【マーケティング提案の裏側②】「アクセスはあるのに売れない」をどう図解する?プロのUI/UX分析スライド(認知〜興味編)

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【マーケティング提案の裏側②】「アクセスはあるのに売れない」をどう図解する?プロのUI/UX分析スライド(認知〜興味編)

公開日:2026年4月12日 | 対象:マーケター、DX推進担当、経営企画

第1回では、提案の冒頭でカスタマージャーニーを用い、クライアントと「トラフィックはあるが、それが体験に繋がる配管に漏れがある」という全体像を合意するプロセスを解説しました。

全体像が共有できたら、次はいよいよ**「個別具体的なUI/UXの課題と解決策」**の提示に入ります。クライアントが最も知りたいのは、「なぜアクセスがあるのにコンバージョン(予約・問い合わせ)に繋がらないのか?」という構造的な理由です。

プロの提案は、「デザインが古い」「使いにくい」といった主観的な指摘は行いません。データに基づく現状の強みを定義した上で、それを阻害しているUI/UXの構造的欠陥を図解し、他社事例を用いた解決策をセットで提示します。今回はトップファネル(認知・興味層)に対する提案ストーリーを解説します。

1. 課題指摘の前に「自社が持つポテンシャル」をデータで定義する

具体的なUI/UXの課題に入る前に、まずは前提となる「自社の集客力(資産)」をデータで客観的に証明するスライドを配置します。

オンライン(認知)分析スライド

▲ 【実際の提案スライド③】自社のトラフィックが競合他社を圧倒しているという事実をグラフで提示する。

認知〜興味関心(一般名詞の獲得)スライド

▲ 【実際の提案スライド④】固有名詞だけでなく、一般名詞でも多数の検索上位を獲得できていることを証明する。

なぜこの2枚のスライドから入るのか。それは、「UI/UXさえ改善すれば、必ず成果が出る」という論理的な裏付けを行うためです。

スライド④で示している通り、自社名(固有名詞)だけでなく、関連する一般名詞でも検索上位を獲得できているということは、「まだ自社を知らない潜在層へのリーチがすでに成功している」ことを意味します。つまり、集客の入り口(認知フェーズ)としては業界トップクラスのポテンシャルを持っており、問題は「サイトに訪れた後の導線(UI/UX)」にのみ存在するという前提をここでセットします。

2. ファーストビューのミスマッチ:「企業目線」と「ユーザー目線」のズレ

入り口に十分なトラフィックがあることを証明した上で、最初のボトルネックである「トップページの構造」を指摘します。

TOPページのUI・UX解説スライド

▲ 【実際の提案スライド⑤】トップページのファーストビューにおける、企業側の発信情報とユーザーの検索意図のギャップを指摘。

スライドの左側には実際の画面を配置し、ユーザーがサイトを開いて最初に目にする情報が「お知らせ」などのテキストリンクであることを示します。

ここでは、「企業が発信したい情報」と「新規ユーザーが求めている情報」の構造的なズレを課題として定義します。一般名詞で検索して訪れた新規ユーザーは、「どんな教室なのか」「初心者でも大丈夫か」を知りたいにも関わらず、最も目立つ場所に既存会員向けの事務連絡が置かれているため、直帰に繋がっているという論理展開です。

3. ルーティングの不在:ターゲットの混在に対する解決策

ファーストビューの構造的課題に続き、ナビゲーション(経路案内)の欠陥を指摘し、解決策を提示します。

興味・関心施策のご提案スライド

▲ 【実際の提案スライド⑥】「適切な案内ができていない」という課題に対し、右側にベストプラクティス(他社事例)を提示。

スライド左側の画像から読み取れる通り、現状のサイトは「○○とは」「○○を学ぶ」「○○を知る」といったメニューが並列に置かれています。しかし、これらは初めて訪れたユーザー(初心者)にとっては違いが直感的に分からず、迷いを生む原因となっています。

💡 提案のポイント:ベストプラクティスによる解決策の提示

課題を指摘するだけでなく、スライド右側に他業界(セキュリティ会社など)の優れたUI事例を配置している点が重要です。「法人のお客様 / 個人のお客様」と入り口が明確に分かれている事例を見せることで、「ファーストビューでユーザーに自己選択させる『ルーティング機構』を導入すべきである」という解決策のイメージを、クライアントと瞬時に共有することができます。

4. 機会損失の可視化:「読み物」で終わらせるCTAの不在

トップページの次は、潜在層の受け皿となっている記事コンテンツの課題に移行します。

興味・関心施策のご提案(次のアクション)スライド

▲ 【実際の提案スライド⑦】記事を読んだ後の「次のアクション(CTA)」が不足していることを、実際の画面を用いて指摘。

前半のスライドで「一般名詞での流入は成功している」と評価した記事コンテンツ(○○メディア等)ですが、ここではその出口の欠陥を指摘します。スライドの左側で実際の記事画面を見せ、「読み終わった後に次のアクションへ促す仕組みがないため、記事が『読み物』として完結してしまっている」と定義します。

スライドで提案する構造改革(配管の修理)

【現状】フロー型の消費
記事を読む ▶ 満足する ▶ 離脱
【提案】ストック資産への変換
記事を読む ▶ 適切なCTA配置 ▶ 次の行動へ

解決策として、記事の下部に体験予約への導線や、関連コンテンツへの誘導(CTA)を配置すべきだと提案します。これにより、掛け捨てになっていたトラフィックを、自社の資産としてストックしていく構造へと転換させます。

まとめ:UI/UXの提案は「事実 → 構造的欠陥 → 他社事例」で構成する

プロのUI/UX改善提案は、単に画面のダメ出しをするものではありません。
「データによる強みの証明」を前提とし、「それがどういう構造的な欠陥(案内不足、CTA不足)によって阻害されているか」を図解し、最後に「他社のベストプラクティスを用いた解決策」をセットで提示する。この一連のストーリーがあるからこそ、クライアントは納得してシステム改修の意思決定を下すことができます。

次回【第3回】では、さらにファネルを下り、「比較・検討」から「体験・継続」に至るフェーズのUX改善アプローチについて解説します。お楽しみに。

「通る提案書」は、構造の理解から生まれる。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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