メールで届く注文を受注一覧に取り込む|品番の突合・複数明細・読めなかった注文の扱いを先に決める
メールで届く注文を受注一覧に取り込むときに、先に決めることは、品番の突合、1通に複数の明細、再送・修正・取消の見分け方、読めなかった注文の置き場の4つです。メールの項目、GS1 Japanの商品コード、国税庁の一問一答をもとに整理しました。
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この記事の要点
- メールの注文を受注一覧に載せる前に、先に決めておくことは4つ。取引先の品番を自社の品番へ突き合わせるルール、1通に複数の明細があるときの持ち方、再送・修正・取消の見分け方、読めなかった注文の置き場。取り込みの手段が何であっても、この4つは同じように要る。
- 品番の突合は、品番の文字だけでなく、単位と包装まで含めて対応表の1行にする。突き合わせた結果は「一致」「候補が複数」「見つからない」に分け、一致した注文だけを先へ進める。ほかは確認待ちの箱に入れ、人が決めた結果を対応表に足していく。
- 履歴は、取り込んだ後の一覧だけでなく、原本のメールか添付、読み取った値、人が直した箇所を残す。国税庁の一問一答では、本文に取引情報があるメールは本文を、添付で受け取った分は添付を、検索できる状態で保存するとされている。
メールの注文が受注一覧に載るまで(当社の整理)
確認待ちの箱を、取り込みの流れの中に先に作っておく
確認待ちの箱には、読めなかった注文、品番が一致しない明細、再送か修正か分からないメールが入る。入れる条件と、見る人・見る時刻を先に決める
当社の整理。入口をひとつの受注一覧にそろえる考え方はFAX受注のシステム化の記事に書いた。
取引先からの注文がメールで届き、担当者が受注システムやExcelに手で入力している会社が、その入力を取り込みに置き換えるとき、つまずくのは取り込みの手段より、その先です。取引先の品番を自社の品番に直す、1通に複数の明細がある、同じ注文が再送・修正・取消で何度も届く、読めなかった注文が出る。この4つを先に決めておくと、手段が何であっても、受注一覧が崩れにくくなります。
FAXと違って、メールは差出人・受信時刻・添付ファイル名が、機械で読める形で届きます。取引先の特定や、同じメールの二重取り込みの防止には、その項目が使えます。一方、品番の書き方や、1通の中の注文の数、注文を直して送り直すかどうかは、メールでも取引先ごとに違います。この記事では、メールで届くことで増える論点に絞って、先に決めることを順に書きます。
入口が複数あっても受注をひとつの一覧にそろえる考え方と、FAXの注文の品番対応表の作り方は、FAX受注のシステム化の記事に書きました。公式の説明を書いた部分と、当社の整理・読み取りは、文の中で区別しています。公式ページの確認日は2026年10月6日です。
メールの注文は、本文に書く・添付で来る・取引先のシステムの通知、の3通りに分ける
取り込みの作り方が変わるのは、注文の中身がメールのどこにあるかです。本文に品番と数量が書かれているなら、文章から項目を拾います。添付のExcelやPDFなら、書式ごとに、どの列、どの位置を読むかを決めます。取引先のシステムが送る通知なら、件名や本文の形がいつも同じなので、読み方を決めやすくなります。本文は挨拶と連絡だけで、注文は添付に入っている、という混ざり方もあります。
メールの注文は、注文の中身がどこにあるかで3通りに分かれる
同じ取引先でも、型が混ざることがある。どれを原本にするかは、取引先ごとに決める
型1
本文に書いてある
- 品番・数量・納期が、文章や箇条書きで書かれている
原本:メール本文
取り出し:書き方の揺れに左右される
型2
添付のExcel・PDF
- 本文は挨拶と連絡だけで、注文は添付に入っている
原本:添付ファイル
取り出し:書式ごとに、列や位置を決める
型3
取引先のシステムが送る通知
- 件名や本文の形が、いつも同じ
原本:本文か添付(取引先ごとに確かめる)
取り出し:形が固定なので、決めやすい
分け方は当社の整理。原本の考え方は国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」令和8年7月の問4・問6を参照(2026年10月6日確認)
どの部分を注文の原本として扱うかは、取引先ごとに決めて、台帳に書いておきます。国税庁の一問一答は、メールで取引情報を受け取った場合について、本文に取引情報が書かれているときはそのメールを、添付ファイルで受け取ったときはその添付ファイルを、それぞれ保存する、と書いています(電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)問4・問6)。この考え方は、受注一覧に載せる原本を決めるときにも使えます(当社の読み取り)。取引先ごとの入口と締め時刻を台帳に書く方法は、FAX受注のシステム化の記事にあります。
メールから機械で取れる項目は、取引先の特定と、二重取り込みの防止に使う
メールには、本文のほかに、差出人、メッセージID、返信の関係、受信時刻、添付の情報が付いています。インターネットのメールの書式を定めたRFC 5322と、Gmail API、Microsoft Graphの説明から、受注の取り込みで使う項目を次の表にまとめました(RFC 5322、Gmail API、Microsoft Graph)。
| メールの項目 | 公式の説明 | 受注の取り込みで使うところ | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 差出人(From)と返信先(Reply-To) | Fromは書いた人のメールボックス。Reply-Toは、返信をそこへ送ってほしいという、書いた人の提案(RFC 5322) | 差出人のアドレスを取引先の台帳と引いて、どの取引先の注文かを決める。確認の返信先はReply-Toがあればそこ | 同じ取引先でも、差出アドレスは複数ある。台帳にないアドレスの注文は確認待ちに入れる(当社の整理) |
| メッセージID(Message-ID) | 1通のメールの、ある版を示す一意の識別子。内容を直した版には、新しいIDが付く(RFC 5322) | 同じメールを2回取り込まないための印 | IDは「付けるべき」とされる項目で、付いていないメールもありうる。取引先が直して送り直したメールは別のIDなので、同じ注文の修正版かどうかはIDでは分からない |
| 返信の関係(In-Reply-To・References)とスレッド | 返信のメールが、元のメールのIDを持つ。Gmail APIはthreadId、Microsoft Graphはconversation IDを持つ | 修正や取消が、元の注文への返信として来たかの手がかり | 手がかりであり、同じ注文かどうかの根拠にはしない(当社の読み取り) |
| 受信時刻 | Gmail APIのinternal dateは、Googleが最初に受け付けた時刻で、通常のSMTPで受信したメールではDateヘッダーより信頼性が高い。Microsoft Graphはreceived date timeを持つ | 取引先ごとの締め時刻に間に合ったかの判定 | APIで移行したメールは、時刻をクライアントがDateヘッダーに基づいて決められるため、受け付けた時刻とは限らない(Gmail APIの説明) |
| 添付の有無とファイル名 | Gmail APIのfilenameは、そのパートが添付ファイルを表す場合にだけある。Microsoft Graphのhas attachmentsは、本文に埋め込んだ画像(インライン)を含まない | 型2の注文が来たかの判定、添付の拾い漏れの確認 | 本文に画像で貼られた注文書は「添付なし」と出る製品がある。本文に画像があるメールも確認待ちの対象にする |
項目名はメールの製品によって違います。表はGmail APIとMicrosoft Graphの例で、使っている製品の公式の説明で、同じ意味の項目を確かめます。表の「注意すること」の列のうち、台帳にないアドレスを確認待ちにする、スレッドを根拠にしない、本文に画像があるメールを確認待ちにする、の3つは当社の整理です。
品番の突合は、取引先の書き方・単位・入数を1行にして、結果を3つに分ける
取引先は、自社が付けた品番、略称、メーカーの品番、商品のJANコードなど、それぞれの書き方で品目を書いてきます。取引先の書き方を自社の品番に直す対応表の作り方は、FAX受注のシステム化の記事で書きました。ここでは、対応表の1行に何を持つかと、突き合わせた結果の扱いを書きます。
品番だけでなく単位と入数まで持つ理由は、同じ品物でも、単品とケースで商品コードが別になるからです。GS1 Japanによると、JANコード(GTIN)は「どの事業者の、どの商品か」を表す商品識別コードで(GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは)、ケースやボールなど企業間の取引単位の集合包装には、別にGTIN(集合包装用商品コード)を設定します。荷姿や入数が違う集合包装は、先頭のインジケータ(1〜8)で分けます(GTIN(集合包装用商品コード)とITFシンボル)。集合包装の入数を変えたときは、新しいGTINにするのが公式の基準の1つです(GTINの変更ルール)。単品と集合包装のコードが一致しない型について、公式は、発注時の単品のコードと入荷時の集合包装のコードが違う番号になるため、正確に照合できる仕組みが必要、と書いています。注文書の品番が同じでも、「個」と書かれたか「ケース」と書かれたかで、自社の品番が変わることがあります。
| 対応表の列 | 持つ内容 | 持つ理由 |
|---|---|---|
| 取引先 | 取引先の台帳のID | 同じ書き方でも、取引先によって指す品物が違うことがある |
| 取引先の書き方 | 品番、略称、取引先が付けた商品コード、注文書にJANコードがあればそれも | 注文書に書かれた文字のまま持つ。直して持つと、次に来た書き方と引けなくなる |
| 単位の書き方 | ケース、個、箱、本など | 同じ品番でも、単品とケースで自社の品番が変わることがある |
| 自社の品番 | 自社の受注・在庫で使う品番 | 突き合わせた結果 |
| 自社の単位と入数 | ケースなら何個入りか | 数量を、自社の在庫の単位に直すため |
| 状態 | 確認済み・仮・使用停止 | 人が確かめた行だけを自動の対象にする。廃番になった品物を残す |
業界の標準にも、同じ考え方があります。家電製品協会のE-VAN(家電VAN)の受発注データは、商品コードの欄とは別に、そのコードがJANの標準タイプか、短縮タイプか、インストアコードかを示す識別区分と、メーカーの型番の欄を持っています(EDI標準化仕様 受発注データ)。コードの文字だけでなく、コードの種類も一緒に持つ作りです。メールの注文書にJANコードが書かれている取引先なら、JANコードを対応表の列に持たせて、取引先の書き方より先に引く、という使い方もあります(当社の読み取り)。
突き合わせの結果は3つに分け、通すのは1つだけ
見つからない理由によって、直す場所が違う
結果1
一致(対応表の1行に決まる)
- 取引先・書き方・単位が、状態「確認済み」の1行に一致
次の動き:先へ進める
結果2
候補が複数
- 単位や入数の違いで、自社の品番が2つ以上ありうる
- 同じ書き方が、複数の自社の品番に付いている
次の動き:確認待ちへ。人が選んだ結果を、対応表の行にする
結果3
見つからない
- 新しい書き方
- 廃番や終売になった品物
- 書き間違い
次の動き:確認待ちへ。新しい書き方は対応表に足す。廃番と書き間違いは取引先に確かめる
当社の整理。品番の書き方の揺れと対応表の作り方はFAX受注のシステム化の記事に書いた。
通すのを「一致」だけにすると、最初は確認待ちが多くなります。人が選んだ結果を対応表に足していくと、確認待ちが減っていきます。「見つからない」は、理由で直す場所が違うので、理由を分けて数えます。新しい書き方なら対応表に足し、廃番や終売の品物は取引先に代わりの品物を確かめ、書き間違いは取引先に確かめます。存在しない品番を、いちばん近い品番に自動で寄せることはしません(当社の整理)。
1通に複数の明細があるときは、ヘッダーと明細に分けて、明細ごとに状態を持つ
メールの注文は、1通が1注文とは限りません。1通に品目が何行も書かれていることも、納品先や納期が違う注文がまとめて書かれていることもあります。家電製品協会の標準は、受発注データを、ヘッダー(発注企業、納品場所、発注日、備考など)と、明細(商品コード、型番、数量、納品単価など)に分けています。発注番号は、伝票単位の発注ならヘッダーに、明細単位の発注なら明細に置く、と書かれています(EDI標準化仕様 受発注データ)。
1通のメールを、ヘッダー1件と明細N行に分けて持つ
納品先や納期が行ごとに違うときは、ヘッダーを分けて、注文を2件以上にする
合計の行や備考の行は、明細に入れない。取り出すときに、品番の欄が空の行は明細にしない(当社の整理)
ヘッダーと明細に分ける形は家電製品協会のEDI標準(E-VANの受発注データ)の例を参考にした。具体的な分け方は当社の整理(2026年10月6日確認)
取り込む側も、ヘッダーは1件、明細はN行で持つと、1行ずつ突合の結果を持てます。注文の全体で止めるか、読めた行だけ先に登録するかは、取引先の注文の出し方で決めます。
明細の1行が突き合わせられないとき、注文をどう進めるか
どちらを選ぶかは、取引先の注文の出し方と、出荷の分け方で決める
案A
注文ごと確認待ちにする
- 読めた行も、人が確認するまで受注一覧に載せない
向く場面:注文の全体で数量や納期を決める取引先
弱いところ:1行のせいで、全体が遅れる
案B
読めた行だけ先に登録する
- 突合できなかった行だけ確認待ちに入れ、注文は「一部確認待ち」の印を付ける
向く場面:行ごとに出荷できる取引先
弱いところ:行ごとに出荷が分かれ、取引先への連絡が増える
当社の整理。
案Bを選ぶときは、注文に「一部確認待ち」の印を付けて、受注一覧で確認待ちの行が見えるようにします。印がないと、読めた行だけが出荷され、残りが忘れられます。
再送・修正・取消は別のメールで届く。同じ注文かは、注文キーで見分ける
RFC 5322は、メッセージIDを、あるメールの特定の版を示す一意の識別子と説明し、内容を直した版には新しいIDが付くと書いています(RFC 5322 3.6.4)。このため、メッセージIDは、同じメールを2回取り込まないための印には使えますが、取引先が直して送り直した修正版が、同じ注文のものかどうかは、IDでは分かりません。返信の関係やスレッドは手がかりになりますが、取引先が新しいメールで送ってくると、つながりません(当社の読み取り)。
同じ注文かどうかは、取引先と注文番号の組で決める
3つの手がかりは、答える問いが違う
当社の整理。メッセージIDとスレッドの項目はRFC 5322、Gmail API、Microsoft Graphの説明(2026年10月6日確認)
同じ注文かどうかを決めるのは、取引先の注文番号です。注文番号が書かれていない取引先は、取引先、納品先、希望納期、明細の組が前のメールと一致したときに、重複の候補として確認待ちに入れ、取引先に確かめます。
| 届き方 | 見分けるもの | 受注一覧での扱い |
|---|---|---|
| 同じメールが、もう一度取り込まれた(取り込みのやり直し、転送設定の重なり) | メッセージIDが同じ | 2件目は登録しない。受信した記録だけ残す |
| 同じ注文の修正版が、別のメールで届いた | 注文番号が同じで、内容が違う | 元の注文を上書きしない。新しい版として積み、違う箇所を人が確かめる |
| 取消のメールが届いた | 注文番号が同じで、本文に取消の旨がある | 取消の印を付けて、履歴に残す。出荷済みかどうかを、人が確かめる |
| 同じ日に、同じ取引先から別の注文が届いた | 注文番号が違う | 別の注文として登録する |
| 注文番号がなく、中身が前のメールと同じ | 取引先・納品先・希望納期・明細の組が一致 | 重複の候補として、確認待ちに入れる。取引先に確かめる |
修正と取消は、元の注文を書き換えず、版として積みます。何が変わったかを後から追えるようにするためです。出荷が済んだ後の修正と取消をどう扱うかは、取引先との取り決めで違うので、取引先ごとの台帳に書いておきます(当社の整理)。
読めなかった注文は、確認待ちの箱に入れて、見る人と時刻を決める
読めなかった理由は、差出元が台帳にない、添付が開けない、納品先や明細が欠けている、品番が一致しない、数量や単位がふだんと違う、同じ注文がすでにある、のどれかに分けられます。理由ごとに、直す場所が違います。差出元なら台帳、品番なら対応表、数量なら取引先への確認です。
読めなかった注文は、5つの問いで確認待ちに分ける
当社の整理。箱に入れる理由を決めておくと、後で件数を理由別に数えられる
差出元のアドレスは、取引先の台帳にあるか
台帳にないアドレスは、取引先を決められない
納品先・希望納期・明細が、取り出せたか
添付が開けない、本文に画像だけ、項目が欠けている
すべての明細が、対応表の「確認済み」の1行に一致したか
候補が複数、見つからないは確認待ち
数量と単位は、その取引先のふだんの範囲か
ふだんの範囲は、取引先ごとの過去の注文から決める
同じ注文が、すでに登録されていないか
注文キー、またはキーがない取引先は中身の組で見る
読み取りの確からしさを使った自動承認の考え方はOCRの信頼度と突合ロジックの記事に書いた。
箱に入れるときは、理由、原本へのリンク、受信時刻、取引先を付けます。箱は、誰が、何時までに見るかを決めておかないと、取りこぼしの置き場になります。取引先ごとの締め時刻から逆算して、見る時刻を決めます。毎日見るのは、箱の件数と、いちばん古い受信時刻です。古い注文が残っていれば、見る人か時刻が合っていません。
会計・基幹システムへは、確認済みの注文だけを、注文キーつきで渡す
受注一覧から基幹システムや会計へ渡すのは、確認済みになった注文だけにします。取込先がCSVなどの取込を使う場合は、どの列で同じ注文と見なすかを、先に決めます。たとえばkintoneのヘルプは、ファイルの取込で、更新キーに指定したフィールドの値が一致するかどうかで、登録済みのレコードを更新するか、新しいレコードを登録するかが決まる、と説明しています。レコード番号以外をキーにするときは、そのフィールドで値の重複を禁止する設定が要ります。文字コードと区切り文字は取込のときに指定し、プレビューで内容を確かめます(ファイルからレコードのデータをアプリに読み込む)。
受注一覧から基幹・会計へ渡す流れ
当社の整理。キーによる新規と更新の分け方はkintoneヘルプ「ファイルからレコードのデータをアプリに読み込む」の例(2026年10月6日確認)
修正と取消は、新規の注文としてでなく、同じキーの更新として渡します。キーの列、文字コード、1回に取り込める件数は、取込先ごとに違うので、取込先の説明で確かめます。会計へは、受注の時点でなく、出荷や請求の段階で渡す形が、FAX受注のシステム化の記事の状態の流れ(受付・確認・引当・出荷・請求)と合います(当社の整理)。
履歴は、原本・読み取った値・人が直した箇所の3つを残す
国税庁の一問一答(令和8年7月)は、電子メールで取引情報を受け取る取引を電子取引とし、本文に取引情報が書かれているメールはそのメールを、添付ファイルで受け取ったものは添付ファイルを保存する、と説明しています。取引情報のないメールは保存する必要がない、とも書かれています(問4・問6)。受領した側で訂正や削除ができるデータは、タイムスタンプの付与か事務処理規程に沿った管理が要り、検索できる状態で保存する必要があり、メールソフトで見られるだけでは足りない、とされています(問5)。受注一覧に打ち込んだ値だけでなく、原本をそのまま持つ理由の1つです。
履歴に残すのは、原本・読み取った値・人が直した箇所
受注一覧に載った値だけでは、後から理由を追えない
残すもの1
原本
- メール本文のまま、または添付ファイルのまま
- 受信時刻とメッセージID
使う場面:取引先との食い違い、税の保存
残すもの2
読み取った値
- 読み取った品番・単位・数量
- 突合の結果と、使った対応表の行
使う場面:なぜその自社の品番になったかの説明
残すもの3
人が直した箇所
- 誰が、いつ、どの項目を、何から何に直したか
- 修正・取消の版
使う場面:直しの多い項目を見つけて、対応表と読み取りを直す
当社の整理。原本の保存は国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」令和8年7月問4〜問6(2026年10月6日確認)
原本の保存は、税の保存の話であると同時に、取引先と注文の内容が食い違ったときに、何が届いたかを示す根拠にもなります。読み取った値と、人が直した箇所を残すと、直しの多い項目が分かり、対応表と取り出しのルールの直しにつながります。税の取り扱いは、税理士や税務署に確かめてください。電子帳簿保存法の電子取引の扱いの全体は、FAX受注のシステム化の記事でも触れています。
試す順番:取引先と型を絞って動かし、確認待ちの理由を数える
4つの決めごとは、すべての取引先、すべての型を対象に決めようとすると決まりません。メールの注文が多い取引先を1社、型を1つ選んで動かし、人の入力と並べて、違う項目を数えます。
試す順番
いきなり全取引先、全型をそろえない
手順1
取引先を1社、型を1つ選ぶ
- メールの注文が多い取引先を選び、型1・型2・型3のどれかに絞る
残すもの:取引先の台帳と、最初の対応表
手順2
人の入力と並べて照合する
- これまでどおり人が入力し、取り込みの結果と並べて、違う項目を数える
見るもの:違った項目と、その理由
手順3
確認待ちの理由を集計する
- 箱に入った理由を、5つの問いごとに数える
直すもの:対応表と、取り出しのルール
手順4
条件を満たす注文だけ自動で進める
- 一致が続いた取引先から自動にし、取引先と型を増やす
見るもの:確認待ちの件数と、いちばん古い受信時刻
当社の整理。
手順3の、確認待ちの理由の集計が、いちばん役に立ちます。理由が品番に偏っていれば対応表を、数量に偏っていれば取引先ごとのふだんの範囲を、見直します。件数が減り、一致が続いた取引先から、自動で進める範囲を広げます。
この記事で確かめられなかったこと
- メールの取り込みに使う製品ごとの手順・料金・件数の上限。この記事は手段を比べていないので、書いていません。
- Gmail APIとMicrosoft Graph以外のメール製品の項目名。使っている製品の公式の説明で確かめてください。
- 日本語メールの文字コードや、添付ファイル名の文字化けへの対処。
- 家電業界以外の業界の標準の、品番・単位・明細の持ち方。家電製品協会の例だけを確認しました。
- 取引先が実際に注文書へJANコードを書くか、単品とケースをどう書き分けるか。取引先ごとの書き方は、実際のメールで確かめるしかありません。
- AIによる読み取りの精度。出典のある数字がないので、書いていません。
- 国税庁の一問一答のうち、保存したデータを検索できるようにする要件の細部。この記事は問4〜問6だけを確認しました。税の取り扱いは、税理士や税務署に確かめてください。
- 各製品の画面の操作手順。この記事には載せていません。
メールで届く注文の取り込みを、品番の突合や確認待ちの置き場まで含めて決めたいときは、Aurant Technologies の受発注・在庫管理システムのページで相談を受けています。取引先ごとの違いを先に数える方法は、受発注システムの開発費用の記事にまとめています。
サービス一覧
業務ツール・Microsoft 365/Google Workspace・AI活用・データ基盤・広告運用・会計ソフト・LINE運用・アクセス解析の8領域で、選定から構築・定着まで支援しています。課題に近い領域からご覧ください。
