kintone の商談管理を営業会議で使える1画面にする進め方|決めたいことから項目とグラフを逆算する
kintone の商談アプリのグラフを、営業会議で決めたいこと(今月どの商談に手を打つか)から逆算して3つに絞る進め方です。足りない「次の打ち手の日」と「失注理由」を先に足し、滞っている商談・成約の見込み額・失注の理由のグラフを作ります。空欄の数え方で合計が変わる点も、数字で示します。
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たとえば、月初の営業会議。kintone の商談アプリを大きな画面に映し、段階ごとの件数と金額の表を確かめてから、担当が一人ずつ、自分の商談がいまどの段階にあり、お客さんの返事を待っているのか、こちらから連絡するのかを読み上げていく。報告が一巡すると会議は終わり、どの商談に、誰が、いつまでに何をするのかは、どこにも残らないことがあります。
画面に映っている表が答えているのは、「段階ごとに何件、いくらあるか」です。「どの商談に手を打つか」は、その表のどこにも出ていません。画面が答えない問いは、会議でも、担当の記憶と口頭の報告に頼りがちです。
当社は kintone のプラグインを提供し、kintone の導入や、ほかのシステムとの連携を支援している会社です。2026年10月、当社の検証用の kintone に7項目だけの商談アプリを作って360件の商談を入れ、項目を2つ足して、会議用のグラフを3つ作るところまでを試しました。画面は説明のために当社の検証用の kintone で作ったもので、会社・人物・数字は架空です。
ここで書くのは、商談アプリのグラフを、会議で決めたいこと(今月、どの商談に手を打つか)から逆算して3つに絞る進め方です。3つとは、滞っている商談、成約の見込み額、失注の理由です。そのために足りない「次の打ち手の日」と「失注理由」を先に足し、誰がいつ入れるかを決めておきます。グラフがそろうと、会議の画面が答える問いが、「段階ごとに何件か」から「どれに手を打つか」に変わります。
会議で決めたいことを1つにし、答える問いを3つに分ける
最初に、会議で決めたいことを1つに絞ります。ここでは「今月、どの商談に手を打つか」にしました。先に決めたいことを置くのは、会議の画面に置くグラフを絞るためです。決めたいことに答えないグラフは、会議の画面に置かないと先に決めておきます。
次に、決めたいことを、会議で答える問いに分けます。手を打つ候補を出す問い(手が止まっている商談はどれか)、手を打つ順番を決める問い(進行中の商談のどこに、いくら懸かっているか)、次の手の打ち方を変える問い(失った商談から何を変えるか)の3つです。問いごとに、答えるのに要る項目と、その項目で作るグラフを決めると、次の図になります。
図で橙の枠にした「次の打ち手の日」と「失注理由」は、もとのアプリにありません。2つ目のグラフはもとの項目だけで作れ、3つ目は項目を足さないと作れません。1つ目は、もとの項目でも経過日数で近いものは作れますが、次の節で書く理由で、次の打ち手の日を足して作ります。決めたいことから逆算すると、グラフより先に、足す項目が決まります。
今のアプリにあるのは段階と金額。足りないのは次の打ち手の日と失注理由
もとのアプリの項目は、商談名、顧客名、担当、段階(初回面談・提案・見積・交渉・成約・失注)、見込み金額、段階に入った日、最後に連絡した日の7つです。この7つで作った、段階ごとの件数と見込み金額の合計の表が次です。
この表から分かるのは、段階ごとの件数と金額です。どの商談に手を打つかは、画面に出てきません。表のどの列にも、次に何をするのか、なぜ失ったのかが無いからです。
「段階に入った日」から経過日数を見て、滞っている商談を見つける手もあります。もとの項目のままでも、段階に入った日が今日から30日前より前の商談は数えられ、10月17日に数えると、進行中の商談は168件でした。ただ、この条件は見る日によって境界が1日ずれます。日数そのものを計算のフィールドで持とうとすると、「(エラーの内容:TODAY関数は使用できません。)」という応答が返って、フィールドを追加できませんでした。それに、経過日数が教えてくれるのは過ぎた時間で、次にいつ何をするかではありません。そこで、担当が決めた次の一手の日付を、項目として持たせることにしました。
項目を2つ足し、誰がいつ入れるかを決める
kintone ヘルプ「フォームを設定する」のとおり、アプリの設定の[フォーム]で次のようにします。ヘルプによれば、アプリの設定を変えられるのは、そのアプリの管理者(アプリ管理者)などに限られます。営業の責任者がアプリ管理者でないなら、フォームとグラフの設定はアプリ管理者に頼みます。
- 「日付」のフィールドを置き、フィールド名を「次の打ち手の日」にする。
- 「ドロップダウン」のフィールドを置き、フィールド名を「失注理由」にして、選択肢を並べる。ここでは「価格」「導入の時期」「機能が合わない」「他社に決定」「連絡が途絶えた」の5つにし、初期値は「—–」(何も選ばない)のままにした。
- [フォームを保存]してから[アプリを更新]で反映する([フォームを保存]だけでは反映されない)。
項目を足しただけでは、すでにある商談の2つの欄は空のままです。最初の会議までに、進行中の商談には担当に入れてもらいます。件数が多いなら、kintone ヘルプ「ファイルを読み込むまでの流れ」にあるとおり、アプリから商談をファイルに書き出し、次の打ち手の日を書き足して読み込む方法もあります。すでにある商談に上書きするときの条件は、読み込む前にヘルプで確かめます。入れ方は、項目と一緒に決めておきます。ここで決めたのは次の2つです。次の打ち手の日は、進行中(初回面談〜交渉)の商談に担当が入れ、会議では、その日を過ぎた商談と空欄の商談を、手を打つ候補にします。成約と失注の商談では空のままでかまいません。失注理由は、段階を失注にするときに担当が選びます。
失注理由を必須にするための設定は[必須項目にする]のチェックだけで、ヘルプの説明も「[必須項目にする]にチェックを入れると、値の選択が必須になります。」です。段階に応じて必須を切り替える設定は、ヘルプのこのページには見当たりませんでした。ヘルプの説明どおりなら、チェックを入れると段階に関係なく必須になり、進行中の商談でも理由を選ぶことになります。そこで今回の検証では必須にせず、空欄の件数を会議で数えることにしました。選択肢は、これまでに失った商談のメモや、商談でお客さんから聞いた言葉から拾います。商談の言葉を同じ項目で集めて並べる進め方は、商談分析の進め方の記事で書いています。
決めたいことに答えるグラフを、問いごとに1つずつ作る
3つのグラフは、それぞれ1つの問いに答えます。グラフは、アプリの設定の[グラフ]タブで、グラフ名、グラフの種類、分類する項目、集計方法、条件を決めて作ります。できあがる3つと、それぞれの合計の中身を並べると、次の図になります。
滞っている商談:手を打つ候補を、担当ごとの件数で出す
1つ目は「手が止まっている商談はどれか」に答えるグラフです。まず一覧で条件を作って件数を確かめ、同じ条件をグラフに入れます。条件は2つです。段階を「次のいずれかを含む」にして初回面談・提案・見積・交渉にチェックを入れ、次の打ち手の日を「<(より前)」「日付を指定」で会議の日にします。条件全体は「すべての条件を満たす」です。
グラフは、種類を横棒グラフ、分類する項目の大項目を担当、集計方法をレコード数にし、条件は一覧と同じにします。会議の日は毎回変わるので、会議の前日に、会議を回す人がこの一覧とグラフの日付を直す、と決めておきます。
この条件で一覧は145件になり、うち85件は次の打ち手の日が空欄の商談でした。ヘルプにも、日付を[<(より前)]で絞ると「そのフィールドの値が空のレコードも絞り込み結果に含まれます」とあります。次の打ち手が決まっていない商談も手を打つ候補なので、ここではそのまま数えます。段階の条件を外すと、成約・失注の空欄まで入って272件になりました。
成約の見込み額:進行中の全件の額を、担当×段階で積み上げる
2つ目は「進行中の商談のどこに、いくら懸かっているか」に答えるグラフです。種類を縦棒グラフの積み上げにして、分類する項目の大項目を担当、中項目を段階、集計方法を見込み金額の合計、条件を段階が初回面談〜交渉にします。滞っている商談だけでなく、進行中の全件を入れます。1つ目で選んだ商談の額が、その担当・その段階の額の中でどれだけかを比べるためです。
金額を数字で見たいときは、グラフの種類をクロス集計表に切り替えると、同じ集計が担当×段階の表で出ます。合計は352,300,000円(進行中の233件)でした。この額は進行中の商談の見込み金額をそのまま足したもので、段階が成約の商談は含まず、確度での重み付けもしていません。会議で「見込み額」と呼ぶなら、この定義をグラフ名か画面の説明に書いておきます。商談を確度ごとに分けて資金の見通しに使う進め方は、経営者が朝に見る1画面の記事で書いています。
設定画面の右のプレビューは、見出しに「プレビュー(一部のデータだけを基にしています)」とあり、営業Fの棒が出ませんでした。数字は、保存した後のアプリの画面で確かめます。
失注の理由:次に変えることを、理由ごとの件数で見る
3つ目は「失った商談から、次に何を変えるか」に答えるグラフです。種類を横棒グラフにして、分類する項目の大項目を失注理由、集計方法をレコード数、条件を段階が失注にします。
失注は56件あるのに、グラフの合計は37件でした。ヘルプには「[分類する項目]に指定した項目の値が空のレコードは、集計対象になりません。」とあり、理由が空欄の19件はグラフにも表にも出ません。そこで、段階が失注で、失注理由が選ばれていない商談を出す一覧を別に作り、空欄の件数をそこで数えます。この一覧は19件でした。
会議では3つを1画面に並べ、1、2、3の順に読む
3つのグラフは、スペースのスレッドの本文に並べました。スレッドの本文を編集するダイアログで[アプリ貼り付け]を押し、アプリを選んで[グラフ]から貼るグラフを選び、[OK]を押します。1回で選べるグラフは1つだったので、3回くり返して3つ貼り、[保存]しました。編集中の枠では、グラフの幅を3段階から選べます。ヘルプによれば、貼ったグラフが表示されるのはそのアプリを見る権限のある人だけで、スレッドの本文を編集できるのはスペース管理者かスレッドを作った人です。
会議では、左から順に読みます。1つ目の滞っている商談で、手を打つ候補を出します。グラフと同じ条件で作った一覧を開き、1件ずつ、誰が・何を・いつまでにするかを決めて、決めた日をその商談の次の打ち手の日に入れます。
2つ目の成約の見込み額では、手を打つ順番を決めます。読む単位は、担当×段階の1段です。1つ目で選んだ商談ごとに、一覧の見込み金額の列でその商談の額を見て、グラフでその商談の担当・段階の段の額を見ます。当社の考えでは、選んだ商談の額がその段の額に占める割合の大きい商談から、今月のうちに手を打ちます。割合が大きいほど、その担当のその段階の見込み額が、その1件に懸かっているからです。
3つ目の失注の理由は、理由の多い少ないより先に、空欄の件数を見ます。空欄が残っているうちは、棒の長さを比べても、失注の全体の話にはなりません。空欄を埋めてから、多い理由に対して、提案や見積の出し方で何を変えるかを決めます。
会議の終わりに残るのは、手を打つと決めた商談と、それぞれの次の打ち手の日です。日付は kintone の商談に入っているので、議事録を読み返さなくても、日付を過ぎれば次の会議の滞っている商談に出てきます。
次の月は、空欄と日付切れの件数で確かめる
この進め方の効き目は、受注の額ではなく、会議で決めたことが商談に残ったかで確かめます。毎回の会議で、次の3つの件数を控えます。
- 進行中の商談のうち、次の打ち手の日が空欄の件数(図の例では233件のうち85件)
- 進行中の商談のうち、次の打ち手の日が会議の日より前の件数(図の例では60件)
- 失注のうち、失注理由が空欄の件数(図の例では56件のうち19件)
3つとも、分母の件数と並べて控えます。進行中の商談は月ごとに入れ替わるので、件数だけでは、新しい商談が入って空欄が増えたのか、入れ方が守られていないのかが分かりません。数えるときの日付は、会議の日に固定します。今日を基準にすると見る日で件数が動き、基準を10月16日から17日に1日ずらすだけで、145件が149件になりました(次の打ち手の日がちょうど16日だった4件が加わったため)。
当社の考えでは、動いたかどうかは1回の会議では決めません。件数は商談の出入りでも上下するので、その幅を知るには、少なくとも2回分の件数が要ります。たとえば、項目を足して最初の2回の会議は、件数がどれだけ上下するかを見るだけにし、その幅に収まる動きは動いたとみなしません。3回目の会議から、幅を超えて減ったかで見ます。
この進め方には抜け道もあります。次の打ち手の日を先の日付に入れ直すだけで、手を打たなくても滞っている商談から消えます。会議で日付を動かした商談は、何をしたから動かしたのかを、その商談のコメントに1行残す決まりにしておきます。前の会議で手を打つと決めた商談が、次の会議でも日付を過ぎた側に残っていれば、決めた手が打たれなかったのか、次の日付を入れ忘れたのかを担当に聞きます。
なお、会議が報告の読み上げから「どれに手を打つか」の話に変わるかどうかは、実際の会議では確かめていません。空欄と日付切れの件数が減ったときに受注がどう変わるかも、この記事にはありません。失注理由の[必須項目にする]をオンにして保存する操作、失注のときだけ理由を必須にする方法(プロセス管理のアクションに条件を付ける、など)、ファイルからの読み込み、会議ごとに一覧とグラフの日付を直す操作、一覧からの入力、スマートフォンでの見え方は試しておらず、画面の数字は作り方と数え方を示すためのもので、担当や理由の多い少ないに意味はありません。
この記事の画面の作り方も書いておきます。2つの項目、一覧、グラフは、アプリの設定をまとめて変える方法で作りました。設定画面を開いて確かめたのは、反映前のフォーム、失注理由のドロップダウン、滞っている商談の一覧の条件、3つのグラフの設定です。経過日数を計算のフィールドで足そうとしたときの応答も、この方法で足したときのものです。足した後も、もとの360件はそのまま残りました。すでにある商談の2つの欄の値も、まとめて入れています。件数と金額のうち、画面に出たのは、一覧の145件と19件、グラフと表の件数・金額です。85件・60件・272件・149件・168件は、同じ条件で数え直した数です。
まずは「次の打ち手の日」を1つ足す
明日できるのは、自社の商談アプリのフォームに日付のフィールドを1つ足して「次の打ち手の日」と名付け、次の会議までに、進行中の商談へ担当に入れてもらうことです。会議の前日に、段階が進行中で、次の打ち手の日が会議の日より前、という一覧を作っておけば、それが1つ目のグラフの元になります。
今回は標準の機能だけで組み、項目とグラフの設定だけでは足りない所が3か所ありました。今日を基準にした経過日数を計算のフィールドで持てなかったこと、失注のときだけ理由を必須にする設定が項目の設定には見つからなかったこと(プロセス管理の条件は試していません)、理由が空欄の失注がグラフに出ないことです。この記事では、空欄を会議で数える、空欄の失注を別の一覧で数える、という運用で受ける形にしましたが、その分、会議の前に見る一覧と直す日付が増えます。当社は kintone の導入や連携を支援しています。この3か所を運用で回すか、設定や仕組みを足して補うかの見極めも含めて、自社の商談アプリの見直しを一緒に進められますので、kintone 導入支援のページからご相談ください。
kintone導入・内製化支援
kintoneを現場の業務に合わせて設計・構築し、Excelや紙業務の置き換え、他システムとのデータ連携、社内メンバー自身が改修・運用できる内製化までを支援します。
