広告運用のインハウス化で社内が持つべきもの|入札ではなく「CVの定義」と学習データ

広告運用をインハウス化するとき、社内に持つべきは入札の操作ではなく、自動入札が学ぶCVの定義・価値・商談や成約のデータです。Google広告とMetaの公式ヘルプで仕様を確かめ、社内が決めることと任せてよい範囲、2026年に変わったオフラインCVの送り方、定義を変える手順を整理しました。

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この記事の要点

  1. 社内に持つべきは入札単価の操作ではなく、自動入札が学ぶ材料:CVの定義、1件ごとの価値、商談や成約を広告に返す学習データの三つ。これが社内にあれば、設定作業や広告文の改善、レポート作成を外部に任せても、成果の意味は変わらない。
  2. 入札に使われるのは、目標に入った「メイン」のアクションだけ。どの段階で入札させるかは、CRMの記録から段階ごとの月間件数と発生までの日数を出して決め、定義書に残す。
  3. 商談・成約は、Googleはデータ マネージャー、Metaはコンバージョン API で毎日返す。定義を変えるときは、新しい段階のデータを入札に使わずに貯めてから切り替える。

自動入札が学ぶ材料と、その持ち主

色の付いた箱が、社内が持つもの

社内が決める① CVの定義:何を数え、どの段階で入札させるか
② 価値:1件あたりいくらと見るか
Google 広告・Meta の自動入札オークションごとに入札単価を決める。設定・運用の作業は任せてよい
配信・クリック・
問い合わせ
顧客の行動。クリックごとに GCLID、フォームでメールアドレス(同意とあわせて取得)
CRM に商談・成約を記録段階の判定は営業と合意した定義で

③ 学習データ:CRM の商談・成約を、自動入札へ送り返す(Google:データ マネージャー/Meta:コンバージョンAPI(CRM連携))

図:自動入札が学ぶ材料(①〜③)は、どれも社内の情報から作られる。入札単価そのものは、オークションごとに媒体の自動入札が決める。

広告運用をインハウス化するとき、社内に持つべきなのは入札単価を上げ下げする作業ではありません。自動入札が学習する材料のほうです。具体的には、何を成果として数え、どの段階で入札させるかというコンバージョン(CV)の定義、1件ごとの価値、そして商談や成約のように広告の外で起きた結果を広告に返すデータ(学習データ)の三つです。

理由は、Google 広告のスマート自動入札が、オークションのたびに、コンバージョン数やコンバージョン値を最適化するように入札単価を決めているからです。人が設定するのは、入札が目指すコンバージョンと価値、目標値、予算です(Google 広告ヘルプ「スマート自動入札について」)。どの行動を成果と数えるか、1件にいくらの価値を置くかは、営業の進め方や粗利、CRMの記録といった社内の情報でしか決められません。ここを外部に預けたままだと、運用を社内に移しても、入札が何を学んでいるのかを説明できる人が残りません。反対に定義が社内にあれば、入札戦略の設定作業や広告文の改善、レポート作成を外部に任せても、成果の意味は変わりません。

この記事では、Google 広告ヘルプと Meta for Developers の記載(2026年9月25日に確認)をもとに、定義・価値・学習データのそれぞれで社内が決めること、任せてよい範囲、2026年に変わったオフラインCVの送り方、定義を変えるときの手順を順に書きます。

入札戦略の名称は、2026年6月からの表記(「目標アクション単価」「目標広告費用対効果」)に合わせています。Googleは、表示名が変わるだけで入札の動きは変わらないと説明しています(スマート自動入札について)。

自動入札の下で、人が決めているのは入札単価ではない

スマート自動入札は、デバイス、地域、曜日と時間帯、リマーケティング リスト、実際の検索語句といったシグナルを組み合わせ、オークションごとに入札単価を最適化します。Googleは、そこで考慮されるパラメータが、一人の担当者やチームが計算できる範囲を超えていると説明しています(スマート自動入札について)。

手で入札を触る余地も狭くなっています。目標広告費用対効果、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化では、既存の入札単価調整は使われず、例外はデバイスを -100% にする設定だけです。目標アクション単価でも、デバイス以外の入札単価調整は無視されます。入札単価の上限・下限についても、自動の最適化を制限するため設定しないよう勧めています(目標広告費用対効果に基づく入札について、「目標アクション単価」入札戦略について、「コンバージョン値の最大化」入札戦略について)。

では、入札は何を目指して動くのか。入札戦略が使うのは、レポートの「コンバージョン」列と「コンバージョン値」列のデータです。この列に入るのは、キャンペーンが最適化に使う目標に含まれた「メイン」のコンバージョン アクションだけで、スマート自動入札はこの列に入るアクションをすべて学習の対象にします(「目標アクション単価」入札戦略について、コンバージョン目標について)。資料ダウンロードのような軽い行動がこの列に入っていれば、入札はそれを増やす方向に学びます。自動入札の成果を左右しているのは、入札の操作よりも、次の表の左の列です。

人が決めることGoogle 広告で設定する場所決める材料があるところ
何を成果として数え、どの段階で入札させるかコンバージョン アクション、メインとサブ、コンバージョン目標営業の進め方、事業のKPI
1件あたりの価値コンバージョン値、コンバージョン値のルール、顧客ライフサイクル目標粗利、顧客の生涯価値、返品・キャンセルの記録
広告の外で起きた結果オフライン コンバージョン(リードの拡張コンバージョン)CRM、受注・販売の記録
目標値と予算目標アクション単価・目標広告費用対効果、予算許容できる獲得単価、事業計画

社内が持つもの、任せてよいもの

上の四つを、社内で「決めて残すもの」と、外部のパートナーに「任せてよい作業」に分けると次のようになります。任せる側に回した作業でも、結果が社内の定義に沿っているかを確かめる責任は社内に残ります。

社内が決めて残すものと、任せてよい作業

CVの定義

社内:段階の定義と、入札に使う段階の決定。アクションごとの設定を書いた定義書と、その改訂の決裁

任せてよい:タグ・Google タグ マネージャーの実装、設定作業、動作確認

価値

社内:何を値にするか(売上か粗利か、段階ごとの見込み額か)、返品・キャンセルの反映ルール

任せてよい:コンバージョン値のルールの設定、値の集計とレポート

学習データ

社内:CRMのどの項目・ステータスを正とするか、同意の取り方、送信の頻度と監視の責任者

任せてよい:送信の仕組みの構築(データ マネージャー、コンバージョンAPI)、エラーの一次調査

目標値と予算

社内:許容できる獲得単価・広告費用対効果の根拠

任せてよい:目標値と予算配分の調整案、テストの設計と実行

アカウント

社内:自社名義のアカウントと管理者権限

任せてよい:付与された権限の範囲での運用

日々の運用

社内:月に一度、定義と結果を突き合わせる場

任せてよい:キーワード・検索語句・広告文・アセットの改善、入札戦略の設定、媒体の新機能の確認

社内の中でも、持ち主を分けておくと定義が一人に寄りません。定義書と入札に使う段階はマーケティング部門、段階の判定基準は営業、値の決め方は財務、送信の仕組みと監視はデータや情報システムの担当、というように、決める人と記録する場所を先に決めておきます。

アカウントの管理者は社内に2人以上置いておきます。Googleは、管理者が1人だけだとその人が対応できなくなったときにタグにアクセスできなくなるおそれがあるとして、もう1人追加するよう勧めています(Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する)。運用そのものを社内へ移す手順(アカウントの所有権の整理、データ基盤、代理店との並行期間)は、広告運用の内製化ロードマップで扱っています。この記事は、運用をどこまで移すかにかかわらず社内に残すべきものに絞っています。

CVの定義:数える行動と、入札に使う段階を決める

GA4 で何をコンバージョンとして数えるかの決め方と、その設定を外に頼むときに見積もりが変わる所は「GA4の設定代行を頼む前に、今の計測が合っているかを数える」で解説しています。

入札に使われるのは、目標に入った「メイン」のアクションだけ

Google 広告では、コンバージョン アクションが「購入」「リードフォームの送信」「有望な見込み顧客」といったカテゴリごとに目標にまとめられます。アクションが入札に使われるのは、メインに設定されていて、かつキャンペーンがそのアクションを含む目標を使っている場合だけです。サブに設定したアクションは「すべてのコンバージョン」列で観察できますが、入札には使われません(コンバージョン目標について、メインとサブのコンバージョン アクションについて)。Googleは、メインとサブの設定を誤るとスマート自動入札の最適化が効果的に働かなくなるとして、この設定を正しくするよう求めています。

同じ購入経路の複数の段階を別々の目標で追っている場合は、アカウントのデフォルトの目標にするのは1つだけにするよう勧めています(コンバージョン目標について)。問い合わせと商談の両方をメインにして入札に入れると、入札は両方を合わせた件数を増やす方向に学びます。商談1件の手前に問い合わせが何件もあるなら、実際には問い合わせを増やす入札になります。

数え方・計測期間・アトリビューションも定義の一部

同じ「問い合わせ」でも、次の設定が違えば入札が学ぶ数字は変わります。

設定公式ヘルプの要点社内で決めること
数え方(全件/初回のみ)見込み顧客の獲得には、広告クリック1回につき1件だけ数える設定(初回のみ)が適するとされる。インポートしたコンバージョンの既定は、全件を数える設定。変更は変更後のコンバージョンにだけ反映される(コンバージョンのカウント方法について)同じ人の再送信や、複数の商品への申し込みを1件と数えるか
計測期間コンバージョンの発生元に応じて1〜90日。クリック後の計測期間の既定は30日。スマート自動入札は、選んだ期間内のコンバージョンで最適化する(計測期間について)検討期間に合わせて、クリックから何日後までを成果と見るか
アトリビューション選べるのはラストクリックとデータドリブン。多くのアクションの既定はデータドリブンで、30日間に200件以上のコンバージョンと2,000回以上の広告インタラクションがあることが推奨される(アトリビューション モデルについて、データドリブン アトリビューションについて)どのモデルで貢献を割り当て、入札させるか

これらはアクションごとの設定なので、担当者が替わると、なぜその値にしたのかが分からなくなりがちです。アクション名、カテゴリ、メインかサブか、数え方、計測期間、アトリビューション、値、データの送信元を1行ずつ書いた定義書を社内で持ち、変えるときは定義書から直す順番にしておきます。

学習させる段階は、期間と件数から逆算する

入札に使う段階は、事業の成果に近いほど望ましい一方で、深い段階ほど件数は減り、発生も遅くなります。Google と Meta は、それぞれ学習に使う段階の条件を示しています。

条件Google 広告Meta 広告(コンバージョンリード)
発生までの期間計測期間は発生元に応じて最長90日。インポートの場合、コンバージョン サイクルにはデータが Google 広告に反映されるまでの時間も含まれる(計測期間について、コンバージョン サイクル)最適化する段階がリード獲得から28日以内に起きること
件数掲載結果の評価には、1か月以上の期間で30件以上(目標広告費用対効果は50件以上)が推奨。検索キャンペーンで目標広告費用対効果を使うには、過去30日で15件以上が必要(スマート自動入札について、目標広告費用対効果に基づく入札について)月200件以上のリード。最適化する段階への転換率が1〜40%
送る頻度ファネル下流のデータは、できれば毎日アップロードする(上流から下流へのコンバージョン目標の変更)少なくとも1日1回アップロードできること
段階の区分「有望な見込み顧客」「コンバージョンに至った見込み顧客」のカテゴリで分ける(有望な見込み顧客とコンバージョンに至った見込み顧客について)CRMの中でセールスファネルのイベントを設定する

Meta の列の出典:Meta for Developers「CRM用コンバージョンAPIの統合」

成約が月に数件しかない場合や、広告のクリックから成約まで90日を超えることが多い場合、成約をそのまま入札に使うのは難しくなります。計測期間の外で起きた成約は記録されず、入札の学習にも入らないからです。その場合は、条件を満たす中でいちばん深い段階(たとえば営業が商談化を認めた時点)を「有望な見込み顧客」として入札に使い、成約は入札に使う目標には入れずに観察を続ける組み方になります。成約のアクションをメインにしておくと、入札の目標に入っていなくても、予測の精度を高めるために使われることがあるとGoogleは説明しています(メインとサブのコンバージョン アクションについて)。どの段階なら条件を満たすかは、CRMの記録から、段階ごとの月間件数と、リードの獲得から何日で起きているかを出せば分かります。

成約をそのまま入札に使えるか

1

成約が月に数件しかない

件数の目安は上の表(Google は、掲載結果の評価に1か月以上の期間で30件以上を推奨)

2

広告のクリックから成約まで、90日を超えることが多い

計測期間の外で起きた成約は記録されず、入札の学習にも入らない

1つでも当てはまる → 手前の段階で入札させる条件を満たす中でいちばん深い段階(たとえば営業が商談化を認めた時点)を「有望な見込み顧客」として入札に使い、成約は入札に使う目標に入れずに観察を続ける
どちらも当てはまらない → 成果に近い段階ほどよい入札に使う段階は、事業の成果に近いほど望ましい。件数・発生までの期間・送る頻度の条件(上の表)を満たすかを確かめる

出典:計測期間について、スマート自動入札について、メインとサブのコンバージョン アクションについて(Google 広告ヘルプ)

Google 広告には、セールスの段階と所要日数・価値を画面上で並べ、オフラインのデータが欠けている段階を見つける「見込み顧客の獲得ジャーニー マッピング」もあります。Googleは、マップを作っただけで短期のパフォーマンスが直接変わるわけではないとしたうえで、計測の抜けを見つけ、どこでオフラインのデータを取り込むかを計画するのに使うよう勧めています(見込み顧客の獲得ジャーニー マッピングについて)。

価値:1件あたりいくらかは、社内の数字で決める

コンバージョン値には、販売収益や利益率など、広告主が最大化したい値を入れます(コンバージョン値について、「コンバージョン値の最大化」入札戦略について)。目標広告費用対効果を使うには、先にコンバージョン値を設定しておく必要があります(目標広告費用対効果に基づく入札について)。コンバージョン値の最大化では、値の大きいオークションほど入札単価が高くなる場合があるため、売上を入れるか粗利を入れるかで、同じ入札戦略でも増やしにいく注文が変わります。社内で決めることは次のとおりです。

  • 何を値にするか:売上か、粗利か。リード獲得なら、段階ごとに見込み額(その段階からの成約率と1件あたりの粗利から出す額など)を置くか。
  • 顧客による違いをどう入れるか:コンバージョン値のルールでは、オーディエンス、地域、デバイスを条件に値を調整でき、利益率の違いや見込まれる生涯価値を入札に反映できます(コンバージョン値のルールについて)。新規顧客を既存顧客より高く評価する顧客ライフサイクル目標の「顧客の獲得」では、既存顧客を顧客リストやウェブサイトのタグといった自社のデータで定義します(顧客ライフサイクル目標について)。
  • 後から変わった値をどう直すか:返品やキャンセルは、オーダー ID などで元のコンバージョンを特定して、値を修正(RESTATE)するか撤回(RETRACT)できます。自動入札に反映させるには、最初に記録されてから7日以内に行う必要があり、調整そのものは54日以内なら行えます(コンバージョンの調整方法)。

価値に基づく入札へ切り替える前には、目標アクション単価で目的のコンバージョン目標に向けて入札している状態が望ましく、関連するキャンペーンで4週間またはコンバージョン サイクル1〜2回分(長いほう)の値のデータを集めてから目標値を決めるよう、Googleは勧めています。値の付け方を変えた直後も、同じ程度の値が取れるようになるまでコンバージョン サイクル1〜2回分待ってから目標を調整するよう案内しています(目標広告費用対効果に基づく入札について)。値の決め方は財務や営業と合意したうえで固め、途中で頻繁に変えない前提にしておきます。目標値の根拠(許容できる獲得単価や広告費用対効果)も値と同じ材料から出るので、値の決め方と一緒に社内で持ちます。

学習データ:商談・成約を広告に返す仕組みを持つ

商談・成約を広告に返す流れ

フォームで受けるGCLID と、同意を得たメールアドレス
CRM に保存する商談・成約の段階を、営業と合意した定義で記録する
毎日送るGoogle:データ マネージャー/Meta:コンバージョンAPI
広告に結び付くGoogle は、ハッシュ化したデータをログイン中の Google アカウントの情報と照合する

送信の成否を毎日だれが確認するかと、止まったときの「データの除外」の手順を決めておく

2026年6月15日から、オフライン コンバージョンのインポートとリードの拡張コンバージョンのアップロードは Data Manager API へ(Google Ads API では受け付けない)

出典:オフライン コンバージョンのインポートについて、リードの拡張コンバージョンについて、拡張コンバージョンの設定の更新(Google 広告ヘルプ)、Meta for Developers「CRM用コンバージョンAPIの統合」

Google 広告は「リードの拡張コンバージョン」が基本の経路になった

Google 広告からの各クリックには、GCLID(Google クリック ID)という固有のIDが付きます。フォームで受けた見込み顧客の情報と一緒にこのIDを保存し、契約などのオフラインの成果が出たら、IDとコンバージョンの種類・日時を Google 広告に返す。これがオフライン コンバージョンのインポートの基本の仕組みです(オフライン コンバージョンのインポートについて)。

Googleはいま、これを改良した「リードの拡張コンバージョン」を勧めています。フォームで受けたメールアドレスなどをハッシュ化して送っておき、成約したときにも同じハッシュ化データ(とGCLID)を返すと、ログイン中の Google アカウントの情報と照合されて広告に結び付きます。オフライン コンバージョンのインポートをまだ導入していないなら、リードの拡張コンバージョンから始めるよう案内しています(オフライン コンバージョンのインポートについて、リードの拡張コンバージョンについて)。送る項目は次のとおりです。

区分項目社内で決めること
必須GCLID(ユーザー提供データを集めるタグを使っていない場合)、ユーザー提供データ(メールアドレス・電話番号・住所のいずれか1つ以上)、コンバージョン名(「契約成立」など)、コンバージョンの日時、コンバージョン目標(オフラインの段階を測るなら「有望な見込み顧客」か「コンバージョンに至った見込み顧客」)CRMのどの項目を送り、どのステータスをどちらの目標に当てるか。メールアドレスは一意性が高くCRMで書式が変わりにくいとして推奨され、マッチ率を上げるにはメールアドレスと電話番号の両方を集めることが勧められている
推奨GCLID(タグで集めている場合も送り続ける)、オーダー ID(重複したリードの管理と、あとからの調整に使う)、コンバージョン値と通貨、同意(入力しないとコンバージョンが関連付けられないことがある)値をどこから取るか、同意をどこで取得し、どう記録するか

出典:Google 広告ヘルプ「Google タグ マネージャーでリードの拡張コンバージョンを設定する」

準備として、自動タグ設定を有効にし、Google 広告の顧客データに関するポリシーを守れるかを確かめ、顧客データに関する規約に同意する必要があります(同上)。フォームでの同意の取り方や利用目的の知らせ方は、法務・個人情報の担当と決める社内の仕事です。

2026年の変更:Googleは、2026年6月15日から、オフライン コンバージョンのインポートとリードの拡張コンバージョンのアップロードを Data Manager API に移し、Google Ads API では受け付けないとしています。旧来の経路を続けるための許可リストの対象になるのは、2026年1月〜6月に利用実績のある開発者トークンだけです。あわせて、ウェブ向けとリードの拡張コンバージョンは、2026年6月以降、1つのオン/オフの設定にまとめるとしています(拡張コンバージョンの設定の更新)。外部に作ってもらった送信の仕組みがあるなら、どの経路で送っているかを確かめてください。

取り込みの頻度と、止まったときの手当て

取り込みには、Google 広告のデータ マネージャー(管理画面から接続する方法と Data Manager API)や、Zapier などの外部連携を使います。データ マネージャーでは、接続元によって1回の実行で取り込む範囲が違います(リードの拡張コンバージョンを設定する)。

  • Google Cloud Storage、Amazon S3、HTTP、SFTP、Google スプレッドシート:実行ごとに、90日前以降のコンバージョン
  • Salesforce、HubSpot:最初に成功した実行で過去14日分、以降は前回の成功から今回までの変更分
  • BigQuery、Amazon Redshift、Snowflake、MySQL、PostgreSQL:実行ごとに過去14日分

データウェアハウスから送る場合、1回の実行で拾うのは直近14日分です。送信が止まっていた期間が14日を超えると、次の実行で取り込まれない行が出るおそれがあります。送信の成否を毎日だれが確認するかを決めておきます。

ファネル下流のデータは、できれば毎日アップロードするよう勧められています(上流から下流へのコンバージョン目標の変更)。インポートしたコンバージョンでは、データが Google 広告に反映されるまでの時間もコンバージョン サイクルに含まれるため(コンバージョン サイクル)、送る間隔が空くほど、入札が結果を知るのも遅れます。

タグの不具合やアップロードの失敗で数字が欠けたときは、スマート自動入札の「データの除外」を使います。Googleは、オフライン コンバージョンをアップロードできない場合も使いどころに挙げたうえで、影響を受けたクリックの90%以上を除外すること、原則として後から穴埋めのアップロード(バックフィル)をしないこと、適用した除外を削除しないことを勧めています(データの除外について)。止まったときの手順を、送信の仕組みと一緒に社内の手順書に入れておきます。

Meta 広告は、CRMの段階を「コンバージョンリード」として学習させる

Meta では、リード獲得広告(インスタントフォーム)で集めたリードのその後の段階をCRMからコンバージョンAPIで返し、「コンバージョンリード」のパフォーマンス目標で最適化できます。この目標が使えるのは、現在はリード獲得広告だけです。適しているかどうかの目安として、CRMに15〜17桁のMetaリードIDを保存していること、月200件以上のリード、1日1回以上のアップロード、最適化する段階がリード獲得から28日以内に起き、その段階への転換率が1〜40%であることが挙げられています(CRM用コンバージョンAPIの統合)。

同じドキュメントは、連携にかかわる役割としてマーケティング・セールスチーム、CRM管理者、開発者を挙げ、ファネルを定義するのは、マーケティングとセールスのプロセスをよく知るマーケティング・セールスチームだとしています。CRMとの接続の実装は、Metaビジネスパートナーを使えば1日未満、独自に作る場合は3〜4週間が目安とされ、データの検証(約1〜2日)とファネルの設定のあとに、2〜4週間の学習期間があります。ウェブ以外のオフラインのイベント全般についても、MetaはコンバージョンAPIで送る方法を推奨し、以前のオフラインコンバージョンAPIをレガシーと位置づけています(コンバージョンAPIを使用したオフラインイベントの送信)。

定義を変えるときの手順を、先に決めておく

指名検索の問い合わせまで成果に数えている場合に、指名広告を止めて、自然検索の流入と問い合わせの合計で確かめる手順は「自社名のキーワード広告(指名広告)は要るか」で解説しています。

定義は一度決めたら終わりではなく、事業や営業の進め方が変われば見直します。ただ、変え方を誤ると入札が学び直しになります。Googleは、コンバージョン目標やアクションを変えると、元になるアクションが同じでも、学習が落ち着くまでにほとんどの場合コンバージョン サイクル1〜2回分かかるとしています(スマート自動入札に使用するコンバージョン目標とコンバージョン アクションの変更)。また、スマート自動入札には標準で7〜14日の学習期間があり、その間はコンバージョン目標などを頻繁に手で変えないよう勧めています(コンバージョン目標について)。

問い合わせから商談・成約のような下流の段階へ入札の目標を移すときの手順も示されています(上流から下流へのコンバージョン目標の変更)。

  1. 下流の段階のデータを、できれば毎日アップロードし、「購入」「有望な見込み顧客」「コンバージョンに至った見込み顧客」のいずれかのカテゴリに割り当てる。
  2. 移行先のアクションをメインにしておくが、まだキャンペーンやアカウントの入札の最適化には使わない。
  3. 入札に使う前に、コンバージョン サイクル2〜3回分以上のデータを貯める。その間もスマート自動入札は裏でこのデータを学習する。成約までの所要時間が長いと、この準備期間はさらに長くなることがある。
  4. 準備ができたら目標を切り替え、下流の段階に合わせて目標アクション単価を引き上げる。移行中は費用を見ながら調整する。

問い合わせから商談・成約へ、入札の目標を移す手順

下流のデータを毎日送る「購入」「有望な見込み顧客」「コンバージョンに至った見込み顧客」のいずれかに割り当てる
メインにしておくまだキャンペーンやアカウントの入札の最適化には使わない
2〜3サイクル分以上貯めるその間もスマート自動入札は裏でこのデータを学習する
目標を切り替える目標アクション単価を引き上げ、費用を見ながら調整する

目標やアクションを変えると、学習が落ち着くまで、ほとんどの場合コンバージョン サイクル1〜2回分かかる

出典:上流から下流へのコンバージョン目標の変更、スマート自動入札に使用するコンバージョン目標とコンバージョン アクションの変更(Google 広告ヘルプ)

入札戦略や目標値を変えるときは、検索とディスプレイのキャンペーンなら、下書きとテストの機能で変更前の設定と比べながら試せます(スマート自動入札について、目標広告費用対効果に基づく入札について)。

変更の記録も社内で持ちます。Google 広告の変更履歴には過去2年分の変更と、管理画面で操作した人のメールアドレスが残りますが、アカウント単位の設定変更の一部は表示されないことがあるとされています(変更履歴について)。定義書に改訂履歴の欄を設け、だれが、いつ、なぜ変えたかを残しておくと、成果が動いたときに原因をたどれます。

事例:判断の過程を社内に戻した小売・EC企業

当社が支援した小売・EC業の企業では、広告運用を複数の代理店・媒体に任せ、社内には月次のレポートが届く形でした。数字は届くものの、なぜ良くなったのか、なぜ悪くなったのかという判断の過程が社内に残らず、ある媒体のコンバージョンが落ちても要因の切り分けに外部への確認を挟むため、対応が翌週以降になることがありました(導入事例:広告運用を内製化)。

この企業は、既存の媒体アカウントや管理体制を生かしたまま、各媒体の運用データをAPIで集めて媒体をまたいで名寄せし、AIによる増減の要因分解と異常検知、BIダッシュボードでの可視化を組み合わせました。運用チームが週次で改善を判断・実行する形に変えたことで、判断の根拠が画面に残るようになり、外注の使い方も、任せる領域と社内で回す領域を分けて見直せるようになったといいます。事例の中では、内製化を始めるなら「どの判断を社内で持ちたいか」を先に決め、そのために必要なデータの持ち方と見せ方から整えることが勧められています。

別の小売・メーカーの事例では、広告・在庫・EC実績をBigQueryに統合し、AIが示す停止や予算調整の案を人が承認してから広告に反映する形をとっています。次の投資先の一つとして、AIが示す打ち手の精度を上げるためのタクソノミーや計測設計の見直しが挙がっています(導入事例:広告と在庫をBigQueryで統合)。二つの事例に共通するのは、判断の根拠と、それを支えるデータの持ち方・測り方を社内に残そうとしている点です。

着手の順番:棚卸しから切り替えまで

着手の順番

手順1

今の定義を棚卸しする

  • メインのアクション、目標、数え方、計測期間、アトリビューション、値を一覧にする

手順2

段階の定義を営業とそろえる

  • CRMのどのステータスを「有望な見込み顧客」「成約」とみなすか
  • 月に何件、リードの獲得から何日で起きているか

手順3

価値を決める

  • 財務と、何を値にするか、返品・キャンセルをどう反映するか

手順4

返す経路を作る

  • GCLIDと、同意を得たメールアドレスをCRMに保存して毎日送る
  • 送信の監視と、止まったときの手順

手順5

並行して測ってから切り替える

  • 下流の段階を入札に使わずに2〜3サイクル貯める
  • そのあと入札の目標を移し、目標値を見直す

手順6

任せる範囲を契約と権限に書く

  • 自社名義のアカウントに管理者を2人以上
  • 定義書の改訂は社内の決裁、実装と日々の運用はパートナー
  1. 今の定義を棚卸しする。Google 広告の「目標」メニューの「コンバージョン」の概要で、メインのアクション、各キャンペーンが使っている目標、数え方、計測期間、アトリビューション、値を一覧にする。GA4から取り込んだアクションも含める。
  2. 段階の定義を営業とそろえる。CRMのどのステータスを「有望な見込み顧客」「成約」とみなすかを決め、それぞれ月に何件、リードの獲得から何日で起きているかを出す。
  3. 価値を決める。財務と、何を値にするか、返品・キャンセルをどう反映するかを決める。
  4. 返す経路を作る。フォームでGCLIDと、同意を得たメールアドレスを受けてCRMに保存し、データ マネージャー(Meta はコンバージョンAPI)で毎日送る。送信の監視と、止まったときのデータの除外の手順も決める。
  5. 並行して測ってから切り替える。下流の段階をメインにしたまま入札には使わずに2〜3サイクル貯め、そのあと入札の目標を移して目標値を見直す。
  6. 任せる範囲を契約と権限に書く。アカウントは自社名義で管理者を2人以上置き、定義書の改訂は社内の決裁、実装と日々の運用はパートナー、と役割を書き分ける。

委託先が替わっても残るものを、社内に置く

Google 広告の動的検索広告(DSA)が2027年2月に AI Max へ自動移行することについて、代理店に任せている場合の確かめ方は「Google 広告の動的検索広告(DSA)は2027年2月に AI Max へ自動移行」で解説しています。

広告運用のインハウス化は、入札の操作を社内に引き取ることより、自動入札が学ぶ定義・価値・学習データを社内の資産にすることから始めると進めやすくなります。定義書と価値の決め方、CRMから成約を返す仕組みが社内にあれば、代理店や媒体の仕様が変わっても、入札が何を目指しているかを自分たちの言葉で説明できます。

Aurant Technologiesでは、コンバージョンの定義の見直しやCRMからのオフラインCVの送信を含む広告運用支援と、GA4・Google タグ マネージャーでの計測設計を扱うアクセス解析・マーケティングデータ支援で、こうした定義づくりからご相談をお受けしています。

よくある質問

代理店に運用を任せたまま、CVの定義だけを社内で持てますか?
持てます。コンバージョンの設定は広告アカウントの中にあるので、アカウントを自社名義にして管理者を社内に2人以上置き、定義書の改訂を社内の決裁にすれば、日々の運用は代理店に任せたままでも定義は社内に残ります。管理画面での変更は、Google 広告の変更履歴で操作した人と日時を確認できます。ただしアカウント単位の設定変更の一部は表示されないことがあるため(変更履歴について)、定義書の側にも改訂履歴を残します。
社内でレポートを見ると、直近数日のコンバージョンが少なく出ます。どう読めばよいですか?
クリックからコンバージョンまでに日数がかかるため、直近の期間はこれからコンバージョンが増える余地が残っています。インポートしたコンバージョンでは、データが Google 広告に反映されるまでの時間もコンバージョン サイクルに含まれます(コンバージョン サイクル)。Googleは、目標値の参考に実績を見るときは、コンバージョンがこれから増える見込みのない期間を選ぶよう勧め、所要時間が2日なら直近2日を外してその前の28日間を見る例を挙げています(Google の入札アルゴリズムによる学習の仕組み)。商談や成約を後から返している場合は、所要日数が長いぶん、外す期間も長く取ります。
GA4のキーイベントを Google 広告のコンバージョンとして使っています。気をつけることは?
GA4で作成して Google 広告と共有したコンバージョンは、既定でサブになり、メインへの切り替えは Google 広告の側でしかできないとされています(この共有の機能は、GA4のプロパティによっては使えない場合があります)。入札に使われているかどうかは、Google 広告のコンバージョンの概要で確認します。GA4の管理画面で行ったコンバージョン関連の設定変更は、Google 広告の変更履歴でしか確認できません(メインとサブのコンバージョン アクションについて)。

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Google広告・Meta広告・LINE広告・Yahoo!広告の運用を、GA4やCRMとのデータ連携を土台に立て直します。コンバージョン計測の整備から媒体をまたいだ改善まで、社内で判断できる形で伴走します。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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