移します。埋まらない項目は「まだ」と書いておき、次の商談のあとに1つずつ埋めていきます。
営業の型の表を作り、提案ページとトークスクリプトの下書きを出す仕組みづくりは、当社の営業DX・SFA運用設計の支援で一緒に進められます。
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