在庫管理システムの開発費用はどこで増えるか|既製品で収まる在庫、収まらない在庫

在庫管理システムを作るときの費用は、品目の数より在庫の形で変わります。ロットと期限、セット品と部品、取引先から預かる在庫、拠点間の移動、ケース・個・重さの単位ごとに、既製品に収まるかの確かめ方、費用が乗る画面と計算、見積もりの前に数える項目を、農林水産省・GS1 Japan・企業会計基準委員会の資料をもとに整理しました。

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この記事の要点

  1. 在庫管理システムを作るときの費用は、品目の数より在庫の形で変わる。1つの品目を何で分けて持つか(ロットと期限、持ち主、拠点)と、数を計算で出すか(セット品・部品、ケース・個・重さの単位)で、画面の項目、引当の計算、テストが増える。
  2. 既製の在庫管理サービスで止まるのは、分け方が重なったときや、その上に自社の決まり(取引先ごとの納品期限、預かり分を引当から外す、セットの組み方)が乗ったとき。形ごとに数え、収まらない形の分だけを作る。
  3. 在庫の画面だけを作っても、受注と出荷が別の所で記録されていれば数は合わない。見積もりの範囲は、在庫を動かす出来事をどこで記録するかで決め、芯は受注から引当・出荷までに置く。

在庫管理システムの費用が増える所は、在庫の形で分かれる

品目の数より、この三つで作る量が変わる

分けて持つ

1つの品目の在庫を、何で分けるか

  • ロットと期限
  • 持ち主(取引先から預かっている在庫)
  • 拠点と、拠点間の移動中

費用が乗る所:入荷・出荷・移動・棚卸しの画面の項目と、分けた単位での引当

計算で出す

在庫の数を、ほかの数から出すか

  • セット品・部品から組む在庫
  • ケース・中箱・個、重さの単位

費用が乗る所:構成と換算の登録、組立・分解の記録、計算を確かめるテスト

動かす記録

在庫を動かす出来事を、どこで記録するか

  • 受注・引当・出荷
  • 入荷・返品・移動・廃棄・棚卸しの調整

費用が乗る所:新しい仕組みの画面にするか、今の仕組みから取り込むか、手で入れるか

当社の整理

在庫管理システムを外注して作るときも、社内で作るときも、費用は品目の数より在庫の「形」で大きく変わります。品目の数が効くのは主に移すデータの量で、作る画面と計算の量を決めるのは形のほうです。ここでいう形は、1つの品目の在庫を何で分けて持つか(ロットと期限、持ち主、拠点)と、在庫の数をほかの数から計算で出すか(セット品や部品、ケース・個・重さの単位)の二つです。分け方が一つ増えるたびに、入荷・出荷・移動・棚卸しのすべての画面にその項目が加わり、引当(受けた注文に在庫を割り当てること)の計算と、確かめるテストの組み合わせも増えていきます。

既製の在庫管理サービスを試して止まったなら、止まった理由を機能の名前ではなく形で書き出すと、どこから作ればよいかが絞れます。ロットを扱えるサービスでも、取引先ごとに違う納品期限でロットを選ぶ、預かっている分を引当から外す、といった自社の決まりまで表せるとは限りません。収まらなかった形の分だけを作り、収まる部分は既製品のまま使う分け方もあります。

この記事では、相場の金額は載せません。同じ「在庫管理システム」でも、どの形を前提にするかで金額が大きく変わるからです。代わりに、形ごとに費用が乗る画面と計算、見積もりの前に社内で数えておく項目を示し、最後に見積もりの範囲の決め方を扱います。Aurant Technologiesは、在庫と受発注の仕組みを、既製のサービスを使うか、kintoneで組むか、専用のWebアプリを作るかを業務ごとに選んで組み立てています。

既製の在庫管理サービスで止まるのは、在庫の分け方が重なったとき

在庫の数は、品目ごとに1つの数を持てば済むとは限りません。同じ品目でも、倉庫が2か所あれば倉庫ごとの数が、賞味期限のある商品なら期限ごとの数が、取引先の商品を預かっていれば自社の分と預かり分の数が要ります。分け方が一つだけなら、項目を一つ足せば表せることもあります。

難しくなるのは、分け方が重なるときです。預かっている商品にも賞味期限があり、しかも2か所の倉庫に分かれて置かれていれば、数は「品目×持ち主×期限×倉庫」の組み合わせごとに持つことになります。入荷の画面では持ち主と期限と倉庫を聞き、引当ではその組み合わせの中から出すものを選び、棚卸しでは組み合わせごとに数えます。どの画面でも、分け方の数だけ項目と確かめることが増えます。

分け方が重なるほど、どの画面にも項目と確かめることが増える

分けない品目ごとの数

入荷で足し、出荷で引く。引当も品目ごと

分け方1+ 拠点・棚

入荷と出荷で置き場を聞く。拠点の間の移動を記録する

分け方2+ ロットと期限

入荷でロットと期限を記録する。出すロットを選ぶ計算が加わる

分け方3+ 持ち主

自社の分と預かり分を分けて数え、預かり分を引当から外す

重なると、数は「品目×持ち主×期限×倉庫」の組み合わせごとに持つ

別枠計算で出す数

セット品・部品の構成、ケースと個・重さの換算

分け方と重なると、どのロットの構成品で組んだかまで記録する

当社の整理

もう一つは、数を計算で出す在庫です。セット品は構成品の在庫から組める数を出し、ケースと個で扱う品目は入数(1ケースに入っている数)で換算します。この計算に分け方が重なると、たとえば、どのロットの構成品でセットを組んだかまで記録することになります。

試用で止まったときは、次の二つを書き出しておくと、見積もりで作る範囲を決める材料になります。

  • 在庫を何で分けたかったか(ロットと期限、持ち主、拠点、良品・不良などの状態)と、そのうち同時に重なるもの
  • 在庫の数をどう出したかったか(構成品から組む、単位を換算する)と、その決まり

ロットと期限を追う在庫は、出すロットの選び方で費用が変わる

食品を例にとると、農林水産省の食品トレーサビリティの手引きは、入荷した品のロット番号・入庫日・品名・製造日(賞味期限)・数量を台帳に書き、ロットごとに出庫日・出庫数・残りを記録すれば、ロットごとの在庫が正確につかめ、先に入ったものから出しやすくなると説明しています。出荷の記録にロット番号(簡便には賞味期限)を書き、どのロットをどの出荷先に出したかを結びつけることも挙げています(農林水産省「食品トレーサビリティ『実践的なマニュアル』総論」)。

システムに置き換えると、入荷の画面でロットと期限を記録し、在庫をロットごとに持ち、出荷ではどのロットを出したかを残す、ということです。ここまでは、ロットを扱える既製品で表せることもあります。作る量を大きく動かすのは、その間にある「どのロットを出すか」の決まりです。

加工食品の流通では、入荷のときに、納品期限の内にあるか、前回納めたものより日付が古くないかが確かめられています(GS1 Japan「ケース単位への日付情報等のバーコード表示ガイドライン」Ver.1.4)。納品期限には、賞味期間の3分の1以内に小売店へ納める慣例、いわゆる「3分の1ルール」があります。一方で、納品期限を緩めた(または緩める予定の)食品小売事業者は、令和7年10月時点で377事業者です(農林水産省「商慣習検討」)。つまり、取引先によって期限の決まりが違います。出すロットは期限の近い順に並べるだけでは決まらず、取引先ごとの納品期限と、その取引先に前回納めた期限を見て選ぶことになります。計算もテストも、取引先の決まりの型の数だけ増えます。

ロットと期限を追うと、入荷・引当・出荷のそれぞれで記録と計算が増える

入荷ロット番号と期限を記録する。ケースの文字を見て打つか、バーコードで読む
引当出すロットを選ぶ。期限の近い順、取引先ごとの納品期限、前回納めたものより古くないか
出荷どのロットを、どの出荷先に出したかを残す

棚卸しもロットごとに数える。年月だけの期限は、その月の末日として並べる

作る量を大きく動かすのは引当の決まり。取引先ごとの納品期限の型の数だけ、計算とテストが増える

農林水産省「食品トレーサビリティ『実践的なマニュアル』総論」、GS1 Japan「ケース単位への日付情報等のバーコード表示ガイドライン」Ver.1.4、農林水産省「商慣習検討」をもとに当社が整理

期限の書き方にも違いがあります。農林水産省は先の「商慣習検討」のページで、食品ロスを減らすために賞味期限を年月だけで表示するなどの「大括り化」を食品メーカーに呼びかけており、倉庫には年月日で書かれた商品と年月だけの商品が混ざります。GS1のバーコードの決まりでは、年月だけの期限は日の部分を「00」とし、その月の末日として扱います(GS1 Japan、同ガイドライン)。「00」のまま並べると、同じ月の年月日表示の商品より期限が早いものとして扱われてしまうので、末日に直して持ちます。

入力の手間も費用に関わります。同じガイドラインによると、日付は多くの場合、段ボールに印字された文字を目で見てハンディ端末に打ち込んでいます。ガイドラインが勧める形で、ケースのバーコード(GS1-128やGS1 QRコード)に商品コード・製造日・期限・ロット番号が入っていれば、入荷の画面は読み取りで済みます。入っていない仕入先の分は、打ち込む画面と、打ち間違いを確かめる手順が要ります。

ロットをどの細かさで切るかも、費用に効きます。先の農林水産省の手引きは、ロットを細かくするほど追える精度は上がる一方、分けて管理する手間と記録の回数が増えるので、効果と費用の釣り合いを考えてロットを決める、としています。見積もりの前に数えておくのは、次の項目です。

  • 期限やロットを追う品目の数と、1つの品目に同時に残っているロットの数(ふだんと、多いとき)
  • 出す順番の決まり(期限の近い順、入荷の順)と、取引先ごとの納品期限の型の数
  • 前回納めたものより古い日付を出してはいけない取引先の数
  • 期限を年月日で書く品目と、年月だけで書く品目の数
  • ケースのバーコードでロットと期限を読める仕入先の数
  • 回収に備えて、どのロットをどこへ出したかをたどる必要があるか

セット品・部品から組む在庫は、いつ組むかで持ち方が変わる

詰め合わせやギフトのセット、部品を組み立てる製品のように、ほかの品目から作る在庫は、構成(どの品目をいくつ使うか)を登録し、そこから在庫の動きを出します。持ち方は、売れたときに構成品を引く形と、先に組んでセットを在庫にする形の二つに分かれます。

売れたときに構成品を引く形では、棚にあるのは構成品だけで、セットの注文が入ると構成品をそれぞれ引き当てます。組めるセットの数は、構成品ごとの在庫を1セットに要る数で割った値(端数は切り捨て)のうち、いちばん小さいもので決まります。先に組む形では、組んだ時点で構成品を減らしてセットを増やす記録が要り、ばらして構成品に戻すときは、その逆の記録も要ります。製造業の部品表(BOM)も同じ考え方で、構成の段数と、代わりに使える部品があるかが加わります。

セット品の持ち方は二通り。どちらにするかで作る画面が変わる

持ち方1

売れたときに構成品を引く

  • 棚にあるのは構成品だけ
  • セットの注文で、構成品をそれぞれ引き当てる
  • 組める数は、構成品の在庫から計算して出す

作るもの:構成の登録と、構成品を引き当てる計算

持ち方2

先に組んで、セットを在庫にする

  • 組んだ時点で構成品を減らし、セットを増やす
  • ばらして構成品に戻すときは逆の記録
  • セットと構成品の両方に在庫がある

作るもの:組立・分解の指示と記録、組んだセットの在庫の一覧

中身を変えたセットは、別の品目として登録する(コードの決まりでも、新しい商品コードが付く)

構成品にロットがあると、どのロットで組んだかまで記録する

GS1 Japan「【基準9】あらかじめ決められた組み合わせ商品の中身を変更した場合」、農林水産省「食品トレーサビリティ『実践的なマニュアル』総論」をもとに当社が整理

セットの中身は変わることがあります。GS1 Japanのコードの決まりでは、あらかじめ決めた組み合わせの中身を変えたセットには、元のセットと区別できるよう新しい商品コードを付けます(GS1 Japan「【基準9】あらかじめ決められた組み合わせ商品の中身を変更した場合」)。システムでも、中身を変えたセットは別の品目として登録し、古い構成のセットの在庫が残っている間は両方を持てるようにします。

構成品にロットがあると、記録はさらに増えます。先の農林水産省の手引きは、卸売業のように製造をしない事業者でも、加工や包装をする場合は、元の品と加工・包装した後の品のロットの対応がわかるよう記録することを挙げ、ロットをまとめたり分けたりするときは、前後のロット番号と数量を結びつけて残すとしています。セットや部品について数えておく項目は、次のとおりです。

  • セットや組立品の種類の数と、1つあたりの構成品の数
  • セットの中にさらにセットが入るか(構成の段数)
  • 組む時期(売れたとき・先に組む)と、ばらして売ることがあるか
  • 中身を入れ替える頻度(季節ごとの詰め合わせなど)
  • 構成品のうち、ロットや期限を追う品目の数

取引先から預かっている在庫は、持ち主で分けて引当から外す

自社の倉庫にあっても、自社のものではない在庫があります。売上を立てた後、取引先の指示を待って保管している商品、取引先から支給された材料や部品、仕入先から預かり、売れた分だけ仕入れにする商品などです。

一つ目の、売上を立てた後に預かっている商品について、企業会計基準委員会の適用指針は、代金を請求した後も企業が商品を手元に置いておく契約を「請求済未出荷契約」と呼んでいます。そして、この契約で顧客が商品を支配したとみなす要件に、その商品が顧客のものとして分けて識別されていること、企業がそれを使ったり、ほかの顧客に回したりできないことを含めています(企業会計基準委員会「収益認識に関する会計基準の適用指針」第77項・第79項)。在庫の仕組みに置き換えると、持ち主の項目を持ち、預かり分を自社の注文の引当から外す、ということです。売上をいつ立てるかは契約と会計の判断なので、顧問の会計士や税理士と確かめてください。

持ち主で分けると、在庫の一覧、入荷と出荷、棚卸しのすべてに持ち主が加わります。そのうえで、預け主ごとに在庫を知らせる帳票と、預け主から出荷の指示を受ける入口(電話・FAX・Webのどれで来るか)を用意し、保管料を請求するならその計算も作ります。支給された材料を預け主の製品にだけ使うなら、製造の記録にも、使った材料の持ち主を残します。

預かり在庫は、持ち主で分けて持ち、引当の対象を分ける

同じ倉庫の、同じ品目棚の上では見分けがつかないこともある
持ち主の項目を持つ在庫の一覧・入荷・出荷・棚卸しのすべてに持ち主を加える
自社の在庫自社の注文に引き当てる
売上後に預かっている分引当から外し、預け主の指示で出す
支給された材料預け主の製品にだけ使う
委託で預かる商品売れた分だけ仕入れにする

企業会計基準委員会「収益認識に関する会計基準の適用指針」第77項・第79項(請求済未出荷契約)をもとに当社が整理

預かり在庫について数えておくのは、次のようなものです。

  • 預け主の数と、預かりの種類(売上後の保管、支給された材料、委託の商品)
  • 預け主からの出荷の指示の来方と、月の件数
  • 預け主へ在庫を知らせる頻度と形式
  • 保管料などを請求するか
  • 預かり分を自社の在庫と同じ棚に置いているか、置き場を分けているか

拠点をまたぐ在庫は、移動中の数をどこに置くかを決める

倉庫や店舗が複数あると、在庫は拠点ごとに持ち、注文はどの拠点から出すかを決めて引き当てます。拠点の間で商品を動かすときは、出す拠点で減らし、受ける拠点で増やす二つの記録になり、その間の数は、どちらの拠点の棚にもない「移動中」の在庫です。

移動中を持たずに、出した時点で受ける拠点の数を増やすと、まだ届いていない商品を受ける拠点で引き当ててしまいます。反対に、届いた時点で出す拠点の数を減らす形では、出した後もしばらく出す拠点に数が残ります。棚卸しの日に移動中の分があれば、どちらの拠点の数にも入らない分として別に数えます。

拠点間の移動は、出す記録と受ける記録の二回。その間が「移動中」

出す拠点で出庫出す拠点の数を減らす
移動中どちらの拠点の棚にもない数。届く前の注文に回すかを決める
受ける拠点で入庫届いた数を確かめてから、受ける拠点の数を増やす

出した数と届いた数が違ったとき(破損・積み残し)の記録の仕方も決めておく

移動中を持たないと、届く前の商品を受ける拠点で引き当てたり、棚卸しで移動中の分がどちらの数にも入らなかったりする

当社の整理

棚の番地(ロケーション)まで分けて持つかも決めます。先の農林水産省の手引きでも、入出庫の台帳に、場合によってはロケーション番号(倉庫内の区画や棚に割り当てた番号)を書く例が挙がっています。棚まで持つと、入庫のたびに置いた棚を記録し、出庫では取りに行く棚を示す画面が加わります。

倉庫の作業を外部の倉庫会社に任せている場合は、入庫と出庫の実績をその会社の仕組みから受け取る処理が加わります。受け取る間隔の分だけ、自社の在庫の数は実際より遅れます。拠点について数えるものは、次のとおりです。

  • 拠点の数(自社の倉庫、外部の倉庫、店舗など)
  • 拠点間の移動の月の回数と、届くまでの日数
  • 注文をどの拠点から出すかの決まり(取引先ごとに固定、在庫のある拠点から、など)
  • 棚の番地まで持つ拠点の数
  • 外部の倉庫会社の数と、実績を受け取る方法と間隔

単位が何段もある在庫は、コードと入数から最小の単位に直す

現場で読み取る端末を、スマホで足りる在庫と専用端末が要る在庫に分ける考え方は「ハンディターミナルを買う前に」で解説しています。

仕入れはケース、保管は中箱、出荷は個、というように、1つの品目を何段かの単位で扱う場合は、品目ごとに単位の段と入数を持ち、どの単位で入れても最小の単位の数に直して在庫を持ちます。

ケースには、個に付くJANコード(GTIN-13)とは別のコードが付くことがあります。GS1 Japanによると、集合包装用商品コード(GTIN-14)はケースやボール(中箱)など企業間の取引の単位に付けるコードで、受発注や入出荷、棚卸しなどで使われ、先頭の1桁で入数や荷姿の違いを分けます。個とケースで商品アイテムコードが一致しないコードも認められているため、発注したときの個のコードと入荷したケースのコードを照合する仕組みが要る、とも説明しています(GS1 Japan「GTIN(集合包装用商品コード)とITFシンボル」)。入数を変えたケースには新しいコードを付ける決まりもあります(同「【基準8】集合包装の入数を変更した場合」)。読み取ったコードから品目・単位・入数を引く表を持てば、入荷の検品で単位を人が選ばずに済みます。

単位が何段もある品目は、コードと入数から最小の単位に直して持つ

ケース集合包装用商品コード(GTIN-14)。先頭の1桁で入数や荷姿の違いを分ける
中箱内箱と外箱を分けて識別することもある
個JANコード(GTIN-13)。在庫はこの単位で持つ

入数を変えたケースには新しいコードが付く。コードから品目・単位・入数を引く表を持つ

重さで値段が決まる品目(不定貫商品)は、個数とは別に実際の重さを記録して請求する

GS1 Japan「GTIN(集合包装用商品コード)とITFシンボル」・「【基準8】集合包装の入数を変更した場合」、GS1 Japan「ケース単位への日付情報等のバーコード表示ガイドライン」Ver.1.4をもとに当社が整理

重さで値段が決まる品目は、もう一段手間がかかります。包装ごとに重さが違い、重さなどの単位あたりの価格で取引される商品(不定貫商品)は、GS1のコードでも先頭の1桁に「9」を使って区別されます(GS1 Japan「ケース単位への日付情報等のバーコード表示ガイドライン」)。在庫はケースや個で数えながら、出荷のたびに実際の重さを記録し、請求は重さで計算する、という二本立ての数になります。単位について数えておくのは、次の項目です。

  • 1つの品目で使う単位の段数(パレット・ケース・中箱・個など)
  • 仕入れ・保管・出荷・請求で、それぞれどの単位を使うか
  • 個とケースのコードが一致しない品目の数
  • 重さで請求する品目の数と、重さを量る場面(入荷のとき・出荷のとき)

見積もりの範囲は、在庫を動かす出来事から決める

ここまでの形は、どれも在庫の数を動かす記録の側で作る量が増えるものでした。棚にある数は入荷・出荷・返品・移動・組立・廃棄・棚卸しの調整の記録を足し引きして出し、売ってよい数はそこから受注の引当を引いて出します。在庫の画面だけを新しくしても、受注と出荷が今のまま別の場所で記録されていれば、新しい仕組みの数は記録が届くまで遅れ、棚の数と合わなくなります。帳簿と棚の数がずれる経路と直す順番は、Excelの在庫表が現物と合わなくなる理由で分けて説明しました。

そこで見積もりの範囲は、在庫を動かす出来事を並べ、それぞれをどこで記録するかで決めます。新しい仕組みの画面で記録するもの、今の仕組みから取り込むもの、手で入れるもの、の三つに分けると、見積もりに何が乗るかを一つずつ確かめられます。

在庫を動かす出来事ごとに、どこで記録するかを決める

新しい仕組みの画面で

受注・引当・出荷など

  • 在庫の数と同時に動く
  • 画面と帳票の分が見積もりに乗る

今の仕組みから取り込む

販売管理の受注、外部の倉庫の出荷実績など

  • 取り込む処理と、取り込めなかったときの扱いが見積もりに乗る
  • 取り込む間隔の分だけ、在庫の数が遅れる

手で入れる

年に数回の廃棄、社内での使用など

  • 作る量は増えない
  • 入れ忘れが棚卸しの差になる

範囲の芯は、受注から引当・出荷まで。ここを新しい仕組みの画面で記録すれば、在庫の数が取り込みの間隔を待たずに動く

当社の整理

私たちは、範囲の芯を受注から引当・出荷までに置くことを勧めています。この三つが同じ仕組みの画面で記録されていれば、売ってよい数と棚の数が、取り込みの間隔を待たずに動きます。請求や会計は今の仕組みを残し、出荷の実績をデータで渡す形にもできます。受注から引当・出荷・請求データの出力までの流れは、受発注の流れを触るデモ(架空の会社とデータ)で実際に操作できます。

切り替えの日の在庫も、範囲に入れておきます。ロット・持ち主・拠点で分けて持つなら、新しい仕組みに移す最初の在庫も、その分け方ごとの数が要ります。今のExcelに品目ごとの数しかなければ、切り替えの前にロットや拠点ごとに数え直す棚卸しが入り、その日程と人手も見積もりの前提になります。

形ごとに、費用がどこに乗るか

形ごとに、見積もりで増えるものを並べると次のようになります。どの形も、画面が増えるだけでなく、分け方や計算の組み合わせを確かめるテストが増える点は同じです。

在庫の形増える画面・帳票増える計算・処理とテスト
ロットと期限入荷でのロットと期限の入力(または読み取り)、ロット別の在庫一覧、期限の近い品の一覧出すロットを選ぶ計算(期限の近い順、取引先ごとの納品期限、前回より古くないか)、年月だけの期限の扱い。テストは取引先の決まりの型ごと
セット品・部品構成の登録、組立・分解の指示と記録構成品の引当と組める数の計算、中身を変えたセットの切り替え。テストはセットの種類と構成品の欠け方の組み合わせ
預かり在庫持ち主別の在庫一覧、預け主からの出荷の指示、預け主へ知らせる帳票預かり分を引当から外す計算、保管料の計算。テストは自社の分と預かり分の取り違えがないか
拠点・移動中移動の指示・出庫・入庫、移動中の一覧、棚の番地拠点ごとの引当、どの拠点から出すかの決まり、外部の倉庫の実績の取り込み。テストは移動の途中の状態ごと
単位・重さ単位と入数の登録、コードの対応表、出荷のときの重さの入力最小の単位への換算、重さでの請求。テストは入力する単位ごと

数えた結果は、見積もりを頼むときの前提に書き足します。どの形があり、それぞれの数がいくつか、どこまでを新しい仕組みで記録するかがそろっていれば、各社の金額を同じ前提で比べられます。数えた結果を見積もり依頼に添える1枚にまとめる手順は、受発注システムの開発費を扱った記事で説明しています。

既製品で始めるか、足りない形の分を作るか

既製の在庫管理サービスを試すなら、自社の形を再現した注文と在庫で確かめます。次のどれか一つでも当てはまれば、その形の分を作るか、手作業で残すかを決めます。

既製の在庫管理サービスで収まるかの見分け方(自社の形を再現した注文と在庫で試す)

1

ロット・持ち主・拠点を重ねて分けると、入荷・出荷・棚卸しのどこかで数が追えなくなる

例:預かり分にも期限があり、倉庫が2か所ある

2

出すロットを、取引先ごとの決まりで選べない

例:納品期限の違い、前回納めたものより古いロットを出さない

3

セットの注文や組立で、構成品の在庫が正しく動かない

中身を変えたセットを、別の品目として持てるかも見る

4

受注・出荷の記録が別の仕組みにあり、在庫の数に届くまで間が空く

取り込む方法と間隔を確かめる

1つでも当てはまる → その形の分を作るか、手作業で残すかを決める作る部分は、受注から出荷までの流れの中で見積もる
どれにも当たらない → 既製品で始める後から収まらない決まりが出たときの扱い(手作業で残す・足りない部分だけ作ってつなぐ)を決めておく

当社の整理

手作業で残すと決めたものは、件数と、誰がいつ行うかを書いておきます。年に数回の預かり分の払い出しなら手作業でも回りますが、毎日のロットの選び分けを人の判断に任せると、その判断ができる担当者に仕事が偏ります。

Aurant Technologiesでは、在庫の形を一緒に確かめるところからご相談を受けています。既製品に収まる形はそのサービスの設定で済ませ、収まらない形だけを専用の画面にして、受注・出荷の流れとつなぐ進め方です。メーカーの場合は、部品表(BOM)と在庫・購買を一つの仕組みで扱う形にもできます。作り方の選び方と、最初のお見積もりの前に伺う項目は、受発注・在庫管理システムの開発で紹介しています。

サービス一覧

業務ツール・Microsoft 365/Google Workspace・AI活用・データ基盤・広告運用・会計ソフト・LINE運用・アクセス解析の8領域で、選定から構築・定着まで支援しています。課題に近い領域からご覧ください。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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