IBM i(AS/400)7.3・7.4のサポート期限(2026年9月30日)の後にやること|延長サポートで何年延ばせるか、移すなら何から数えるか

IBM i(AS/400)の2026年9月30日は、7.4の標準サポートと7.3の1回目の延長サポートの最後の日です。IBMの公式資料で、延長サポートで延ばせる期間(7.4は2029年9月、7.3は2028年9月まで)と費用の決まり方、7.5・7.6へ上げる条件を確かめ、移す場合に最初に数えるものと、RPGを生成AIで読むときに確かめることを整理しました。

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この記事の要点

  1. IBM の表では、2026年9月30日は IBM i 7.4 の標準サポートの最後の日で、7.3 の1回目の延長サポート(Service Extension)の最後の日。10月1日からの延長サポートは、7.4 が2029年9月30日まで(3年)、7.3 が2回目の延長で2028年9月30日まで(2年)。7.2 の延長は2026年4月30日が最後の日で、7.5・7.6 の終了日は発表されていない。
  2. 延長サポートは IBM i のソフトウェア保守(SWMA)に上乗せして申し込む。IBM の資料では、上乗せ分は7.4 の1年目が保守料の1.5倍、2年目2倍、3年目2.5倍、7.3 の2回目の延長は3倍。付けないと、その版について IBM に問い合わせられない。保守が続いていれば7.5・7.6 への切り替えは追加の費用なしで受けられるが、直接上げられるのは2つ先の版までで、7.5 は Power9 以降、7.6 は Power10 以降の機械が要る。
  3. 延ばした期間は、IBM i にどこまで残すかを決め、移すものを数えるのに使う。プログラム・画面・帳票・バッチ・つなぎ先・データは IBM i のコマンドで一覧にできる。RPG は生成AIで書き起こせるが、どのファイルを読むか、いつ動くか、端数をどう丸めるかは、プログラムの外や RPG の書き方で決まるので、別に確かめる。

9月30日の後の選び方と、どれを選んでも最初にすること

延長サポートの期間は、上げるか移すかを決め、中身を数えるための時間

今の版のまま使う

延長サポートを付ける

  • 7.4 は2029年9月30日まで
  • 7.3 は2028年9月30日まで(2回目の延長)
  • ソフトウェア保守(SWMA)への上乗せ

決めること:延長の最後の日までに、上げるか移すか

IBM i を使い続ける

7.5・7.6 に上げる

  • 保守が続いていれば、新しい版は追加の費用なし
  • 直接上げられるのは2つ先の版まで
  • 7.5 は Power9 以降、7.6 は Power10 以降

確かめること:機械の世代と、使えなくなる機能

IBM i から移す

全部か、一部を残してつなぐ

  • 移し先は製品・業務アプリ・専用のWebアプリなど
  • 残す部分には、版の期限が付いてくる

最初にすること:プログラム・画面・帳票・バッチ・つなぎ先・データを数える

どれか一つに決めなくてよい。延長しながら一部を移し、残す部分は上げる、という組み合わせもある

IBM「Release life cycle」・IBM「Service Extension for IBM i 7.4, 7.3 and 7.2」・IBM「IBM i Support Roadmap and Service Extension Information」(2026年9月29日確認)をもとに当社が整理

IBM i(旧 AS/400)のサポート終了の日付のうち、2026年9月30日は 7.3 と 7.4 の二つの版にかかわる日です。IBM のライフサイクルの表では、この日が 7.4 の標準サポートの最後の日で、10月1日から2029年9月30日までが延長サポート(IBM の資料では Service Extension)の期間です。7.3 にとっては、2023年10月1日に始まった1回目の延長サポートの最後の日で、10月1日から2028年9月30日までが2回目の延長(extended Service Extension)の期間です。7.2 の延長サポートは2026年4月30日が最後の日で、表にその先の延長は載っていません。7.5 と 7.6 の終了日はまだ発表されておらず、IBM は切り替えの12か月以上前に知らせるとしています(IBM「Release life cycle」、2026年9月29日に確認)。

延長サポートは、IBM i のソフトウェア保守(SWMA)に上乗せして申し込むもので、IBM の資料では、7.4 の上乗せ分は1年目が保守料の1.5倍、2年目が2倍、3年目が2.5倍、7.3 の2回目の延長は3倍とされています。延長サポートを付けずに保守だけを続けた場合、期限を過ぎた版について IBM に問い合わせることも、新しく見つかった不具合を報告することもできません。一方で、保守が続いていれば、7.5・7.6 への切り替えは追加の費用なしで受けられます。ただし直接上げられるのは2つ先の版までで、7.5 は Power9 以降、7.6 は Power10 以降の機械でしか動きません。

延長サポートで延ばすか、7.5・7.6 に上げるか、IBM i から移すかは、どれか一つに決めなくても構いません。延長サポートは最後の日が決まっているので、その期間に、どの業務を IBM i に残し、どれを移すかを決め、移すものの中身を数えます。この記事では、IBM の公式の資料で版ごとの期限と延長サポートの条件を確かめたうえで、上げる場合の条件、延ばした期間にやること、移すときに最初に数えるもの、RPG のプログラムを生成AIで読むときに確かめること、全部移すか一部を残すかの考え方を、情報処理推進機構(IPA)と経済産業省の資料も使って順に書きます。Aurant Technologies はどの製品の販売代理店でもなく、基幹システムの中身の書き出しから、移し先の選び方、新旧の結果の突き合わせまでを手がけています。

まず、自社の版・機械・保守の契約を確かめる

最初に確かめるのは三つです。IBM i の版、IBM i が動いている機械(Power サーバー)の型式、そして IBM i のソフトウェア保守(SWMA)が続いているかどうかです。版は、IBM i にサインオンして DSPSFWRSC(ソフトウェア資源の表示)か DSPPTF のコマンドを使えば分かります(IBM のサポート情報)。機械は「9009-41A」のような型式で見て、IBM の「System to IBM i mapping」で、その型式で動く版を引きます。保守の契約の中身と期限は、保守を頼んでいる会社に確かめます。

IBM の表を版ごとに並べると、次のとおりです(2026年9月29日に確認)。

版標準サポートの最後の日延長サポート(Service Extension)の期間2026年10月1日からの扱い
7.22021年4月30日1回目:2021年5月1日〜2024年4月30日
2回目:2024年5月1日〜2026年4月30日
延長サポートも終了。表にその先の延長は無い
7.32023年9月30日1回目:2023年10月1日〜2026年9月30日
2回目:2026年10月1日〜2028年9月30日
2回目の延長サポートの期間
7.42026年9月30日2026年10月1日〜2029年9月30日延長サポートの期間
7.5発表されていない―標準サポート
7.6発表されていない―標準サポート

「標準サポートの最後の日」は、IBM の表の「Change in Service Level」の日付です。日本 IBM の「IBM i 移行パスとライフサイクル」では「プログラム・サービス終了日」と書かれ、7.4 は2026年9月30日です。同じページでは、7.4 の営業活動終了日(新しく買えなくなる日)が2026年4月30日とされ、IBM の発表(2025年9月16日、AD25-0894)では、後継の版は7.5か7.6とされています。

2026年10月1日から、延長サポートで延ばせる期間

IBM の表の延長サポート(Service Extension)の終わりの日まで

7.4(2029年9月30日まで)3年
7.3(2028年9月30日まで。2回目の延長)2年
7.2(延長の最後の日は2026年4月30日)なし

出典:IBM「Release life cycle」(2026年9月29日確認)

機械の世代も、延ばし方にかかわります。IBM は、7.4 を Power8 で動く最後の版、7.3 を Power7・Power7+ で動く最後の版としています(IBM「IBM i Support Roadmap and Service Extension Information」、2025年4月8日更新)。Power8 以前の機械のまま IBM i を続ける場合、IBM のサポートを受けられるのは延長サポートの最後の日までです。

9月30日を過ぎて変わるのは、IBM に問い合わせられるかどうか

標準サポートが終わった版について、IBM に何を頼めるかは、延長サポートの契約があるかどうかで分かれます。IBM の資料(IBM i Support Roadmap and Service Extension Information p.6)は、延長サポートを付けた場合、保守だけの場合、保守も切れている場合を、次のように分けています。

IBM に頼めること延長サポートあり保守だけ保守なし
期限を過ぎた版について、問い合わせ(ケース)を開くできるできないできない
新しく見つかった不具合を報告するできるできないできない
既知の不具合の修正について問い合わせるできるできないできない
期限の後に出た修正(PTF)を Fix Central から入手するできるできるできない
サポート中の版へ、追加の費用なしで切り替えるできるできるできない

IBM の資料 p.6 の表を訳して整理しました。「延長サポートあり」は、ソフトウェア保守(SWMA)が続いていることが前提です。「保守だけ」には、サブスクリプションで使っている場合も含まれます。保守だけの場合、切り替えの途中で問い合わせたいときは、先に新しい版の権利に切り替えてから、新しい版として問い合わせを開く、とされています。

違いは、期限を過ぎた版について、IBM に問い合わせたり、新しい不具合を報告したりできるかどうかです。延長サポートを付けない場合も、保守が続いていれば、期限の後に出た修正(PTF)は入手でき、新しい版への切り替えも受けられます。IBM は、期限を過ぎた版で技術的な支援を受けるには延長サポートが要るとしています(同じ資料 p.19)。

延長サポートで受けられるのは、IBM i 本体については、新しく見つかった不具合の修正と、使い方の質問・既知の不具合への対応です。一部の製品と機能は、使い方の質問と既知の不具合への対応に限られ、7.4 では IBM i に含まれる DNS サーバー(オプション31)、DHCP、RADIUS のほか、一部のライセンス・プログラムがそれに当たります。受付は、契約した国の通常の業務時間で、業務が止まる重大な障害(重大度1)は24時間毎日です。問題の解決に、最新の累積の修正(PTF)を当てるよう求められる場合もあります(IBM「Service Extension for IBM i 7.4, 7.3 and 7.2」、2026年2月25日更新)。

延長サポートは7.4が3年、7.3が2年、費用は保守料への上乗せ

7.4 の延長サポートは、2026年10月1日から2029年9月30日までの3年間です。7.3 は、1回目の延長サポート(2023年10月1日〜2026年9月30日の3年間)に続いて、2回目の延長が2026年10月1日から2028年9月30日までの2年間あります。7.3 の延長を「2026年9月30日まで」とだけ書いた解説もありますが、IBM の表と延長サポートの資料には、この2回目の延長が載っています。

費用の決まり方も、IBM の資料に書かれています。延長サポートは、IBM i のソフトウェア保守(SWMA)が続いていることが前提で、その保守料に上乗せして払います。IBM が一般的な価格の考え方として示している倍率は、7.4 では上乗せ分が1年目に保守料の1.5倍、2年目に2倍、3年目に2.5倍です。IBM の例では、1年目は保守料と上乗せ分を合わせて保守料の2.5倍になります。7.3 の2回目の延長は、上乗せ分が保守料の3倍(合わせて4倍)です。

延長サポートの上乗せ分(ソフトウェア保守の料金を1として)

保守(SWMA)の料金に上乗せする分。支払いは、保守料と上乗せ分の合計になる

7.4 の1年目1.5倍
7.4 の2年目2倍
7.4 の3年目2.5倍
7.3 の2回目の延長(1年あたり)3倍

出典:IBM「Service Extension for IBM i 7.4, 7.3 and 7.2」(2026年2月25日更新)の一般的な価格の考え方。実際の金額は IBM か販売店に確かめる

実際の金額は、IBM の担当者か販売店に問い合わせて確かめます。IBM の説明では、延長サポートはふだんの注文の仕組み(e-config)ではなく、IBM の TLS(Technology Lifecycle Services)の窓口を通して申し込むものです。IBM i と別に保守の契約がある製品(PowerHA SystemMirror for i など)は、延長サポートの費用も別にかかり、IBM i のまとめた保守(IBM i Group SWMA)に含まれるライセンス・プログラムは、対象外とされたものを除いて、追加の費用なしで IBM i の延長サポートに含まれます(IBM i Support Roadmap and Service Extension Information p.20〜21)。7.3 の延長サポートは、7.3 が動く Power の機械で受けられるとされています。

IBM i を使い続けるなら、7.5・7.6に上げる条件を確かめる

延長サポートは期限を先に送るもので、その先も IBM i を使うなら、どこかで 7.5 か 7.6 に上げることになります。IBM の説明では、ソフトウェア保守(SWMA)が続いていれば、サポート中の版への切り替えは追加の費用なしで注文でき、延長サポートを付けていなくても受けられます(IBM i Support Roadmap and Service Extension Information p.6・p.19)。残るのは、切り替えの作業と、新しい版で業務が動くかを確かめる試験、機械が足りない場合の入れ替えです。

上げ方には決まりがあります。日本 IBM の「IBM i 移行パスとライフサイクル」によると、次の版と2つ先の版へはリリースアップの作業で上げられますが、3つ以上先の版へは、リリースアップを繰り返すか、入れ直し(スクラッチ・インストール)とライブラリーの再導入を組み合わせることになります。7.3 からは 7.4 と 7.5 に直接上げられ、7.6 には直接上げられません。7.4 からは 7.5 にも 7.6 にも直接上げられます。

直接上げられるのは、2つ先の版まで

版の下は、その版が動く機械の世代。枠に色の付いた版は、標準サポートの期間

7.3Power7〜Power10(型式による)
7.4Power8〜Power11
7.5Power9〜Power11
7.6Power10・Power11

7.3 からは 7.4・7.5 へ直接。7.6 へは2回に分けるか、入れ直しとライブラリーの再導入

Power8 で動く最後の版は 7.4、Power7・Power7+ で動く最後の版は 7.3

出典:日本IBM「IBM i 移行パスとライフサイクル」、IBM「System to IBM i mapping」・「Planning to upgrade to IBM i 7.5 (Hardware)」・「同 7.6 (Hardware)」、IBM「IBM i Support Roadmap and Service Extension Information」(2026年9月29日確認)

もう一つの条件は機械です。7.5 は Power9・Power10・Power11 の機械で動き、Power8 以前では動きません(IBM「Planning to upgrade to IBM i 7.5 (Hardware)」)。7.6 は Power10(ファームウェアの水準 FW1060 以上)と Power11 で動き、Power9 以前では動きません(同 7.6 (Hardware))。Power8 で 7.3 か 7.4 を動かしているなら、7.5 以降に上げるには機械の入れ替えが要ります。

新しい版では使えなくなる機能もあります。IBM の 7.6 の計画のページには、画面を作る SDA、帳票の配置を作る RLU、ファイルのデータを直接見て直す DFU など開発の道具の一部、IBM i の DHCP サーバーと DNS サーバー、FAX の機能(5798-FAX)、CICS などが、7.6 では使えないものとして並んでいます。7.4 から 7.6 に上げる場合は、7.5 で外れたもの(Zend Server、XML Toolkit など)も合わせて見るよう書かれています。使っている業務パッケージや周りの道具が上げる先の版で動くかは、それぞれの提供元に確かめます。

延長の期間にやることは、最後の日から逆に並べる

延長サポートの最後の日は、7.3 が2028年9月30日、7.4 が2029年9月30日で、IBM の表にその先の延長は載っていません。7.2 でも、2回目の延長の最後の日(2026年4月30日)の先は表にありません。延長の期間は、IBM i にどこまで残すかを決め、移すものを移し終えるための時間です。

予定は最後の日から逆に並べます。切り替えの前には、新旧を同時に動かして結果が一致するかを見る期間が要ります。月末や期末の締めをまたいで比べたいので、その期間が最後の日より前に収まるように、移し先を作る時期と選ぶ時期を置き、いちばん前に中身を数える作業を置きます。IPA の「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」(2018年2月、PDF)も、再構築の手法を選ぶ最初の段階に、今のシステムの調査・分析を置いています(p.39)。

延長の期間にやることを、最後の日から逆に並べる

はじめに

中身を数える

  • プログラム・画面・帳票
  • バッチ・つなぎ先・データ
  • 使われていないものを外す

次に

残す・上げる・移すを業務ごとに決める

  • IBM i に残す業務と、移す業務
  • 残すなら、上げる版と機械

その次に

移し先を選び、作る

  • 製品・業務アプリ・専用のWebアプリなど
  • データの移し方と、つなぎ方

最後の日より前に

新旧を並べて確かめ、切り替える

  • 月末・期末の締めをまたいで比べる
  • 差の理由がすべて説明できてから切り替える

延長の最後の日:7.3 は2028年9月30日、7.4 は2029年9月30日

IBM「Release life cycle」の日付と、IPA「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」 p.39 をもとに当社が整理

延長の期間に入ってすぐ確かめたいこともあります。IBM は同じ発表(AD25-0894)で、IBM i のデータから照会や帳票を作る Db2 Web Query for i を、版にかかわらず2026年12月31日でサービス終了としています。使っていれば、その帳票の移し先を先に決めます。7.5・7.6 に上げる予定なら、前の節の使えなくなる機能を先に洗い出し、代わりの手段を決めておきます。

移すなら、プログラム・画面・帳票・バッチ・つなぎ先・データを書き出して数える

移す範囲を決めるにも、見積もりを取るにも、今の IBM i で何が動いているかの一覧が要ります。IPA のガイドは、今のシステムの調査の材料として、ソースコードや画面・帳票の定義、運用や外部との接続の定義といった資産、運用・保守の記録、ドキュメントを挙げ、それで分からないところは有識者への聞き取りで補うとしています(p.40)。調べる項目には、資産の規模と言語の種類、文字コードと外字の使用の有無、オンラインとバッチの処理の方式、帳票の出し方、外部との接続の種類と方法、データの量と構造などが並びます(p.41〜42)。

IBM i では、この一覧の多くをコマンドで書き出せます。保守を頼んでいる会社か社内の担当者に、次の出力をファイルで頼みます(コマンドの例は図の下の折りたたみにまとめました)。

移す前に、IBM i から書き出して数えるもの

コマンドで書き出せるものは、出力をファイルで受け取る

プログラム

種類ごとの数と、使われているか

  • RPG・CL・COBOL などの数
  • 最後に使われた日(DSPOBJD)
  • 読み書きするファイルと呼び出す先(DSPPGMREF)

画面

画面の定義と、使う人

  • 表示装置ファイル(DSPF)の数
  • 画面の項目(DSPFFD)
  • 誰が、いつ、何に使うか

帳票

帳票の出どころ

  • 印刷装置ファイル(PRTF)の数
  • Query の定義(*QRYDFN)と Db2 Web Query
  • 印字の位置を変えられない帳票

バッチ

決まった時刻に動く処理

  • ジョブ・スケジュール項目(WRKJOBSCDE)
  • Advanced Job Scheduler など別の道具の登録
  • 処理の順番と、止まったときの手順

つなぎ先

出入りするデータ

  • ファイル転送・EDI・ODBC などの相手
  • IBM i のデータを加工する Excel・Access
  • 向き・時刻・文字コード

データ

量と形

  • ファイルの項目の並び(DSPFFD)
  • 件数と容量、増え方
  • 文字コードと外字

IPA「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」 p.40〜42 の調査項目を、IBM i のコマンド(IBM Documentation)に当てはめて当社が整理

保守の会社に頼む出力の例(IBM i のコマンド)
コマンド出てくるもの使い道
DSPSFWRSC入っているライセンス・プログラムとその版版と、使っている IBM の製品の確かめ
DSPOBJD(出力をファイルに)オブジェクトの名前・種類・作った日・最後に使われた日種類ごとの数と、使われていないものの見当
DSPOBJD DETAIL(*SERVICE) と DSPFD TYPE(*MBR)作るときに使ったソースの場所と更新日時、今のソースの更新日時動いているプログラムとソースが同じか
DSPPGMREF(出力をファイルに)プログラムが使うファイル・データ域・呼び出すプログラム。OBJTYPE(*QRYDFN) を付けると Query の定義が使うファイルどの処理が、どのデータを読み書きするか
DSPFFD(出力をファイルに)ファイルの項目の名前・型・長さ。画面・帳票の定義(装置ファイル)にも使える移し先のデータの項目との対応表
WRKJOBSCDE決まった時刻にバッチ・ジョブを投入する登録の一覧(印刷もできる)夜間・月次の処理の一覧

IBM のサポート情報(OS の版の確かめ方・最後に使われた日の一覧・Query の定義が使うファイル)と IBM Documentation(ソースの確かめ方・DSPPGMREF・DSPFFD・ジョブ・スケジュール項目)をもとに整理しました。オブジェクトの一覧は、SQL の QSYS2.OBJECT_STATISTICS でも取れます。Advanced Job Scheduler など別の道具で動かしている処理は、その道具の側の登録も見ます。

使われていないものを移さないために、最後に使われた日を見ます。IBM の説明では、プログラムは動いた日に、Query の定義は帳票を出した日に、最後に使われた日が更新され、更新は1日に1回です。新しく作ったものは空欄で、復元したときにその機械に無かったものや、復元で作り直されたものも、日付が空欄になるか失われます。IBM は、最後に使われた日と最後に変更された日を合わせて見るよう書いています(IBM Documentation「Detecting unused objects on the system」)。日付だけで外さず、使っている部署に確かめます。

プログラムは、動いているものと手元のソースが同じかも確かめます。IBM i のプログラムには、作るときに使ったソースの場所と、そのソースの最終更新の日時が記録されていて、今のソースの更新日時と比べれば、作った後にソースが直されていないかが分かります(IBM Documentation「Determining which source file member was used to create an object」)。ソースが見つからないもの、作った後にソースが直されたものは、読む前に分けておきます。IPA のガイドも、ソースコードとドキュメントが食い違うときは、どちらが正しいかを見極めないと、誤った「現行通り」を作ってしまうと注意しています(p.86)。

周りの仕組みも、つなぎ先として数えます。IBM i から落としたデータを Excel のマクロで加工して帳票にしている、といった使い方です。作った人がいないマクロの調べ方は「作った人がいないExcelマクロの引き継ぎ方」に書きました。

データでは、日本語の文字に気をつけます。IBM のサポート情報によると、IBM i の日本語のデータ(EBCDIC の文字コードで、半角と全角が混ざるもの)を、IBM i Access の ODBC などで Unicode に変換すると、円記号や全角・半角のハイフンなど一部の文字が別の文字になり、元に戻しにくいことがあります(IBM「Mixed EBCDIC (DBCS) Conversion Considerations with Unicode」)。外字を使っているかどうかも、IPA のガイドが調べる項目に挙げています(p.41)。

RPGを生成AIで読むときは、プログラムの外にあるものを一緒に渡す

設計書が残っていなくても、ソースがあれば処理の中身は書き起こせます。IPA のガイドは、足りないドキュメントの補い方を、処理の設計の段階はソースコードから作り直し、基本設計から要件の段階は有識者と使っている部門への聞き取りで作り直す、と分けています(p.99)。ソースを読む部分では、生成AIが使えます。私たちも、RPG や CL のプログラムから処理を日本語の仕様に起こす作業では、生成AI(Claude Code)にソースを読ませています。渡す前に消すもの、書き起こさせる形、根拠の行を添えさせる頼み方は、「作った人がいないExcelマクロの引き継ぎ方」で書いたやり方と変わらないので、ここでは IBM i ならではのことだけを書きます。

RPG を生成AIに読ませるときの、渡すものと確かめるもの

一緒に渡す

プログラムの外で決まっているもの

  • 画面・帳票の定義(DDS)
  • DSPPGMREF の一覧
  • CL のライブラリー・リストと OVRDBF
  • ジョブ・スケジュールと、データ域の中身

書き起こしで確かめる

RPG の書き方で抜けやすいもの

  • 書かれていない繰り返し(プログラム・サイクル、1次ファイル・L1〜L9)
  • 01〜99 の標識による分岐と、画面の出し分け
  • (H) の有無による丸めと切り捨て

なぜその条件なのかは、使っている部門に聞いて確かめる

IBM Documentation、IBM「ILE RPG Reference」(7.6)、IPA「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」 p.99〜100 をもとに当社が整理

RPG と CL のソースだけを渡すと、処理を書き起こしきれないことがあります。IBM i のプログラムは、どのファイルを読むか、いつ動くかの一部を、プログラムの外で決めていることがあるからです。次のものを一緒に渡します。

  • 画面と帳票の定義(DDS のソース)。画面の定義では、プログラムが立てる01〜99の番号の標識で、項目を出すかどうかを切り替えられます(IBM Documentation「Condition for display files」)。画面の定義を見ないと、分岐の意味が分からないことがあります。
  • DSPPGMREF の一覧。どのプログラムが、どのファイルを読み書きし、どのプログラムを呼ぶかが分かります。ただし、CL で変数を使って指定したファイルや呼び出し先は変数の名前で載り、RPG/400 のプログラムがローカル・データ域を使っていても、それは載りません(IBM Documentation「Displaying the files used by programs」)。
  • CL のプログラムと、ジョブのライブラリー・リスト。IBM i は、ライブラリーの名前を省いたファイルやプログラムを、ジョブごとのライブラリー・リストで探します(IBM Documentation「Library lists」)。CL の OVRDBF は、呼び出した先のプログラムが開くファイルを、別のファイルに差し替えます(同「Overriding database files in a CL procedure or program」)。同じ名前のファイルが別のライブラリーにあると、RPG のソースだけでは、どれを読んでいるのかが決まりません。
  • ジョブ・スケジュールの一覧と、データ域(*DTAARA)の中身。いつ動くかと、処理に使う値が、プログラムの外に置かれていることがあります。

書き起こしが返ってきたら、RPG の書き方に由来する次の三つが入っているかを、ソースを検索して確かめます。いずれも、IBM i 7.6 の「ILE RPG Reference」で決まりを確かめられます。

  • 書かれていない繰り返し。古い書き方の RPG には、1件ずつ読んで処理し、キーが変わったところで合計を出す流れを、命令として書かずに、言語の決まり(RPG のプログラム・サイクル)で動かしているものがあります。ファイルの定義に1次ファイル(P)の指定があるか、L1〜L9 の標識(区切りの標識)が使われていれば、このサイクルで動いています(p.129・p.146・p.398)。
  • 番号の標識による分岐。01〜99 の標識は、計算の条件にも、画面の項目の出し分けにも使われます(p.566)。どこで標識が立ち、どこで使われるかを追わないと、条件が抜けます。
  • 端数の扱い。RPG の計算は結果を入れる項目の小数の桁に合わせられ、(H)(四捨五入の指定)を付けた計算だけが丸められます。付けていない計算は、桁からあふれた分が切り捨てられます(p.564〜567・p.610)。移し先の言語や製品の丸め方が同じとは限らないので、計算ごとに (H) の有無を書き起こしに残させます。

コードから分かるのは、プログラムが何をするかまでです。なぜその条件なのか、画面の前後で人が何をしているかは、使っている部門に聞いて確かめます。新旧の結果が食い違い、どちらが正しいか誰にも分からない場面も出ます。IPA のガイドは、そうした場合にどう決めるか(決める人と手順)を、企画の段階で決めておくよう書いています(p.100)。差が出たときの理由の分け方は、先の Excel のマクロの記事でも説明しています。

全部移すか、IBM i を残して周りを移すか

周りに Windows Server 2012 R2 のサーバーが残っている場合は、最後の ESU が2026年10月13日までです。載っている業務ごとに移し先を決める手順は「Windows Server 2012 R2 のサポート終了」で解説しています。

移すと決めても、IBM i を一度に全部止めるとは限りません。経済産業省の「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」(2025年5月)は、古い技術で作られたシステムでも、保守の体制が整い、データの連携ができ、仕様がはっきりしていて改良を続けられる作りなら、レガシーシステムとは言えないとしています(本文 p.7)。IBM i で動いていることそのものより、中身を直せる人と、仕様の書かれたものが、この先も残るかどうかを見ます。

IBM i をどこまで残すか

IBM i を残す周りを足す

基幹の処理とデータは IBM i のまま。足りない画面・集計・外とのつなぎを外に作る

続けて要るもの:7.5・7.6 への更新と、中身を直せる人

業務ごとに分ける一部を移す

会計は製品に移し、販売と在庫の処理は IBM i に残してデータで受け渡す、のように業務ごとに分ける

続けて要るもの:移した業務と残した業務のデータの受け渡し

IBM i を止める全部を移す

すべての業務に移し先を用意し、新旧を並べて確かめてから切り替える

続けて要るもの:止めた後に過去のデータを見る場所

当社の整理

三つの形の違いは、残した部分に何が続けて要るかです。IBM i を残して周りを足す形では、IBM i のデータを外の仕組みから読むことになり、IBM i Access の ODBC や JDBC などの手段があります(IBM のサポート情報)。一方で、残した IBM i には版の期限が付いてくるので、7.5・7.6 に上げる計画と組み合わせます。業務ごとに分ける形では、移した業務と残した業務の間で、データの受け渡しが続きます。全部を移す形では、すべての業務に移し先が要り、IBM i を止めた後に過去のデータをどこで見るかも決めます。

どの形にするかは、次の順に確かめると決めやすくなります。まず、延長サポートの最後の日までに、全部を移し終えられるか。次に、IBM i の中の処理を直せる人が、その先も社内か保守の会社にいるか。最後に、困っているのが周り(画面・帳票・外とのつなぎ)なのか、中身(計算や業務の流れ)なのか。困っているのが周りだけなら、IBM i を残して周りを足す形でも応えられますが、中身を直せる人がいない問題はそのまま残ります。

移し先の型と、新旧を並べて確かめる期間

古い仕組みを止める前に過去のデータを移し、経理が毎月作ってきた報告書の数字と突き合わせて確かめる進め方を、会計の仕組みで決めた例は、導入事例「会計システムの移行支援」で紹介しています。

移し先の型の呼び方は、会社や本によって違います。IPA のガイドは、今のシステムを全部か大部分引き継ぐ場合の手法として、パッケージ製品の利用と、ハードウェア更改・リホスト・リライト・リビルドを挙げ、後の四つを、今のシステムのどの段階の設計を引き継ぐかで分けています(p.23〜24)。今のシステムを引き継がずに全面的に作り変える場合は、ガイドの対象の外です。

手法(IPA の分け方)中身今のシステムから引き継ぐもの
ハードウェア更改機械を入れ替える。OS やミドルウェアの版が変わる影響で、プログラムを直すこともある要件・設計・プログラム(版の変更に合わせて直す)
リホストプログラムを今と同じ言語のまま、原則そのまま新しい基盤へ移す要件・設計・プログラム(基盤の変更に合わせて直す)
リライト今のプログラムの設計書をもとに、別の言語でプログラムを作る要件と設計(プログラムは作り直す)
リビルド今の要件定義書をもとに、業務の要件は変えずに作り変える要件(設計とプログラムは作り直す)
パッケージ製品の利用製品の標準の機能をできるだけそのまま使い、足りない部分を拡張する業務の要件(製品に合わない部分は、業務を見直すか拡張する)

IPA「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」p.23〜25 をもとに整理しました。ガイド自身も、これらの呼び方の定義は企業や書籍によって異なると断っています。

IBM i で 7.5・7.6 に上げて Power の機械を入れ替えるのは、この分け方ではハードウェア更改に当たります。IBM のクラウド(IBM Power Virtual Server)に IBM i を移す場合も、動かすのは IBM i の版の一つで、IBM のクラウドの手引きも 7.3〜7.6 の版ごとに当てる修正(PTF)を挙げています(IBM Cloud Docs「Minimum PTF levels for IBM i」)。置き場所を変えても、どの版で動かすかは、ここまでの期限を見て決めます。

製品に置き換える場合について、経済産業省の総括レポートは、経営資源の限られる中堅・中小企業は作り込み(スクラッチ開発)を避け、パッケージや SaaS を原則とすべきだとしています(p.34)。IPA のガイドは、製品を使う場合、企画・計画の段階で今の業務に対する Fit&Gap(製品の標準の機能に合う部分と合わない部分の見極め)と利用部門への確認をしておかないと、始めてから製品を拡張する量が増え、費用と期間が膨らむと注意しています(p.25)。どの型を選ぶにしても、最初に数えた一覧が、見積もりの前提と、製品に合わない部分を洗い出す材料になります。

切り替えの前には、どの型でも、同じデータで新旧を動かして結果を比べます(IPA のガイドの言い方では現新比較テスト)。比べる中心は、画面の見た目より、締めで出る帳票とデータです。締めを含む月の入力で、旧の IBM i と新しい仕組みの両方から帳票とデータを出し、件数と合計を突き合わせ、差の理由がすべて説明できてから切り替えます。IBM i を止めた後も、過去のデータを見る場所は残しておきます。

新旧を同じ月のデータで動かし、締めの帳票で突き合わせる

締めを含む月の入力新旧に同じデータを入れる
旧と新の両方で出す帳票とデータを両方から出す
件数と合計を突き合わせる差の理由を一つずつ分ける

差の理由がすべて説明できてから切り替える。IBM i を止めた後も、過去のデータを見る場所を残す

どちらが正しいか分からない差は、決める人と手順を先に決めておく

IPA「システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版」 p.100 をもとに当社が整理

Aurant Technologies では、IBM i を含む基幹システムについて、中身の棚卸しから、業務ごとの移し先の選択、周りのシステムとデータの移行、新旧の突き合わせまでを受け持っています。IBM i の移し方の型を整理した資料「AS/400 (IBM i) モダナイゼーション 2026」と、棚卸しから並行稼働までの進め方をまとめた「基幹システムの刷新・レガシー移行の相談」のページもあわせてご覧ください。

基幹システムの刷新・移行

ERP・AS/400(IBM i)・Access・FileMaker・SQL Server・Notes などで動く基幹業務の移行と刷新を、今の仕組みの棚卸しから、移し先の選び方、新旧の並行稼働まで支援します。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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