AIチャットボットの導入費用は何で決まるか|製品の料金の形・作る費用・回答の元になる資料の整備

AIチャットボットの導入費用は、製品の料金、生成AIの利用料、作る・つなぐ作業、回答の元になるFAQ・マニュアルの整備と運用の人手の四つで決まります。製品ごとに違う課金の単位(席・解決・会話)を公式の料金ページで確かめ(2026年9月30日)、同じ問い合わせの件数で比べる方法と、お客様向け・社内向け・LINEでの違い、個人情報の扱いをまとめました。

この記事をシェア:
目次 クリックで開く

この記事の要点

  1. 費用は四つに分かれます。製品の料金、生成AIの利用料(自分で作る場合)、作る・既存のシステムとつなぐ作業、回答の元になるFAQやマニュアルを整えて更新し続ける人手です。
  2. 製品は課金の単位が違います。Intercom の Fin は解決1件0.99ドル、Zendesk はAIエージェントが自動で解決した件数ごと、Salesforce の Agentforce は会話1件240円など(各社の料金ページ、2026年9月30日確認)。月の問い合わせの件数を置いて、同じ件数で計算して比べます。
  3. お客様向けは担当者への引き継ぎの線引き、社内向けは見られる文書の制限、LINE は機能の段階で作り方が変わります。個人情報を入れるなら、個人情報保護委員会の注意喚起と経済産業省の契約チェックリストで、入力したデータの扱いを確かめます。

AIチャットボットの費用の四つの中身

1

製品の料金

  • 席・解決した件数・会話の件数など
  • 製品ごとに単位が違う

決まる所:担当者の人数、問い合わせの件数

2

生成AIの利用料

  • 自分で作る場合
  • トークン100万あたりの単価×使った量

決まる所:指示と渡す文書の長さ、件数

3

作る・つなぐ作業

  • 画面、社内システムとの連携、引き継ぎの流れ

決まる所:つなぐシステムの数、答えに要るデータ

4

回答の元の整備と運用

  • FAQ・マニュアルをそろえ、更新し続ける

決まる所:文書の量と古さ、更新の頻度

当社の整理

AIチャットボットの導入にかかる費用は、四つに分けて見ます。製品を使う場合の月々の料金、自分で作る場合の生成AIの利用料、作る・既存のシステムとつなぐ作業、そして回答の元になるFAQやマニュアルを整えて更新し続ける人手です。

製品の料金は、課金の単位が製品ごとに違います。担当者の席の数で払うもの、AIが解決した件数で払うもの、会話の件数で払うものがあり、月額の表示だけを並べても比べられません。月の問い合わせの件数と、AIだけで解決できそうな件数の見込みを置き、同じ件数で計算して比べます。この記事には、出どころを確かめられない相場の金額は載せていません。

この記事は、Aurant Technologies が問い合わせ対応へのAIの導入の相談を受けるときに確かめる費用の分け方と、作り方の選び方をまとめたものです。各社の料金ページと国の資料は2026年9月30日に確かめました。

製品を使う場合は、課金の単位を確かめる

Dify を使って AI チャットボットを作る場合の、クラウド版かセルフホストか、API 利用料の見積もり方は「Dify の導入支援を頼む前に決めること」で解説しています。

海外の主な製品の料金ページには、次のような課金の単位が載っています。

製品課金の単位料金ページの表示(2026年9月30日確認)
Intercom(Fin)担当者の席ごと+AIの成果の件数ごとヘルプデスクは席ごとに月29〜132ドル(年払い)。AIエージェントの Fin は成果(outcome)1件0.99ドルで、答えられなかったときや、お客様が担当者を求めたときは払わない
Zendesk担当者の席ごと+AIが自動で解決した件数ごとSuite Team は担当者1人月55ドル、Suite Professional は月115ドル(年払い)。AIエージェントはすべての Suite と Support のプランに含まれ、エスカレーションせずに解決した問い合わせにだけ料金がかかる
Salesforce(Agentforce)会話ごと、または動作ごと会話1件240円。または Flex クレジット(10万クレジットで60,000円、AIの1アクションで20クレジット)

出典:Intercom Pricing・Zendeskの料金プラン・Salesforce Agentforceの価格。ドル表示の製品は為替と税の扱いを見積もりで確かめる

解決の件数で払う製品は、使われるほど料金が増え、AIが答えられなかった分は払わずに済みます。席で払う製品は、担当者の人数で料金が決まり、AIがどれだけ答えても変わらない部分があります。たとえば、月1,000件の問い合わせのうち300件をAIだけで解決できると置くと、解決1件0.99ドルの製品では、AIの料金は月297ドルで、これに担当者の席の料金が加わります。見込みの件数を置いて、候補ごとに同じ計算をします。

課金の単位で変わる、料金の増え方

席で払う

担当者の人数で決まる

  • AIがどれだけ答えても変わらない部分がある

確かめること:AIの利用に別の料金があるか

解決で払う

AIが解決した件数で決まる

  • 答えられなかった分は払わない
  • 解決の数え方は製品ごとに違う

確かめること:何を解決と数えるか

会話・動作で払う

会話や動作の数で決まる

  • 会話1件、AIの動作1回などを単位に数える

確かめること:何を1件の会話・1回の動作と数えるか

当社の整理。各社の単位は上の表の料金ページ

国内の製品には、料金を問い合わせで案内しているものもあります。その場合も、見積もりを頼むときに、課金の単位(席・件数・会話・メッセージの数など)と、上限を超えたときの扱いを書いてもらいます。

自分で作る場合は、作り方で費用の出方が変わる

製品の管理画面だけで済ませず、自社で作り込む場合は、作り方によって、最初の費用と、あとから増える費用の出方が変わります。

作り方中身費用が増える所
既製の製品に、自社のFAQを入れる製品の管理画面に、FAQや文書を登録して使う製品の料金と、登録する回答の整備。製品の機能で足りない要望(在庫や注文の照会など)が出たときの追加の開発
生成AIのAPIで作る自社の画面から、モデルのAPIを呼んで答える作る作業と、使った量に応じたモデルの利用料。作った人が離れたときの引き継ぎ
社内の文書を検索して答える仕組み(RAG)を作るマニュアルや規程を検索できる形にして、その内容を元に答える文書を整える作業、検索の精度を上げる作業、見られる人の制限、更新の仕組み

当社の整理

生成AIの利用料は、入力と出力のトークン(文章を細かく区切った単位)100万あたりの単価で、モデルごとに違います(Anthropic・OpenAI・Google の料金ページ)。長い指示や、検索した文書をたくさん渡すほど、1件の問い合わせの利用料が増えます。軽いモデルに振り分ける、繰り返し送る部分の割引(キャッシュ)を使うといった作りで抑えられるので、見積もりでは1件あたりの利用料の見込みと、その前提を書いてもらいます。

作り方の選び方

1

FAQのページや定型の返信で片付かない問い合わせが多いか

まずFAQと返信の型を整えるだけで足りることもある

2

答えに、注文や契約など社内のシステムのデータが要るか

要るなら、つなぎ込みを前提に選ぶ

3

社内に、作ったものを直し続けられる人がいるか

いなければ、製品を使うか、保守まで含めて頼む

4

社外に出せない文書を元に答えるか

出せない理由を分けて確かめる

当てはまる項目が多いAPIや社内文書の検索で作る形を検討する
当てはまらない既製の製品に自社のFAQを入れる形から始める

当社の整理

社外に出せない文書を元に答える場合は、「出せない」の中身を分けて考えると、必要な作りが決まります。考え方はローカルLLMが本当に要るのはどんなときかの記事にまとめています。

見積もりに出てこない費用

導入の後に予算を超える原因の多くは、見積もりに書かれにくい部分にあります。

見積もりに出てこない費用

1

回答の元の整備

  • 散らばったFAQ、古い回答、担当者の頭の中の答えを使える形にそろえる

2

利用料の増え方

  • 長い指示や大量の文書で、1件あたりの利用料が想定より増える

3

運用の人手

  • 誤った答えの確認、回答の更新、引き継ぎの線引きの見直し

4

モデルの入れ替え

  • 新しい版に替えると答え方が変わるので、確かめ直す

当社の整理

とくに回答の元の整備は、作業の量を読み違えやすい所です。FAQの件数だけでなく、いつ更新したか、誰が正しいと確かめるかを先に数えます。担当者の頭の中にしかない答えは、書き起こす作業から始まります。

お客様向け・社内向け・LINEで、作り方と注意が変わる

お客様向け

AIで答え切れない問い合わせを、担当者に引き継ぐ流れを先に決めます。本人確認が要る手続き、苦情、金額に関わる問い合わせは、AIに答えさせずに引き継ぐ、といった線を引きます。引き継ぐときは、それまでの会話を担当者が読める形で渡します。

担当者に引き継ぐ流れ

AIが答えるFAQとマニュアルを根拠に
条件に当たる根拠が無い・本人確認・苦情・金額
担当者に渡すそれまでの会話ごと
回答を足す担当者の答えをFAQに戻す

当社の整理

社内向け

社内の文書を読ませる前に決めておく、文書の仕分けと古い版の外し方、使われているかの測り方は「社内の文書をAIで引けるようにする前に」で解説しています。

社内の規程やマニュアルを元に答える場合は、部署や役職によって見てよい文書が違います。見られる人の制限を、文書を検索する段階でかける作りにします。答えには、根拠にした文書の名前と場所を添えると、利用者が原文で確かめられます。

LINEで答える場合

LINE の公式アカウントで問い合わせに答える場合は、LINE の機能で足りるか、外部の道具や自社の仕組みとつなぐかで作り方が変わります。段階ごとの違いは、LINEの問い合わせをAIに任せる3つの段階の記事で比べています。

個人情報を入れる場合

個人情報保護委員会は、生成AIのサービスに個人情報を含む指示を入力するときは、特定した利用目的の範囲に収まっているかを確かめるよう求めています。また、本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反するおそれがあるとして、サービスの事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを確かめるよう注意を促しています(生成AIサービスの利用に関する注意喚起等、2023年6月2日)。

経済産業省のAIの利用・開発に関する契約チェックリスト(2025年2月)も、提供者が利用者の業態に合わせて調整したAIチャットボットを例に挙げ、入力したデータの扱いや、個人データを渡すときに第三者への提供と取り扱いの委託のどちらに当たるかを、契約で確かめる点に挙げています。

導入の進め方と、最初に測る数字

導入の進め方

問い合わせを数える件数と種類を、記録から分ける
答えの元をそろえるFAQとマニュアルを更新し、確かめる人を決める
小さく試す種類や時間帯を絞って
広げる測った数字で判断する

測る数字:AIだけで解決した件数、担当者に引き継いだ件数と理由、誤った答えの件数

当社の整理

試すときは、AIだけで解決した件数、担当者に引き継いだ件数とその理由、誤った答えの件数を数えます。引き継いだ理由を分けると、足りない回答の元が分かり、次に整える文書が決まります。

Aurant Technologies では、問い合わせの分類と回答の元の整備から、製品の選定、社内のシステムや LINE とのつなぎ込み、使い始めた後の見直しまでを支援しています。支援の内容と費用の考え方はAI活用支援のページに載せています。問い合わせへの回答を超えて、社内の業務を進めるAIエージェントまで作る場合は、AIエージェント開発を外注するときの費用と進め方で外注の範囲の決め方を書いています。

AI活用支援

Claude・ChatGPT・Gemini・Copilotのどれをどの業務に使うかの見極めから、社内のAIチャット環境、権限と情報の扱いの設計、MCPやAPIでの既存システム連携、研修・伴走までを支援します。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

この記事が役に立ったらシェア:

導入・外注のご相談

進め方と、費用が何で決まるかをお伝えします。

費用感だけのご相談でも構いません。フォームで相談する費用の考え方を見る