LINEと今の顧客管理をつなぐ3つの作り方と、費用が決まる所|CRMオプション・連携ツール・自社の顧客台帳とのID連携
LINE公式アカウントの友だちと、今の顧客台帳(kintone・Salesforce・自社の会員データベースなど)を結び付ける作り方を、CRMオプション・連携ツール・ID連携の3つに分け、できることとできないこと、会員IDの結び付け方と同意、データを流す向き、費用が決まる所、止めるときの手順を、LINEヤフーとLINE Developersの公式情報で確かめて整理しました。
目次 クリックで開く
この記事の要点
- LINEの友だちと今の顧客台帳を結び付ける作り方は、台帳の正本をどこに置くかで3つに分かれる。LINE公式アカウントの中に置くCRMオプション、ツールの中に置く連携ツール、今の台帳にLINEのユーザーIDを持たせるID連携。CRMオプションは管理画面の中で完結させる作りで、ユーザーリストはCSVで書き出せないため、今の台帳と自動で行き来させるなら、確かめた範囲では後の2つになる。
- 会員IDとユーザーIDは、LINEログインか、Messaging APIのアカウント連携で結び付ける。同意は、LINEの側(プロフィール情報の取得、ログインの同意画面)と自社の側(利用目的の特定、プライバシーポリシーの公開、連携を解除できる仕組み)の両方で用意し、ツールや開発会社に預けるなら委託先として監督する。
- 費用は、どの作り方でもかかるLINEヤフーの月額と通数(10月1日から、追加メッセージは1通3円、1か月に20万通を超えた分は1通2.5円・税別)に、CRMオプション(月額5,000円・税別)、ツールの利用料、または開発と運用が乗る。ID連携の費用は、結び付けの入口、通知の受け口、送る仕組み、クリックの記録、つなぐ台帳の数と、台帳の契約でAPIが使えるかで決まる。
顧客台帳の正本をどこに置くかで、作り方が分かれる
CRMオプション
LINEの中に台帳を置く
- 正本:LINE公式アカウントのユーザーリスト
- 今の台帳との突き合わせ:お客様番号の欄。電話番号かメールアドレスが一致する重複は、手作業で統合
- ユーザーリストはCSVで書き出せない
払う先:料金プランと通数+月額5,000円(税別)
連携ツール
ツールの中に台帳を置く
- 正本:ツールの顧客データ(タグ・シナリオ)
- 今の台帳との行き来:ツールが用意する連携の口(製品ごとに違う)
- Messaging APIのチャネルをツールにつなぐ
払う先:料金プランと通数+ツールの利用料
ID連携
今の台帳にユーザーIDを持たせる
- 正本:自社のCRM・会員データベース
- 突き合わせ:LINEログインかアカウント連携で、会員とユーザーIDをひも付ける
- 送る・受けるは、自社のシステムからMessaging APIで
払う先:料金プランと通数+開発と運用(台帳の契約も)
どの作り方でも、送った通数はLINE公式アカウントの料金プランで数える
1人ずつの既読は、どの作り方でもLINEからは受け取れない。友だち追加の経路は、標準機能と Messaging API だけでは人ごとに分からないが、自社の入口やアンケートを挟めば取れる
出典:LINEヤフー for Business「CRMオプション」、マニュアル「ユーザーリスト」、ヘルプ「ユーザーリストの情報をcsvでダウンロードすることはできますか?」、LINE Developers「ユーザーアカウントの連携」・質問と回答。2026年9月30日確認
LINE公式アカウントの友だちと、今の顧客管理(kintoneやSalesforce、自社の会員データベースなど)の顧客を結び付ける作り方は、顧客台帳の正本をどこに置くかで3つに分かれます。LINE公式アカウントの管理画面に台帳を足すCRMオプション、外部の連携ツールに台帳を置いてツールの連携の口で今の台帳と行き来する形、今の台帳にLINEのユーザーIDを持たせて自社のシステムからMessaging APIで送る形(この記事ではID連携と呼びます)です。CRMオプションは、個別の開発やAPIの設定なしに、管理画面の中だけで使える機能としてLINEヤフーが案内しているもので(提供開始のお知らせ)、ユーザーリストはCSVで書き出せません(ヘルプ)。今の台帳と自動で行き来させたいなら、確かめた範囲では、残りの2つから選ぶことになります。
費用は、どの作り方でもかかるLINEヤフーへの料金(料金プランの月額と、送った通数)に、CRMオプションなら月額5,000円(税別)、連携ツールならツールの利用料、ID連携なら開発と運用の費用が乗ります。ID連携の開発の費用は、会員IDとユーザーIDを結び付ける入口、LINEからの通知を受ける受け口、台帳から条件で抜き出して送る仕組み、結果の記録、つなぐ台帳の数で決まります。作業の費用は範囲によって変わるため、この記事では金額を置かず、見積もりに入る行を並べます。
この記事は、LINE公式アカウントで配信しているものの、誰に何を送り、誰が買ったかを今の台帳とつなげられていない販促・マーケティングの担当の方に向けたものです。2026年9月30日にLINEヤフー for Business・LINE Developersの公式情報と、個人情報保護委員会のガイドラインで確かめた内容をもとに、目的の決め方、作り方ごとの違い、IDの結び付け方と同意、データの向き、費用の決まり方、よくある要望への対応、運用の持ち主と止め方の順に書きます。Aurant Technologiesは、LINE公式アカウントの運用と、会員データ・CRMとの連携を支援していて、特定の連携ツールの販売代理店ではありません。
つなぐ目的を先に決める
作り方を比べる前に、つないで何をしたいのかを決めます。目的は、配信の出し分け、購買・来店の記録、問い合わせの履歴の3つにおおむね分けられ、どれを選ぶかで、LINEと台帳の間でデータを流す向きと、台帳に持たせる項目が変わります。
つなぐ目的ごとに、データを流す向きと、要るものが変わる
目的1
配信の出し分け
- 台帳の情報(購買・来店・契約・会員ランク)で、送る相手と中身を変える
- 向き:台帳 → LINE
要るもの:会員IDとユーザーIDの対応、条件で抜き出す仕組み
目的2
購買・来店の記録
- 送った相手が、その後に買ったか・来たかを台帳で見る
- 向き:LINE → 台帳(誰にいつ何を送ったか)
要るもの:会員ごとの送信の記録。既読は1人ずつには受け取れない
目的3
問い合わせの履歴
- LINEでのやり取りを、台帳の顧客に残す
- 向き:LINE → 台帳
要るもの:Webhookでのメッセージの受信(24時間以上持つなら利用者に明示)か、管理画面のチャット履歴の保存
当社の整理。既読はLINE Developersの質問と回答、24時間はLINEユーザーデータポリシー 3.2.3 による。2026年9月30日確認
配信の出し分けだけが目的で、分ける手がかり(アンケートの回答、関心のタグ、誕生日)をLINEの中で集められるなら、今の台帳とつながなくても、CRMオプションで足りることがあります。その範囲と上限は「LINE公式アカウントのCRMオプションでできること・足りないこと」で詳しく書きました。手がかりが購買や来店のようにLINEの外にある場合や、送った結果を会員ごとに台帳で見たい場合に、今の台帳とのつなぎ方を決める必要が出てきます。
購買・来店の記録では、LINEの側から1人ずつの既読は受け取れません。LINE Developersは、ユーザーがメッセージを読んだかを確かめる方法をMessaging APIでは提供していないとしています(質問と回答)。台帳に残せるのは、誰にいつ何を送ったかという自社の送信の記録と、リンク先の自社のページで記録したクリックです。問い合わせの履歴では、LINE公式アカウントに届いたメッセージは、LINEユーザーデータポリシーでいう「LINEユーザ情報」に入ります。ユーザーID以外のLINEユーザ情報を24時間以上保存するなら、そのことを利用者に明示しなければなりません(LINEユーザーデータポリシー 1.2・3.2.3)。
CRMオプション・連携ツール・ID連携で、できることとできないこと
3つの作り方を、台帳の正本の置き場所、今の台帳との行き来、個人情報の扱い、費用が決まる要素で並べると、次のようになります。
| 比べる点 | CRMオプション | 連携ツール | ID連携 |
|---|---|---|---|
| 台帳の正本 | LINE公式アカウントのユーザーリスト | ツールの顧客データ | 自社のCRM・会員データベース |
| 今の台帳との行き来 | お客様番号の欄。電話番号かメールアドレスが一致する重複は、手作業で統合。ユーザーリストはCSVで書き出せない | ツールが用意する連携の口(ファイル・API・製品ごとの連携)。製品ごとに確かめる | 台帳にユーザーIDを持たせ、Messaging APIで送る。Webhookで受ける |
| 配信の条件にできるもの | 決まった顧客情報の項目、タグ(300個、1人30個まで)、フォームの回答結果。誕生日をきっかけにした自動配信も | 製品による | 台帳にあるどの項目でも |
| できないこと・制約 | 項目の追加、誰が開封したかの確認、一部のスタッフにだけ顧客情報を見せないこと | LINEの仕様を超えることはできない(1人ずつの既読は受け取れない。友だち追加の経路は、標準機能と Messaging API だけでは人ごとに分からないが、自社の入口やアンケートを挟めば取れる。取り方) | 同左。開発と、動かし続ける体制が要る |
| 個人情報の扱い | LINEヤフーが委託に基づいて管理。同意は事業者が取る | ツールの提供元は委託先。契約で取扱いを決めて監督する | 自社が取得して使う。利用目的の特定、同意、連携の解除 |
| 費用が決まる要素 | 月額5,000円(税別)と、料金プランの月額と通数 | ツールの利用料(何で変わるかは料金表で)と、料金プランの月額と通数 | 開発と運用の範囲、つなぐ台帳の契約(API)、料金プランの月額と通数 |
| 始める条件 | 認証済アカウント、ビジネスマネージャーとの接続と認証、友だち10万人未満、管理者権限 | 製品による。Messaging APIのチャネルをツールにつなぐ | Messaging APIの有効化。LINEログインを使うならそのチャネル |
CRMオプションの列はサービスページ・マニュアル(ユーザーリスト・項目・タグ・申し込み・解約)・ヘルプ(CSV・開封・閲覧・タグ・絞り込みの条件)、連携ツールとID連携の列はLINE Developersのドキュメント(本文の各所にリンク)による。
CRMオプション:LINEの中に台帳を置く
CRMオプションは、LINE公式アカウントの管理画面に、顧客台帳(ユーザーリスト)、アンケート(フォーム)、顧客情報やタグでの絞り込み配信(ユーザーリスト配信)、条件がそろうと自動で動く配信(オートメーション)を加える、有料のオプションです。提供は2026年6月23日に始まりました(お知らせ)。申し込めるのは、管理者権限を持つ人が、認証済のLINE公式アカウントで、ビジネスマネージャーとの接続と認証を済ませ、友だちが10万人以上ではない場合で、ほかのオプションとの組み合わせなどの条件もあります(申し込み・解約のマニュアル)。申し込んだ後で友だちが10万人を超えても、そのまま使えます(ヘルプ)。決済が済むと、友だちの情報がユーザーリストに同期されます。
今の台帳とのつながり方は限られます。ユーザーリストには、お店の顧客番号を入れておく「お客様番号」の欄があり、顧客は画面から1件ずつ追加できます。手入力の顧客とLINEの友だちとで同じ人が二重に入った場合は、電話番号かメールアドレスが完全に一致するとアラートが出て、1人に統合できます。LINEユーザー同士は統合できず、統合は元に戻せません(ユーザーリストのマニュアル)。顧客情報の項目は追加も編集もできず(項目のマニュアル)、ユーザーリストをCSVに書き出す機能もありません(ヘルプ)。公式ページは、メモやExcelで管理していた情報もユーザーごとに集約できるとしていますが、マニュアルにある登録の方法は画面からの追加で、ファイルでまとめて読み込む手順は、確かめたマニュアルとヘルプには見当たりませんでした。
このため、CRMオプションを使う場合は、今の台帳を正本として残したまま、LINEの中にもう1つ台帳を持つ形になります。配信ごとの開封やクリックは集計で見られますが、どの顧客が開封したかは確認できず(ヘルプ)、統計は配信から14日間だけ更新され、10未満の値は「-」で表示されます(ユーザーリスト配信分析のマニュアル)。一部のスタッフにだけ顧客情報を見せない機能は無く(ヘルプ)、複数のアカウントの設定をまとめて行うこともできません(ヘルプ)。
連携ツール:ツールの中に台帳を置く
連携ツールは、LINE公式アカウントのMessaging APIのチャネルをツールにつなぎ、タグやシナリオ、顧客データをツールの側で持つ形です。今の台帳とは、ツールが用意する連携の口(ファイルの取り込みと書き出し、API、製品ごとの連携の機能)で行き来します。機能と料金は製品ごとに違うため、この記事では特定の製品を挙げません。候補を探すなら、LINEヤフーが、APIを使うサービスの導入を技術の面で手伝う会社を集めた一覧(Technology Partner)を公開していて、「会員ID連携」「データ活用」「POS連携」などの項目で絞り込めます(Technology Partner)。比べるときに先に確かめるのは、次の点です。
- 今の台帳と行き来できるデータと向き(ファイルかAPIか、どの項目か、どのくらいの間隔か)
- 送った記録と反応を、顧客ごとに書き出せるか
- ツールをやめるときに、タグ・シナリオ・顧客データを持ち出せるか
- スタッフごとに見せる範囲を絞れるか
- 利用料が何で変わるか(友だち数、送信数、アカウント数、連携先の数、機能)
- Messaging APIのチャネルを、どのプロバイダーの下に作るか(後の「運用の持ち主」の節で書きます)
ツールを使っても、LINEの仕様で受け取れない情報は受け取れません。ある利用者がどの経路から友だちになったのかと、メッセージを読んだかどうかは、どちらもMessaging APIで調べる方法が無いとされています(LINE Developersの質問と回答:経路・既読)。ただし経路は、置き場所ごとの自社の入口(LIFF・LINEログイン)や、友だち追加の直後のアンケートを挟めば、人ごとに取れます。ツールがそれらを1人ずつ表示しているなら、どの入口や仕組みで記録しているのかを聞いておくと、数字の意味を取り違えずに済みます。また、1つのMessaging APIのチャネルに設定できるWebhookの送り先は1つだけです(質問と回答)。ツールを入れたまま自社のシステムでもLINEからの通知を受けたいなら、ツールが受けた通知を転送できるかを確かめます。
ID連携:今の台帳にLINEのユーザーIDを持たせる
ID連携は、自社のCRMや会員データベースを正本のまま、会員ごとにLINEのユーザーIDを持たせる形です。送り先はユーザーIDで指定するので、購買、来店、契約、会員ランクなど、台帳にあるどの項目でも配信の条件にでき、誰にいつ何を送ったかを会員ごとに台帳へ残せます。結び付けた会員とまだの友だちとで、表示するリッチメニューを分けることもできます(ユーザーアカウントの連携)。
その代わりに、結び付けの入口、LINEからの通知の受け口、送る仕組みを作り、動かし続ける体制が要ります。つなぐ先の台帳の契約でAPIが使えるかも先に確かめます。たとえばkintoneは、ライトコースではAPIやJavaScriptを使ったカスタマイズができず(サイボウズの質問と回答「コースごとの違い」)、スタンダードコースのAPIのリクエスト数は1アプリあたり1日1万回です(kintoneの料金)。Salesforceは、APIのアクセスがEnterprise・Performance・Unlimited・Developer Editionでは標準で有効で、Professional Editionではアドオンとして追加する形です(Salesforce Developers)。
会員IDとユーザーIDの結び付け方と、同意の取り方
結び付ける方法は、LINEログインかアカウント連携
会員IDとユーザーIDを結び付ける公式の方法は2つあります。1つはLINEログインで、会員登録やログインの画面にLINEのアカウントでのログインを置き、ログインで受け取るIDトークンを自社のサーバーで検証し、中に入っているユーザーIDを会員の情報に書き込みます(IDトークンからプロフィール情報を取得する)。LINEログインは無料で使えます(LINEログインの概要)。ログインの同意画面に、LINE公式アカウントを友だち追加する選択肢を出すこともできます。その場合は、LINE公式アカウントにひも付くMessaging APIのチャネルと、LINEログインのチャネルを、同じプロバイダーの下に置きます(友だち追加オプション)。LINEログインの仕組みは「LINEログインとは」でも解説しています。
もう1つは、Messaging APIのアカウント連携です。LINEログインのチャネルが無くても使え、相手がそのLINE公式アカウントの友だちであることが条件です。自社のサーバーが、ユーザーIDを渡して連携トークンを発行し(有効なのは10分間、使えるのは1回だけ)、トークで送った連携のURLから利用者に自社の会員としてログインしてもらいます。会員IDとひも付けた予測できないnonceを付けてLINEの側へリダイレクトし、本人と確かめられると、ユーザーIDとnonceの入った通知が届きます。そのnonceで会員IDを探し、ユーザーIDと結び付けます(ユーザーアカウントの連携)。
アカウント連携で、会員とLINEのアカウントがつながるまで
利用者がいつでも連携をやめられるようにしておき、連携の時点でそのことを伝える
条件:相手がそのLINE公式アカウントの友だちであること
出典:LINE Developers「ユーザーアカウントの連携」。2026年9月30日確認
アカウント連携では、連携のURLを発行したユーザーが、そのLINEアカウントの持ち主かをLINEの側で確かめます。LINE Developersは、独自の方法で連携を作ると、攻撃者が送ったURLから、攻撃者のLINEアカウントと利用者の会員アカウントが結び付けられるおそれがあると注意しています。また、利用者がいつでも連携をやめられるようにしておき、連携の時点でそのことを伝えるよう求めています(同ページ)。
ユーザーIDは、同じ人でもプロバイダーが違えば別の値で、プロバイダーが同じなら、チャネルの種類(LINEログインかMessaging APIか)に関係なく同じ値です(ユーザーIDを取得する)。LINEログインとMessaging APIの両方を使うなら、チャネルを1つのプロバイダーにまとめます。Messaging APIを使い始めるときに選ぶプロバイダーは、あとで別のものに替えられません(LINE公式アカウントのMessaging APIのマニュアル)。
同意は、LINEの側と自社の側の両方で用意する
LINEの側では、2つの同意が効きます。1つはプロフィール情報の取得への同意です。スマートフォン版(iOS・Android)のLINEの利用者は使い始めるときに同意済みですが、PC版しか使っていない人には同意する手段がなく、Webhookにその人のユーザーIDが載りません(ユーザーのプロフィール情報取得の同意)。もう1つはLINEログインの同意画面で、利用者は求められた権限を拒否することもあります。メールアドレスを受け取るには、事前に取得権限を申請し、メールアドレスの取得と利用について利用者に示す文面の画面の写しを出します(メールアドレスの取得権限を申請する)。
自社の側では、利用目的をできる限り特定します。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、「マーケティング活動に用いるため」のような書き方を具体的に特定していない例に挙げ、購買や閲覧の履歴を分析して、好みに合わせた広告に使うなら、そのことが読み取れるように書く例を示しています(ガイドライン(通則編)3-1-1)。LINEの開発者向けのLINEユーザーデータポリシーも、集める個人情報を知らせて同意を求めることと、サービスごとのプライバシーポリシーを用意し、使い始める前の人も含めて誰でもいつでも読めるように公開することを求めています(同ポリシー 2.2〜2.4)。LINE公式アカウントAPI利用規約は、利用者が見る画面に、提供元としての会社名と、利用者の情報を自社のプライバシーポリシーで扱い、いつでも参照できることを示すよう定めています(API利用規約 第5条4項)。LINEのアカウントと自社のアカウントを結び付けるなら、連携を解除する機能と退会する機能を用意します(ユーザーデータポリシー 3.2.10)。
作り方ごとに、同意と取扱いの持ち方が変わります。CRMオプションは、事業者が取得・保有する顧客情報を、LINEヤフーが委託に基づいて管理・活用できるようにする機能で、取得と利用に必要な同意は事業者の側で取る必要があります(CRMオプションのページ)。フォームの設定で自社のプライバシーポリシーのURLを入れておくと、回答する人が見る同意の画面にリンクが出ます(フォームのマニュアル)。
作り方ごとの、同意と取扱いの持ち方
CRMオプション
LINEヤフーが委託に基づいて管理
- 顧客情報の取得と利用に必要な同意は、事業者が取る
- フォームの設定に自社のプライバシーポリシーのURLを入れると、回答する人が見る同意の画面にリンクが出る
連携ツール
ツールの提供元は委託先
- 委託先で安全管理が守られるよう監督する(個人情報保護法 第25条)
- LINEユーザ情報を委託先に渡せるのは、委託に必要な範囲だけ
ID連携
自社が取得して使う
- 利用目的を特定し、プライバシーポリシーを公開する
- 連携の解除と退会の機能を用意する
- ユーザーID以外のLINEユーザ情報を24時間以上持つなら、利用者に明示する
出典:LINEヤフー for Business「CRMオプション」・マニュアル「フォーム」、個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」3-4-4、LINEユーザーデータポリシー 3.2.3・3.2.10・3.4。2026年9月30日確認
ツールの提供元や開発会社に顧客データを預けることは、利用目的の達成に必要な範囲の委託であれば、本人の同意が要る第三者への提供には当たりません。ただし、委託先は任された業務の外でそのデータを使えず(ガイドライン 3-6-3)、委託元には、委託先で安全管理が守られるよう監督する責任があります(個人情報保護法 第25条、ガイドライン 3-4-4)。LINEユーザーデータポリシーも、LINEユーザ情報を委託先に渡せるのは委託に必要な範囲だけで、委託先で問題が起きれば渡した側が責任を負うとしています(3.4)。個人情報保護委員会のQ&Aは、委託先が預かった個人データを、自分で持つ情報と本人ごとに突き合わせることはできないとし、その例に、顧客のメールアドレスをSNSの運営事業者に渡して突き合わせ、そのSNSで広告を出す形を挙げています(Q&A 7-41)。会員IDとユーザーIDの対応表に持たせる項目と、こうした突き合わせの整理は「AIで作ったセグメントをLINE配信に戻す方法」で詳しく書きました。
どのデータを、どちら向きに流すか
目的が決まったら、LINEと台帳の間を流れるデータを、向きごとに書き出します。ID連携で流すものを並べると次のようになります。CRMオプションではこの流れがLINEの管理画面の中で閉じ、連携ツールではツールがこの間に入ります。
ID連携で、LINEと台帳の間を流れるもの
LINE → 台帳
通知(Webhook)で受けて、台帳に書く
- 友だち追加とブロック(フォロー・フォロー解除)
- アカウント連携の結果(ユーザーIDとnonce)
- ユーザーから届いたメッセージ
- リンク先の自社のページで記録したクリック
注意:Webhookの送り先は、1つのチャネルに1つだけ
台帳 → LINE
台帳で抜き出して、LINEで送る
- 会員ごとに中身を変え、宛先をユーザーIDで指定して送る(プッシュ・マルチキャスト)
- 台帳から抜き出したIDの一覧を、オーディエンスにして管理画面で送る
- 連携した人とまだの人で、リッチメニューを出し分ける
注意:送った通数は料金プランで数え、上限を超えるとエラーで送られない
出典:LINE Developers「ユーザーIDを取得する」「ユーザーアカウントの連携」「ボットを作成する」「Messaging APIの料金」、LINEヤフー for Business マニュアル「オーディエンス」。2026年9月30日確認
LINEから台帳へは、Webhookで届く通知を受けて書き込みます。友だち追加の通知にはユーザーIDが入りますが、プロフィール情報の取得に同意していない人については、IDが通知に載りません。友だちになっている全員のユーザーIDを一覧で取るエンドポイントは、アカウントの種類が認証済かプレミアムの場合に限られます(ユーザーIDを取得する)。Webhookの送り先は1つのチャネルに1つだけなので(ボットを作成する)、受け口をどこに置くかを最初に決めます。
台帳からLINEへは、送り方を2つから選べます。会員ごとに違う中身を送るなら、自社のシステムからユーザーIDを指定して送ります。送る仕組みを作らずに済ませたいなら、台帳で抜き出したユーザーIDをTXTかCSVのファイルにして、管理画面のオーディエンス(ユーザーIDアップロード)に読み込み、管理画面の配信で絞り込んで送れます。1ファイルに入れられるIDは150万件までで、作ったオーディエンスは作成から180日で使えなくなります(オーディエンスのマニュアル)。
すぐに流すか、まとめて流すかも決めます。購入の直後にお礼を送るような使い方は、台帳の変化をきっかけに送る仕組みと、止まらずに動くサーバーと監視が要ります。月に数回のキャンペーンの配信なら、配信の前に台帳から抜き出してオーディエンスに読み込む形でも足ります。
どちら向きでも、記録は自社で持ちます。LINE Developersの開発ガイドラインは、APIに送ったリクエストと、届いたWebhookの記録を一定の期間残しておくよう勧めていて、LINEの側からは、問い合わせてもその記録は出してもらえません(Messaging API開発ガイドライン)。誰にいつ何を送ったかを会員IDと一緒に残しておけば、台帳の購買や来店と並べて、送った後の変化を会員ごとに見られます。
費用が決まる所
費用は、どの作り方でもかかるLINEヤフーへの料金と、作り方ごとに乗る費用に分けて見ます。
費用の段:いちばん上はどの作り方でもかかり、下の2段はID連携で加わる
すべての作り方LINEの料金プランと通数
月額の固定費と、送った通数。通数は、送った回数×送った友だちの数で数える
払う先:LINEヤフー
CRMオプション・連携ツールオプションかツールの利用料
CRMオプションは月額5,000円(税別)。ツールは製品の料金表で、何で変わるかを確かめる
払う先:LINEヤフーか、ツールの提供元
連携ツール・ID連携つなぐ台帳の契約
APIが使えるコースやエディションか、1日に呼べる回数は足りるか
払う先:台帳の製品の提供元
ID連携開発
結び付けの入口、通知の受け口、台帳の項目と対応表、送る仕組み、クリックの記録、管理画面と権限
払う先:開発する会社(社内で作るなら人の時間)
ID連携運用
サーバー、監視、ログの保存、トークンの管理、通数と上限の見張り、利用者からの問い合わせ
毎月続く
当社の整理。料金はLINEヤフー for Business「料金プラン」「CRMオプション」による。2026年9月30日確認
LINEヤフーへ払う分(どの作り方でもかかる)
| プラン | 月額固定費(税別) | 無料メッセージ(月) | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーションプラン | 0円 | 200通 | 送れない |
| ライトプラン | 5,000円 | 5,000通 | 送れない |
| スタンダードプラン | 15,000円 | 30,000通 | 10月1日から1通3円。1か月に20万通を超えた分は1通2.5円(税別) |
出典:LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」、「LINE公式アカウント 追加メッセージ料金改定のお知らせ」(2026年2月16日公開、9月1日再掲)。9月30日までの追加メッセージの単価は、配信数によって変わる料金プランのページの表による。
通数は、送った回数に、送った相手の友だちの人数を掛けて数えます。1回の配信に入れられる吹き出しは3つまでで、3つ入れても1人あたり1通です。数えるのは、管理画面からの配信(絞り込み配信・ステップ配信を含む)と、Messaging APIのプッシュ・マルチキャスト・ブロードキャスト・ナローキャストで、応答メッセージ、あいさつメッセージ、チャット、Messaging APIの応答(Reply)は数えません(料金プラン、Messaging APIの料金)。CRMオプションのユーザーリスト配信も課金の対象です(ヘルプ)。ツールや自社のシステムから送る分も同じ通数に入るので、どの作り方でも、送る人数と回数がそのまま料金に効きます。条件で絞って送れば、その分だけ通数も減ります。
友だちの数は、費用に3つの所で効きます。1つは通数で、全員に1回送れば、届いた友だちの人数分が通数になり、ブロックしている人の分は数えません(Messaging APIの料金)。2つめはCRMオプションの申し込みの条件で、友だちが10万人以上のアカウントは申し込めません。3つめはツールの利用料で、友だちの数で料金が変わる製品かどうかを料金表で確かめます。
LINE Developersの「Messaging APIの料金」には、月に40,000通送るならスタンダードプランを選び、無料分を超える10,000通に追加メッセージの料金がかかる、という例があります。10月1日からの単価で計算すると、追加の10,000通は1通3円で30,000円、月額の15,000円と合わせて月45,000円(税別、当社計算)です。1か月の追加メッセージが20万通を超えた場合は、超えた分が1通2.5円になります(お知らせ)。改定の前後で請求がどう変わるかは「LINE公式アカウントの料金改定(2026年10月1日)」で通数ごとに計算しています。
上限にも気をつけます。Messaging APIで当月に送れる通数の上限を超えて送ろうとすると、エラーが返って送られません(Messaging APIの料金)。自社のシステムから送るなら、当月の利用状況を取れるエンドポイントで残りを見ながら送る仕組みにします。また、LINE公式アカウントの料金は見積書を出してもらえないため(料金プランのページの質問と回答)、社内の予算は、送る人数と回数から自社で積み上げることになります。
作り方ごとに乗る分
CRMオプションの料金は月額5,000円(税別)で、この中にチャットProオプション(これだけを契約すると月額3,000円・税別)も入っています。初期設定を代行してもらう初期サポート(1回20,000円・税別、任意)は、CRMオプションと同時にしか買えません(CRMオプションのページ)。料金プランの月額と通数は別にかかります。
連携ツールの利用料は、製品ごとに決まり方が違います。見積もりを比べるときは、利用料が何で変わるか(友だち数、送信数、アカウント数、連携先の数、機能)を料金表で確かめ、LINEヤフーへ払う通数の料金と分けて並べます。
ID連携のために、LINEヤフーへ払う料金の項目が増えるわけではありません。LINEログインは無料で(LINEログインの概要)、Messaging APIで送った分は、料金プランの通数として数えられます。費用の大半は開発と運用で、見積もりに次の行が入っているかをそろえると、範囲を合わせて比べられます。つなぐ台帳が複数ある場合(ECとPOSで会員番号が別、など)は、どの番号を正とするかを決める作業も、見積もりの行に入れます。
ID連携の見積もりを比べる前に、入っているかを確かめる行
結び付けの入口(LINEログインかアカウント連携)と、連携を解除する画面
解除の機能は、LINEユーザーデータポリシーで用意が求められている
Webhookの受け口(署名の検証、ログの保存)
LINEの側は、リクエストとWebhookのログを提供していない
台帳に足す項目と、会員IDとユーザーIDの対応表
つなぐ台帳が複数あるなら、どの会員番号を正とするかを決める作業も
条件で抜き出して送る仕組みと、送った記録
オーディエンスの読み込みで送るなら、この行は小さくなる
クリックを記録する自社のページ
LINEの統計は集計で、1人ずつの既読は受け取れない
プライバシーポリシーと、同意の表示の直し
分析して配信に使うことを、利用目的に書く
公開した後の運用(監視、トークンの管理、通数の見張り)
毎月続く費用になる
当社の整理(LINEユーザーデータポリシー 3.2.10、LINE Developers「Messaging API開発ガイドライン」をもとに)。2026年9月30日確認
よくある要望を、どの作り方で満たせるか
LINEとつないだ後に出てきやすい要望を、作り方ごとに並べます。連携ツールは製品によるので、LINEの仕様から言える範囲だけを書きます。
| よくある要望 | CRMオプション | 連携ツール | ID連携 |
|---|---|---|---|
| QRコードごとの流入元 | 経路ごとの人数は、標準の[追加経路]で見る。ユーザーリストの項目に追加経路の欄は無い | 標準機能と Messaging API だけでは、1人ずつの経路は分からない。人ごとに取るには、置き場所ごとの自社の入口(LIFF・LINEログイン)か、友だち追加の直後のアンケートを挟む(取り方)。ツールが表示しているなら、どの仕組みで記録しているかを聞く | 友だち追加の手前に自社の入口(LINEログイン)を置き、経路と一緒にユーザーIDを記録する |
| 未会員(台帳とまだ結び付いていない友だち)への配信 | 友だちには送れる。手入力で登録しただけの顧客(LINE未連携)には届かない | 製品による | 友だち追加の通知で受けたユーザーIDで送れる。連携を勧めるメニューを出し分ける |
| 開封・クリックの計測 | 配信ごとの集計(配信から14日、10未満は「-」)。誰が開封したかは分からない | LINEの統計は集計。1人ずつの既読は受け取れない | LINEの統計は集計(20未満は空)。会員ごとのクリックは、リンク先の自社のページで記録する |
| 権限(誰が顧客情報を見られるか) | 権限の種類で使える操作は変わるが、一部のスタッフにだけ見せない機能は無い | スタッフごとの見せ方を製品で確かめる | 顧客情報は台帳の権限で守る。チャネルの設定はAdminだけが触れる |
| 購買・来店で配信を分ける | 項目を足せないので、タグで代用する | 製品の連携の機能による | 台帳の項目をそのまま条件にする |
| 問い合わせの履歴 | チャット履歴を5年保存し、CSVを1週間に1度まで作れる(チャットProオプションを含む) | 製品による | 届いたメッセージをWebhookで受けて台帳に残す。24時間以上持つなら利用者に明示する |
各行の出典は、下の各節の本文にリンクしています。
QRコードごとの流入元
管理画面の友だち追加ガイドで、経路・流入元・キャンペーンを付けたURLやQRコードを作ると、[分析]>[友だち]>[追加経路]で経路ごとの数を確かめられます(友だち追加ガイドのマニュアル)。ただしこれは人数の集計で、ある利用者がどの経路から友だちになったかを、Messaging APIで1人ずつ調べる方法はありません(LINE Developersの質問と回答)。経路ごとのオーディエンスを作って、その経路から来た人にまとめて送ることはでき、選べる期間は90日以内、配信に使うには50人以上が要ります(オーディエンスのマニュアル)。1人ずつ台帳に残したいなら、QRコードの先を自社のページにして、LINEログインで会員とユーザーIDを受け取り、経路と一緒に記録します。組み方は『「どのQRから友だちが増えたか」を見る方法』で書きました。
未会員(台帳とまだ結び付いていない友だち)への配信
連携には利用者の操作が要るので、友だちの中には、台帳とまだ結び付いていない人が残ります。ID連携では、その人たちにも、友だち追加の通知で受け取ったユーザーIDで送れます。連携していない人には連携を勧めるメニュー、連携した人には会員向けのメニューを出す、というようにリッチメニューを分けられます(ユーザーアカウントの連携)。CRMオプションでは、配信の対象は友だちに固定で、手入力で登録しただけの顧客(友だちの状態が「LINE未連携」)には届きません(ユーザーリスト配信のマニュアル・ユーザーリストのマニュアル)。
台帳にはあるのにユーザーIDが分からない顧客には、電話番号やメールアドレスの一覧をビジネスマネージャーで読み込んでオーディエンスにし、LINE公式アカウントの配信に使う方法があります。組織へのアカウントの接続と組織の認証審査が要り、配信に使えるのは50以上のオーディエンスです(共有できるオーディエンス)。前の節のQ&A 7-41の整理にかかわるので、読み込む前に、同意の取り方を法務と決めておきます。
開封・クリックの計測
どの作り方でも、LINEからは1人ずつの既読は受け取れません。プッシュやマルチキャストで送ったメッセージの開封やクリックは、名前を付けた単位(ユニット)ごとの集計で取れるだけで、値が20未満だと空(null)になります(送信したメッセージの統計情報を取得する)。管理画面の分析の数字が何を数え、いつ確定するかは「LINE公式アカウントの分析の見方」にまとめました。
会員ごとのクリックを台帳に残すなら、リンク先を自社のページにして、ログインしている会員をそのページで記録します。LINE公式アカウント利用規約は、メッセージに入れるURLを、事業者がアクセスを集計できることを利用者が分かるものにするか、分かるように手当てすることを求めています(第7条1項3号)。また、みなし属性(LINEが推定した性別・年代など)で絞った配信では、属性ごとに遷移先を変えたり、URLに経路を追える情報を付けたりして、接触した人の属性を割り出すことを禁じています(第18条7号、LINE公式アカウント利用規約)。会員ごとのクリックの記録は、台帳の条件で送る配信に限って行い、プライバシーポリシーにも書いておきます。
権限
CRMオプションでは、権限の種類によって、顧客の追加や一括のタグ編集などの操作が使えない場合がありますが(ユーザーリストのマニュアル)、一部のスタッフにだけ顧客情報を見せない機能はありません(ヘルプ)。店舗のスタッフが管理画面に入るなら、氏名や電話番号を誰が見られるかを先に社内で決めます。ID連携では、顧客情報は自社の台帳の権限で守り、LINEの側は、LINE公式アカウントの管理画面のメンバー(1アカウントに100人まで。権限設定のマニュアル)と、LINE Developersのプロバイダーとチャネルの権限を分けて管理します。Webhookの設定やチャネルシークレットの閲覧は、チャネルのAdmin権限だけが扱えます(権限を管理する)。
運用の持ち主と、止めるときの手順
運用や構築を代行会社に頼む場合の、代行会社に渡す権限と見積もりの読み方、代行をやめるときの引き継ぎの順番は「LINE公式アカウントの運用代行・構築代行の見積もりの読み方」で解説しています。
名義と権限を自社に置いておくもの
どの作り方でも、LINE公式アカウントの管理者権限、ビジネスマネージャーの組織、LINE Developersのプロバイダーとチャネルは、自社の名義で持ちます。運用は外に頼めます。LINE公式アカウント利用規約は、第三者に権限を付けて運用を委託できるとし(第6条3項)、LINE公式アカウントAPI利用規約は、開発と運営を担う人を「運用者」として指定でき、その行為は事業者の行為とみなすとしています(API利用規約 第4条3項)。任せても、責任は事業者に残ります。
名義と権限を自社に置いておくもの
LINE公式アカウント
管理者権限
- Messaging APIを有効にする、CRMオプションを申し込む、アカウントを削除するのは管理者
- メンバーは1アカウントに100人まで
ビジネスマネージャー
組織と認証
- CRMオプションは、認証済の組織との接続が申し込みの条件
- オーディエンスの共有にも、組織の認証審査が要る
LINE Developers
プロバイダーとチャネル
- プロバイダーは会社の名前で作る
- Messaging APIを使い始めるときに選ぶプロバイダーは、あとで別のものに替えられない
- Webhookの設定とチャネルシークレットは、チャネルのAdminだけ
データと記録
台帳・サーバー・ログ
- 顧客台帳と、会員IDとユーザーIDの対応表
- 送った記録とWebhookのログ(LINEの側は提供しない)
出典:LINEヤフー for Business マニュアル「権限設定」「Messaging API」「申し込み・解約(CRMオプション)」「共有できるオーディエンス」、LINE Developers「LINE Developersコンソールの概要」「権限を管理する」「Messaging API開発ガイドライン」。2026年9月30日確認
中でも、プロバイダーの選び方は後から直せません。LINE Developersは、チャネルの運用ツールを運営する会社が管理するプロバイダーの下にチャネルを作る場合を、特に注意が必要な例に挙げ、チャネルは後からプロバイダーの間で移せず、ユーザーIDもプロバイダーごとに違う値になるため、将来問題が起きうると説明しています(Messaging APIを始めよう)。プロバイダー名は利用者が見る同意画面に表示されるので、企業としてサービスを出すなら、その企業の名前で作り、同じ事業者のチャネルは同じプロバイダーに置くよう案内されています(LINE Developersコンソールの概要)。たとえば、配信のチャネルがツールの会社のプロバイダーにあり、自社で作るLINEログインのチャネルが自社のプロバイダーにあると、同じ人でもユーザーIDが別の値になり、ログインで受け取ったIDで配信先を引けません。
止めるときの手順
止めるときに、作り方ごとにすること
CRMオプション
解約予約で止める
- 毎月1日を除いて、翌月以降の解約を予約できる
- 契約が終わった後のデータは、一定期間の後に削除される
- 先にフォームの回答とチャット履歴をCSVで保存する。ユーザーリストは書き出せない
連携ツール
つなぎ先を外す
- タグ・シナリオ・顧客データを書き出せるかを、製品の機能で確かめる
- Webhookの送り先を替え、ツールに渡したチャネルアクセストークンを取り消す
- ツールの側に残るデータの削除を、委託の契約で決めておく
ID連携
Messaging APIを止める
- Webhookの利用を無効にし、チャネルアクセストークンを取り消す
- Messaging APIのチャネルだけを消すことはできない
- ユーザーIDを含むLINEユーザ情報を削除する
出典:LINEヤフー for Business マニュアル「申し込み・解約(CRMオプション)」「チャット設定」、LINE Developers「Messaging APIの利用を停止する」、LINEユーザーデータポリシー 3.5。2026年9月30日確認
CRMオプションは、毎月1日を除いて翌月以降の解約を予約でき、予約中は使い続けられます。契約が終わった後のデータは、一定期間の後に削除されます(申し込み・解約のマニュアル)。ユーザーリストは書き出せないので、残したいものは、フォームの回答結果のCSV(フォームのマニュアル)と、チャット履歴のCSV(直近5年分、作れるのは1週間に1度まで。チャット設定のマニュアル)で先に保存し、タグと顧客情報は、移す先で作り直す前提で一覧にしておきます。
Messaging APIをやめるときは、LINE公式アカウントを残したまま、Webhookの利用を無効にし、チャネルアクセストークンを取り消します。Messaging APIのチャネルだけを消すことはできず、止めた後も管理画面の表示は「利用中」のままです。ステートレスチャネルアクセストークンは取り消せません(Messaging APIの利用を停止する)。連携ツールを替えるときも、ツールに渡したトークンを取り消し、Webhookの送り先を新しい受け口に替えます。
受け取ったデータの後始末も決めておきます。LINEユーザーデータポリシーは、プラットフォームの利用を終えたら、24時間以上の保存を利用者に明示していない情報とユーザーIDを直ちに削除し、サービスの提供を終えたときや利用者が退会したときは、ユーザーIDを含むすべてのLINEユーザ情報を削除するよう求めています(法令で保存が求められる場合などを除く。同ポリシー 3.5)。LINE公式アカウントの契約を終えるときは、利用者情報を直ちに廃棄します(利用規約 第8条5項)。ツールや開発会社のシステムにデータが残る場合は、終わったときの返却と削除を委託の契約に入れておきます。
Aurant Technologiesでは、今の台帳と友だちの数、つなぎたいデータを見て、どの作り方にするかを決めるところから、LINEと顧客台帳の連携をお手伝いしています。標準機能・拡張ツール・開発のそれぞれが合う条件はLINE運用・伴走支援のページの「作り方は3通り」の節で比べています。kintoneやSalesforceの側で足す項目とAPIの準備は業務ツール導入・活用支援、送った後の反応と購買を同じ定義で数える計測はアクセス解析・マーケティングデータ支援のページで扱っています。
LINE運用・伴走支援
LINE公式アカウントの友だち獲得の設計、セグメント配信・ステップ配信・リッチメニューの構築、自動応答、CRM/MAや基幹データとの連携までを支援します。
