富士通 GLOVIA One 完全ガイド|統合された新クラウドERPの特徴・対象企業・旧GLOVIAからの移行

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富士通は2026年4月22日より、中堅民需向けの新しいクラウドERPソリューション「GLOVIA One(グロービア ワン)」の提供を順次開始しました。これまで企業規模ごとに分かれていた「GLOVIA SUMMIT」「GLOVIA iZ」「GLOVIA きらら」のラインナップを統合し、会計・人事給与・販売・生産の4領域を一つの製品体系にまとめたものです。旧GLOVIA各製品を利用してきた企業にとっては、今後の基幹システムの方向性を左右する製品であり、これから移行を検討する企業にとっても押さえておきたいテーマといえます。

この記事では、2026年7月時点で富士通が公式に発表している情報をもとに、GLOVIA Oneとは何か、なぜ登場したのか、どのような企業に向いているのかを整理します。新製品のため、確定していない仕様や価格については断定を避け、公式に確認できた事実を中心に解説します。

GLOVIA Oneとは(結論・要点)

GLOVIA Oneは、富士通が2026年4月22日から順次提供を開始した、中堅企業向けの基幹業務ERPソリューションです。主に年間売上約30億円から1,000億円規模の日本企業を対象としており、日本特有の業務プロセスや商習慣、法制度に対応しながら、ビジネスの成長や変化に合わせて段階的に進化できることを目指した製品と位置づけられています。

要点を先に整理すると、次のとおりです。

  • 従来規模別に分かれていたGLOVIAシリーズ(SUMMIT/iZ/きらら)を統合した後継製品である
  • 会計・人事給与・販売・生産の4領域をカバーする
  • クラウドを介したマルチテナント構成で提供される
  • APIで他社ソリューションと連携する「コンポーザブル」なアーキテクチャを採用している
  • データを可視化し判断を支援するAIエージェントを標準搭載している

従来の規模別ラインナップを一本化し、クラウドとAIを前提に設計し直した点が、旧GLOVIAとの最大の違いといえます。

なぜGLOVIA Oneが登場したのか

これまでのGLOVIAは、企業規模に応じて製品が分かれていました。年商1,000億円を超える大企業向けの「GLOVIA SUMMIT」、年商100億円から1,000億円程度の中堅企業向けの「GLOVIA iZ」、それより小規模な企業向けの「GLOVIA きらら」といった構成です。企業ごとに最適な製品を選べる一方で、事業が成長して規模が変わると製品を乗り換える必要が生じるなど、継続性の面で課題がありました。

GLOVIA Oneは、これらのラインナップを統合し、年間売上約30億円から1,000億円規模までを一つの製品でカバーします。企業の成長や事業環境の変化に合わせて、システムを大きく入れ替えることなく段階的に拡張していける設計を目指した点が、統合の背景にあります。

加えて、多くの日本企業が直面する基幹システムの老朽化やサポート期限、いわゆる「2025年の崖」として語られてきたレガシーシステムの刷新需要も、クラウド前提の新製品が求められた要因といえます。旧GLOVIA製品を長年利用してきた企業にとって、クラウドとAIを前提とした後継の選択肢が用意されたことは、移行を検討するうえで重要な変化です。

GLOVIA Oneの主な特徴

クラウド・マルチテナント構成

GLOVIA Oneは、クラウドを介してマルチテナント構成で提供されます。従来のオンプレミス型と異なり、インフラの運用負荷を抑えながら、標準機能の更新を継続的に受け取りやすい形が想定されています。富士通は、標準機能を保つことでその後のアップグレードや機能更新を自動化するアーキテクチャを実現するとしています。

APIで連携するコンポーザブルなアーキテクチャ

GLOVIA Oneは、機能・データ・外部サービスをAPIで組み合わせる「コンポーザブル」なアーキテクチャを採用しています。APIで他社ソリューションと容易に連携できる構成へと変えたことで、アドオン開発を最低限に抑えつつ、特定のベンダーやサービスに依存せずに最適なソリューションを選択できることを目指しています。

従来のERP導入では、自社の業務に合わせた作り込み(アドオン)が保守負担やバージョンアップの足かせになりがちでした。アドオンを最小化し、必要な機能を外部サービスと組み合わせて構成する考え方は、この課題への富士通なりの回答といえます。

AIエージェントの標準搭載

GLOVIA Oneは、データを統合・可視化し、人の意思決定を支援するAIエージェントを標準搭載しています。会計・人事給与・販売・生産や連携する業務データを集約し、AIによる可視化を行う機能が提供されます。富士通は、業務データを多面的に分析して意思決定を支援するAIエージェント「Chat BI」を、2026年度中に提供する予定としています。

また、開発・導入・保守のオペレーションにもAIエージェントを組み込み、標準機能を速く頻繁にリリースし続けることで、日本特有の商習慣や税制改正に運用を止めずに対応することを目指すとしています。

業務ルール・設計思想の標準化と言語化

GLOVIA Oneでは、業務ルール・設計思想・設定手順を標準化・言語化する取り組みが特徴として挙げられています。属人的になりがちな業務設定を明文化し、標準機能を保つことで、その後のアップグレードや機能更新の自動化につなげるという考え方です。導入後の保守や、法改正への追随を継続しやすくする狙いがあります。

対象企業と適性

GLOVIA Oneは、主に年間売上約30億円から1,000億円規模の日本企業を対象としています。次のような企業は、検討候補に入れる価値があるでしょう。

  • 旧GLOVIA(SUMMIT/iZ/きらら)を利用しており、後継への移行を見据えている企業
  • オンプレミス型の基幹システムからクラウドへの移行を検討している中堅企業
  • 日本特有の商習慣や法制度への対応を重視しつつ、アドオンの作り込みを減らしたい企業
  • 会計・人事給与・販売・生産を一つの基盤で連携させたい企業

一方で、GLOVIA Oneは中堅民需向けと位置づけられているため、年商規模が大きく外れる企業や、特定業界に強く特化した要件を持つ企業では、適性を個別に見極める必要があります。標準化を前提とする製品思想のため、独自の業務プロセスをそのまま残したい場合は、標準機能でどこまで対応できるかを事前に確認することが重要です。

旧GLOVIA(iZ/きらら/SUMMIT)からGLOVIA Oneへ

旧GLOVIAシリーズを利用している企業にとって、GLOVIA Oneは規模別に分かれていた製品を一本化した後継にあたります。従来は事業拡大に伴って製品を乗り換える必要がありましたが、GLOVIA Oneでは約30億円から1,000億円規模までを同一製品でカバーするため、成長に合わせた段階的な拡張が想定されています。

ただし、旧製品はオンプレミス中心の構成であり、GLOVIA Oneはクラウド・マルチテナント前提のアーキテクチャです。単なるバージョンアップではなく、システムの前提そのものが変わるため、移行にあたってはデータ移行や既存アドオンの扱い、業務プロセスの見直しなど、相応の検討が必要になります。移行時期や具体的な移行方式、価格については富士通からの個別提案・見積もりを前提に確認することをおすすめします。

GLOVIA Oneに載せ替えるか、他社ERPへ移行するか

旧GLOVIAからの次の一手として、GLOVIA Oneへ載せ替える道と、SAP・Oracle・Microsoft Dynamics 365・Oracle NetSuiteといった他社ERPへ移行する道があります。どちらが適しているかは、企業の状況によって異なります。判断軸として、次の観点を整理すると検討が進めやすくなります。

判断軸 GLOVIA Oneへの載せ替えが向く場合 他社ERPへの移行を検討したい場合
既存資産の活用 旧GLOVIAの業務ノウハウや運用体制を活かしたい 基幹システムを機に業務そのものを刷新したい
日本固有要件 日本の商習慣・法制度への標準対応を重視する グローバル拠点との標準統一を優先したい
拡張・連携の方向性 富士通のエコシステムを軸に段階的に拡張したい 特定領域で他社製品の強みを取り込みたい
移行負荷とリスク 製品系譜が近く、移行の連続性を重視する 抜本的な再構築を許容できる体制がある

他社ERPへの移行を含めて具体的に比較したい場合は、旧GLOVIAから各社ERPへ移行する際の実務ポイントを整理した富士通 GLOVIA から他社ERPへの移行ガイドもあわせてご参照ください。本記事がGLOVIA One自体の解説であるのに対し、そちらはSAP S/4HANAやOracle Fusion、Dynamics 365、NetSuiteなどへ移行する際の実務を扱っています。

導入で押さえておきたい論点

GLOVIA Oneは提供が始まったばかりの新製品です。検討にあたっては、次の論点を早めに確認しておくと、意思決定がスムーズになります。

  • 標準機能での適合度:自社の業務がどこまで標準機能でカバーできるか。アドオン最小化の思想を前提に、業務側の見直し余地を含めて確認します。
  • 移行方式とスケジュール:旧GLOVIAやオンプレミス基幹からのデータ移行方式、切り替え時期、並行稼働の可否を確認します。
  • API連携の範囲:既存の他社システムとの連携要件が、APIで無理なく実現できるかを整理します。
  • AIエージェントの活用範囲:標準搭載のAI機能やChat BI(2026年度中提供予定)が、自社の意思決定にどう役立つかを見極めます。
  • 費用と見積もり:価格は構成や規模によって変わるため、富士通からの個別見積もりを前提に、総保有コストの観点で比較します。

いずれも、公式情報が順次拡充されていく段階の製品であることを踏まえ、最新の一次情報を確認しながら検討を進めることが大切です。

本記事は2026年7月時点で富士通が公式に発表している情報をもとに作成しています。仕様や提供時期は今後更新される可能性があるため、実際の導入検討にあたっては富士通の公式発表および個別提案をご確認ください。基幹システムの移行方針の整理や、GLOVIA Oneと他社ERPの比較検討に迷われる場合は、第三者視点でのセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

システム導入・DX戦略

ERP・基幹システムの刷新、SaaS選定・導入支援、DX戦略立案まで対応。中小企業のDX推進を一気通貫でサポートします。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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