自治体のLINE公式アカウントの構築・運用の予算を要求するとき、何を積み上げるか|アカウントの料金(地方公共団体プラン)と、構築・運用・拡張の委託費を分ける

自治体のLINE公式アカウントの予算は、LINEヤフーに払う分と事業者に払う分で性質が違います。地方公共団体プランの料金と条件、公開されている4団体の上限額が覆う範囲、交付金の名称の変遷を、公式資料で確かめて整理しました。

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この記事の要点

  1. LINEヤフーに払う分と、事業者に払う分を分けて積む。地方公共団体プランが適用されたアカウントは、月額固定費も通数の上限もない(LINEヤフーの媒体資料、2026年4月版)。予算要求の中心は、構築・運用・拡張の委託費になる。
  2. プランが適用されるのは1団体につき1アカウントで、申込は団体の職員本人が行う。ふるさと納税用などの2つ目のアカウントは、プランの対象外。通常のプランの料金が出うる。
  3. 公開されている4団体の募集資料では、上限額が覆う範囲が初年度だけ、初期構築と3年間、などと違う。金額の前に、何年度分の何を積むかを書く。財源の交付金は年度ごとに名称が変わるので、その年度の募集要領を確かめる。

予算に積む費用は、LINEに払う分・事業者に払う分・別に積む分で分かれる

3つに分けると、無償の部分と費用が出る部分が、財政課にも見えやすくなる(当社の整理)

LINEに払う分

アカウントの料金

  • 地方公共団体プランが適用されたアカウントは、月額固定費と通数の料金が無償
  • 適用は1団体につき1アカウント

積む額:プラン適用後は基本的に0円(要確認)

事業者に払う分

構築・運用の委託費

  • 初期構築
  • 年度ごとの利用料・保守料

積む額:仕様書と見積で決まる。何年度分かを先に決める

別に積む分

拡張・オプション・2つ目

  • 管理者アカウントの追加、公的個人認証や電子決済の費用
  • LINEのオプション(通知メッセージなど)
  • 2つ目のアカウントの通常プラン

積む額:使う機能が決まってから積む

出典:LINEヤフー 地方公共団体プラン媒体資料(2026年4月版)、浜田市の質問回答、生駒市の質問回答(2026年10月6日確認)

自治体のLINE公式アカウントの予算要求では、LINEヤフーに払う分と、事業者に払う分を分けて積みます。LINEヤフーに払う分は、地方公共団体プランが適用されたアカウントなら、月額固定費もメッセージ通数の上限もありません(LINEヤフーの媒体資料、2026年4月版)。要求の中心になるのは、構築・運用・拡張を委託する費用です。

民間向けの運用代行の費用が、LINEに払う月額固定費や追加メッセージ料を含むのかどうかは、自治体の条件と照らして分かりません。この記事では民間向けの金額は引用せず、公開されている自治体の募集資料の上限額から、何をどの期間で積んでいるかを見ます。

仕様書に何を書くかは、別の記事で整理しました。この記事は、その仕様書の金額をどう積むかの話です。数字と条件は、LINEヤフーと各団体の公開資料、内閣府の資料にあるものだけを書き、当社の整理や読み取りはそう書きます。確認日は2026年10月6日です。

LINEに払う分:地方公共団体プランが適用されると、月額固定費と通数の料金が出ない

LINE公式アカウントの通常のプランは3つで、月額固定費はコミュニケーションが0円、ライトが5,000円、スタンダードが15,000円です(税別)。地方公共団体プランが適用されたアカウントは、月額固定費が無償で、メッセージ通数に上限がありません。媒体資料は、これを「基本無償」と書いています。

LINE公式アカウントの月額固定費(税別)

無料の通数は、コミュニケーションが200通、ライトが5,000通、スタンダードが30,000通。地方公共団体プランは上限なし

コミュニケーションプラン0円
ライトプラン5,000円
スタンダードプラン15,000円
地方公共団体プラン0円

出典:媒体資料(2026年4月版)、LINE公式アカウント 料金プラン(2026年10月6日確認)

「基本」とついているのは、対象がLINE公式アカウントだけだからです。LINE通知メッセージやLINEチャットPlusのようなオプション、広告の商材は、無償の対象外です。チャットProオプションとプレミアムIDは、プランが適用されると無償で使えます(チャットProオプションの案内は、適用の完了後に届きます)。

管理画面には、プランが適用されたあとも「スタンダードプラン」と表示されます。媒体資料によると、請求の対象外かどうかは、LINEヤフーから届く適用のメールで確かめます。このメールの保管も、団体への依頼事項に入っています。

4つのプランの比べ方(通数と追加メッセージ)
4つのプランの比べ方。地方公共団体プランは、管理画面ではスタンダードプランと表示される
プラン月額固定費(税別)無料のメッセージ通数追加メッセージ
コミュニケーション0円200通不可
ライト5,000円5,000通不可
スタンダード15,000円30,000通20万通までは1通3円、20万通を超える分は1通2.5円(税別。2026年10月1日の改定)
地方公共団体プラン0円上限なし不可(上限がないため)

適用の条件:予算の前に、5つを確かめる

条件は5つで、どれかを満たさないと適用されません。予算要求の前に、いまのアカウントがどこまで満たしているかを見ます。

地方公共団体プランが適用される5つの条件

条件を満たさないときは、理由は開示されない。再申込はできる

条件 1

アカウント名

  • 都道府県名・市区町村名・行政機関名のいずれかの形
  • 例:横浜市、福岡県福岡市、新宿区役所

条件 2

認証済アカウント

  • 未認証アカウントは対象外
  • 認証済みになると、アカウント名は原則変更できない

条件 3

利用者の範囲

  • 都道府県・市区町村。区は東京23区のみ
  • 広域連合などの特別地方公共団体や外郭団体は対象外

条件 4

1団体につき1アカウント

  • 複数のアカウントにはプランを適用しない
  • 適用するアカウントの変更も原則できない

条件 5

申込者

  • 団体に所属する職員で、アカウントの管理者と一致すること
  • 代理店などを通じた申込は認められない

適用まで:不備がなければ、申込から3〜5営業日程度

出典:媒体資料(2026年4月版) 6ページ・15ページ(2026年10月6日確認)

予算の組み立てに響くのは、3つです。1つ目は、条件1と2のとおり、アカウント名と認証済みの状態が先に決まることです。認証済みのアカウントは、アカウント名を原則変えられず、認証の審査には5〜10営業日かかります(認証済アカウントの案内)。2つ目は、条件5のとおり、申込が団体の職員本人に限られることです。申込の作業を委託先に頼んで委託費に積んでも、LINEヤフーへの申込は職員本人が行うことになります。3つ目は時期で、月末にライトプランやスタンダードプランから申し込むと、反映が翌月になり、適用が申込の翌々月になることがある、と媒体資料のQ&Aは書いています。

2つ目のアカウントは、プランの対象外:通常のプランの料金を積む

地方公共団体プランは、1団体につき1アカウントです。媒体資料は、「○○市」のアカウントにプランが適用されている団体が、別の「○○市役所」のアカウントに新しく適用することはできない、と例を挙げています。ふるさと納税用に別のアカウントを持つ場合、そのアカウントはプランの対象外です。ここから先は当社の読み取りで、通常のプランの料金が出ます。

2つ目のアカウントで通常プランを選ぶと、月額固定費の1年分はいくらになるか(税別)

月額固定費に12を掛けた額。追加メッセージの料金と、LINEのオプションは含まない(当社の計算)

コミュニケーションプラン(月200通まで)0円
ライトプラン(月5,000通まで)6万円
スタンダードプラン(月30,000通まで)18万円

出典:LINE公式アカウント 料金プラン の月額固定費から、当社が12か月分を計算(2026年10月6日確認)

追加メッセージは、スタンダードプランだけが従量課金で、2026年10月1日の改定のあと、20万通までは1通3円、20万通を超える分は1通2.5円です(改定のお知らせ、税別)。通数は「メッセージを送った回数」と「送った友だちの数」を掛けて数えます。どのプランが合うかは、配信の回数と友だち数から決めます。2つ目を作るかどうかの考え方は、別の記事で整理しています。

事業者に払う分:構築・運用・拡張に分けて積む

アカウントの料金が出ないぶん、予算の中身は、事業者への委託費が占めます。公開されている実施要領や質問回答を読むと、構築、運用、拡張にあたる費用が、それぞれ別の書かれ方をしています。

事業者への委託費を、構築・運用・拡張に分けたときの、公開資料での書かれ方

構築・運用・拡張の3つの分け方は当社の整理。各団体の資料の言葉は、各列の例のとおり

構築

初期構築の費用

  • 浜田市:システムの構築費・システム利用料・保守料を、令和8年度分としてまとめて上限に置く
  • 生駒市:初期構築と令和5年度の運用の費用を、同じ年度の内訳に入れる

運用

年度ごとの利用料・保守料

  • 浜田市:令和9年度以降は上限を置かないが、参考見積書に令和9・10年度のランニングコストを書かせ、評価の対象にする
  • 佐渡市:令和6年度以降の運用保守費は上限の外に置き、評価には含める

拡張

追加で出る費用

  • 浜田市:管理者アカウントは5アカウント分を見込み、6アカウント目以降の費用は提案書に書く
  • 生駒市:公的個人認証の利用料と電子決済の費用は、見積金額に含まない

出典:浜田市の実施要領・質問回答、生駒市の実施要領・質問回答、佐渡市の実施要領(2026年10月6日確認)

運用の行は、書き方の違いが大きいところです。浜田市は令和9年度以降の費用に上限を置かず、佐渡市は令和6年度以降の運用保守費を上限の外に置いたうえで、どちらも評価の対象にしています。上限額の中に運用費が入っているかどうかで、見積の出し方が変わります。

拡張の行は、仕様書に書かれていないところから出ます。浜田市は、管理者アカウントを5アカウント分と決めたうえで、6アカウント目以降の費用を提案書に書かせています。生駒市は、公的個人認証の利用料と電子決済の費用を見積に含めない、と答えています。こうした費用は、どの時点で誰が払うかを、先に分けて書いておくと、あとで予算の追加が必要になる場面が減ります。

公開されている4団体の上限額:同じ「上限」でも、覆う範囲が違う

金額の積み方の参考に、募集資料が公開されている4団体の上限額を並べます。団体の規模も、機能も、募集の年度も違うので、金額を比べるための表ではありません。見てほしいのは、表の後ろの2列の、上限が覆う範囲とその外の費用の扱いです。(千葉市の募集要項はこちら)

公開されている4団体の上限額。上限額は予定価格などの上限であり、金額の相場ではない
団体上限額(税込)上限が覆う範囲その外の費用の扱い
浜田市(令和8年6月公告)250万円令和8年度のシステム構築費・システム利用料・保守料。見積は、令和8年10月1日から令和9年3月31日までの運用期間で出す令和9年度以降は上限を置かない。参考見積書に令和9・10年度のランニングコストを書き、評価の対象になる
生駒市(令和5年4月公示)676万5,000円初期構築と3年間の維持管理(契約締結日から令和8年8月31日まで)。年度ごとの内訳にも上限がある合計か年度の内訳のどちらかが上限を超えると失格
佐渡市(令和5年6月公募)148万3,000円システム構築(テスト運用の費用を含む)と、令和5年度末までの運用保守令和6年度以降の運用保守費は上限に含めないが、評価には含める。令和9年度まで継続した場合の経費を見積に書く
千葉市449万9,500円構築と運用保守の委託金額の上限。契約期間は令和6年3月31日まで翌年度以降の費用の扱いは、募集要項には見当たらない

浜田市は令和8年度の1年度分、佐渡市は初期構築と令和5年度末まで、生駒市は初期構築と3年間の維持管理です。同じ「上限額」でも、1年度分か、複数年度の合計かで、予算要求に置く数字の意味が変わります。生駒市の内訳を年度ごとに見ると、次のとおりです。

生駒市の上限の内訳(年度ごと、税込)

合計は676万5,000円。年度の内訳の金額も、超えると失格になる

令和5年度(初期構築費用と9月〜3月分)198万円
令和6年度198万円
令和7年度198万円
令和8年度(4月〜8月分)82.5万円

出典:生駒市の実施要領(業務に要する費用)(2026年10月6日確認)

生駒市の上限は、初期構築と運用を分けず、年度ごとの額としてまとめて置いています。令和5年度の額には、初期構築費用と9月から3月までの分が入っています。上限額は、金額の相場ではなく、団体が募集のときに置いた予定価格などの上限です。自団体の積算は、仕様書の範囲と運用する課の数、管理者の数から組み立てます。

予算要求の組み方:運用費は毎年度出る

LINEに払う分がほぼ0円になると、予算の説明が構築費だけに寄りやすくなります。運用費は初年度で終わらず、毎年度出ます。上限額が初年度だけの団体は、次の年度の要求を別に出すことになります。複数年度にわたる契約をどう扱うかは、団体ごとの財務の決まりによるので、財政課に確かめます。

予算要求に積む順番(当社の整理)

LINEに払う分がほぼ0円でも、運用費は毎年度出る。運用の行を飛ばさない

1. LINEの料金プランが適用済みか確かめる
2. 初期構築構築費を1行で積む
3. 運用年度ごとに、何年度分かを書く
4. 拡張管理者の追加・オプション・2つ目
5. 財源交付金か一般財源かを決める

上限額が覆う期間は、予算の説明にも仕様書にも、同じ書き方で書く

順番と書き方は当社の整理。根拠は上の表と図の公式資料(2026年10月6日確認)

順番は、無償の部分から先に置き、費用が出る部分を後ろに積むものです(当社の整理)。「LINEの料金」の行は、プランが適用済みなら0円と書けます。未適用なら、申込の時期から適用までの間に、通常のプランの料金が出うるかを確かめます。

財源:交付金の名称は、年度ごとに変わる

デジタル実装型の交付金は、補正予算の年度ごとに名称が変わってきました。内閣府の令和8年度の募集資料は、過年度の交付金を次のように並べています。令和8年1月の資料には、令和7年度補正で「地域未来交付金」を創設したとあります。

デジタル実装型の交付金の名称は、年度の補正予算ごとに変わっている

内閣府の令和8年度の募集資料が、過年度の交付金として並べているもの

令和3年度補正

デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装タイプ)

令和4・5年度補正

デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)

令和6年度補正

新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)

令和7年度補正

地域未来交付金(デジタル実装型)

出典:内閣府 令和8年度 デジタル実装定着支援事業(制度概要資料)、地域未来交付金について(令和8年1月)(2026年10月6日確認)

生駒市の質問回答には、デジタル田園都市国家構想交付金で採択された予算について、初期構築と令和5年度の保守・運用経費を想定している、という回答があります。交付金が覆う費用と年度が、運用費の全期間にはならない場合があります。2年目以降の運用費の財源は、交付金とは別に考える必要があります(当社の読み取り)。LINE公式アカウントの構築・運用が、いまの交付金の対象になるかは、その年度の募集要領と担当課で確かめます。

この記事で確かめられなかったこと
  • 民間向けの運用代行の費用(月額の幅や構築費)。本文は読んでおらず、自治体の条件にそのまま当てはまるかも分からないので、数字は引用していません。
  • 2つ目のアカウントに通常のプランが適用されること。媒体資料には、プランは1団体につき1アカウントとしか書かれていません。通常のプランの料金が出る、というのは、そこからの当社の読み取りです。
  • 地方公共団体プランが適用されたアカウントの、オプションの料金。媒体資料は「オプション・別メニューは別途費用」としており、個別の金額は確かめていません。
  • 2つ目のアカウントの配信の通数の見積り。追加メッセージの改定後の単価は確かめましたが、団体ごとの配信回数と友だち数が分からないので、見積りは出していません。
  • 交付金でLINE公式アカウントの構築・運用が対象になるか、いまの募集要領の条件と日程。令和8年度の募集要領は読んでいません。
  • 複数年度にわたる契約の予算の組み方(団体ごとの財務の決まり)。担当の財政課に確かめる必要があります。
  • 予算要求の日程。団体ごとに違い、この記事では確かめていません。
  • 上限額は4団体の募集時点のもので、団体の規模や機能が違うため、自団体の積算の代わりにはなりません。

アカウントの料金、構築・運用・拡張の委託費、財源を分けて積む整理は、Aurant Technologies の自治体向けLINE公式アカウントの構築・運用支援のページから相談できます。仕様書に書く内容は、仕様書の項目を並べた記事にまとめています。

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