Amazon WorkMail が2027年3月31日で終わる|社内メールを WorkMail で使っている会社が、Microsoft 365・Google Workspace へ移す段取り
Amazon WorkMail は2027年3月31日でサポートが終わります。使っているかの確かめ方、中身の数え方、IMAP と export の違い、MX の切り替え、移したあとに止まりやすい複合機・アプリ・共有アドレスまでを、AWS・Microsoft・Google の公式の情報で整理しました。
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この記事の要点
- Amazon WorkMail は2027年3月31日で終わる。新規の受付は2026年4月30日に止まっていて、既存の顧客は終了日まで使える。確認日の2026年10月5日から数えて177日。終了後は WorkMail のコンソールにも資源にも入れなくなると AWS は書いているので、メールを移すことと、取り出して残すことを、その日より前に終える。
- 社内メールが WorkMail かどうかは、DNS の MX、WorkMail のコンソール(3リージョン)、機器とアプリの設定の3か所で確かめられる。中身は、ユーザー・別名・グループ・共有の権限・会議室・送信設定に分けて数え、移行先で作り直すものの一覧にする。
- メールのコピーは IMAP、保管用の取り出しは export(S3 の zip)に分ける。予定表と連絡先は IMAP では移らず、export にも連絡先は入らないので、別の手立てを決める。MX を切り替えたあとは、複合機・アプリ・共有アドレスが止まりやすい。
確かめてから、閉じるまで
確かめる → 数える → 決める → 分ける → 切り替える → 閉じる
手順は当社の整理。日付と仕様の出典は、各節の図の下に書いた(2026年10月5日確認)
Amazon WorkMail は、2027年3月31日でサポートが終わります。AWS の管理者ガイドは、その日のあと、WorkMail のコンソールにも WorkMail の資源にも入れなくなる、と書いています。新規の顧客の受付は2026年4月30日に止まっていて、それ以前に登録した顧客は、終了日まで使い続けられます(Amazon WorkMail end of support、2026年10月5日に確認)。
独自ドメインの社内メールを WorkMail で運用している会社の残りは、確認日から177日です。やることは2つで、メールの置き場を別のサービスに移すことと、メールを取り出して手元に残すことです。AWS は、移行先の例として Kopano Cloud・Zoho Mail・Zoom Mail を挙げ、ほかの市販サービスへ移ってもよい、とも書いています。この記事は、Microsoft 365・Google Workspace へ移す場合の段取りを、WorkMail 側の事情に沿って書きます。
レンタルサーバーのメールから移す場合の段取りは、別の記事に書きました。MX の切り替えと、SPF・DKIM・DMARC の付け替えは同じです。WorkMail で違うのは、メールを取り出す手段が IMAP と export の API に限られること、AWS のコンソールに入れる期限があること、複合機やアプリの送信先が WorkMail の SMTP であることです。そこを中心に書きます。
WorkMail はいつ終わるのか:終了日と、そのあと
終了までの日付
日付はどれも AWS の公式の文書にある
出典:AWS「Amazon WorkMail end of support」「AWS サービスの提供状況に関する最新情報」(2026年3月31日)、管理者ガイドの更新履歴(2026年10月5日確認)
AWS の日本語のお知らせ(2026年3月31日付)は、WorkMail を、廃止されるサービスの一覧に載せています。管理者ガイドの更新履歴にも、同じ日に終了の通知が加わっています。発表から終了までは、ちょうど1年(365日)です。確認日は、発表から188日目にあたり、終了までは177日が残っています。
発表から終了までの1年(365日)のうち
確認日の時点で、発表から終了までの半分は過ぎている
日数は、AWS の公式の日付から当社が数えた(2026年10月5日確認)
終了後は、コンソールにも資源にも入れなくなります。メールを取り出す方法は、あとで書く export も IMAP も、WorkMail が動いていて初めて使えます。移行の作業は、終了日の前に終える必要があります(当社の読み取り)。日本時間で終了日の何時までかは、確かめた範囲の AWS の文書には書かれていません。当日ではなく、前の月に終える前提で組みます。
WorkMail の使い方の確認と、移行の計画を一緒に立てたい場合は、当社のMicrosoft 365・Google Workspace活用支援で受けています。
自社が WorkMail を使っているかを確かめる
数年前に作った人が辞め、管理画面を誰も見ていない場合は、WorkMail が本当に使われているかから確かめます。見る場所は3つです。
WorkMail を使っているかを確かめる3か所
管理画面を誰も見ていなくても、DNS と機器の設定から分かる
場所 1
DNS の MX レコード
- ドメインの MX が、inbound-smtp.(リージョン名).amazonaws.com になっているかを見る
- nslookup か dig で引ける(AWS の手順)
見る人:ドメインの DNS を管理している人
場所 2
AWS の WorkMail コンソール
- ナビゲーションの Organizations に、組織が並ぶ
- リージョンを切り替えて、WorkMail の使えるリージョンを順に見る
見る人:AWS アカウントの管理者
場所 3
使う側の設定
- 社員の Web ログインが https://(別名).awsapps.com/mail
- 複合機やアプリの設定に、imap.mail や smtp.mail で始まる awsapps.com が入っている
見る人:各部署の機器・アプリの担当
出典:AWS 管理者ガイド「ドメインの検証」「Amazon WorkMail とは」、AWS ユーザーガイド「IMAP の設定」(2026年10月5日確認)
いちばん手軽なのは DNS です。AWS のドメイン確認の手順は、MX の値が、優先度10の inbound-smtp.us-east-1.amazonaws.com、inbound-smtp.us-west-2.amazonaws.com、inbound-smtp.eu-west-1.amazonaws.com のどれかになっているかを、nslookup か dig +short (ドメイン) mx で確かめる、と書いています。
コンソールで気をつけるのは、リージョンです。WorkMail のエンドポイントの一覧に載っているリージョンは、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)の3つです(AWS の一覧)。コンソールは画面上部のバーでリージョンを切り替えて見るので、東京リージョンだけを見て「WorkMail は無い」とは言えません。
手がかりはほかにもあります。独自ドメインを WorkMail に足すと、Amazon SES にそのドメインの送信許可のポリシーが自動で加わる、と管理者ガイドにあります(ドメインの追加)。SES のコンソールに、見覚えのないドメインが並んでいれば、確かめる手がかりの1つになります。
WorkMail の中身を数える:移行先で作り直すものの一覧
使っていると分かったら、組織の中身を、移行先の何に当たるかで並べます。メールボックスの数だけでなく、別名・グループ・共有の権限・会議室も、移行先で作り直す対象です。
| WorkMail にあるもの | 数える・確かめること | 移行先で受けるもの |
|---|---|---|
| ユーザー(メールボックス) | 人数と、1人ごとの容量(WorkMail は1人50GBまで)。別の場所にメールボックスを置いたまま、アドレス帳にだけ載る REMOTE_USER が混ざっていないか | どちらの移行先でも、先にユーザーを作ってライセンスを割り当てる。IMAP の移行はそのあとに始まる(Microsoft・Google) |
| 別名(エイリアス) | 別のアドレスを、ユーザーごとに書き出す。WorkMail は1人100個まで | 移行先でもユーザーの別アドレスとして作る。Google は追加料金なしで1人30個まで(Google のヘルプ)。30個を超えるユーザーがいれば、先に分かる |
| グループ | info@ や sales@ のような代表アドレスが、グループか、ユーザーか。グループは配布リストにも、セキュリティグループにもなり、メールボックスは持たない | Microsoft 365 は配布リスト(Learn)か共有メールボックス、Google Workspace はグループ(共同トレイ) |
| メールボックスの権限 | 誰がどの共有アドレスを開けるか(Full Access)、誰の名前で送れるか(Send As・Send On Behalf) | Microsoft 365 は共有メールボックス。権限を持つ人が、共有アドレスの名前で送れる(Learn)。Google Workspace はグループの共同トレイ |
| リソース(会議室・備品) | 会議室と備品の数と名前 | Microsoft 365 はリソースメールボックス(Learn)。Google のカレンダーのリソースは IMAP の取り込みでは移らないので、作り直す |
| メールフローのルール、SMTP ゲートウェイ、Lambda | 組織の設定にルールがあるか。Lambda で本文を見たり書き換えたりしていないか | 移行先で同じ動きができるかを、別に確かめる(当社の整理) |
| 保持ポリシー | 日数が過ぎたメールを自動で削除する設定があるか。「完全に削除」にしていたメールは、戻せない | コピーの前に、設定と日数を控える。すでに消えたメールは、どちらの経路でも取り出せない |
| モバイル端末 | Exchange ActiveSync でつないでいる端末 | 端末ごとにアカウントを作り直す(当社の整理) |
| プログラムからのアクセス | WorkMail の impersonation role を使って、EWS でメールを読み書きしているアプリがあるか | 移行先は別の方式になる。Exchange Online の EWS も終了が予定されている(当社の別の記事) |
この表の「数える・確かめること」を埋めたものが、移行の見積もりの元になります。WorkMail の別名は1人100個まで、Google Workspace は追加料金なしで1人30個までと、上限が違うので、別名を多く持つユーザーがいれば、先に分かるようにしておきます。
移行先を決める:AWS が挙げる3社と、Microsoft 365・Google Workspace
AWS の管理者ガイドは、移行先の例として Kopano Cloud・Zoho Mail・Zoom Mail を挙げ、これ以外の市販サービスも使える、と書いています。Microsoft 365 と Google Workspace は、AWS の例には入っていませんが、IMAP のメールを受け入れる公式の移行手順が、それぞれにあります。公式ページにある条件を並べると、次の図のとおりです。Google は、IMAP の取り込みを、1〜100人ならデータ インポート ツール、101人以上なら GWMME で行う、と案内しています。
移行先の3つの道
それぞれの公式ページにある条件だけを並べた。優劣は付けていない
AWS が例に挙げる3社
Kopano Cloud・Zoho Mail・Zoom Mail
- AWS は、WorkMail 相当の機能と、移行しやすいツールがある、と案内している
- この3社以外の市販サービスへ移ってもよい、とも書いている
この記事で確かめていないこと:各社の機能・料金・移行ツールの中身
Microsoft 365
Exchange Online
- IMAP 移行で移るのはメールだけ。連絡先・予定表・タスクは移らない
- 1人あたり最大50万項目、1通35MBまで
- 共有メールボックスはライセンスなしで50GBまで
- 予定表と連絡先は、使う人が Outlook から .pst で入れる
MX:旧 MX を消すか、優先度を下げる
Google Workspace
Gmail
- IMAP の取り込みで移るのは、メールとフォルダだけ。予定表・連絡先・リソースは移らない
- データ インポート ツールは1〜100人、101人以上は GWMME
- 予定表と連絡先は、使う人が .ics・.vcf を読み込む。PST は GWMMO(1〜20人)
- 代表アドレスは、グループの共同トレイで会話を担当者に割り当てられる
MX:smtp.google.com(優先度1)。旧 MX は消す
出典:AWS「Amazon WorkMail end of support」(Kopano・Zoho・Zoom は、AWS が案内している各社のページ)、Microsoft Learn「IMAP 移行について」、Google「IMAP サーバーから移行する」「移行サービスの一覧」(2026年10月5日確認)
メールだけを並べても、決まりにくいものです。同じ会社が日ごろ使う文書・表計算・会議・ファイル共有が、どちらに寄っているかを先に見ます(当社の整理)。メールの移行にかかる手間は、どちらを選んでも、ユーザー・別名・グループ・共有アドレスを作る作業が中心になります(当社の整理)。
段取りを逆算する:誰がどの画面で何をするか
WorkMail の移行は、AWS の管理者、DNS の管理者、移行先の管理者、機器とアプリの担当の4人が関わります。同じ人が兼ねていることもありますが、担当ごとに行を分けて書き出すと、抜けが見えます。
誰が、どの画面で、何をするか
担当を分けておくと、切り替えの日に画面の取り合いにならない
担当の分け方は当社の整理。画面の名前は、各社の公式ページにあるものだけを使った(2026年10月5日確認)
日程は、終了日から逆算します。次の月の割り方は、当社の整理で、10月から11月に確かめて数え、12月に試し、1月から2月に切り替え、3月に閉じます。2026年12月末には、Exchange Online の SMTP AUTH の基本認証が、既存の組織でも既定で無効になる予定です(当社の別の記事)。複合機の送信設定を直すなら、Microsoft 365 に移す場合は、その前に決めておきます。
終了日から逆算した段取り
月の割り方は当社の整理。終了日の当日ではなく、前の月に終える前提で組む
2026年10〜11月
確かめて、数えて、決める
- MX・コンソール・機器で、使っているかを確かめる
- 中身を数えて、一覧にする
- 移行先を決める
終わりの状態:移行先で作り直すものの一覧ができている
2026年12月
移行先を作り、試す
- ユーザー・別名・グループを移行先に作る
- 数人で IMAP のコピーを試す
- export を1本動かして、zip を開く
終わりの状態:コピーと保管の両方が、1回通っている
2027年1〜2月
全員分をコピーし、MX を切り替える
- MX の TTL を短くしておく
- 全員分をコピーして、MX を切り替える
- 切り替えの後の1週間、送受信を確かめる
終わりの状態:機器とアプリの送信が、移行先で通っている
2027年3月
保管して、閉じる
- export の zip を、保管の場所へ移す
- 取り出せたことを確かめて、組織を消す
- DNS の古いレコードを片づける
期限:2027年3月31日の前に終える
日付の根拠:AWS「Amazon WorkMail end of support」。月の割り方は、公式の記載ではない(2026年10月5日確認)
メールを出す:IMAP でコピーし、export は保管に使う
WorkMail からメールを出す経路は2つあります。移行ツールが IMAP で読みに行く方法と、WorkMail の API で S3 に書き出す export です。条件が違うので、並べます。
| IMAP でコピーする | export で取り出す(S3 の zip) | |
|---|---|---|
| 仕組み | 移行ツールが、WorkMail の IMAP(IMAPS・993)から各ユーザーのメールを読み、移行先へコピーする(AWS) | StartMailboxExportJob という API で、メールボックスの中身を、S3 の zip(MIME 形式)に書き出す(AWS) |
| 要るもの | 各ユーザーのパスワード。分からなければ、リセットして使う(Microsoft) | プログラムが書けること、WorkMail の管理者、公開を許さない S3 バケット、KMS の対称キー、書き込み用の IAM ロール |
| 入るもの | メールとフォルダ | メールと予定表の項目 |
| 入らないもの | 連絡先・予定表・タスク(Microsoft)。予定表・連絡先・リソース(Google) | 連絡先・タスクなど |
| 数の制限 | Microsoft は1人あたり最大50万項目・1通35MBまで。Google のデータ インポート ツールは1〜100人まで | 組織あたり同時に10本まで。同じメールボックスは24時間に1回まで。組織・KMS・S3 は同じリージョン |
| 時点 | Microsoft の移行バッチは、MX の切り替えを確かめるまで動かしておき、確かめた後に止める | 一時点の写しではない。書き出しの間に、メールボックスは変わる |
コピーには IMAP を使い、export は保管用に取り出す、という分け方を勧めます(当社の整理)。理由は3つです。Microsoft も Google も、IMAP からの移行の公式の手順を持っています。export は、プログラムが書けることと、S3・KMS・IAM の準備が要ります。export の zip を、Microsoft 365・Google Workspace の取り込みがそのまま読めるかは、確かめられていません。保管用として取り、1つ開いて中身を見るところまでを、終了日の前に済ませます。
IMAP でコピーするには、ユーザーごとのパスワードが要ります。WorkMail の IMAP は、IMAPS・ポート993・認証は PLAIN で、サーバー名はリージョンごとに imap.mail.(リージョン名).awsapps.com です(AWS のユーザーガイド)。パスワードが分からなければ、リセットします。ディレクトリが AD Connector なら Active Directory 側、IAM Identity Center と連携していれば Identity Center 側で行う、と AWS は書いています(パスワードのリセット)。Microsoft は、新しいパスワードを知らないユーザーは、移行中と移行後に前のメールボックスを開けなくなる、と書いているので、リセットする日は、利用者に伝えておきます。
予定表と連絡先は、どちらの経路でも移りきりません。IMAP で移るのはメールだけで、export には予定表の項目は入りますが、連絡先は入りません。使っている人が、Outlook から .pst に書き出し(Microsoft のヘルプ)、Microsoft 365 では Outlook で取り込みます(Microsoft のヘルプ)。Google Workspace では、1〜20人なら GWMMO、それ以外は、使う人が予定表を .ics、連絡先を .vcf か CSV で読み込みます(Google の一覧表)。Outlook に WorkMail のアカウントを入れている人が対象です(当社の整理)。予定表と連絡先を実際に使っている人が、何人いるかを、先に数えます。
切り替えの日:MX と、WorkMail が作らせた DNS レコード
メールの届き先を移すのは、MX の切り替えです。切り替えの前に MX の TTL を短くしておくところから、手順は他のサーバーから移す場合と同じです。違うのは、DNS が Route 53 にあることが多い点です。Google の MX の手順には、Amazon(AWS)Route 53 向けの案内が載っています(Google)。Microsoft は、以前のメールプロバイダーを指す MX を消すか、優先度を Microsoft 365 より下げる、と書いています(Learn)。
DNS の変更が行き渡るまでの時間は、AWS が最長48時間、Google が最長72時間と書いています。Microsoft の IMAP 移行のページは、移行を始める前に、MX の TTL を1時間(3,600秒)以内にしておくことを案内しています(Learn)。旧 WorkMail は、行き渡るまでは止めません。
DNS の変更が行き渡るまで、公式が書く最長の時間
切り替えの後、旧 WorkMail は、行き渡るまでは止めない
出典:AWS「ドメインの追加」、Google「MX レコードを設定する」(2026年10月5日確認)
WorkMail に独自ドメインを足すと、管理画面は、ドメインごとに複数の DNS レコードを並べます。切り替えのときは、MX だけを置き換えるのでは足りません。残ったレコードが、移行先の送信の認証や、Outlook の接続先を邪魔することがあるので、一覧にして、1本ずつ行き先を決めます。
| WorkMail が作らせたレコード | 役目 | 切り替えのとき |
|---|---|---|
| 所有確認の TXT(_amazonses) | ドメインの持ち主の確認 | 同じドメインで SES から送っているシステムがないかを確かめてから、消すかどうかを決める(当社の整理) |
| MX | 受信を WorkMail に向ける。値は inbound-smtp.(リージョン名).amazonaws.com | 移行先の値に置き換える。これが切り替えそのもの |
| AutoDiscover の CNAME | Outlook などの接続先の自動設定 | 移行先の指示に合わせて置き換える |
| DKIM の CNAME | 送信メールの署名 | 移行先で新しく発行して、付け替える |
| SPF の TXT | 送信元の宣言 | ドメインごとに1本にまとめ、移行先と、機器・アプリの送信元を入れる(レンタルサーバーから移す記事) |
| DMARC の TXT | 認証に失敗したときの扱い | 今の方針の値を控えてから付け替える(同じ記事) |
| MAIL FROM の TXT・MX | 返送先ドメインの設定 | WorkMail のための設定なので、移行後に使わなければ片づける(当社の整理) |
SPF・DKIM・DMARC の付け替えの考え方は、レンタルサーバーから移す記事に書いたとおりです。WorkMail の場合は、WorkMail の SPF と DKIM が Amazon SES の仕組みで作られているので、SES から別のシステム(問い合わせフォームなど)が同じドメインで送っていないかを、消す前に確かめます(当社の整理)。
移したあとに止まりやすいもの:送る側と共有の側
受け取る側は、MX を切り替えれば移ります。止まりやすいのは、送る側と、共有の側です。次の問いで、担当に聞く範囲を決めます。
切り替えの前に、担当に聞いておくこと
受け取る側は MX で移るが、送る側と共有の側は自動では移らない
複合機・スキャナ・業務アプリが、smtp.mail.(リージョン名).awsapps.com のポート465に、メールアドレスとパスワードで送っている
移行先の送り方に直す。WorkMail の SMTP は SMTPS(465)だけで、STARTTLS は使えない(AWS の手順)
info@ や sales@ のような代表アドレスを、グループや Full Access で、複数の人が開いている
Microsoft 365 は共有メールボックスか配布リスト、Google Workspace はグループで作り直す
EC2 や Lambda のプログラムが、WorkMail の SMTP、メールフローの Lambda、EWS(impersonation)のどれかを使っている
どれも WorkMail の仕組み。移行先で同じ動きができるかを、別に確かめる
スマホが Exchange ActiveSync で WorkMail につながっている
端末ごとにアカウントを作り直す
問いの立て方は当社の整理。出典:AWS「IMAP の設定」「メールボックスの権限」「impersonation role」(2026年10月5日確認)
複合機とアプリの送信は、移行先ごとに送り方が違います。Google の手順は、SMTP リレー(smtp-relay.gmail.com、ポート25・465・587)を推奨としていて、Gmail の SMTP サーバーを使う場合は、アプリパスワードで認証します。ユーザー名とパスワードだけでログインさせるアプリや機器は、2025年5月1日から、Google Workspace のアカウントでは使えません(Google のヘルプ)。Microsoft には、クライアント SMTP 送信・SMTP リレー・直接送信・High Volume Email の4つがあり、クライアント SMTP 送信の基本認証は、廃止が予定されています(Learn)。機器が OAuth に対応しているかを、先に確かめます。
WorkMail にメールフローのルールがある場合は、本文を Lambda で見たり書き換えたりしていないかを確かめます。外へ出すメールを、SMTP ゲートウェイ経由にしているルールもあります(SMTP ゲートウェイ)。これらは WorkMail の仕組みなので、移行先で同じことをしたければ、別に作ります。impersonation role を使ったアプリは、EWS でメールを読んでいるので、移行先でも EWS が使えるかを確かめます。Exchange Online の EWS の終了は、別の記事に書きました。
切り替えの後の1週間は、届かないメール、迷惑メールに入るメール、送れない機器の3つを見ます。見方は、レンタルサーバーから移す記事の最後の節にあります。
WorkMail を閉じる:取り出せたことを確かめてから、組織を消す
移行が終わったら、取り出せたことを確かめてから、WorkMail の組織を消します。AWS は、組織の削除は取り消せず、削除したあとは、メールボックスのデータを戻せない、と書いています(組織の削除)。保管用に取った export の zip と、IMAP でコピーしたメールの件数を、消す前に確かめます。
削除のときは、ディレクトリを残すか消すかを選びます。WorkMail が作ったディレクトリを残すと、WorkMail・WorkDocs・WorkSpaces のどれからも使われていなければ、課金が続く、と書かれています。どちらを選ぶかは、削除の前に決めておきます。終了日のあとに、組織やディレクトリの課金がどう扱われるかは、確かめた範囲の AWS の文書には書かれていません。
この記事で確かめられなかったこと
- 終了日(2027年3月31日)の、日本時間での何時までか(AWS の文書に時刻は書かれていません)。
- 終了日のあとに、組織・メールボックス・ディレクトリの課金がどう扱われるか(読んだ AWS の文書には書かれていません。無いことの証明ではありません)。
- export で取り出した zip を、Microsoft 365・Google Workspace の取り込み機能が、そのまま読めるか。
- WorkMail の IMAP で、管理者の資格情報を使い、ユーザーのパスワードを知らなくても全員分を読めるか。
- Kopano Cloud・Zoho Mail・Zoom Mail の機能・料金・移行ツールの中身。
- Microsoft・Google の IMAP の移行ツールが、WorkMail の IMAP(ポート993・PLAIN 認証)に、そのままつながるか(数人の試験で確かめます)。
- Outlook に WorkMail のアカウントを入れている人が、予定表と連絡先を .pst に書き出して、移行先に入れ直す手順の実際(Microsoft の公式の手順は、Outlook 一般のものです)。
使っているかの確かめ方から、中身の数え方、移行先の選び方、切り替えの段取りまで、Aurant Technologies のMicrosoft 365・Google Workspace活用支援で受けています。メールボックスの移行や、複合機・アプリの設定替えが絡む場合は、移行と設定のスポット相談で扱っています。
Microsoft 365・Google Workspace の移行と設定のスポット相談
メールの移行、ドメインとDNS、共有アドレスや代理人の権限、新しいOutlookへの切り替え、Copilot・Geminiを使うときの社内ルール。調べた手順で直らないとき、同じことが何人もで起きているときに、いま困っていることを1件から相談できます。
