kintone で取引先の重複をまとめる進め方|表記ゆれの組を数えてから1社に寄せ、入口で止める

kintone の取引先アプリの重複をまとめる進め方です。名前の書き方をそろえた「照らすための名前」で候補の組を数え、電話番号で同じ会社かを判定してから残す1件に寄せ、受注の取引先名をファイルの読み込みの更新キーで付け替えます。当社の検証用の kintone で、同じ名前を含む16通りの名前を足して試すと、重複禁止で保存が止まったのは完全に同じ名前と後ろに半角の空白が付いた名前の2通り(各1回)だったので、最後に受注の取引先をルックアップで選ぶ形に変えます。

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取引先名の欄に[値の重複を禁止する]を付ければ、表記ゆれの重複は入らなくなる。そう考えて当社の検証用の kintone で試すと、もとの名前がある所に、同じ名前やゆれた名前を1つずつ足して保存した16通り(各1回)のうち、止まったのは2通りでした。しかも、すでに重複が残っている取引先アプリでは、その設定を付けること自体がエラーで止まりました。

入口を閉じる前に要るのは、もう割れている取引先を数えて寄せることです。受注が取引先名を文字で持っていると、割れたままの数え方が、取引先別の売上の上位の並びまで変えていました。4月から9月までの受注1,000件で、寄せる前と後の上位10社を並べたのが次の図です。

名寄せの前と後の、取引先別の売上の上位10社。寄せる前は1位 株式会社参考建設 4,520,000円(名前が同じ別の会社2社の合計。分けると大阪14位・東京36位)、2位 株式会社演習物流 3,810,000円(同じく2社の合計。北海道19位前後・福岡66位前後)、5位 例題食品株式会社 3,320,000円(株式会社例題食品 620,000円にも割れていた)。寄せた後は1位 株式会社例題食品 3,940,000円、2位以下は図案製作所・下書き設備・素案電子・模型商会・下書き産業・素案産業・モック運輸、9位 有限会社素案商会(前は11位)、10位 株式会社素案製菓(前は12位)。雛形精機(判定「分からない」)と旧社名の想定土木株式会社は寄せていない名寄せの前と後の、取引先別の売上の上位10社。寄せる前は1位 株式会社参考建設 4,520,000円(名前が同じ別の会社2社の合計。分けると大阪14位・東京36位)、2位 株式会社演習物流 3,810,000円(同じく2社の合計。北海道19位前後・福岡66位前後)、5位 例題食品株式会社 3,320,000円(株式会社例題食品 620,000円にも割れていた)。寄せた後は1位 株式会社例題食品 3,940,000円、2位以下は図案製作所・下書き設備・素案電子・模型商会・下書き産業・素案産業・モック運輸、9位 有限会社素案商会(前は11位)、10位 株式会社素案製菓(前は12位)。雛形精機(判定「分からない」)と旧社名の想定土木株式会社は寄せていない
寄せる前の上位10のうち、1位と2位は名前が同じ別の会社2社の合計、5位は1社が割れた片方だった

寄せる前の1位、株式会社参考建設の4,520,000円は、東京都と大阪府にある名前が同じ別の会社2社の合計で、分けるとどちらも上位10の外に出ました。2位の演習物流も同じです。5位の例題食品株式会社は、同じ会社が「株式会社例題食品」でも登録されていた片方で、そちらの620,000円と合わせると1位になりました。kintone の表は名前の書き方ごとに1行を作るので、受注にある取引先名123種類に対して、表の行は121でした。2つ少ないのは、後ろに半角の空白が付いた名前が空白の無い名前と同じ行にまとめられたためと見られ、前に全角の空白が付いた名前や、間に空白がある名前は別の行のままでした。

図も写真も、2026年10月に当社の検証用の kintone で、取引先127件・受注1,000件の2つのアプリを使い、数える・判定する・寄せる・付け替える・照らす・入口を変える、を一通り通したときのものです。入口の作り替えは、この順番の最後に回します。社名・電話番号・金額は、表記ゆれと名前が同じ別の会社が混ざるように作った架空のもので、実在の会社とは関係がなく、特定の会社の売上を大きくするような偏りも付けていません。書いているのは、kintone のアプリ設計と、会計ソフトなどほかのシステムとのデータ連携を支援している当社です。

先に「同じ会社」とみなす決まりを書き、取引先アプリに寄せた後の印を足す

最初に決めるのは、どの条件がそろえば同じ会社とみなすかです。名前だけでは決めません。名前が同じでも別の会社はあり、書き方が違っても同じ会社はあるからです。名前のほかに、電話番号や住所のように会社ごとに違う項目を1つ選びます。この記事の例では電話番号を使いました。

あわせて、決まりに当てはまらないときの扱いも書いておきます。当社の進め方では、次の3つに分けます。

  1. 照らすための名前(次の節で作る列)が同じで、電話番号も同じ:同じ会社。1件を残し、ほかは残す1件に寄せる。
  2. 照らすための名前は同じだが、電話番号が違う:別の会社。両方を残し、名前に地域名などを足して見分けられるようにする(例:株式会社参考建設(東京)と株式会社参考建設(大阪))。
  3. 電話番号が空などで決められない:自動では寄せない。人が確かめるまで、そのまま残す。

寄せるときは、取引先のレコードを消しません。取引先アプリに「状態」(有効・統合済み)と「統合先コード」の2つの欄を足し、寄せた側を統合済みにして、残した1件の取引先コードを統合先コードに入れます。どの取引先がどこへ寄ったかが取引先アプリの中に残るので、それがそのまま対応表になります。受注などのアプリや、会計ソフトなどほかのシステムが古い取引先を指していても、統合先コードをたどれば行き先が分かります。この記事の例では、照らすための名前と、判定(同じ会社・別の会社・分からない)の欄も足しました。

取引先を見分けるキーは、取引先コード(文字列1行で、値の重複を禁止)にします。kintone ヘルプの「ファイルからレコードのデータをアプリに読み込む」によれば、ファイルの読み込みで使う更新キーは、レコード番号以外なら[値の重複を禁止する]が有効なフィールドでなければなりません。判定を戻すときも、受注を付け替えるときも、この更新キーを使います。

一方、取引先名のほうには、重複が残っているうちは重複禁止を付けられません。取引先名に[値の重複を禁止する]を付けてアプリを更新しようとすると、次の帯で止まりました。

アプリの設定画面の上に赤い帯で「処理に失敗しました。(エラーの内容:GAIA_UN35: 値が重複しているレコードがあるため、フィールド「取引先名」に「値の重複を禁止する」を設定できません。)」と出ている赤い帯の文を3段に分けたもの。「処理に失敗しました。(エラーの内容:GAIA_UN35: 値が重複しているレコードがあるため、フィールド「取引先名」に「値の重複を禁止する」を設定できません。)」
①取引先名に重複禁止を付けて[アプリを更新]を押したときの帯。どのレコードが重なっているかは出ない

エラーの文には、どのレコードが重なっているかは出ません。このエラーについての kintone ヘルプ(記事番号 040170)は、表のグラフで値ごとのレコード数を数えて2以上の値を探す方法を挙げ、重複するレコードがなくなれば設定できるようになる、としています。ただ、そのグラフで見つかるのは同じ値として数えられた重複で、表記ゆれの組は次の節の照らすための名前で数えます。また、この記事の進め方は寄せた側を消さずに統合済みとして残すので、寄せた後も同じ名前のレコードが残り、取引先名には重複禁止が付かない見込みです(試していません)。だから入口は、取引先名の重複禁止ではなく、最後の節で受注の側に作ります。

名前の書き方をそろえた「照らすための名前」で、候補の組を数える

取引先の一覧を名前の順に並べても、同じ会社が隣り合うとは限りません。下の一覧では、前に空白が付いた名前が先頭に、(株)で始まる名前が最後に並んでいます。

取引先の一覧(名前順)。取引先名に架空物産・仮設電機・見本商事を含む9件で、先頭に前に全角空白が付いた「株式会社架空物産」、間に空白がある「株式会社 仮設電機」、最後に「(株)見本商事」が並ぶ。状態はすべて有効取引先名と地域の列だけを切り出したもの。前に全角空白が付いた「株式会社架空物産」が先頭、「(株)見本商事」が最後に並ぶ
3社にあたる9件を名前の順に並べた一覧。①の取引先名は、空白や(株)の違いでそれぞれ別の値になっている

そこで、名前の書き方を同じ規則でそろえた列を1本作ります。これを照らすための名前と呼びます。規則は4つで、この順に当てます。

  1. 全角の英数字・かっこ・空白を半角にそろえる。
  2. 空白をすべて取る(前・後ろ・間)。
  3. 株式会社・有限会社・合同会社と、その略記((株)・(有)・(同)・㈱・㈲)を取る。法人格が前か後ろか、略記かどうかの違いが、これでまとめて消えます。
  4. 英字を小文字にする。

この列は kintone の中では作りません。kintone ヘルプの「演算子と関数の一覧」に並ぶ関数は SUM・YEN・DATE_FORMAT・IF・AND・OR・NOT・ROUND・ROUNDDOWN・ROUNDUP・CONTAINS の11個で、文字を置き換えたり空白を取ったりする関数はありません。取引先の一覧で右上の[オプション]から[ファイルに書き出す]を選び、[先頭行を項目名にする]のまま、取引先コード・取引先名・地域・電話番号を書き出して、表計算で作ります。

開いたときの崩れも先に見ておきます。ヘルプによれば、書き出すときの文字コードと区切り文字は書き出しの画面で選べ、Excel で開くならカンマがすすめられています。Shift_JIS・カンマ区切りの CSV を手元で作り、当社の Excel でそのまま開くと、取引先名の前後や間の空白は残りましたが、ハイフンの無い数字だけの電話番号(05200000001)は数値として読まれ、先頭の0が落ちて、既定の列幅では「5.2E+09」と出ました。次の節の電話番号をそろえる式に、数値になった 5200000001 とハイフン付きの 052-0000-0001 を通すと、「5200000001」と「05200000001」の別の値になりました。数字だけの番号とハイフン付きの番号が混ざった列では、同じ会社の番号が、判定の式に別の番号として渡ります。kintone ヘルプ「電話番号や数値の先頭にある「0」が消えてしまう」(記事番号 040788)は、CSV を Excel で開くときはテキストデータとしてインポートし、「0」から始まる数値の列のデータ形式を[文字列]にするよう書いています。当社はこの開き方は試していないので、開いた後に先頭の0が残っているかを確かめてから進めます。

書き出したファイルの1行目が見出しで、A列が取引先コード、B列が取引先名、C列が地域、D列が電話番号なら、E2 に次の式を入れて下へ写します。

=LOWER(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(ASC(B2)," ",""),"株式会社",""),"有限会社",""),"合同会社",""),"(株)",""),"(有)",""),"(同)",""),"㈱",""),"㈲",""))

ASC が全角を半角にし、内側から順に SUBSTITUTE が空白と法人格を取り、最後に LOWER が小文字にします。ASC は全角のカタカナも半角にするので、照らすための名前のカタカナは半角になりますが、照らすためだけの列なのでそのままで構いません。

この例の127件に当てると、照らすための名前は99種類になり、2件以上が同じ名前になった候補の組が19組・47件出ました。拾えないものもあります。社名が変わった会社です。旧社名の「想定土木株式会社」と今の「株式会社想定建設」は、照らすための名前が「想定土木」と「想定建設」で違うので、候補にも出ません。社名を変えた取引先は、取引のある営業や経理の担当に別に聞いておきます。

候補の組を判定の表にし、決められない組は人に回す

電話番号も、名前と同じく書き方をそろえてから比べます。そろえずに比べると、ハイフンやかっこ、全角の数字の違いだけで、同じ会社が「別の会社」と出てしまうからです。F2 に電話番号をそろえる式、G2 に同じ照らすための名前を持つ件数、H2 に判定の下書きを入れて、下へ写します。式の中の 128 は、127件のときの最後の行です。

=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(ASC(D2),"-",""),"(",""),")","")," ","")=COUNTIF($E$2:$E$128,E2)=IF(G2=1,"",IF(COUNTIFS($E$2:$E$128,E2,$F$2:$F$128,"")>0,"分からない",IF(COUNTIFS($E$2:$E$128,E2,$F$2:$F$128,F2)=G2,"同じ会社","別の会社")))

G列が2以上なら候補の組です。H列は、組の中に電話番号が空のものがあれば「分からない」、組の全員の F列が同じなら「同じ会社」、違えば「別の会社」を出します。この例では、同じ会社が16組・41件、別の会社が2組・4件、分からないが1組・2件になりました。式を確かめるために、このデータには無い、電話番号の書き方だけが違う見本商事の4行(052-0000-0001・(052)0000-0001・052-0000-0001・05200000001)を足して試すと、D列のまま比べた式ではどれも「別の会社」、F列で比べた式ではどれも「同じ会社」になりました。式が出すのは下書きで、決めるのは人です。

同じ会社の組では、残す1件を決めます。登記や請求書の宛名で正式な名前を確かめ、その名前のレコードを残します。残さない側は、I列の状態を統合済みにして、J列の統合先コードに残す1件のコードを入れます。K列には取引先名をそのまま写し、別の会社の組だけ、地域名を足した名前に直します。分からないの組は、状態を有効のまま、判定だけを入れて残します。この例の雛形精機の組は、片方の電話番号が空でした。電話番号で決める決まりでは、本社と支店のように番号が違う同じ会社も「別の会社」と出るので、別の会社の組は名前に地域を足す前に、人が一度見直します。

決めた判定は、ファイルの読み込みで取引先アプリに戻します。取引先コード・取引先名(地域名を足した後の名前)・照らすための名前・判定・状態・統合先コードの6列のファイルを、[レコードの更新と追加]で、更新キーを取引先コードにして読み込みました。更新キーに選べたのはレコード番号と取引先コードの2つだけで、取引先名は選択肢に出てきませんでした。読み込んだ後の取引先は、有効102件・統合済み25件の127件で、1件も消していません。

取引先アプリの一覧「判定の表」。照らすための名前・取引先コード・取引先名・地域・電話番号・判定・状態・統合先コードの列。xqz見本の3件は同じ会社で、T0060・T0081 が統合済み・統合先 T0037。参考建設の2件は別の会社で(大阪)(東京)を足した名前。架空物産・見本商事の組も同じ会社。雛形精機の2件は分からない・有効で、T0069 は電話番号が空写真と同じ13件を表に起こしたもの。取引先名・判定・状態・統合先。xqz見本の2件と、架空物産・見本商事の各2件が統合済み、参考建設の2件は別の会社、雛形精機の2件は分からない
判定を戻した後の取引先(5組13件)。①の判定と②の統合先コードで、どの取引先がどこへ寄ったかを引ける(狭い画面では、同じ13件を表に起こして載せています)

受注の取引先名を、更新キーを使って残す1件に付け替える

次に、受注に入っている取引先名を、残した1件の名前に付け替えます。この例の受注には取引先コードが無く、取引先名と地域しかありません。そこで、受注の取引先名と地域の組で取引先のレコードを引き、統合済みなら統合先の名前に、別の会社の組なら地域名を足した名前にします。

表計算では、取引先のシート(シート名「取引先」)のL列に、それぞれの取引先の行き先の名前を出します。J列の統合先コードが空ならその行のK列、入っていれば統合先の行のK列です。

=IF(J2="",K2,XLOOKUP(J2,$A$2:$A$128,$K$2:$K$128))

受注を書き出したシートで、A列が受注番号、B列が取引先名、C列が地域なら、D列に付け替えた後の名前、E列にその受注の行き先の数、F列に付け替えるかどうかの印を出します。D列と E列は、取引先名を EXACT で比べ、地域も同じ取引先の行を引きます。XLOOKUP に名前をそのまま渡すと大文字と小文字を区別しないので、「XQZ見本」と「xqz見本」のように大文字と小文字だけが違う名前が別の行き先に分かれていると、片方が違う行き先に付け替わってしまうからです。E列が2以上の受注は、名前も地域も同じ取引先が別の行き先に分かれているので、人が決めます。F列も EXACT で比べるので、大文字と小文字や全角と半角だけを直した受注にも印が付きます。

=XLOOKUP(1,EXACT(取引先!$B$2:$B$128,B2)*(取引先!$C$2:$C$128=C2),取引先!$L$2:$L$128,"見つからない")=ROWS(UNIQUE(FILTER(取引先!$L$2:$L$128,EXACT(取引先!$B$2:$B$128,B2)*(取引先!$C$2:$C$128=C2))))=NOT(EXACT(B2,D2))

この例では、E列はすべて1で、F列が TRUE になった受注は142件・26,970,000円でした。式を確かめるために、このデータには無い取引先を4行(大文字と小文字だけが違う2つの名前を別の行き先に、名前も地域も同じ2つを別の行き先に)足して試すと、D列は大文字と小文字の違う名前をそれぞれの行き先に付け替え、E列は名前も地域も同じ組の受注だけが2になりました(XLOOKUP・UNIQUE・FILTER は、Microsoft 365 か Excel 2021 以降で使える関数です)。この142件の受注番号と、付け替えた後の取引先名の2列だけのファイルにして、受注アプリに[レコードの更新と追加]で読み込みます。更新キーは受注番号です。

受注アプリのファイルの読み込みの「3. 読み込み時の処理の指定」。アプリへの反映方法は[レコードの更新と追加]、レコード更新の設定で更新キーと対応するファイルの列がどちらも受注番号更新キーと対応するファイルの列が、どちらも受注番号になっている部分
受注アプリの読み込みで、①の更新キーと対応するファイルの列を受注番号にした。更新キーに選べたのはレコード番号と受注番号だけだった

列の対応付けは受注番号と取引先名だけにし、受注日・地域・金額は(指定しない)のままにしました。ヘルプは、(指定しない)にしたフィールドについて、登録済みのレコードでは「登録済みの値は更新されません。」としています。ファイルの読み込みの手順そのものは、Excel の台帳を kintone に移す進め方の記事で、列の仕分けと読み込みの結果の読み方から書いています。

受注の持ち方がこの例と違うと、この節の作業が変わります。受注に地域が無ければ、名前が同じ別の会社の受注は名前だけでは行き先が決まらず、E列が2以上になります。その受注は、担当者や受注の中身を見て人が決めます。受注がすでに取引先コードで取引先を持っているなら、付け替えるのは取引先名ではなく取引先コードで、統合済みのコードを J列の統合先コードに替えたファイルを読み込むことになります。

寄せた後に、変わってはいけない数を照らし合わせる

読み込みが終わったら、寄せる前に控えておいた数と、寄せた後の数を並べます。取引先名の種類は減り、受注の件数と金額の合計は変わらない、が正しく寄せられた形です。

照らし合わせの表。取引先のレコードは寄せる前 127件(有効127)、寄せた後 127件(有効102・統合済み25)。受注の件数は 1,000件で同じ。受注の金額の合計は 178,380,000円で同じ。受注にある取引先名の種類は 123 から 102、取引先別の売上の表の行数は 121 から 102 に減った。取引先名を付け替えた受注は 142件・26,970,000円照らし合わせの表。取引先のレコードは寄せる前 127件(有効127)、寄せた後 127件(有効102・統合済み25)。受注の件数は 1,000件で同じ。受注の金額の合計は 178,380,000円で同じ。受注にある取引先名の種類は 123 から 102、取引先別の売上の表の行数は 121 から 102 に減った。取引先名を付け替えた受注は 142件・26,970,000円
取引先名の種類は減り、受注の件数と合計は変わらなかった

読み込んだ後、受注の一覧には「ファイルの読み込みが完了しました。」と出て、件数は1000件のままでした。

受注アプリの一覧。上に青い帯で「ファイルの読み込みが完了しました。」、右上に「1 - 20(1000件中)」青い帯「ファイルの読み込みが完了しました。」と、件数「1 - 20(1000件中)」の部分
①読み込みが終わったときの帯と、②一覧の件数。付け替える前と同じ1000件

受注の合計が変わっていたら、付け替えのファイルに金額などの列が混ざって対応付いていないか、更新キーが一致せずに新しい受注として足された行がないかを疑います。ヘルプによれば、更新キーの値が一致しない行は、新しいレコードとして登録されます。この例では、取引先名を付け替えた受注の数と、更新日時が作成日時と違う受注の数がどちらも142件で、レコード番号の最大も1000のままでした。kintone のデータを外に取り出して集計するときの照らし合わせ方は、外で集計する前に件数と合計を控える記事にまとめています。

寄せた後の上位10社で決められること、まだ決められないこと

冒頭の図の右側が、寄せた後の上位10社です。取引先別の売上を、担当の割り振りや重点の取引先を選ぶ材料にするなら、使うのはこちらの並びです。左側の並びで選んでいれば、名前が同じ別の会社2社を1社として扱い、例題食品は5位として扱うことになっていました。

ただし、右側もまだ会社ごとの売上そのものではありません。判定を「分からない」にした雛形精機の組は、48位と82位(受注を数え直した順位)の2行に割れたままで、寄せれば2,830,000円と、上位10社に入る額です。旧社名の想定土木株式会社も、今の社名とは別の行のままです。上位の取引先を決めるのは、「分からない」の組と、社名が変わった取引先を片付けてからにします。判定の表に「分からない」が何組残ったかが、人が確かめる仕事の量になります。

会議で使う画面を、決めたいことから項目とグラフを逆算して作る進め方は、商談管理を例に、商談管理を営業会議で使える1画面にする記事に書いています。

入口で止める。重複禁止では止まらない表記ゆれがあるので、取引先は選ぶ形にする

寄せ終わっても、受注の取引先名を手で打つ形のままなら、同じ割れ方がまた起きます。冒頭に書いた16通りの試しの中身が、次の表です。

表記ゆれと重複禁止の表。止まったのは、完全に同じ名前(株式会社見本商事)と、後ろに半角空白を付けた名前(株式会社架空物産+半角空白)の2通り。通ったのは、前に半角空白・前に全角空白・後ろに全角空白・間に半角空白・間に全角空白、(株)・(株)・㈱・㈲・法人格なし・株式会社が後ろ、英字の全角・英字の小文字・半角カナの14通り。照らすための名前では16通りとも、もとの名前と同じ値になった。旧社名(想定土木株式会社)は重複禁止を試しておらず、照らすための名前も今の社名とそろわない表記ゆれと重複禁止の表。止まったのは、完全に同じ名前(株式会社見本商事)と、後ろに半角空白を付けた名前(株式会社架空物産+半角空白)の2通り。通ったのは、前に半角空白・前に全角空白・後ろに全角空白・間に半角空白・間に全角空白、(株)・(株)・㈱・㈲・法人格なし・株式会社が後ろ、英字の全角・英字の小文字・半角カナの14通り。照らすための名前では16通りとも、もとの名前と同じ値になった。旧社名(想定土木株式会社)は重複禁止を試しておらず、照らすための名前も今の社名とそろわない
重複禁止で止まったのは2通り。照らすための名前では16通りとも、もとの名前とそろった

止まったのは、もとの名前と1文字も違わない名前と、後ろに半角の空白が付いた名前でした。(株)・㈱・法人格なし・株式会社が後ろ、英字の全角と小文字、半角カナ、前の空白、全角の空白、間の空白は、どれも別の値として保存できました。kintone ヘルプの[文字列(1行)]のページは、重複禁止にチェックを入れると「複数のレコードで同じ値が入力できなくなります」とし、入力できる文字数が64文字までになると書いていますが、空白や全角と半角をどう扱うかは、このページにも「フィールドの入力制限」のページにも見当たりませんでした。

左:後ろに半角空白を付けた「株式会社架空物産」を保存しようとした画面。取引先名の下に赤く「値がほかのレコードと重複しています。」。右:「株式会社XQZ見本」(英字の全角)が保存された詳細画面上:後ろに半角空白を付けた名前の下に赤く「値がほかのレコードと重複しています。」。下:「株式会社XQZ見本」(英字の全角)が保存された画面
後ろに半角の空白を付けた名前は①で止まり、英字を全角にした名前は②のとおり保存された

そこで、受注の取引先を、取引先アプリから選ぶ形に変えます。受注アプリにルックアップのフィールド「取引先を選ぶ(取引先コード)」を足し、キーを取引先コードにして、取引先名と地域をコピーする設定にしました。選ぶ画面には取引先コード・取引先名・地域・状態を出し、絞り込みの初期設定を「状態が有効」にしています。

足した後の受注の画面では、コピー先にした取引先名と地域は灰色になり、手では入力できなくなりました。取引先を選ぶ欄に「架空物産」と名前の一部を入れて[取得]を押すと「データがありません。」と出て、キーの取引先コードで引く形でした。欄を空のまま[取得]を押すと、選ぶ画面に有効の取引先だけが「全 102 件」と並びます。

ルックアップの選ぶ画面「取引先(名寄せの実演)」。右上に「全 102 件」。取引先コード・取引先名・地域・状態の列で、仮称製作所株式会社、例示商会株式会社、例示製菓株式会社、合同会社仮置き商店、想定土木株式会社が並び、状態はすべて有効選ぶ画面の件数「全 102 件」と、取引先名・状態の列だけを切り出したもの。想定土木株式会社も状態は有効
欄を空のまま[取得]を押したときの選ぶ画面。①有効の102件だけが並ぶ。②旧社名の想定土木株式会社も、有効のまま並んでいる

ここに抜け道が1つありました。統合済みにした取引先のコード(T0098)を欄に直接入れて[取得]を押すと、選ぶ画面を通らずに取得され、取引先名と地域が入りました。入った取引先名は、後ろに半角の空白が付いた寄せる前の名前「株式会社架空物産 」です。寄せたはずの書き方が、受注の側に戻ってきます。画面を使わずにプログラムから同じコードで受注を保存しても、保存されました。ヘルプの「ルックアップを設定する」は、[絞り込みの初期設定]は取得するレコードの選択画面に適用されるとし、入力されたキーワードと一致するレコードが1つしかない場合は「絞り込みは適用されずにそのままレコード情報が取得されます」と書いています。絞り込みの初期設定は、選ぶ画面の一覧を絞るものです。

受注の新しいレコードの画面。取引先を選ぶ(取引先コード)に T0098 と入っており、緑の帯で「参照先からデータが取得されました。」。灰色の取引先名に「株式会社架空物産」、地域に「宮城県」取引先を選ぶ(取引先コード)に T0098、緑の帯「参照先からデータが取得されました。」、灰色の取引先名と地域
①統合済みの T0098 を直接入れて取得した。②取引先名と地域が入った

統合済みのコードが受注に入ったのを見つけるなら、ルックアップでコピーする項目に取引先の状態も足しておき、受注の側で状態が統合済みのものを一覧にする手があります。

切り替えるときは順番にも気をつけます。ヘルプによれば、参照先のレコードが変わっても、ルックアップで取得済みの値はそのまま維持され、自動では最新の値になりません。再度[取得]を押すと、最新の値に上書きされます。名前に地域名を足すような取引先名の直しは、ルックアップを足して受注で取得する前に済ませておけば、取り直しが要りません。ヘルプは、既存のレコードを更新するなら、ファイルを読み込んで一括で更新する方法が便利だとしたうえで、キーにしたフィールドの値が参照先で重複していると、対象のレコードが特定できず更新できない、とも書いています。キーを重複禁止の取引先コードにしておくのは、ここでも効きます。

この画面の作り方と、確かめていないこと

2つのアプリと、一覧・グラフ・ルックアップの設定は kintone の API でまとめて作り、取引先名に重複禁止を付ける操作(エラーで止まった)と、判定・付け替えのファイルの読み込みは画面で行いました。重複禁止の16通りは、試し用のアプリにプログラムから1通りずつ足して保存を試し、そのうち2通りは画面でも試しています。照らし合わせの件数(取引先名の種類、有効・統合済みの件数、更新日時が作成日時と違う受注の数、レコード番号の最大)は、プログラムで全件を取って数えた値です。照らすための名前と付け替えの表は手元のプログラムで作り、判定も電話番号の決まりのとおりにプログラムで出しました(人の目での見直しはしていません)。この記事の式は、あとから Microsoft 365 の Excel に入れて、同じ127件と1,000件で同じ19組・同じ判定・同じ142件になることを確かめたものです。残す1件は、データを作るときに決めておいた正式な名前で選んでいます。

kintone の結果は、どれも各1回の観察です。後ろの半角の空白だけが重複禁止で止まった理由も、表で同じ行にまとめられた2つがどれかも(上位13行より下は、行の数からの推定です)、確かめていません。寄せた後の取引先名に重複禁止を付け直すこと、統合済みのコードでの画面からの保存、状態を受注にコピーして一覧にする設定、受注に地域が無い場合や、受注が取引先コードを持っている場合の付け替え、Excel でテキストデータとしてインポートする開き方、すでにある受注への取引先コードの一括の入力、kintone からの書き出しそのもの、会計ソフトなどの取引先との照らし合わせは試していません。自社で進めるなら、こうした作業ほど、本番のアプリの写しで1回通してから行います。手間がどれだけ変わるかも測っていません。

最初に作るのは、照らすための名前の1列

自社の取引先アプリで始めるなら、最初は書き出して照らすための名前の列を1本作り、2件以上が同じ名前になる組と、電話番号が空などで「分からない」になる組を数えるところまでです。その先の判定と付け替えは、表計算の式が下書きを出しても、残す1件と別の会社の見直しを人が決める作業として残ります。数えた組の数が、判定で人が見る組の数で、そのうち「分からない」の組は、電話番号のほかの手がかりで決める組です。

数えてみて、同じ会社を見分ける項目が取引先アプリに足りない、受注を取引先コードでつなぎ直す形が決まらない、会計ソフトにも同じ取引先が二重にある、のどれかに当たったら、その2つの数を添えて、アプリの設計からほかのシステムとの連携までを扱う kintone 導入支援のページからご相談ください。業務の棚卸しからアプリの項目設計、取引先と受注のアプリをルックアップでつなぐ設計、会計ソフトとのデータの連携の設計は、このページに挙げている支援の範囲です。

kintone導入・内製化支援

kintoneを現場の業務に合わせて設計・構築し、Excelや紙業務の置き換え、他システムとのデータ連携、社内メンバー自身が改修・運用できる内製化までを支援します。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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