【完全ガイド】富士通 GLOVIA から他社ERPへの移行:SAP S/4HANA・Oracle Fusion・Dynamics 365・NetSuite・Inforを徹底比較
富士通 GLOVIA SUMMIT/G2/smart/iZ から他社クラウドERPへの乗り換えを徹底解説。GLOVIA on Azure継続 vs SAP S/4HANA・Oracle Fusion・Dynamics 365・NetSuite・Infor LN の比較、移行コスト・期間目安、失敗回避策。
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富士通の GLOVIA シリーズ(GLOVIA SUMMIT、GLOVIA G2、GLOVIA smart、GLOVIA iZ、GLOVIA きらら)は、日本の中堅・大企業の基幹業務を長年支えてきた国産ERPです。GLOVIA は Azure 上での運用も選択可能になり継続活用できる一方、サポート終了の節目や事業構造変化を機に、SAP S/4HANA、Oracle Fusion、Microsoft Dynamics 365、Workday、NetSuite などの本格クラウドERPへの乗り換えを検討する企業も増えています。
本記事では、GLOVIA を継続するか他社ERPへ移行するかの判断軸、移行先候補の比較、移行プロジェクトのコストと期間、そして失敗パターンと回避策を整理します。
この記事の構成
- GLOVIA シリーズの構成と現状
- GLOVIA を継続するか他社ERPへ移行するか
- 移行先候補の特徴と比較
- 5パターン × 比較マトリクス
- 移行プロジェクトのコストと期間目安
- GLOVIA 移行でよくある6つの失敗
- AI / Claude Code を活用した移行支援
- FAQ
1. GLOVIA シリーズの構成と現状
GLOVIA は企業規模別に3つのラインナップで構成されています(FUJITSU Enterprise Application GLOVIA 公式)。
| 製品 | 対象企業規模 | 特徴 |
|---|---|---|
| GLOVIA SUMMIT / G2 | 大企業(年商1,000億円超) | 大規模製造業向け、グローバル統合機能 |
| GLOVIA smart | 業種特化型シリーズ | 製造、商社、サービス業など業種別テンプレート |
| GLOVIA iZ | 中堅企業(年商100億〜1,000億円) | 2016年9月発表、中堅向けに最適化 |
| GLOVIA きらら | 中小企業(年商100億円以下) | 低コストで基本機能をカバー |
2020年以降、GLOVIA は Microsoft Azure 上での運用 も可能になっており、オンプレからクラウドへのリフト&シフトでサポート終了問題を緩和できる選択肢が増えています。
2. GLOVIA を継続するか他社ERPへ移行するか
判断軸は4つに集約できます。
- 業務プロセスの「変えたくなさ」:GLOVIA で構築した独自プロセスを大きく変えたくない場合は、GLOVIA 継続+Azure リフトが摩擦最小
- 3〜5年スパンの事業構造変化:M&A、海外展開、上場準備など大きな構造変化があるなら本格クラウドERPが長期最適
- 富士通との関係性:富士通グループとの取引関係が経営に重要なら GLOVIA 継続のメリット大
- IT人材の厚み:本格クラウドERP導入には専門人材が必要。社内・パートナー含めた体制構築の見通し
クラウドERPフルリプレースは3〜5年の大型プロジェクト。すぐに踏み切れない場合、GLOVIA on Azure でハードウェア・データセンター運用問題を解消しつつ、3〜5年スパンで本格刷新計画を進める「2段階アプローチ」が現実的です。
3. 移行先候補の特徴と比較
GLOVIA on Azure(継続+クラウドリフト)
GLOVIA を Azure 上で運用継続。ハードウェア更新コスト、データセンター運用負荷、災害対策の課題を解消。業務プロセス・カスタマイズはそのまま継承できるため、移行リスクは最低レベル。本格刷新を3〜5年後に判断する時間稼ぎとして有用です。
SAP S/4HANA(特に GROW with SAP)
製造業大企業の本格クラウドERP移行先として最有力。GLOVIA SUMMIT / G2 ユーザーの多くが SAP S/4HANA への移行を検討します。中堅企業(GLOVIA iZ ユーザー)は GROW with SAP(Public Cloud Edition)が現実的選択肢で、Fit to Standard 前提で短期間(6〜12か月)導入が可能です。
Oracle Fusion Cloud Applications
SAP に並ぶグローバルERPデファクト。財務・SCM・HRの統合機能が強い。日本国内の大企業導入実績も多く、グローバル展開志向の企業の選択肢として有力です。
Microsoft Dynamics 365 F&O
Microsoft 365 / Azure / Power Platform との統合が深い。GLOVIA on Azure 経験を活かして、同じ Azure 上のクラウドERPに移行する自然な流れになります。Power Apps での内製カスタマイズが容易で、開発生産性も高い。
Oracle NetSuite
中堅企業(GLOVIA iZ ユーザー)のクラウド完全移行先として有力。財務・在庫・販売・CRM・ECを1プラットフォームで統合、海外展開に強い。投資規模は SAP / Oracle Fusion より小さく、短期間で導入可能です。
Infor CloudSuite Industrial / LN
製造業特化のクラウドERP。複雑なBOM、原価計算、生産管理に強く、GLOVIA smart の業種特化機能を引き継げる候補。製造業に絞った専門性で SAP / Oracle と差別化されています。
4. 5パターン × 比較マトリクス
| 評価軸 | GLOVIA on Azure | SAP S/4HANA | Oracle Fusion | Dynamics 365 F&O | NetSuite |
|---|---|---|---|---|---|
| 初期構築コスト | 低(500万〜3,000万) | 高(3億〜20億) | 高(3億〜15億) | 中〜高(5,000万〜3億) | 中(2,000万〜1億) |
| 移行期間 | 6〜12か月 | 18〜36か月 | 18〜36か月 | 12〜24か月 | 9〜18か月 |
| 業務プロセス変更幅 | なし(リフト) | 大 | 大 | 中〜大 | 中 |
| グローバル対応 | 限定的 | 最強 | 最強 | 強い | 強い |
| 製造業適合度 | 高い(GLOVIA smart 継続) | 強い | 強い | 中 | 中 |
| 富士通との関係維持 | ◎ | ×(他社) | ×(他社) | △ | △ |
| SaaS連携エコシステム | 中 | 強い | 強い | 非常に強い | 強い |
| 長期ロードマップ | 中期延命策 | 長期主力 | 長期主力 | 長期主力 | 長期主力 |
5. 移行プロジェクトのコストと期間目安
| 移行先 | 初期構築費用 | 年間運用コスト | 移行期間 |
|---|---|---|---|
| GLOVIA on Azure(継続) | 500万〜3,000万円 | 従来GLOVIA + Azureインフラ費 | 6〜12か月 |
| SAP S/4HANA(GLOVIA SUMMIT/G2 → S/4HANA) | 3億〜20億円 | 5,000万〜2億円 | 18〜36か月 |
| SAP GROW with SAP(GLOVIA iZ → S/4HANA Public) | 5,000万〜3億円 | 2,000万〜8,000万円 | 6〜12か月 |
| Oracle Fusion Cloud | 3億〜15億円 | 5,000万〜1.5億円 | 18〜36か月 |
| Dynamics 365 F&O | 5,000万〜3億円 | 2,000万〜8,000万円 | 12〜24か月 |
| Oracle NetSuite | 2,000万〜1億円 | 1,500万〜5,000万円 | 9〜18か月 |
| Infor CloudSuite Industrial / LN | 1億〜10億円 | 3,000万〜1億円 | 18〜36か月 |
6. GLOVIA 移行でよくある6つの失敗
- 「GLOVIA と同じ操作感を求める」:他社ERPは思想が異なる。同等を求めると永遠にカスタマイズが続く
- 富士通保守を全部切る判断を急ぐ:移行が長期化すると現行GLOVIAの保守も必要。並行稼働期間中の保守継続契約を確保
- BPRを伴わない単純移行:GLOVIA で慣性的に続けていた業務プロセスを見直さず移行すると、新環境でも非効率なまま
- 業界特化機能の見落とし:GLOVIA smart の業種別テンプレートが業務適合の鍵だった場合、SAP / Oracle 標準では対応不可なケース。Infor LN や mcframe も比較
- SI ベンダー一社依存:富士通系SIだけでなく、複数SIから提案を取り寄せ比較
- 運用定着フェーズの予算不足:本稼働後12か月の運用支援費を初期予算に含める
7. AI / Claude Code を活用した移行支援
- GLOVIAカスタマイズ仕様の解析:GLOVIA の独自カスタマイズ仕様書・運用手順書を Claude Code に読ませ、新ERP用の要件定義初稿を自動生成
- マスタデータマッピング:GLOVIA の商品マスタ・勘定科目を新ERPのスキーマにマッピング初稿生成
- Fit Gap 分析の半自動化:GLOVIA の機能と新ERP標準機能の差分をAIで初稿作成
- テストケース大量生成:GLOVIA 実トランザクションを参考に、新ERP上の回帰テストを網羅
- 運用ドキュメント自動化:移行後ERPのマニュアル・FAQをAI生成
- MCP経由での新ERP操作:移行後ERPを Claude Code から自然言語で操作する開発体験
8. FAQ
Q1. GLOVIA SUMMIT / G2 のサポート終了はいつまで?
具体的なサポート終了スケジュールはお使いのバージョンによって異なるため、富士通の保守窓口にご確認ください。一般論として、長期使用してきた製品の場合、5〜7年スパンで段階的にサポート終了が告知されます。サポート終了告知から実際の終了まで2〜3年が標準で、その期間内にバージョンアップか移行か判断が必要です。
Q2. GLOVIA on Azure と SAP S/4HANA、どちらを選ぶべきですか?
3〜5年スパンの事業構造変化(M&A、海外展開、上場準備等)が見込まれるなら SAP S/4HANA への抜本刷新が長期最適。一方、業務プロセスを大きく変えたくない、富士通との関係を維持したい、IT人材が手薄という条件なら GLOVIA on Azure で時間を稼ぐのが現実解です。両方を並行検討し、3年計画として GLOVIA on Azure → 中期で S/4HANA へ進むハイブリッド戦略も有効です。
Q3. GLOVIA から他社ERP移行する場合、富士通との関係はどうなる?
富士通は SAP、Oracle、Microsoft Dynamics、Workday などのSI実装パートナーでもあります。他社ERPに移行しても富士通経由で導入・運用することは可能で、関係を維持できます。逆に他社SI / 直販ベンダーに完全移管する判断もありえます。経営判断と取引関係のバランスで決めてください。
Q4. GLOVIA SUMMIT / G2 から SAP S/4HANA への移行コストの目安は?
大企業の典型的な GLOVIA SUMMIT / G2 → S/4HANA 移行は、初期構築 5億〜30億円、期間2〜5年が目安です。業務プロセスを Fit to Standard で標準化するか、既存カスタマイズを移植するかで大きく変動します。Greenfield(標準化)のほうが長期的な保守コストは低く抑えられますが、組織変革負荷は大きくなります。
Q5. GLOVIA iZ ユーザーが選ぶべき後継は?
中堅企業(年商100〜1,000億円)で GLOVIA iZ を使っている場合、後継候補として GROW with SAP、Oracle NetSuite、Microsoft Dynamics 365 F&O / Business Central、Infor CloudSuite が有力です。製造業なら Infor CloudSuite Industrial、サービス業なら NetSuite、Microsoft 中心スタックなら Dynamics 365 が適合しやすいです。3社程度に絞って PoC を実施することをお勧めします。
Q6. 製造業で GLOVIA smart を使っている場合、業界特化機能は他社で代替できますか?
業界によります。製造業の複雑な BOM、原価計算、生産管理、品質管理の業界特化機能は、SAP S/4HANA Manufacturing、Oracle Fusion Manufacturing、Infor CloudSuite Industrial / LN、または mcframe XAなどで代替可能です。一方、GLOVIA smart の業界別テンプレートに長年カスタマイズを積み上げている場合、他社製品では完全代替できないこともあります。PoC で業務シナリオを実データで検証することが必須です。
- FUJITSU Enterprise Application GLOVIA 公式
- 富士通 GLOVIA:販売終了製品
- マイナビ:GLOVIA Azure 移行事例
- 日経BP:S/4HANA 移行と「2025年の崖」
- Aurant:レガシー基幹システム刷新ガイド(ピラー記事)
※ 価格・サポート終了時期等の情報は2026年5月時点の公開情報をもとに整理しています。最新の正確な情報は富士通公式までご確認ください。本記事は過去の支援案件・公開資料・公式ドキュメントに基づくAurant Technologies独自の見解で、特定ベンダーから対価を得て作成したものではありません。