自治体 LINE のセグメント配信を、防災・ごみ・子育て・健康でどう分けるか|全員に届ける情報と受信設定で選ぶ情報の線引き、各課の配信ルール、ブロックの測り方
自治体のLINE公式アカウントで、防災・ごみ・子育て・健康の配信を、全員に届ける層、住民が受信設定で選ぶ層、本人にだけ届く層に分ける考え方を整理しました。全員に届ける範囲の線引きの違い(受信設定を公表している団体のページ)、受信設定の作り方、各課の配信を調整する庁内ルール、ブロックの数え方を、LINEヤフーの公式資料と自治体の公表ページで確かめています。
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この記事の要点
- 自治体LINEの配信は、全員に届ける層、住民が受信設定で選ぶ層、申請した本人にだけ届く層の3つに分け、各課の配信をどの層に入れるかを庁内のルールにする。LINEの標準の属性(友だち期間・性別・年齢・OS・エリア)には、ごみや子育てへの関心がないので、関心で分けるには住民が自分で選ぶ受信設定が要る。
- 全員に届ける範囲は、受信設定を公表している団体の間でも違う。緊急情報だけを全員にする団体、広く知らせたい情報も全員にする団体、防災・災害情報も受信設定で選ばせる団体がある。範囲、各課の月の枠、配信する時間、原稿の確認を庁内のルールに書き、受信設定の画面にも書く。
- 配信回数やブロック率の基準値は、読んだ公式資料に載っていない。Messaging APIは、ブロックしているユーザーを宛先にしてもエラーを返さず、ブロックは配信の失敗として見えない。日ごとのブロック数と配信の記録を並べて、自団体の数字で見る。
配信は3つの層に分ける
各課の配信を、まずどの層に入れるかで分ける(当社の整理)
層1
全員に届ける
- 避難に関する情報など、受け取れないと被害が出うるもの
- 配信先を「すべての友だち」にして送る
- 受信設定の画面に「設定に関わらず届く」と書く
決めること:どこまでを緊急とするか
層2
住民が受信設定で選ぶ
- ごみ・子育て・健康・イベントなど、関心が人によって違うもの
- 項目の名前は、課の名前ではなく、住民が探す話題で付ける
- 課ごとの月の枠は、この層で決める
決めること:設定前の扱いと、項目の数
層3
本人にだけ届く
- 申請の結果、予約の確認など、その人だけに関係する通知
- 申請とLINEの利用者をひも付ける仕組みが要る
決めること:送る条件と、送る人
全員の層・住民が選ぶ層の根拠は、メッセージ配信を作成する、LINE for Government のよくある質問(2026年10月11日確認)
自治体のLINE公式アカウントで、防災・ごみ・子育て・健康の配信を分けるには、配信を「全員に届ける」「住民が受信設定で選ぶ」「申請した本人にだけ届ける」の3つの層に分け、各課の配信をどの層に入れるかを庁内のルールにします。LINEの標準機能で絞れる属性は、友だち期間・性別・年齢・OS・エリアの5つで(LINEヤフー for Business の紹介記事、Messaging APIのドキュメント)、ごみや子育てへの関心、子どもがいるかどうかは含まれません。関心で分けるには、住民が自分で選ぶ受信設定が要ります。
全員に届ける範囲は、受信設定を公表している団体の間でも違います。緊急情報だけを全員に届ける団体、広く知らせたい情報も全員に届ける団体、防災・災害情報も受信設定で選ばせる団体がありました。範囲を決めたら、各課の月の枠、配信する時間、原稿の確認を「庁内の配信ルール」に書き、同じ内容を受信設定の画面にも書きます。
ブロックについては、週に何回まで、ブロック率が何%以下、といった基準値は、今回読んだLINEヤフーのマニュアル、自治体向けの資料、LINE公式アカウントガイドラインに載っていませんでした。Messaging APIは、ブロックしているユーザーを宛先にしてもエラーを返さないので(LINE Developers のよくある質問)、ブロックは配信の失敗としては見えません。ブロックの増え方は、日ごとのブロック数と配信の記録を並べて、自団体の数字で見ます。
この記事は、LINEヤフーの公式資料と自治体の公表ページを2026年10月11日に確認して、庁内の配信ルールの決め方を整理したものです。当社が読み取った部分や考えた部分には「当社の整理」と書いています。
配信は層に分ける:全員に届ける、住民が選ぶ、本人にだけ届く
各課が配信したいと言ってきたとき、課ごとに送ってよいかを議論すると、毎回の交渉になります。先に層を決めておけば、課からの依頼は「どの層に入るか」の確認になります(当社の整理)。
全員に届ける層は、管理画面の配信先を「すべての友だち」にした配信です(メッセージ配信を作成する)。受信設定を使わないので、設定をしていない人にも届きます。この層に入れる情報は、次の3つの問いで決めます。
全員の層に入れてよいか
3つの問いは当社の整理。答えは団体ごとに変わるので、答えを庁内のルールに書く
受け取れなかった住民に、命や財産の被害が出うるか
避難に関する情報など
受け取った人に、すぐ動いてもらう必要があるか
日を置いて読まれても足りる情報は、受信設定の層に回す
「設定に関わらず届く」と、受信設定の画面で住民に説明できるか
富谷市・苫小牧市・岩見沢市は、緊急情報についてそう案内している
防災・ごみ・子育て・健康などの配信を、この3つの層に当てはめると、次のようになります。公表ページの例を添えました。気象や地震の情報は、全員の層にするか受信設定で選ばせるかを、団体が決めるところです。
| 配信する内容 | 入れる層 | 理由(当社の整理) | 公表ページの例 |
|---|---|---|---|
| 避難に関する情報など、緊急のもの | 層1(全員) | 受け取れないと被害が出うる | 富谷市と岩見沢市は、設定に関わらず全員。広島市は、受信設定の中の必須の項目 |
| 気象警報・地震情報などの防災情報 | 層2(選ぶ)。層1にするかは団体が決める | 見逃すと被害が出うる一方、必要な地域や種類が人によって違う | 広島市は、気象注意報・警報・危険警報、地震情報、津波情報などを受信設定で選ぶ。仙台市は「防災・気象」を配信カテゴリーの一つにしている。一方、岩見沢市は、気象庁発表の警報を緊急情報として全員に配信する |
| ごみの収集日・出し方 | 層2(選ぶ) | 地域や品目で、必要な人が違う | 福岡市(「過去の新着情報」、2024年11月15日更新)は「ごみの日」の項目、富谷市は「生活関連」の中で案内 |
| 子育ての案内(健診、手当、教室など) | 層2(選ぶ) | 子どもがいるかどうかは、LINEの属性にない。住民が選ぶ | 岩見沢市は「子ども・子育て情報」。苫小牧市は、妊婦と0〜3歳未満の子がいる人が登録して受け取る「とまっこLINE」(2021年の広報) |
| 健康の案内(検診、相談など) | 層2(選ぶ) | 年齢や関心で、必要な人が違う | 福岡市(同上)の「健康・暮らし等」は、自分の属性と生年月日を選ぶ。富谷市は「健康・福祉」 |
| イベント | 層2(選ぶ) | 関心で選ぶ | 岩見沢市は「イベント情報」、富谷市は「イベント・観光」 |
| 申請の結果、予約の確認 | 層3(本人) | その人だけに関係する | 明石市の給付の通知(LINEヤフーの活用事例集) |
全員の層の配信でも、LINEの配信が設定した時間どおりに届くとは限りません。マニュアルは、混雑状況などにより、設定時間どおりに配信されないことがあると書いています(同じページ)。苫小牧市の2022年9月の広報は、防災情報の入手手段として、テレビ・ラジオ、緊急速報メール、防災メール、防災行政無線、LINEなどを並べています(広報とまこまい)。全員の層は、LINEだけで防災を完結させる設計ではなく、ほかの手段と並べて使う前提で決めます(当社の整理)。
住民が選ぶ層は、ごみ・子育て・健康・イベントなど、関心が人によって違う情報です。標準の属性は、LINEが利用状況から推定した値で、実際の属性と異なる場合があります(絞り込み配信について)。LINE for Government のよくある質問は、住民が欲しい情報の種類(市報・防災・子育てなど)を事前に登録してもらうことで、求める情報だけを配信する機能を「セグメント配信」と説明しています(よくある質問)。標準の絞り込みの条件と人数の下限は、セグメント配信の記事にまとめています。
本人にだけ届く層は、申請の結果や予約の確認のように、その人だけに関係する通知です。LINEヤフーの活用事例集(2026年1月)には、兵庫県明石市が妊婦支援給付金の申請をLINEで受け付け、給付の決定後に個人ごとにLINEで通知される番号をATMに入力して受け取る仕組みが載っています(自治体におけるLINE公式アカウント活用事例集)。同じ資料は、沖縄県与那原町の学校への欠席連絡について、日常的に使う機能なのでブロックを避けることにもつながっている、と書いています。配信を絞るだけでなく、友だちでいる理由になる機能を持つことも、資料の中ではブロックを減らす手立てとして書かれています。
「全員」の線引きは、公表している団体の間でも違う
受信設定を公表している団体のページを読むと、全員に届ける範囲の線の引き方は、次の3通りに分かれました(当社の分け方。ページは下の表に6件)。
全員に届ける範囲の線の引き方(公表ページを読んだ当社の分け方)
どの線が適切かは、公表ページからは分からない。線の位置と、画面での書き方を、団体で決める
線の引き方 A
緊急情報だけを全員に
- 富谷市:災害情報など緊急性や重要性が高い情報は、受信設定に関わらず登録者全員
- 岩見沢市(2022年の発表):災害情報など緊急情報を、友だち登録した方全員に配信
注意:岩見沢市は2022年の発表。現在の運用は、市の最新の案内で確かめる
受信設定の項目の数:富谷市は7、岩見沢市は8(緊急情報とは別の平時の項目)
線の引き方 B
広く知らせたい情報も全員に
- 苫小牧市(2021年の広報):緊急情報や広くお知らせしたい情報など、選択項目に関わらず全ての登録者に一斉配信する情報もある。設定をしない場合は全ての情報が配信される
注意:2021年の広報。現在の運用は、市の最新の案内で確かめる
線の引き方 C
防災・災害情報も受信設定で選ぶ
- 広島市(2026年):避難に関する情報を受け取るにも受信設定で地域(小学校区)を選ぶ。緊急情報は、選択から外せない必須の項目
- 埼玉県:防災・災害情報を受信するには、受信設定が必要。地域と情報の種別を選ぶ
- 仙台市:防災・気象を配信カテゴリーの一つとして挙げている。全員に届く情報の範囲は、ページに記載が見当たらない
仙台市の防犯:内容によっては登録項目に関係なく配信する場合がある
出典:富谷市、岩見沢市、苫小牧市、広島市の防災ページ、埼玉県、仙台市(日付は各ページの記載。下の表に一覧)(2026年10月11日確認)
どの線が適切かは、公表ページからは分かりません。分かるのは、富谷市・苫小牧市・岩見沢市が、緊急情報は設定に関わらず全員に届くことを、公表している案内に書いている点です。全員の層を狭くするほど、受信設定を外した人にも届く情報があることを、画面や広報で伝える必要が出ます(当社の整理)。
広島市は、受信設定の中に、外せない必須の項目として緊急情報を置いています(2026年5月28日更新の防災ページ)。全員に別に送るのではなく、受信設定の中で外せない項目にする置き方もあります。線の位置を決めたら、庁内のルールに改定日と、改定した理由を残します(当社の整理)。
公表ページ6件の記載(日付と、全員に届く・選べると読める部分)
| 団体 | 公表ページの日付 | 全員に届く、と読める記載 | 受信設定で選ぶ、と読める記載 |
|---|---|---|---|
| 広島市 | 防災ページ:2026年5月28日更新。広報紙:2023年4月1日号 | 防災ページ:緊急情報(避難に関する情報、危機管理情報など)は、受信設定の中の必須の項目。広報紙:重要な情報として、広報紙(電子版)や新型コロナウイルス感染症の発生状況(「今後、変更する場合があります」の注記つき)が友だち追加で自動配信される | 防災ページ:受信設定で生年月日と地域(小学校区を複数選べる)を選び、重要情報、気象注意報・警報・危険警報、地震情報、津波情報、指定河川洪水予報、熱中症警戒アラートなどを選ぶ。広報紙:ごみ収集日のお知らせや避難情報などを、事前の受信設定で受け取る |
| 富谷市 | 市の案内PDF:2025年9月30日から受信設定を追加 | 災害情報など緊急性や重要性が高い情報は、受信設定に関わらず登録者全員 | イベント・観光、生活関連、市政等に関するお知らせ、健康・福祉、子育て、防災・安心安全、公共施設の7項目。受信不要な項目にチェックを付けて保存する |
| 岩見沢市 | 開設の発表資料:2022年7月1日運用開始 | 災害情報など緊急情報(気象庁発表の警報、市が発令する避難情報など)を、友だち登録した方全員に配信 | 緊急情報とは別に、平時の市からのお知らせを8項目に分けて、利用者が選ぶ |
| 苫小牧市 | 広報とまこまい:2021年7月5日号 | 緊急情報や広くお知らせしたい情報など、選択項目に関わらず全ての登録者に一斉配信する情報もある | 受信設定で項目を選ぶ。設定をしない場合は全ての情報が配信される(一部対象者が限定される内容を除く) |
| 埼玉県 | 防災・災害情報のページ:2026年2月16日掲載 | 全員に届く情報の記載は、このページに見当たらない | 防災・災害情報は受信設定が必要。受信を希望する地域と情報の種別を選ぶ |
| 仙台市 | 受信設定のページ:2026年3月12日更新 | 防犯は、内容によっては登録項目に関係なく配信する場合があり、同じ情報が重複して届くことがある | 防災・気象、消防、防犯、クマ出没、地下鉄、パブリックコメント、職員採用。消防とクマ出没は配信対象地域を選べる |
受信設定のつくり方:設定前の扱い、項目、作る場所
設定をしない人に、何が届くか
受信設定を公表している団体の案内には、設定をしない人の扱いが2通り書かれていました。
設定をしない人に、何が届くか
設定前の扱いは、案内の最初に書く内容になる
設定をしなくても、情報は届く
苫小牧市(2021年の広報)
- 受信設定をしない場合は、全ての情報が配信される(一部対象者が限定される内容を除く)
- 緊急情報などは、選択項目に関わらず全ての登録者に一斉配信する
見ておくこと:項目を選んだ人の数。選ぶ人が少ないうちは、届く量は変わらない
設定をしないと、届かない
浜松市(2023年12月)・富谷市(2025年9月から)・埼玉県(防災・災害情報)
- 浜松市:それまで全情報を全登録者に配信していたが、選んだ情報だけを届ける形にした。選んでいない情報は原則配信されない
- 富谷市:受信設定をしないと、必要な情報を受け取れない
- 埼玉県:防災・災害情報を受信するには、受信設定が必要
見ておくこと:設定を済ませていない友だちの数と、その人に届く情報の範囲
浜松市は、2023年12月1日更新のページで、これまでは市が発信する全情報を全登録者に配信していたが、セグメント配信に対応し、お好きな情報を選んで受け取れるようになった、と案内しています(浜松市)。設定をしない人に何が届くかは、友だち追加の直後の案内で、最初に書く内容になります。
項目の数と名前
公表ページで受信設定の項目を数えると、岩見沢市が8(緊急情報とは別の、平時の項目)、富谷市が7、仙台市が7でした(当社が数えた)。名前は、課の名前ではなく、住民が探す話題で付けられています。ごみは、福岡市の「過去の新着情報」のページ(2024年11月15日更新。過去のお知らせを載せたもの)に「ごみの日」の項目が挙がり(福岡市)、富谷市は「生活関連」の中で(富谷市)案内しています。
| 団体(公表ページの日付) | 受信設定の項目(公表ページの記載) | 項目の数 |
|---|---|---|
| 岩見沢市(2022年の発表。緊急情報とは別の、平時の項目) | イベント情報、子ども・子育て情報、学び・文化・スポーツ情報、健康・福祉情報、新型コロナウイルス関連情報、雪に関する情報、市政情報、その他情報 | 8 |
| 富谷市(2025年9月30日から) | イベント・観光、生活関連、市政等に関するお知らせ、健康・福祉、子育て、防災・安心安全、公共施設 | 7 |
| 仙台市(2026年3月12日更新) | 防災・気象、消防、防犯、クマ出没、地下鉄、パブリックコメント、職員採用 | 7 |
項目を増やすと、各項目に入る人数が減ります。LINEの標準機能で分けるなら、属性で絞るにはターゲットリーチが100人以上、絞った後の推計が50人以上、多くの種類のオーディエンスは1つあたり50人以上が要ります(絞り込み配信について、オーディエンス)。友だち数が少ない団体ほど、項目を細かくできる範囲は狭くなります(当社の整理)。事業者のシステムで分ける場合に同じ下限がかかるかは、仕様書で確かめます。
下限は、見ているものがそれぞれ違います。属性で絞るときと、オーディエンスを使うときは、配信先の人数の下限です。友だち追加経路は、分析に数字が表示される下限です(分析 – 友だち)。
| 場面 | LINEの下限 | 数えているもの |
|---|---|---|
| 属性で絞る | ターゲットリーチが100人以上 | 属性を推定できる友だちの数 |
| 属性で絞った後の配信 | 推計が50人以上 | 絞り込み後の、推計の対象人数 |
| 多くの種類のオーディエンス | 1つあたり50人以上 | オーディエンスの人数(サイズ) |
| 友だち追加経路の分析 | 日ごとに20以上の友だち追加がないと、数字が表示されない | 日ごとの友だち追加数 |
作る場所:標準機能か、事業者のシステムか
標準機能で組める分け方と、事業者のシステムが要る分け方があります。標準機能のオーディエンスの種類(オーディエンスのマニュアル、2025年9月1日更新)には、住民が自分で選んだ項目から作るものが見当たりません。リサーチ機能はあいさつメッセージにも設定できますが、マニュアルが説明する結果の使い方はExcel形式のダウンロードで、回答から配信先を作る機能は、読んだ範囲では見当たりませんでした。住民が自分で選ぶ受信設定が必要なら、事業者のシステムになります。
標準機能で近いことをするなら、友だち追加経路ごとのQRコードで入口を分け、その経路で追加した人を、90日以内の期間を選んでオーディエンスにします。リッチメニューのクリックは、期間が変動期間で10〜180日、固定期間で最長366日です(オーディエンスのマニュアル)。ボタンを押したことは、その話題を受け取りたいという選択ではないので、住民が選んだ結果としては扱いません(当社の見立て)。2020年にLINE Fukuokaが発表した「LINE SMART CITY GovTechプログラム」も、ユーザー自身が受け取りたい情報を選ぶセグメント配信機能を含むソースコードの無償提供を案内し、実装には別途の開発やサーバー等が必要としています(LINE Fukuokaの発表)。
受信設定を作る場所
住民が項目を選ぶ受信設定が要るなら、事業者のシステムになる。ボタンを押した人を「その話題を受け取りたい人」とみなすのは当社の見立てで、住民が選んだ結果ではない
LINE公式アカウントの標準機能
管理画面(職員が設定する)
- 配信先を「すべての友だち」にするか、属性・オーディエンスで絞る
- 友だち追加経路ごとにQRコードやURLを作り、その経路で追加した人をオーディエンスにする(期間は90日以内で選ぶ)
- リッチメニューのボタンをクリックした人をオーディエンスにする(期間は変動10〜180日、固定は最長366日)
- 予約配信、テスト配信、下書き保存
下限:多くの種類のオーディエンスは1つあたり50人以上。1通に使えるのは10個まで
事業者のシステム
Govtech Partner、Technology Partnerなど
- 住民が受信設定の画面で項目を選び、選んだ結果をシステムが持つ
- LINE for Government のよくある質問は、詳細なセグメント配信など、標準機能にない機能は、別途、開発事業者への発注が必要と案内している
- 費用は自治体の人口や仕様で変わるので、各パートナーに問い合わせる(同ページ)
決めること:選んだ結果のデータの持ち主と、契約終了時の渡し方
出典:オーディエンス、友だち追加ガイド、絞り込み配信について、LINE for Government のよくある質問(2026年10月11日確認)
友だち追加の直後に、案内に書くこと
友だち追加の直後に送るメッセージは、管理画面の「あいさつメッセージ」で設定します。マニュアルには、はじめて友だち追加されたときだけ送る設定があり、ブロック解除のときに同じメッセージを再び送りたくない場合はチェックを入れる、と書かれています(あいさつメッセージを設定する)。受信設定の入口は、ここに置きます。公表ページの案内を並べると、書かれていることは次の4点でした。
- 設定をしなかったときに、何が届くか、届かないか(浜松市・富谷市・苫小牧市が書いている)
- 緊急情報は、設定に関わらず届くこと(富谷市・苫小牧市・岩見沢市が書いている)
- 設定は、いつでも変えられること(浜松市・富谷市・岩見沢市・苫小牧市が書いている)
- メニューが見つからないときの出し方(浜松市は「受信設定」と送ると出るリンクから開く方法を、富谷市はメニューの表示・非表示を切り替える方法を案内している)
案内の文例です(当社の例。自団体の運用に合わせて書き換えます)。「受け取りたい情報を選べます。避難に関する情報など緊急のものは、設定に関わらずお届けします。設定はいつでも変えられます。」
住民の属性を「特定」しない聞き方:聞く項目は、配信を分けるのに要るものだけ
LINEのMessaging API開発ガイドラインは、特定のユーザーIDの属性を特定する行為を禁止しています。属性を割り出すことを目的にした、オーディエンス管理APIの利用やナローキャストの配信も、対象に含まれます(Messaging API開発ガイドライン)。ガイドラインの「属性」は、ナローキャストの絞り込み条件(性別・年齢・OS・エリア・友だち期間)の説明にリンクされていて、LINEが推定した値です。少人数の項目に属性の絞り込みを重ねて配信し、届いた人数から個人の年代や性別を割り出す、といったことをしない、という意味になります(この想定は当社の例です。詳しくはAIで作ったセグメントをLINE配信に戻す方法に書きました)。
受信設定で住民が自分で選ぶ項目は、LINEが推定した値ではなく、住民が自分で答えた値です。この2つは分けて考えます(当社の読み取り)。聞く項目は、公表ページを読むと3段に分かれました。
受信設定で聞く項目は、3段に分かれる
聞くほど、何のために聞くかの説明と、取り扱いの決まりが要る
1段目聞かない
話題を選んでもらうだけで、地域や年代は聞かない。岩見沢市は、開設の発表で、個人情報の収集・保存は行わず、友だち追加で利用者が特定されることはない、と書いている
出典:岩見沢市の発表資料(2022年)
2段目地域(と時間帯)を聞く
福岡市(「過去の新着情報」、2024年11月15日更新)の消防は、地域(最大5つ)と通知を受け取る時間帯を選ぶ。埼玉県は受信を希望する地域、広島市は小学校区を選ぶ
出典:福岡市、埼玉県、広島市の公表ページ
3段目生年月日・世代・性別まで聞く
広島市は生年月日と地域、苫小牧市は世代・性別(任意)・地域(任意)、福岡市の「健康・暮らし等」は自分の属性と生年月日を選ぶ(福岡市のページは2024年11月15日更新)
苫小牧市の運用ポリシー(令和2年3月施行)は、個人情報を集めるときは利用目的を特定して明示し、必要な範囲内で集める、と書いている
聞く項目を増やすたびに、何の配信を分けるために使うのかを、一文で書けるかを確かめます。書けない項目は聞きません(当社の整理)。取得した情報の取り扱いは、自団体の個人情報保護の担当課の決まりに従います。この記事は、法的な判断をしていません。
各課の配信を調整する庁内ルール:枠・時間・確認・記録
地方公共団体プランは、月額固定費が無料で、メッセージ通数に上限がなく、追加メッセージも無料です(LINEヤフー 地方公共団体プラン媒体資料(2026年4月版))。通数の面では、各課が配信を増やせる状態です。配信を抑える基準は、費用ではなく、住民がどう受け止めるかになります。
LINE公式アカウントガイドラインは、利用者などが不快または迷惑と思う内容の配信を禁止事項に挙げ、LINEが配信時のモニタリングを行って、抵触した項目によっては、コンテンツの削除やアカウントの停止などをする場合があると書いています(LINE公式アカウントガイドライン)。
配信回数の上限を示す記載は、今回読んだ範囲では見当たりませんでした。Messaging API開発ガイドラインは、同一ユーザーへメッセージを大量送信しないよう求めていますが、数は示していません。枠は、自団体で決めます。
もう一つ、権限があります。LINE公式アカウントの管理者は、部署をまたいで複数人置け、1アカウントに100人まで登録できます(権限設定、よくある質問)。権限を持つ人が増えるほど、各課が自分で配信できる状態に近づきます。権限の種類ごとにできる操作は、管理画面の表に示されます。作る人と送る人を分けられるかは、自団体の画面で確かめます。この記事では、権限の種類ごとの操作は確かめていません。
各課の配信が通る道
依頼 → 層の判定 → 枠の確認 → 原稿の確認 → 配信 → 記録(当社の整理)
全員の層の配信は、枠の確認と原稿の確認を短くした別の道を、先に決めておく
出典:下書き・テスト配信・予約配信・メッセージリストはメッセージ配信を作成する、14日間の集計は分析 – メッセージ配信(2026年10月11日確認)
月の枠は、全部の項目を選んだ住民が受け取る回数から決めます。その住民は、全員の層の回数と、すべての課の枠の合計を受け取ります(本人にだけ届く層は、申請した人だけに届くので、この合計に入れません)。課ごとの枠は、この合計を見ながら決めます(当社の整理)。
| 庁内ルールの項目 | 決めること | 決める材料 |
|---|---|---|
| 月の枠 | 課ごとの月の回数。全部の項目を選んだ住民の受信回数が、全員の層の回数と、すべての課の枠の合計になる | 過去の配信を課ごとに数えた自団体の実績。回数の上限を示す記載は、読んだ公式資料に見当たらない |
| 配信する時間 | 配信してよい曜日と時間帯。予約の時刻 | 苫小牧市の運用ポリシー(令和2年3月施行)は、緊急の場合を除き、原則、平日の午前8時45分から午後5時15分までに更新するとしている。福岡市の消防は、住民が通知を受け取る時間帯を選べる |
| 原稿の確認 | 誰が作り、誰が確認し、誰が送るか | 下書き(1,000件まで)、プレビュー、テスト配信がある。権限の種類ごとにできる操作は、管理画面の表で確かめる |
| 層の判定 | 全員の層に入れる条件と、判定する人 | 前の節の3つの問い。答えに改定日を付ける |
| 記録 | 台帳の項目と、保存する場所 | 分析のメッセージ配信は、期間を指定してCSVで取れる(配信日時、配信数、開封数、クリックユニークユーザー数など) |
| 見直し | 月に一度、何を見るか | 次の節の、ブロック数と配信の記録 |
ブロックは自団体の数字で見る:日ごとのブロック数と、配信の記録を並べる
LINE Developers のよくある質問は、Messaging APIで、ブロックしているユーザーを宛先に指定してメッセージを送っても、エラーは出ず、ユーザーにメッセージは届かない、と説明しています(LINE Developers のよくある質問)。事業者のシステムがAPIで送る場合、ブロックは配信の失敗として画面に出ないことになります(当社の読み取り)。一方、LINE Developers の「メッセージ(Webhook)を受信する」のページは、LINE公式アカウントがブロックされたときに、フォロー解除イベントが送られると説明しています(メッセージ(Webhook)を受信する)。事業者のシステムがこのイベントを時刻つきで記録すれば、配信の前後に起きたブロックを、配信ごとに数えられます(当社の読み取り)。記録の有無は、システムの作りで決まります。
LINEの管理画面で見られる数字は、次のとおりです。期間は最大397日まで選べ、追加経路の画面では、友だち期間が90日以上の人のブロックは「その他」に入ります。
ブロックを見るときの数字の取り場所
ブロックの数字は、日ごと・期間ごとのもの。配信の記録と並べて、同じ日付で見る
1通ごとのブロック数は、マニュアルの指標一覧に見当たらない。同じ層・同じ課の配信が続いた週と、配信のなかった週を並べて見る(当社の整理)
出典:分析 – 友だち、分析 – ダッシュボード、分析 – メッセージ配信、メッセージ配信を作成する、LINE for Business ヘルプ(2026年10月11日確認)
マニュアルに見当たらないものが2つあります。ブロック率の計算式と、メッセージごとのブロック数です。ブロック率を使うなら、分子と分母と期間を団体で決めて、庁内のルールに書きます。
| 数え方を決める項目 | 決めること | 公式資料に書かれていること |
|---|---|---|
| 分子 | 期間内のブロック数。週か月か。どの画面の数字を使うか | 「分析 > 友だち」のブロック数。追加経路の画面は、選んだ期間のブロック数。LINE for Business のヘルプ(2023/12/14)は、「概要」のブロック数はブロックの解除で減り、「友だち追加経路」のブロック数はブロックの解除で減らない、と説明している(ヘルプ)。画面が違えば、同じ日でも数字が違う |
| 分母 | 期首の友だち数か、ターゲットリーチか | LINEヤフーの基礎用語集(2023年10月作成)は、友だち数を、友だち追加してくれたユーザーの数、ターゲットリーチ数を、友だち数からブロックした人などを除いた、メッセージ配信できるユーザーの数としている(LINE公式アカウント 基礎用語集)。この書き方から、友だち数にはブロックした人が含まれると読めるが、管理画面の表示が同じ定義かは確かめていない。LINE Developers の用語集は、ターゲットリーチを、性別や年齢、地域で絞った配信の母数で、属性の高精度な推定が可能な友だちが含まれる、としている(用語集) |
| 期間 | 週次か月次か。配信の何日後までを見るか | 配信結果の各指標は、配信から14日間集計される |
| 別に書くもの | 災害の発生、友だち募集の取り組みがあった週 | 自団体の記録 |
LINEヤフーの資料には、ブロックについて期待を述べた記載があります。活用事例集は、福岡市について、受け取りたい情報だけを受信するため開封率・クリック率が高まり、通知が多いことによるブロックも減少することが期待される、と書いています(活用事例集)。LINE for Government のよくある質問は、セグメント配信を導入している自治体はブロック率が低い傾向にある、としています(よくある質問)。どちらも数値は示していません。受信設定の導入前後を、同じ定義で、自団体の数字で並べて確かめます。
前後の比べ方には、注意が要ります。災害の発生、友だち募集の取り組み、季節で、ブロック数は変わります。導入の前後を比べるときは、期間の長さをそろえ、同じ時期の前年の数字がある場合は並べます。受信設定を導入したからブロックが減った、とは、前後の比較だけでは言えません(当社の整理)。
受信設定を作る委託先に頼むとき、仕様に書くこと
標準機能の外にある受信設定を事業者に頼むときは、仕様書に次を書いておくと、あとで困りにくくなります。仕様書全体の書き方は、公開されている7団体の仕様書を並べた別の記事にまとめています。
受信設定を委託するときに、仕様書へ書くこと
標準機能の外にある受信設定を事業者に頼むときの書く項目(当社の整理)
運用受信設定の項目
話題・地域を、職員が追加・変更・削除できるか。項目数に上限があるか
公開されている仕様書は、セグメント数や登録項目数の書き方が団体ごとに違う
配信全員の層の道
受信設定の仕組みとは別に、友だち全員へ送れること。受信設定の画面が動かないときや、設定をしていない人にも、緊急情報を送れる道を残す
データ選んだ結果と配信履歴
データの持ち主、CSVで取り出せるか、契約終了時の渡し方
記録配信ごとの記録
どの層・どの項目に送ったかが残ること。庁内の台帳に写せる形にする。ブロックされたとき(フォロー解除イベント)の記録と、配信ごとの集計も書く
管理管理画面への入り口
LINEの管理画面に、職員が管理者として入れること。ブロック数など管理画面の数字を、事業者の報告に頼らず自分で見るため
出典:標準機能の外は開発事業者への発注が要る、というLINE for Government のよくある質問、管理画面の数字は分析 – 友だち、フォロー解除イベントはメッセージ(Webhook)を受信する(2026年10月11日確認)
この記事で確かめられなかったこと
- 配信回数、ブロック率、開封率の基準値。読んだ公式資料(LINEヤフーのマニュアル、媒体資料、活用事例集、よくある質問、ガイドライン、Messaging API開発ガイドライン)には、基準値の記載が見当たりませんでした。無いことの証明ではありません。
- 管理画面でのメッセージごとのブロック数。分析のメッセージ配信の指標一覧に見当たらない、というところまでです。事業者のシステムでの記録は、Messaging APIのフォロー解除イベントを元にした当社の読み取りで、個々のシステムが記録しているかは確かめていません。
- 管理画面に表示される友だち数に、ブロック中の人が含まれるか。基礎用語集の定義の書き方からは含まれると読めますが、画面の表示が同じ定義かは確かめていません。
- 権限の種類ごとにできる操作。マニュアルの本文には表の中身が文字で出ておらず、確かめていません。作る人と送る人を分けられるかは、自団体の管理画面で確かめます。
- 各団体の現在の画面と運用。公表ページの日付の時点の記載で、苫小牧市(2021年)と岩見沢市(2022年)の資料は古いものです。
- 受信設定の導入で、ブロックや開封がどれだけ変わるか。LINEヤフーの資料は「期待される」「傾向がある」と書き、数値を示していません。
- 個人情報保護法や条例の整理。この記事では法的な判断をしていません。
運用ルールや配信カレンダー、セグメント設計の相談は、Aurant Technologies のLINE×自治体DX ソリューションのページからできます。
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