グループウェアの移行・乗り換え|サイボウズ Garoon・サイボウズ Office・desknet’s NEO から、機能を分けて移す中堅・大企業の進め方

社員500名以上の会社が、サイボウズ Garoon・サイボウズ Office・desknet’s NEO などのグループウェアから Microsoft 365・Google Workspace・kintone などへ移すときの進め方。機能ごとの移し先、ワークフローの棚卸しと統廃合、ID基盤の刷新の順番を整理しました。

この記事をシェア:
目次 クリックで開く

グループウェアの移行・乗り換えを、社員500名以上の中堅・大企業の目線で整理した記事です。読者として想定しているのは、サイボウズの Garoon®・サイボウズ® Office、ネオジャパンの desknet’s NEO、Notes 系の自社グループウェアを10〜20年使ってきて、「次の社内の情報共有の基盤をどうするか」を経営に答える情シス部長・総務部長です。Teams・Slack・Zoom、Microsoft 365・Google Workspace が広がって社内の情報共有が分散し、グループウェアにはワークフローと掲示板だけが残っている、という状態を、機能ごとに移し先を分ける考え方で整理し直します。

中小企業で、社内のサーバーに入れたパッケージ版 サイボウズ Office を使っている場合は、この記事より先に期限を確かめてください。継続ライセンスの販売は2026年9月30日で終わり、サポートはライセンスの有効期限に猶予の30日を足した日、遅くとも2027年9月30日に終わります(サイボウズ「パッケージ版『サイボウズ Office』販売・サポート終了のお知らせ」、2026年9月30日確認)。自社のサポート終了日の調べ方と、クラウド版 サイボウズ Office・kintone®・Microsoft 365・Google Workspace への移し先は、パッケージ版 サイボウズ Office の継続ライセンス販売は2026年9月30日までにまとめています。

1. 期限とは別に、見直しの議論が出る5つの理由

Garoon と サイボウズ Office はクラウド版の提供が続き、desknet’s NEO はクラウド版とパッケージ版の両方が販売されています(desknet’s NEO 公式サイト)。一方、社内のサーバーで動かすパッケージ版には期限があります。パッケージ版 Garoon は2027年10月から順にライセンスの販売を終え、2033年1月末でサポートを終えます(サイボウズ「パッケージ版 Garoon 販売・サポート終了のお知らせ」)。パッケージ版 サイボウズ Office のサポートは遅くとも2027年9月30日までで、サイボウズは、300名以上で使っている会社には Garoon への移行を勧めています(パッケージ版 サイボウズ Office のお知らせ)。いずれも2026年9月30日に確認しました。期限の有無とは別に、次の3年で見直しの議論が出る理由は次の5つです。

① コミュニケーション中心がチャット(Teams/Slack)に移った。掲示板の利用率が低下。
② ワークフローはBPM/kintone/Power Automate に分化。
③ ファイルは SharePoint/Drive/Box に分化。
④ モバイル中心のUX。在宅・モバイル前提の業務。
⑤ 海外拠点との統一。Garoon/desknet’s は日本中心、海外は M365/Google が標準。

2. 「機能を分解して各SaaSに割り当てる」発想が本質

移行の本質は「グループウェアの機能を分解して、各機能を最適なSaaSに割り当てる」です。1製品で全部置き換えるのではなく、機能別に最適配置します。

機能 主な移行先
メール/カレンダー Exchange Online / Gmail
チャット Teams / Slack
ファイル共有 SharePoint / Drive / Box
申請ワークフロー kintone / Power Automate / 専用ワークフローSaaS
掲示板・社内ポータル SharePoint Communication Site / Confluence / Notion
施設予約 Outlook / Google Calendar リソース / kintone / ACALL
回覧・承認 Power Automate / kintone / クラウドサイン
議事録・タスク OneNote / Google Docs / Notion / Confluence

3. 移行候補の組み合わせパターン

組み合わせ 典型的な向き先 強み
M365+Teams+SharePoint+Power Platform 大企業・全社統一 統合・エンタープライズ機能・Copilot
Google Workspace+Slack+Drive BtoC/IT系・スピード重視 UX・コラボ・モバイル
Garoon/サイボウズ Office 継続(パッケージ版はクラウド版へ移す)+kintone 中堅・現状維持+業務効率化 移行リスク最小・現場親和性
desknet’s NEO 継続+Teams 中堅・コスト重視 低コスト維持+チャット強化
M365+Teams+kintone 中堅・業務アプリ別管理 業務領域はkintone、コラボはM365

4. ワークフロー(申請・回覧)をどう移すか(最大の難所)

移行の最大の難所はワークフローです。グループウェア時代に作り込まれた数百〜数千のフローを、新システムでどう実装するか。選択肢は次のとおり。

ワークフロー基盤 強み 注意点
Power Automate+SharePoint M365統合・無償または含み・Power Apps と連携 大量並行・複雑分岐は設計が必要
kintoneのプロセス管理 業務台帳と一体化・非エンジニア運用 大企業の細かい承認フローは表現に工夫
Slack+承認Bot(BoltApp等) Slack文化に統合・モバイル親和 承認文書の保管・監査証跡は別設計
専用ワークフローSaaS(X-point Cloud等) 本格的ワークフロー機能・帳票出力 追加コスト・統合設計が必要
クラウドサイン等の電子契約 契約・取引先承認に特化 社内回覧には不向き

5. ワークフローの棚卸しと統廃合(必須)

移行前に必ず、稼働中ワークフローの棚卸しを行い、使われていないフローを廃止します。グループウェアには「作ったが半年使われていないフロー」が必ず多数あります。

棚卸しで集める情報:
・フロー名/作成者/作成日
・直近12カ月の起案件数
・承認者数・承認段数
・関連部門・対象人数
・廃止判定(起案件数ゼロ/同義フロー存在/業務廃止済)

棚卸しで廃止と統合を先に済ませれば、移す本数を絞れます。「全部移行」を目指すと費用も運用負荷も爆発します。

6. メール/カレンダー移行の現実

メール/カレンダーは選択肢が成熟しており、技術的には大きな論点になりませんが、「移行ツール」と「カレンダーの繰り返し予定」の2点は必ず詰まります。

・M365 への移行ツール:純正コネクタ/Quest On Demand/BitTitan MigrationWiz/CloudM
・Google への移行ツール:Google Workspace Migration for Microsoft Exchange/BitTitan
・カレンダー繰り返し予定の例外日付はパイロット部門で必ず検証
・会議室予約のリソースカレンダーは Outlook/Google Calendar のリソース予約機能で再現

7. 掲示板・社内ポータルの再設計

掲示板・社内ポータルは、次の選択肢で再現します。

・SharePoint コミュニケーションサイト:M365統合・Power Platform 拡張
・Confluence:開発文化との親和性・WIKI 中心
・Notion:UX・モバイル親和・スタートアップ系で人気
・Google Sites:Google Workspace 統合・シンプル

情報設計(誰が/何を/いつ書くか)を再定義し、トップページを「読まれる構造」に作り直します。グループウェア時代の「全部署が書き込んだ無秩序な掲示板」を、移行を機に整理する好機です。

8. ID基盤・SSO・権限の刷新が裏の本丸

グループウェア時代は「グループウェアIDが社内ID」になっていたケースが多く、移行を機に Microsoft Entra ID または Google Identity を中心に再設計します。

具体的にやること:
・Entra ID または Google Identity を Master とした SSO 確立
・全SaaS(M365/kintone/Salesforce/勤怠/経費)を SAML/OIDC で連携
・条件付きアクセス(端末準拠・場所・リスクレベル)と MFA の必須化
・退職者プロビジョニング自動化(人事システム → SCIM → 各SaaS)

ID基盤を後回しにすると、グループウェア時代の権限の混乱がそのままSaaS群に持ち込まれます。ID基盤刷新を移行プロジェクトの第1フェーズに置くことを強く推奨します。

9. プロジェクト期間の典型値(500〜2,000名規模)

フェーズ 期間
要件定義・機能分解設計 2〜3カ月
ID基盤刷新(Entra/Google Identity) 3〜6カ月(並行)
ワークフロー棚卸し 2カ月
メール/カレンダー移行 3〜6カ月
ファイル移行 3〜6カ月
ワークフロー移行(順次) 6〜12カ月
定着化 6カ月
合計 18〜24カ月

10. 失敗事例から逆算する「やってはいけない3つ」

① 「全機能を1製品で置き換える」を狙って破綻。Garoon の機能を全部 SharePoint で再現しようとして、施設予約・ワークフロー・掲示板で UI 不満が連発し、移行が止まる。
② ワークフロー棚卸しを省略して全フロー再現を試みる。500本のフローを全部移行する計画で予算化し、3年経っても完了せず、結果的にグループウェアと新基盤の二重運用が続く。
③ メール・チャットだけ移行してグループウェアが残り続ける。M365への移行は完了したが、ワークフロー・掲示板・施設予約のためにGaroon を継続契約し、二重コストが固定化。

11. 来期予算化までに、いま動かす3アクション

① ワークフロー棚卸しを総務/情シス主導で開始する。直近12カ月の起案件数を集計するだけで、廃止候補が見えます。
② 機能分解設計の方針を経営と握る。「グループウェア1製品で全部置き換える」を諦めることが、議論を進める第一歩。
③ ID基盤刷新の独立プロジェクト化を提案する。脱グループウェア本体の前段階として Entra/Google Identity 整備を半年〜1年先行させると、後続が一気に楽になります。

グループウェア移行の今後3年は、「機能を分解して各SaaSに割り当てる設計」がゴールです。1製品置き換え発想を捨て、ワークフロー統廃合とID基盤刷新を最優先することが、議論の質を決めます。

サイボウズ、Cybozu、kintone、Garoon は、サイボウズ株式会社の登録商標です。その他、記載の会社名・製品名は、各社の登録商標または商標です。


Microsoft 365・Google Workspace の移行と設定のスポット相談

メールの移行、ドメインとDNS、共有アドレスや代理人の権限、新しいOutlookへの切り替え、Copilot・Geminiを使うときの社内ルール。調べた手順で直らないとき、同じことが何人もで起きているときに、いま困っていることを1件から相談できます。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

この記事が役に立ったらシェア:

移行・切り替えのスポット相談

「移行できるかだけ」の短いご相談もお受けしています。

費用感だけのご相談でも構いません。スポット相談の内容を見る