Microsoft 365 のバックアップは要るか|ごみ箱・保持ポリシーで戻せる期間と、Microsoft 365 Backup(1GB あたり月0.15ドル)が要る場面

Microsoft 365 の標準機能(ごみ箱・バージョン履歴・保持ポリシー)で戻せる期間は、メールの完全削除が既定14日、アカウント削除後が30日、SharePoint のごみ箱が93日です。期限を過ぎたものと、多数のサイトが壊れたときの一括復旧には、Microsoft 365 Backup(保護した容量に1GB あたり月0.15ドル、復元は無料)があります。退職者のメール、誤削除、ランサムウェアの順に、標準で足りる範囲を Microsoft の公式情報で整理しました。

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この記事の要点

  1. Microsoft 365 の標準機能(ごみ箱・バージョン履歴・保持ポリシー)で、誤削除の多くは期限内なら戻せる。ただし期限は短い(メールの完全削除は既定14日、アカウント削除後は30日、SharePoint のごみ箱は93日)。期限を過ぎたもの、ランサムウェアで多数のサイトやメールボックスが壊れた場合の一括復旧は、標準機能では足りなくなる。
  2. その先の公式の選択肢が Microsoft 365 Backup。保護した容量に、定価で1GBあたり月0.15ドルがかかり、復元は無料。回復ウィンドウは3か月〜2年で選べる(既定は1年)。使うには Azure サブスクリプションでの従量課金の設定が要る。
  3. 要るかどうかは、失うと困るものから決める。退職者のメール・OneDrive、期限を過ぎた誤削除、ランサムウェアの順に、標準機能で足りる範囲と足りない所を表にした。他社製品は、Microsoft の外にもコピーを持つ必要があるときに調べる。

標準機能で戻せる期間と、Microsoft 365 Backup の回復ウィンドウ(日数)

棒の長さは日数。Backup の回復ウィンドウは3か月・6か月・1年・2年から選び、既定は1年。メールの完全削除は最大30日まで延ばせ、退職者の OneDrive は30〜3650日で設定できる

メールを完全に削除したあと(回復可能なアイテム)既定14日
OneDrive 全体を過去へ戻す(OneDrive の復元)過去30日
退職者の OneDrive(既定の保持)既定30日
アカウントを削除したあとのメールボックス30日
SharePoint のごみ箱(2段階の合計)93日
Microsoft 365 Backup(既定の回復ウィンドウ)既定1年

出典:Microsoft Learn「Exchange Online メールボックスの完全に削除したアイテムの保持期間を変更する」「サイト コレクションのごみ箱から削除したアイテムを復元する」「削除された OneDrive を復元する」「Exchange Online のメールボックスの削除と復元」「Microsoft 365 バックアップの概要」、Microsoft サポート「OneDrive を以前の状態に復元する」(2026年10月4日確認)

経営から「ランサムウェアや誤削除に備えているか」と聞かれたときの答えは、標準機能で戻せる範囲と、戻せない範囲を分けて言うことです。Microsoft 365 には、ごみ箱・バージョン履歴・保持ポリシーが標準で付いています。誤って消したファイルやメールは、期限の中なら戻せます。ただし期限は短く、メールの完全削除は既定で14日、アカウントを消したあとは30日、SharePoint のごみ箱は93日です(2026年10月4日にMicrosoft Learnなどで確認)。

その先を埋める Microsoft 公式の道具が、Microsoft 365 Backupです。保護した SharePoint サイト、OneDrive、Exchange メールボックスの容量に、定価で1GBあたり月0.15ドルがかかり、復元は無料です(価格モデル)。この記事では、標準で足りる場面と足りない場面、Microsoft 365 Backup の仕組みと課金の数え方、他社製品を調べる場面を、失うと困るものから順に整理します。

関係する話は別の記事で扱っています。Microsoft 365 のライセンス価格の見直しはMicrosoft 365 の価格改定の記事、Google Workspace 側の退職者データは退職者の Gmail・Workspace データ引き継ぎの記事、取引先との共有の設定はSharePoint・OneDrive の外部共有の記事にあります。この記事は、Microsoft 365 のデータを「期限の後も戻せる状態で持つか」を決める話に絞ります。

標準の機能で戻せるのは、いつまでか

標準で戻せる期間は、データの種類と、何が起きたかで変わります。次の表は、確かめた公式ページに書かれている期限だけを並べたものです。期限は設定で延ばせるものと、延ばせないものがあります。

標準の機能で戻せる範囲(2026年10月4日確認)
起きたこと戻す場所と期限期限を過ぎる・上限を超えるとき
メールを完全に削除した回復可能なアイテム フォルダーから。既定で14日、最大30日まで延ばせる(Microsoft Learn)15日目以降(延ばしていれば最大30日まで)は戻せない。訴訟ホールドをかけたメールボックスは、この期限の制限を受けない
SharePoint・OneDrive のファイルを削除したサイトのごみ箱、続けてサイト コレクションのごみ箱。削除から93日(Microsoft Learn)サイト コレクションのごみ箱が容量の上限を超えたとき、管理者が手で消したときは、93日より前に消える
OneDrive が暗号化された・大量に壊れた「OneDrive の復元」で、過去30日の任意の時点に戻す。ランサムウェアが自動検出されると、推奨日が入る(Microsoft サポート)30日を超える過去へは戻せない。戻すのは OneDrive 1つ単位
ファイルを上書きした・古い版に戻したいバージョン履歴から(Microsoft Learn)版の数や期間の上限を超えた版は完全に削除され、ごみ箱から戻せない
退職者の OneDrive を消したユーザーの削除から、既定30日は他の人が移動できる(30〜3650日で設定。Microsoft Learn)。その後93日は削除済みの状態で、SharePoint 管理者だけが PowerShell で復元できる(Microsoft Learn)93日を過ぎると復元できる記述は、確かめた公式ページに無い
退職者のアカウントを消した(メールボックス)Microsoft 365 管理センターでアカウントを復元する。30日以内(Microsoft Learn)30日後は完全に削除され、回復できない。ライセンスを外した場合も、データは30日保持される
サイト全体を戻したいが、ごみ箱では戻らないMicrosoft サポートに依頼。実際の削除から14日以内(Microsoft Learn)サイト コレクション単位だけで、特定のファイル・リスト・ライブラリは戻せない

表のうち、見落としやすいのは次の3点です。SharePoint のごみ箱の93日は、1段目のごみ箱で過ごした日数も含みます。サイト コレクションのごみ箱は、容量の上限を超えると古いものから消え、管理者が手で消すこともできます。バージョン履歴は、設定した上限を超えた古い版を、ごみ箱を通さずに完全に削除します。

退職者のデータは、期限が短いまま動き出す点が最も危うい所です。メールボックスは削除から30日で完全に消え、OneDrive は既定30日を過ぎると、SharePoint 管理者だけの復元に変わります(Microsoft Learn「ユーザーの削除」)。引き継ぎが月をまたぐ会社では、この30日が実際の日数と合っているかを、先に確かめておく価値があります。

標準機能で足りるかどうかの判断は、Microsoft 365 の設定と運用の両方を見て決めます。Aurant Technologies では、Microsoft 365・Google Workspace の利用支援で、保持期間とバージョンの上限の見直しから相談を受けています。

保持ポリシーとホールドは、戻す道具ではなく残す道具

「保持ポリシーを入れているから大丈夫」と考えられていることがあります。保持ポリシーは、Exchange・SharePoint・OneDrive・Teams などのコンテンツを、無期限に、または決めた期間、残すための仕組みです(Microsoft Learn)。SharePoint と OneDrive では、保持の対象のファイルが変更・削除されると、元の内容が保持ライブラリという非表示の場所にコピーされます(Microsoft Learn)。保持の対象のアイテムでは、ライブラリの版の上限も無視されます(Microsoft Learn)。

戻す・残す・まとめて戻すは、別の道具

本人・管理者が1件ずつ戻すごみ箱・バージョン履歴

削除や上書きを、期限の中で1件ずつ戻す。期限と版の上限は設定で変わる

版の上限を超えた古い版は完全に削除され、ごみ箱から戻せない(Microsoft Learn)

残す保持ポリシー・ホールド

変更・削除されても元の内容を残す。SharePoint・OneDrive では、非表示の保持ライブラリにコピーが入る

Microsoft の Backup の質問ページは、ホールドは取り出し(エクスポート)向けで、一括復元には向かないと書いている

管理者がまとめて戻すMicrosoft 365 Backup

選んだサイト・OneDrive・メールボックスを、指定した時点まで戻す。保護した容量に課金される

管理者だけが作成・復元できる。エンドユーザーは有効にも復元にも使えない

出典:Microsoft Learn「バージョン履歴の制限の概要」、「SharePoint と OneDrive のアイテム保持ポリシー」、「Microsoft 365 バックアップについてよく寄せられる質問」、「Microsoft 365 バックアップを設定する」(2026年10月4日確認)

ただし、残ることと、元の姿に戻せることは別です。Microsoft 自身が Backup の質問ページで、法的なホールドはデータを保持するが、エクスポート向けに作られていて、大規模なランサムウェアや誤削除の一括復元には向かないと書いています。バージョンについても、管理者が復旧を調整する大規模な被害には向かず、設定した上限で使い切ることがあると説明しています(Microsoft Learn)。

退職者のメールを残したいときは、アカウントを消す前に保留をかけます。保留がかかったままアカウントを削除したメールボックスは、非アクティブなメールボックスになり、保留の期間は読める状態で残ります。保留が無いまま消すと、30日で完全に削除されます(Microsoft Learn)。これは「残す」ための設計で、ファイルやサイトを誤削除の前の状態へ戻す機能ではありません。

Microsoft 365 Backup:何が戻り、いくらかかるか

Microsoft 365 Backup は、すべて、または選んだ SharePoint サイト、OneDrive アカウント、Exchange メールボックスをバックアップします。復元は、Microsoft 365 管理センターから、選んだ時点へ戻す形です(Microsoft Learn)。バックアップは、保護されたサービスのデータ境界の内側に作られ、データは Microsoft 365 のデータ信頼の境界の外へ出ません。追加専用のストレージに書かれ、Purview などの保持・削除ポリシーは、バックアップの回復ウィンドウに影響しません。

対象ごとの回復ポイントと戻し方

OneDrive

アカウント単位で守る

  • 過去2週間は10分間隔、2〜52週前は週次の復元ポイント
  • 復元は前の時点へのロールバック。その時点以降の内容は上書きされる
  • 場所は元の URL でも新しい URL でもよい

回復ウィンドウ:3か月・6か月・1年・2年から選ぶ(既定1年)

SharePoint

サイト単位で守る

  • OneDrive と同じ復元ポイント
  • サイト全体をロールバックし、その時点以降の内容とメタデータを上書きする
  • 場所は元の URL でも新しい URL でもよい

回復ウィンドウ:3か月・6か月・1年・2年から選ぶ(既定1年)

Exchange Online

メールボックス単位で守る

  • 過去52週間は10分の復元ポイント
  • メール・連絡先・予定表・タスクを、検索して項目単位でも戻せる
  • 戻すのは、前の時点から変更・削除されたアイテムだけ

戻す先:ユーザーのメールボックスの同じフォルダーか新しいフォルダー

出典:Microsoft Learn「Microsoft 365 バックアップの概要」(2026年10月4日確認)

使うには、Azure サブスクリプションを従量課金に結び付ける設定が要ります。設定とバックアップの作成ができるのは、SharePoint 管理者かグローバル管理者で、エンドユーザーはバックアップも復元も有効にできません(Microsoft Learn)。Azure は支払いの窓口で、定価の使用料のほかに、Azure の API やストレージの費用はかからないと書かれています(Microsoft Learn)。

課金されるのは、バックアップに追加した容量です。画面に見えているサイト・OneDrive・メールボックスの大きさ(サイトの1段目のごみ箱を含む)と、回復のために残している削除済みデータやバージョン管理されたデータの合計になります。2段目のごみ箱の削除済みデータや、メールボックスの削除済みアイテムが入るので、削除して小さくした月も、請求はすぐには下がりません。Learn の例では、サイト1GB(第2段階のごみ箱に0.5GB)とメールボックス1GB(オンライン アーカイブ1GB)で、課金の対象は3.5GBです。

課金される容量の数え方(Learn の例)

削除して小さくしたあとも、削除済みのデータは回復ウィンドウが過ぎるまで課金の対象に残る

保護するサイト1 GB
サイトの第2段階のごみ箱にある削除済みデータ0.5 GB
保護するメールボックス1 GB
そのメールボックスのオンライン アーカイブ1 GB
課金の対象になる合計3.5 GB

出典:Microsoft Learn「Microsoft 365 バックアップの価格モデル」(2026年10月4日確認)

復元ポイントの頻度を減らしても、料金は変わりません。保護から外した OneDrive やサイトは、外した時点の大きさが使われ、外したあとに費用が増えることはありません(Microsoft Learn)。容量別の定価は、掛け算で見積れます。100GB なら15ドル、500GB なら75ドル、1,000GB なら150ドル、5,000GB なら750ドルです。

保護する容量と、1か月の定価(ドル)

定価の0.15ドル/GB/月に容量を掛けただけの計算。データの増減、削除済みデータ、円換算は含まない

100 GB15 ドル
500 GB75 ドル
1,000 GB150 ドル
5,000 GB750 ドル

定価はMicrosoft Learn「Microsoft 365 バックアップの価格モデル」。掛け算は当社の計算(検算済み)(2026年10月4日確認)

Microsoft は、見積り用の Excel の料金計算ツールを公開しています。保護するストレージの割合を入力する形で、12か月分の見積りが出ます。データの増加と、データの入れ替わりは含まれません。第2段階のごみ箱の大きさは、管理センターの使用状況レポートに出ないため、PowerShell(Get-PnPRecycleBinItem -SecondStage)で取ります。Exchange のオンライン アーカイブは Get-MailboxStatistics です(Microsoft Learn)。

退職者との関係では、Microsoft Entra ID からユーザーを削除しても、OneDrive とメールボックスのバックアップは、バックアップを作った日から1年間残ります。バックアップ ポリシーから外したときも同じです。SharePoint サイトは、復元ポイントが作られた時点から52週間です。ユーザーの削除前から保護の対象にしてあった場合の話で、後から入れても、すでに消えたデータは戻りません(Microsoft Learn)。

復元にかかる時間(Microsoft の公表値)

Microsoft が示す中央値の期待値です。OneDrive と SharePoint は「高速」復元ポイントを使った場合の数字で、標準の復元ポイントでは特に小さな復元で大きく時間がかかることがあります。1,000件以上の値は、サイトあたり平均12GBなどの内部ベンチマークに基づきます。実際の時間はアイテムの数とサイズで変わります(Microsoft Learn)。

  • 保護ユニット1件:OneDrive・SharePoint は30分、Exchange Online は2時間
  • 50件:OneDrive・SharePoint は3時間、Exchange Online は2.5時間
  • 250件:OneDrive・SharePoint は4時間、Exchange Online は3時間
  • 1,000件以上:OneDrive・SharePoint は1時間に最大250件、Exchange Online は4時間
対象外のサイトと、バックアップの消し方・通知
  • バックアップできない SharePoint サイトのテンプレートがある:SharePoint Embedded コンテナー、レビュー センター、ポリシー センター、テナント管理サイト、MySite Host(Microsoft Learn)
  • バックアップの削除はブロックされない。オフボードしてから最大90日は、バックアップを回復できる(Microsoft Learn)
  • バックアップの無効化、保護ユニットの削除、オフボードなどは、通知リスト(最大20人。配布リストとセキュリティ グループも可)にメールで届く。複数の管理者への通知を有効にするよう勧められている(Microsoft Learn)

Microsoft 365 Backup の基盤の上で動く、パートナー(独立系ソフトウェア会社)のアプリケーションもあります。操作と支払いはパートナーのアプリで完結し、Microsoft から別の請求は来ません(Microsoft Learn)。

他社製品を調べるのは、どんなときか

他社のバックアップ製品の料金と機能は、公式の情報を確かめていないため、この記事では書きません。確かめられたのは、Microsoft 365 Backup の側の事実です。対象として書かれているのは SharePoint・OneDrive・Exchange の3つで、バックアップは Microsoft 365 の境界の内側にできます。ここから先は当社の整理ですが、調べる場面は次の4つの問いで分かれます。

Microsoft 365 Backup や他社製品を調べるかどうかの分かれ目

当社の整理(Microsoft の判断基準ではない)

1

戻したいものは、SharePoint・OneDrive・Exchange のデータか

Microsoft 365 Backup の対象として書かれているのはこの3つ。Teams のチャットやほかのサービスの扱いは、この記事では確かめていない

2

ランサムウェアや誤操作で、多数のサイトやメールボックスを、管理者がまとめて戻す場面を想定するか

標準のごみ箱とバージョン履歴は、1件ずつ・1人ずつ戻す道具

3

標準の期限(14日・30日・93日)を過ぎたデータを、戻せる状態で持っておく必要があるか

退職者のデータや、気づくのが遅れる誤削除

4

バックアップを Microsoft の外にも置く決まりがあるか

Microsoft 365 Backup は、データが Microsoft 365 の境界の外へ出ない作り

どれかに当てはまるMicrosoft 365 Backup か他社製品を、容量と見積りで比べる段階
どれにも当てはまらない標準機能と保持の設定で足りる可能性が高い。期限と版の上限だけ見直す

出典:Microsoft Learn「Microsoft 365 バックアップの概要」(2026年10月4日確認)

どれにも当てはまらない場合は、標準機能の設定の見直しで済むことがあります。メールの削除済みアイテムの保持を30日に延ばす、退職者の OneDrive の保持日数を引き継ぎの実日数に合わせる、重要なライブラリの版の上限を上げる、の3つは、設定の変更で行える見直しです。

失うと困るものから選ぶ:退職者のメール・誤削除・ランサムウェア

ここまでを、失うと困るものの側から並べ直しました。左の列から、自社で起きると困る順に見ていきます。右の列の「次に決めること」は当社の整理で、Microsoft の推奨ではありません。

失うと困るものから選ぶ
失うと困るもの標準で足りる範囲足りなくなる所次に決めること(当社の整理)
退職者のメールアカウントを消してから30日以内なら、アカウントごと復元できる(Microsoft Learn)31日目以降は完全に削除される。後から読む必要があるメールも消える消す前に、残す期間を決めて保留をかける。保留をかけてから削除すると、非アクティブなメールボックスになり、保持期間は残る(Microsoft Learn)
退職者の OneDrive既定30日は他の人が移せる。延ばす設定もある(Microsoft Learn)期間が終わると、SharePoint 管理者の PowerShell による復元に変わる削除の前に、引き継ぐ人とファイルの移動を終える。保持日数を、引き継ぎにかかる実際の日数に合わせる
ファイルの誤削除(1〜数件)ごみ箱の93日で戻せる範囲気づくのが93日より遅い、またはごみ箱が空にされた気づくまでの日数が93日を超えうる業務のファイルだけ、Backup を考える
メールの誤削除完全削除後14日(最大30日まで延ばせる)15日目以降の削除30日に延ばす設定の要否を決める。経営や法務のメールボックスは別扱い
ファイルの上書き・古い版バージョン履歴から戻せる版の上限を超えると、古い版はごみ箱にも入らず消えるライブラリごとの版の上限を確認する。重要なライブラリは上限を引き上げる
ランサムウェア(1人の OneDrive)OneDrive の復元で過去30日の時点へ戻せる(Microsoft サポート)気づくのが30日より遅い。複数人が同時に被害を受けると、1つずつの操作になる被害の範囲が1人で収まるかどうかを、想定の場面で考える
ランサムウェア(多数のサイト・メールボックス)ごみ箱・バージョンは個人向けの復旧手段。Microsoft は、管理者が調整する大規模な復旧には向かないと書く(Microsoft Learn)全部のサイトを、1つずつ戻す作業になるここが Microsoft 365 Backup の想定する場面。保護する範囲と容量を測る
法令・契約で残す必要があるもの保持ポリシー・保持ラベル・ホールドで残す(Microsoft Learn)残すことはできても、一括で戻す道具ではない残す期間と範囲を、Backup とは別に決める

表の「足りなくなる所」が、自社で起きると困る行に当てはまらなければ、標準機能の設定の見直しで足ります。当てはまる行があれば、そのデータが何GBあるかを測ると、先の掛け算で1か月の定価が出ます。

入れると決めたら、容量を測るところから

入れる場合の順番は、料金の数え方と設定の手順から決まります。最初に測るのは、保護したい範囲の容量です。保護する割合を決め、計算ツールで見積り、Azure と管理者ロールを用意し、ポリシーと通知を作ります。複数の管理者への通知は、有害になりうる操作(バックアップの無効化、保護ユニットの削除など)に気づくために、Microsoft が強く勧めています(Microsoft Learn)。

入れると決めたときの進め方

容量を測る使用状況レポートと、第2段階のごみ箱・アーカイブは PowerShell で
保護する範囲を決める全部か一部か。課金は保護したものだけ
計算ツールで見積るMicrosoft の Excel の料金計算ツール
Azure と管理者を用意するサブスクリプション・従量課金の設定・管理者ロール
ポリシーと通知を作るOneDrive・SharePoint・Exchange のポリシー。通知は複数の管理者へ
復元を一度試す当社の整理。本番の障害の前に、手順と所要時間を見ておく

出典:Microsoft Learn「Microsoft 365 バックアップの価格モデル」、「Microsoft 365 バックアップを設定する」。6の「試す」は当社の整理(2026年10月4日確認)

この記事で確かめられなかったこと
  • 他社製品の料金と機能:公式の情報を確かめていないため、この記事では取り上げない
  • Teams のチャット、Entra ID の設定など、SharePoint・OneDrive・Exchange 以外が Microsoft 365 Backup の対象かどうか:概要ページは3つを対象に挙げている
  • ドルの定価を円に換算した請求額と、日本向けの請求の細かい条件
  • ファイル単位の復元:概要ページには「バージョンによって復元可能なファイル(近日公開予定)」の注記と、フォルダー・ファイルの復元は数分という説明が並ぶ。使える範囲は、設定画面で確かめる
  • 保持ポリシーを使えるライセンスの範囲、バージョン履歴の既定の版数:この記事では確かめていない
  • Microsoft の Backup の概要ページの更新日は2026年8月22日、質問ページは9月30日。仕様は動くため、使う前に最新の版を見る

標準機能の設定の見直しから、Microsoft 365 Backup を入れるかどうかの検討まで、Aurant Technologies のMicrosoft 365・Google Workspace の利用支援と、移行と設定のスポット相談で受けています。

Microsoft 365・Google Workspace の移行と設定のスポット相談

メールの移行、ドメインとDNS、共有アドレスや代理人の権限、新しいOutlookへの切り替え、Copilot・Geminiを使うときの社内ルール。調べた手順で直らないとき、同じことが何人もで起きているときに、いま困っていることを1件から相談できます。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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