電子帳簿保存法の2027年1月1日からの変更|電子取引データの重加算税10%上乗せの除外と、青色申告75万円控除(令和9年分から)で、システムに確かめること

2027年1月1日以後に法定申告期限が来る分から、電子取引データの重加算税10%上乗せを受けない扱いが加わります。条件の1つが、訂正・削除の履歴を確認できるシステムです。対象のデータ、システムの提供元に聞くこと、青色申告特別控除75万円(令和9年分以後)の条件を、国税庁と e-Gov 法令検索の一次資料から整理しました。

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この記事の要点

  1. 2027年1月1日以後に法定申告期限が来る分から、電子取引データについて、重加算税の10%上乗せを受けない道が開く。条件の1つが、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除できない)システムで受け渡しと保存をすること。受けるかどうかは任意で、事前の届出が前提になる。
  2. 対象になるデータは、デジタル庁が管理する仕様のデジタルインボイスと、預貯金口座の為替取引のデータに限られる。PDFや画像で受け取った請求書は、告示が挙げる2種類に入らない(当社の読み取り)。今のフォルダ保存が要件に当たるか、という問いの答えは、この対象と目的で分かれる。
  3. 青色申告特別控除の75万円は、令和9年分以後の所得税から。複式簿記とe-Taxで65万円の条件を満たしたうえで、優良な電子帳簿か、デジタルシームレス保存のどちらかを満たし、届出を出す。個人事業主の取引先に聞かれたときは、国税庁の2つの資料を示せる。

2027年1月1日からの変更は2つ。どちらも「使うかどうか」を選べる

保存の義務そのものの話ではなく、条件を満たした場合に受けられる扱いの話

電子取引データ(法人・個人事業者)

重加算税の10%上乗せの除外

  • 2027年1月1日以後に法定申告期限が来る国税から
  • 特定のデータを、条件を満たすシステムで受け渡し・保存した場合
  • 事前の届出が前提

システム側の条件:訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除できない

個人事業者

青色申告特別控除75万円

  • 令和9年分以後の所得税から
  • 複式簿記とe-Taxで65万円の条件を満たす
  • 優良な電子帳簿か、デジタルシームレス保存のどちらか、と届出

システム側の条件:優良な電子帳簿は、履歴・相互関連・検索。デジタルシームレス保存は、左の4つの条件

出典:国税庁パンフレット「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」(令和8年6月)、「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」(令和8年8月)。表現の整理は当社(2026年10月5日確認)

電子帳簿保存法について、2027年1月1日から変わることを調べると、「電子取引の訂正・削除の履歴を確認できるシステム」という言葉が出てきます。国税庁の取扱通達と趣旨説明、告示、パンフレットを読むと、この言葉は、電子取引データの保存の義務が重くなる、という話ではありませんでした。重加算税の10%上乗せを受けない扱いを選ぶときの、システム側の条件の1つです。(2026年10月5日確認)

この記事は、経理・総務の担当者が、請求書のPDFなどをフォルダで保存している会社を想定しています。今のやり方が要件に当たるのか、システムに何を確かめればよいのか、個人事業主の取引先から聞く75万円控除とどうつながるのかを、国税庁と e-Gov 法令検索の一次の資料から整理します。公式の文章は写さず、当社の言葉で書き、当社の整理と読み取りは、そう書きます。

2027年1月1日に変わるのは、電子取引データの重加算税10%上乗せに「除外」ができること

電子帳簿保存法の第8条第5項は、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子取引データ)などに記録された事項について、隠蔽・仮装があって重加算税が課される場合に、重加算税の額に10%を上乗せする、と定めています(e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版)。現在施行されている版(2025年4月1日施行)にも、この上乗せの定めはあります。2027年1月1日施行の版で加わるのは、財務省令の要件を満たして保存されている特定電磁的記録を、上乗せの対象から外す、という部分です。

国税庁のパンフレットは、これを「重加算税の10%加重の適用対象から除外」と呼び、令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税に適用する、と書いています。趣旨説明は、上乗せの趣旨を、電子データは書面より複製・改ざんが容易で痕跡が残りにくいため、と説明しています。

電子取引データの重加算税の10%上乗せ:現行と2027年1月1日以後

除外が受けられるのは、電子取引データのうち特定のもの(特定電磁的記録)だけ

隠蔽・仮装があった電子取引データに記録された事項に関する不正
10%が上乗せされる現行の法律にも定めがある。申告所得税と法人税が対象
2027年1月1日以後法定申告期限が来る国税から、除外の定めが加わる
条件を満たせば除外特定のデータを、基準に合うシステムで、条件どおりに保存

出典:電子帳簿保存法 第8条第5項(e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版)、国税庁「取扱通達解説(趣旨説明)」8-22〜8-24。図の言い方は当社の整理(2026年10月5日確認)

押さえておく点が3つあります。1つ目は、除外が取引(電磁的記録)ごとの判断であることです。取扱通達8-24は、課税期間の最初から条件を満たす必要はなく、該当するデータを保存した以降の保存期間を通じて、条件を満たして保存していれば、除外になる、と書いています。趣旨説明は、修正申告や更正のときに、継続して条件を満たしている必要がある、と補足しています。

2つ目は、除外の対象が、電子取引データのうち特定電磁的記録だけであることです。スキャナ保存のデータは、上乗せの対象ではありますが、除外の対象ではありません(趣旨説明)。3つ目は、電子取引データに関する上乗せの対象となる税目が、申告所得税と法人税であることです(趣旨説明)。

今の保存方法が、この除外に当たるかどうかの確認は、当社の経理・会計DXの支援で受けています。

除外を受ける条件は4つで、訂正・削除の履歴は1つ目

条件は、電子帳簿保存法施行規則の第5条第5項に、4つ書かれています(e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版)。パンフレットは、1号を「改ざん防止の確保」、2号を「記帳の適正性確保」、3号を「電子帳簿との相互関連性確保」と呼んでいます。4号は、システムを使って授受と保存をしたことを、確認できるようにしておくことです。

除外を受ける4つの条件(電子帳簿保存法施行規則 第5条第5項)

4つすべてを満たして、はじめて除外になる

1号

改ざんを防ぐシステム

  • データの受け渡しと保存を、国税庁長官の基準に合うシステムで行う
  • 訂正・削除の事実と内容を確認できる、または訂正・削除できない

この記事の主題:履歴を確認できる側

2号

記帳の適正さ

  • 保存したデータの金額を、訂正・削除したうえで帳簿に記録できない
  • または、記録した場合にその事実と内容を確認できる

3号

帳簿との関連づけ

  • データの記録事項と帳簿の記録事項を、相互にたどれる

4号

使ったことの確認

  • そのシステムで授受と保存をしたことを、あとから確認できる

出典:電子帳簿保存法施行規則 第5条第5項(e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版)。言い換えは当社(2026年10月5日確認)

訂正・削除の履歴に当たるのは、1号です。システムは、次のどちらかを満たす必要があります。訂正または削除をした場合に、その事実と内容を確認できること。または、訂正または削除ができないこと。取扱通達7-6(8-26で同じ扱い)は、前者を、訂正前・削除前の記録事項と、訂正・削除の内容が、そのデータ、または別の履歴のファイルに自動で記録されるシステムなどと説明し、後者を、物理的にできない仕様のシステムなどと説明しています(取扱通達)。趣旨説明は、前者について、記録して保存するだけでは足りず、事後にその内容を検索・閲覧・出力できる必要がある、と補足しています。

つまり、履歴が「残っている」だけでなく、あとから「見られる」ことが要ります。フォルダにPDFを置き、上書きできる状態で運用している場合は、この1号を満たすシステムとは言いにくい、というのが、当社の読み取りです。ただし、通達が挙げるのは「例えば」の形で、個々のシステムが当たるかを、通達だけから決めることはできません。

2号は、保存したデータの金額を、訂正・削除したうえで帳簿に記録できないこと、または記録した場合にその事実と内容を確認できることです。保存のシステムと、帳簿をつくるシステムは、一体でなくてもよく、複数のシステムを組み合わせてAPI連携などで満たす例を、趣旨説明が挙げています。仕訳帳や総勘定元帳に記録されていればよく、すべての帳簿に連携する必要はありません(取扱通達8-27)。

除外の対象になるデータは限られていて、PDFや画像は入らない

1号には、「国税庁長官の定める基準に適合するもの」という限定があります。この基準を定めた告示(令和7年国税庁告示第2号、令和9年1月1日から適用)は、システムが保存できる機能を持つべきデータとして、2種類を挙げています(告示)。1つは、デジタル庁が管理する仕様に従って提供された、仕入明細書や適格請求書の記載事項に係る電磁的記録。もう1つは、預貯金者の委託を受けて金融機関等が行う、為替取引の取引情報に係る電磁的記録です。パンフレットは、前者を「Invoice JP PINT」または「JP Self-Billing」のデジタルインボイス、後者を預貯金口座における決済データと書いています。

自社に届くデータは、除外の対象になりうるか

対象になるのは、告示が挙げる2種類だけ

1

請求書が、デジタル庁が管理する仕様(Invoice JP PINT、JP Self-Billing)のデータで届く、または出している

請求書の形式が分からなければ、受け取っているサービスの提供元に聞く

2

支払いが、預貯金口座の為替取引(振込など)で、金融機関が出す取引情報のデータがある

銀行のデータの形式と、保存の仕方を確かめる

どちらかに当てはまるそのデータは、除外の対象になりうる。システムが条件を満たすかを確かめる
どちらも当てはまらないPDFや画像で受け取った請求書は、この除外の対象にならない(当社の読み取り)

出典:国税庁告示「国税庁長官の定める基準を定める件」(令和7年国税庁告示第2号)、パンフレット(令和8年6月)。PDFについての記述は、2種類に入らないことからの当社の読み取り(2026年10月5日確認)

取扱通達8-25は、JPEG などの画像データについて、1号の要件を満たして保存することはできても、2号の要件を満たせないため、特定電磁的記録にはなり得ない、と書いています。趣旨説明は、2号を満たして保存できる特定電磁的記録として、JP-PINT に従って作成されたXML形式を代表的な例に挙げています。

PDFの請求書について、国税庁の資料に直接の記述は、私たちが読んだ範囲では見つけられませんでした。告示が挙げる2種類に、PDFは入りません。そのため、PDFで受け取った請求書は、この除外の対象にならない、と読むのが、当社の読み取りです。国税庁に確認したものではないので、判断が必要なときは、税務署か税理士に確かめてください。

システムの提供元に聞くこと

上の条件を、システムの提供元への問いに直したものが、次の表です。左の2列は当社の整理で、右の列が、国税庁の資料に書かれている内容です。

4つの条件と、システムの提供元に聞くこと
条件システムの提供元に聞くこと(当社の整理)国税庁の資料に書かれていること
基準に合うデータデジタルインボイス(Invoice JP PINT、JP Self-Billing)や、為替取引のデータを、条件どおりに保存する機能があるか告示は、この2種類の電磁的記録を、第5項の要件を満たして保存できる機能を、基準としている
1号:履歴授受と保存をするシステムで、訂正・削除の履歴が自動で残り、あとから検索・閲覧・出力できるか。または、訂正・削除そのものができない仕様か取扱通達7-6・8-26:訂正前・削除前の内容と、訂正・削除の内容が、自動で記録されるシステム、または物理的に訂正・削除できない仕様のシステム。趣旨説明は、記録するだけでなく、事後に検索・閲覧・出力できることを求めている
2号:金額の連携保存したデータの金額を、変えたうえで帳簿に連携できないか。変えられる場合は、その事実と内容が確認できるか取扱通達8-27:仕訳のデータを訂正・削除したうえで帳簿に記録できない(または確認できる)。仕訳帳や総勘定元帳に記録されていればよく、保存のシステムと帳簿のシステムは一体でなくてよい。趣旨説明はAPI連携の例を挙げている
3号:関連づけ請求書データと帳簿の仕訳を、伝票番号などでたどれるか取扱通達8-28:両方に伝票番号、取引案件番号などを付け、番号を指定して双方を確認できる方法が例示されている
4号:使った確認このシステムで授受と保存をしたことを、保存期間を通じて、あとから示せるか。説明書などで示せるか取扱通達8-29:対象を確認できる機能や、システム関係書類などで、客観的に確認できるようにする

国税庁のパンフレットは、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けたソフトが、税制上の優遇措置を受けるための機能要件を満たしている、と案内しています。そのうえで、優遇措置を受けるには、機能要件のほかに、システムの説明書やディスプレイの備付けなどの要件も満たす必要がある、と注意しています。認証の有無は、判断の材料の1つですが、認証があれば自動的に除外になる、という話ではありません。

フォルダ保存のままでよい場合と、システムが要る場合

2つの話を分けると、整理しやすくなります。1つ目は、電子取引データを保存する義務を、今の方法で満たしているかどうかです。パンフレットは、保存の要件のうち、真実性の確保について、タイムスタンプ、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除できない)システムでの授受・保存、改ざん防止の事務処理規程の策定・運用・備付けのいずれかの措置を挙げています。事務処理規程でも満たせる、と読めるので、システムを入れていないことが、そのまま要件を外れる、ということにはなりません(当社の読み取り)。

2つ目は、10%上乗せの除外を使いたいかどうかです。こちらは、基準に合うシステムが必須で、事前の届出も要ります。使わない場合は、現行のとおり、上乗せの定めの対象のままです。

保存の義務と、除外の違い(当社の整理)
電子取引データの保存(義務)10%上乗せの除外(任意)
何の話かデータを保存する義務の要件要件を満たした場合に受けられる扱い
システム要件を満たす措置の1つが、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除できない)システム。ほかに、タイムスタンプや、改ざん防止の事務処理規程でも満たせる基準に合うシステムが必須。2種類のデータだけが対象
届出不要事前に必要。適用を受ける年分・事業年度の法定申告期限までに出す
フォルダ保存真実性の要件は、事務処理規程でも満たせる、と読める対象のデータを、基準に合うシステムで保存する必要がある

どちらの目的でシステムを入れるのかで、確かめる内容が変わります。義務の要件を満たしたいだけなら、規程の整備と運用でも足りる場合があります。除外を使いたい場合は、対象のデータ(デジタルインボイスや為替取引のデータ)が、実際に自社に届いているのかを、先に確かめます。届いていないのに、除外のためにシステムを入れても、対象になるデータがありません。

届出書の出す時期の例(国税庁パンフレットより)

パンフレットは、適用を受ける年分(事業年度)の法定申告期限までに届出書を出せばよい、と書いています。例として、個人事業者が令和8年分から、優良な電子帳簿(過少申告加算税の軽減)やデジタルシームレス保存(重加算税の加重措置の除外)を受けたい場合は、令和9年3月15日までに届出書を出す、と示しています。青色申告特別控除の75万円は令和9年分からで、電子申告が要り、所得税の青色申告承認申請の手続も要る、と注記しています。

青色申告特別控除の75万円(令和9年分以後)の条件

国税庁の「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」(令和8年8月)は、65万円の控除の条件に加えて、優良な電子帳簿の保存、またはデジタルシームレス保存の条件を満たした場合に、最高75万円の控除を受けられる、と書いています。令和9年分の確定申告から適用です。65万円の条件は、正規の簿記の原則により記帳し、e-Taxで確定申告書と青色申告決算書(貸借対照表を含む)のデータを、確定申告期限までに送信することです。

令和9年分以後の青色申告特別控除(事業所得・不動産所得)

75万円は、65万円の条件の上に積む

簡易簿記で、前々年の収入が1,000万円超対象外
簡易簿記で、前々年の収入が1,000万円以下10万円
複式簿記で、書面で申告10万円
複式簿記で、e-Taxで申告65万円
上の条件に加えて、優良な電子帳簿かデジタルシームレス保存と届出75万円

出典:国税庁「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」「令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?」。不動産所得の業務的規模の扱いなどは省いた(2026年10月5日確認)

令和8年分までと変わる点は、同じ資料と令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?(令和8年4月)に書かれています。令和8年分の確定申告までは、書面での申告でも55万円の控除が使えました。令和9年分以降は、書面での申告の場合、控除の上限は10万円です。簡易簿記で10万円の控除を使っている人は、前々年分の不動産所得または事業所得の収入金額が1,000万円を超えると、10万円の控除を使えなくなります。不動産所得では、事業的規模の人だけが対象外になり、業務的規模の人は、これまでどおり最大10万円です。

75万円に進む2つの道

どちらを選ぶかは、取引先ではなく、申告する本人が決める

道 1

優良な電子帳簿

  • 仕訳帳と総勘定元帳を、課税期間の最初から、優良な電子帳簿として保存する
  • 訂正・削除・追加の履歴、帳簿間の関連づけ、検索の機能を備える
  • システムの説明書やディスプレイの備付けも要る

届出:確定申告期限までに届出書。すでに優良な電子帳簿で65万円を受けている人は、改めて出さなくてよい

道 2

デジタルシームレス保存

  • 電子取引データを、国税庁長官の基準に合うシステムで受け渡し・保存する
  • 前の図の4つの条件を満たす
  • 帳簿は電子で、最初の記録から一貫して作る(条文)

届出:確定申告期限までに、デジタルシームレス保存用の届出書

出典:国税庁「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」、租税特別措置法施行規則 第9条の6(e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版)。「条文」と書いた項目は、当社が条文を読んだもの(2026年10月5日確認)

75万円の条文は、租税特別措置法第25条の2第5項です。e-Gov 法令検索の2027年1月1日施行の版では、第4項の65万円を、次のどちらかの場合に75万円とできる、と読めます。1つ目は、帳簿書類の電磁的記録の保存が、電子帳簿保存法第8条第4項の要件(優良な電子帳簿)を満たしている場合。2つ目は、電子取引の特定電磁的記録の保存が、第8条第5項の要件を満たすために必要な措置を講じ、電子取引をした場合には、特定電磁的記録を保存している場合です。同法施行規則第9条の6は、この「措置」を、特定電子計算機処理システムを事業に使っていることとしています。

デジタルシームレス保存の届出書は、国税庁のリーフレットに、名称が示されています。重加算税の加重措置の不適用の特例と、75万円の青色申告特別控除の両方が、名称に入った届出書です。優良な電子帳簿の届出書は、令和9年3月頃に、名称が「65万」から「75万」に変わる予定で、すでに優良な電子帳簿で65万円を受けている人は、改めて出す必要がありません(同リーフレット)。

個人事業主の取引先から75万円控除の話を聞いたとき

取引先の個人事業主が75万円を狙うかどうかは、先方の申告の話で、経理の担当者が決めることではありません。聞かれたときに、確かめられる事実は、次のとおりです。令和9年分以後であること。複式簿記とe-Taxの申告が前提であること。優良な電子帳簿か、デジタルシームレス保存の、どちらかを選ぶこと。どちらも、確定申告期限までの届出が要ること。国税庁の2つの資料(令和8年6月・8月)に、書かれています。

当社の読み取りですが、請求書を出す・受け取る側の会社に、影響が出る可能性があるのは、先方がデジタルシームレス保存を選ぶ場合です。この場合、対象になるのはデジタルインボイスのデータなので、請求書の形式が関わりえます。先方が優良な電子帳簿を選ぶ場合は、請求書の形式を問われる話ではありません。どちらを選ぶかは、先方に聞かないと分かりません。ここは、国税庁の資料に直接の記述がなく、未確認です。

今月、経理が確かめること

2027年1月1日までに、全部を決める必要はありません。除外は、適用を受ける年分(事業年度)の法定申告期限までに届出書を出せば使えます。パンフレットの例では、個人事業者が令和8年分から受けたい場合は、令和9年3月15日が期限です。先に、自社に届くデータの形を確かめ、使うかどうかを決めるところから始めます。

今月、経理が確かめること

システムの話は、使うと決めたあとでよい

確認 1

受け取るデータの形

  • 請求書が、デジタルインボイスの形式で届くか
  • 振込のデータを、金融機関から取り込んでいるか

確認 2

保存先の機能

  • 訂正・削除の履歴が、あとから見られるか
  • 帳簿ソフトとの連携で、金額を変えて記録できるか

確認 3

使うかどうか

  • 10%上乗せの除外を、使いたいか
  • 個人事業者は、75万円を狙うか

確認 4

届出の期限

  • 適用を受ける年分・事業年度の法定申告期限までに、届出書を出す

確認の順番は当社の整理。要件と期限の出典は、本文の各節に書いた(2026年10月5日確認)

システムの話は、使うと決めたあとで十分です。決める前に確かめるべきなのは、自社に、対象になるデータ(デジタルインボイス、為替取引のデータ)が、実際にあるかどうかです。

この記事で確かめられなかったこと
  • 国税庁長官の基準に合うシステムの一覧(国税庁の資料から見つけられませんでした。パンフレットは、JIIMA 認証を受けたソフトが機能要件を満たしている、と案内しています)。個々のソフトが基準に合うかは、確認していません。
  • 届出書の記入項目(届出書の名称は国税庁の資料で確認しましたが、様式の中身は開いていません)。
  • 令和8年度の改正法の附則(適用の年分)の原文。75万円が令和9年分以後であることは、国税庁の資料の記載によります。条文は、e-Gov 法令検索の施行前の版で読みました。
  • 2027年1月1日の変更の全体。趣旨説明で「令和9年1月1日以後に施行」と付いていたのは、重加算税の除外と、その届出の箇所でした。ほかの変更の有無は、読んだ範囲では見つけていません。
  • 法人や、個人事業者以外の控除・加算税の扱い(この記事では扱いません)。

データの保存や、帳簿との連携の見直しは、Aurant Technologies の経理・会計DXの支援で扱っています。

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