バクラク請求 と Bill One|請求書受領・支払のデジタル化ツール比較

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請求書の受領から支払、仕訳、そして保管。このバックオフィス業務のデジタル化において、現在国内で最も有力な選択肢となるのが「バクラク請求」と「Bill One」です。

どちらも電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を謳っていますが、その設計思想や「どの業務を一番楽にするか」という焦点は大きく異なります。本記事では、IT実務者の視点から両サービスを徹底比較し、自社のフェーズや課題に最適なツールを選定するための基準を具体的に解説します。

バクラク請求とBill Oneの決定的な違いとは?選定の要諦

まず結論から述べると、両ツールの最大の違いは「業務の守備範囲」にあります。

受領・データ化に特化するBill One、支払・ワークフローまで統合するバクラク

Sansan株式会社が提供する「Bill One」は、「あらゆる請求書をオンラインで受領する」ことに極めて強いこだわりを持っています。郵送で届く紙の請求書を代行受領し、スキャンしてデータ化する仕組みが盤石で、受け取る側の工数をゼロに近づけるのが特徴です。

一方、株式会社LayerXが提供する「バクラク請求」は、「請求書が届いた後の支払・会計処理」をいかに爆速にするかに主眼を置いています。AI-OCRによる高速な読み取りはもちろん、稟議(申請)データとの自動紐付けや、ネットバンキング連携による振込作業の自動化など、経理の実務フロー全体をハックすることを得意としています。

注意点:「ただ電帳法に対応したいだけ」という目的で導入すると、現場の運用とツールの特性がミスマッチを起こし、かえって工数が増えるリスクがあります。以下の記事で解説している通り、受取SaaSと会計ソフトの責務分解を正しく理解することが重要です。

【完全版】「とりあえず電帳法対応」で導入したシステムが経理を殺す。Bill One等の受取SaaSと会計ソフトの正しい責務分解

【徹底比較】バクラク請求 vs Bill One 機能・スペック一覧表

実務で比較検討する際に必須となる項目を一覧表にまとめました。数値や仕様は2026年時点の各社公式サイトおよび公式ドキュメントの情報に基づきます。

比較項目 バクラク請求(LayerX) Bill One(Sansan)
主な強み 支払・振込・稟議連携の圧倒的な速さ 受領代行・高精度なデータ化と網羅性
受領方法 アップロード、メール、専用URL等 郵送代行受領、メール、アップロード
AI-OCR/データ化 AIによる即時データ化(数秒) AI+オペレーターによる99.9%の精度
支払実行機能 全銀データ出力、ネットバンキングAPI連携、振込代行 Bill One支払(振込代行オプション)等
稟議連携 「バクラク申請」とシームレスに統合 他社ワークフロー連携、または簡易フロー
料金体系 月額基本料金+件数課金(詳細は問い合わせ) 月額基本料金+件数課金(詳細は問い合わせ)
公式サイトURL https://bakuraku.jp/invoice/ https://bill-one.com/

AI-OCRの精度と「データ化」の思想

バクラク請求は「AIによる爆速の読み取り」を重視しています。アップロードした瞬間に項目が埋まる体験は、仕訳入力を極限まで効率化します。対してBill Oneは、Sansanの名刺管理で培ったオペレーター補正を組み合わせることで、精度の高さを担保しています。不鮮明な文字でも正確にデータ化される安心感があります。

バクラク請求の特徴と導入メリット・デメリット

バクラク請求を導入する最大のメリットは、「経理のキーボード操作が激減する」ことです。

バクラク請求が「支払の実務」に強い理由

バクラク請求は単なる受取ツールではありません。支払管理機能が非常に強力です。
例えば、読み取った請求書データから「振込データ(全銀フォーマット)」を生成できるだけでなく、主要なネットバンキングとのAPI連携により、バクラクの画面内から振込依頼を完結させることも可能です。これにより、銀行サイトへの二重入力やコピペミスによる誤送金リスクを排除できます。

稟議(バクラク申請)とのシームレスな紐付け

「この請求書、誰が承認した何の件だっけ?」という確認作業は、経理の大きな負担です。バクラク請求は、同シリーズの「バクラク申請」で承認された稟議データと、届いた請求書を自動でマッチングさせます。予算管理と実績管理が同一プラットフォーム上で完結するため、ガバナンスレベルが劇的に向上します。

特に中堅以上の企業で、経費精算や稟議を会計ソフトから切り離して管理したい場合には、バクラクの柔軟性が光ります。詳細は以下の比較記事も参考にしてください。

【徹底比較】バクラク vs freee支出管理。中堅企業が「経費精算・稟議」を会計ソフトと分ける本当の理由

Bill Oneの特徴と導入メリット・デメリット

Bill Oneを導入する最大のメリットは、「社内から紙が一切なくなる」ことです。

圧倒的な「受領代行」網

Bill Oneの強みは、自社に代わって「請求書を受け取ってくれる」センターの存在です。取引先が頑なに紙の郵送を続けても、送付先をBill Oneのセンターに変更するだけで、社内にはデジタルデータとして届きます。これにより、出社して請求書の封筒を開け、スキャンするという不毛な業務から全社員が解放されます。

グループウェア・Slack連携による通知の利便性

Bill OneはSansan譲りの優れたUIを持っており、請求書が届くと即座に担当者へ通知が飛びます。SlackやMicrosoft Teamsとの連携もスムーズで、現場担当者が「届いた請求書を確認して承認する」というアクションをスマホからでもストレスなく行えます。全社的なデジタル化の浸透を重視する場合、この使い勝手の良さは大きなアドバンテージです。

実務に即した選定基準:自社に合うのはどっち?

選定に迷った際は、以下の3つの基準で判断してください。

  • 紙の請求書比率が高いか?:郵送が半分以上を占め、スキャン工数を削減したいならBill One
  • 支払作業を自動化したいか?:振込データの作成や銀行連携まで一気通貫で行いたいならバクラク請求
  • 稟議フローと連動させたいか?:発注前の承認(稟議)と請求書を紐付けて厳格に管理したいならバクラク請求

また、会計ソフトとの連携についてはどちらも主要なSaaS(freee、マネーフォワード等)に対応していますが、特にfreee会計との組み合わせで高度な自動化を目指す場合は、API連携の深さを確認する必要があります。

楽楽精算×freee会計の「CSV手作業」を滅ぼす。経理の完全自動化とアーキテクチャ

導入ステップ:失敗しないための初期設定ガイド

導入を決めた後、実務担当者が躓きやすいポイントをステップ形式で解説します。

STEP1:受領チャネルの集約

まず、現在どのような経路で請求書が届いているかを棚卸しします。メール添付、WEBからのダウンロード、郵送。これらを、Bill Oneの専用住所やバクラクの専用メールアドレスへ一本化する案内を取引先へ送付します。ここが最も泥臭く、しかし最も重要なフェーズです。

STEP2:マスタデータ(勘定科目・部門)の同期

会計ソフトで使用している勘定科目、補助科目、部門マスタをCSVまたはAPIでツール側にインポートします。バクラクの場合、過去の仕訳履歴からAIが「この取引先ならこの科目」と推論してくれるため、マスタの整合性が重要になります。

STEP3:承認ワークフローの設計と権限分離

「担当者→課長→部長→経理」といった承認ルートを構築します。特に、銀行振込データを作成する権限と、それを承認・実行する権限を分ける(職務分掌)設定を必ず行いましょう。セキュリティ上の大きな穴になりやすい部分です。

よくあるエラー:OCR読み取りミスと「登録番号」不一致の対処

AI-OCRが誤認した場合(例:0と8の誤認)、手動修正が必要ですが、多くのツールでは「一度修正した内容を学習」します。また、インボイス制度の登録番号が失効している、あるいは記載がない場合のエラー通知機能も活用してください。これを見逃すと、消費税の仕入税額控除が受けられず、決算時に大きな問題となります。

結論:請求書受領SaaSを「ただの保管庫」にしないために

バクラク請求もBill Oneも、単なる「電子保管ツール」ではありません。これらを導入する真の目的は、経理業務という企業の「血管」の詰まりを解消し、経営判断に必要なデータをリアルタイムで抽出することにあります。

自社の課題が「受領の入り口」にあるのか、「支払・消込の出口」にあるのかを見極め、最適なパートナーを選定してください。一度構築したデジタルフローは、企業の成長を支える強力なインフラとなるはずです。

導入成功の鍵を握る「実務上の落とし穴」と対策

ツールを選定し、システムを連携させるだけで業務が完結するわけではありません。導入プロジェクトを円滑に進めるために、多くの企業が直面する実務上の課題を整理しておきます。

1. 取引先への協力依頼という「最大の壁」

特にBill Oneの郵送代行を利用する場合、すべての取引先へ「送付先住所の変更」を依頼する必要があります。取引社数が多いほどこの案内コストは増大し、浸透までには数ヶ月の並走期間を要するのが一般的です。バクラク請求においても、専用メールアドレスへの自動転送設定などを取引先に依頼するフェーズが発生するため、早めの周知計画が重要です。

2. アカウント管理のガバナンス

全社で導入を進める場合、利用者の増大に伴い「誰がどのデータを閲覧・承認できるか」の権限管理が複雑化します。特に退職者のID削除が漏れると、財務情報への不正アクセスを許す重大なセキュリティリスクとなります。ID管理の自動化については、以下の記事も参考にしてください。

SaaS増えすぎ問題と退職者のアカウント削除漏れを防ぐ。Entra ID・Okta・ジョーシスを活用した自動化アーキテクチャ

自社に最適なツールを判断するための最終チェックリスト

自社の現状と、解決したい課題の優先順位を照らし合わせて、最適な選択肢を確認しましょう。

重視する要件 バクラク請求が適した企業 Bill Oneが適した企業
メインの導入目的 支払・振込・仕訳作業を速くしたい 紙の受領・開封・スキャンをゼロにしたい
データ化の優先度 AIによる即時性(数秒) 人の目を通した正確性(99.9%)
付加価値の期待 稟議(バクラク申請)との一気通貫管理 グループウェア連携による全社浸透

公式情報・最新の仕様詳細

API連携可能な金融機関や、詳細な機能アップデート情報は、必ず以下の公式サポートサイトで最新状況を確認してください。特に銀行APIの対応範囲は四半期単位で更新される場合があります。

また、これらのツール導入と併せて、バックオフィス全体のコスト構造を見直す場合は、以下の記事が役立ちます。

SaaSコストを削減。フロントオフィス&コミュニケーションツールの「標的」と現実的剥がし方【前編】

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本記事の内容を自社の状況に当てはめたい場合や、導入・運用の設計を一緒に整理したい場合は、当社までお気軽にご相談ください。担当より折り返しご連絡いたします。

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上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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