kintone と LINE をつなぐ:LINEの問い合わせをkintoneに起票し、進み具合をLINEに返す設計

kintoneとLINEをつなぐときに作るのは、起票・進み具合の通知・LINEユーザーIDの持ち方の3つです。プラグインや連携サービス、iPaaS、自作の選び方、無料で試せる範囲、フィールド設計、kintoneのWebhook(1分60回)と同時実行100の上限、API権限の分け方を、公式の仕様で整理しました。

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この記事の要点

  1. kintone が公式に用意している外向きの入口は Webhook と REST API で、LINE とは受け口(または連携サービス)を挟んでつなぐ。作る流れは3つ:LINE の問い合わせをレコードにする(起票)、担当者の進み具合を LINE に返す、LINE のユーザーIDをレコードに持つ。プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作のどれでも、この3つのどこまでを任せるかが選ぶ軸になる。
  2. 本番で使うなら kintone はスタンダードコース以上で、ライトコースは Webhook も API トークンも使えない。無料で試せるのは、kintone の30日のお試しと12か月の開発者ライセンス、LINE のコミュニケーションプラン(月200通)まで。進み具合の通知はプッシュメッセージで、通数に数えられる。
  3. 詰まりやすいのは3か所。同じ問い合わせが2件できる(受付イベントIDを重複禁止の項目に持つ)、通知が届かない(kintone の Webhook は1分60回を超えると送られない。通知済みの印を持って拾い直す)、エラーで落ちる(REST API は1ドメイン100の同時実行を超えると429で、同じドメインの他のアプリも巻き込む)。

LINE と kintone のあいだに受け口を置く:何が、どの向きで流れるか

両端のシステムは直接話さない。結ぶのは LINE のユーザーID(問い合わせレコードに持つ)。

LINE公式アカウントお客様のLINE
→↓メッセージ・友だち追加(LINE の Webhook)
←↑受付の返信・進み具合の通知(応答・プッシュ)
受け口署名の検証・保存・200・重複の除去
→↓レコードの追加(REST API)
←↑ステータス更新の通知(kintone の Webhook)
kintone問い合わせアプリ

向きによって使う仕組みが違う:LINE → 受け口は LINE の Webhook、受け口 → kintone は REST API、kintone → 受け口は kintone の Webhook、受け口 → LINE は Messaging API

出典:LINE Developers「メッセージ(Webhook)を受信する」、kintone ヘルプ「Webhookを設定する」、cybozu developer network「1件のレコードを登録する」。2026年10月6日確認

kintone と LINE をつなぐ、と言ったときに作るものは3つです。LINE で受けた問い合わせをレコードにする「起票」、担当者が進めた状況を LINE に返す「進み具合の通知」、その2つを同じお客様に向けるための「LINE ユーザーIDの持ち方」。プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作のどれを選んでも、この3つのどこまでを任せられるかが違うだけで、中身は同じです。

プラグインや連携サービスで済むかは、まず公式の一覧で見られます。サイボウズの「プラグイン・連携サービス」の一覧には、LINE 公式アカウントと kintone をつなぐ製品が載っています。たとえば KUZEN for kintoneのページは、kintone の顧客属性での配信と、LINE で取得した回答や行動履歴の kintone への連携を挙げ、価格は個別見積りとしています。どの製品でも、上の図の4本の矢印のうち、どれを受け持つかを先に確かめます。

「LINE WORKS と kintone」は別の話です。LINE WORKS は社内向けのチャットで、kintone とつなぐ製品は、LINE WORKS の連携ソリューションに Joboco・Smart at message for kintone・LITONE for チャットボットなどが載っています。このうち Smart at message for kintone は、提供会社がLINE公式アカウントにも対応したと案内しています(製品ページの連携先には LINE WORKS と LINE が並びます)。お客様の LINE 公式アカウントとつなぐのがこの記事の対象で、社内の通知や日報は「LINE Works × kintone連携ガイド」と「LINE WORKS と LINE の連携」を見てください。

3つの流れは、起票→担当者が進める→進み具合を返す、の順に動く

お客様が LINE にメッセージを送ってから、進み具合が LINE に戻るまでを、順に並べます。受け口の役目は、LINE から届いたものを失わずに保存して kintone に渡すことと、kintone の通知を LINE に渡すことです。受け口の作り方(署名の検証、イベントの保存、200を返す、重複の除去、失敗したときの再試行)は「LINE × Slack連携」にまとめたので、ここでは kintone との間だけを扱います。

お客様のメッセージから、進み具合が LINE に戻るまで

強調したのが、kintone に書き込む・kintone で操作する2か所。前半の3つは LINE から kintone へ、後半の3つは kintone から LINE へ向かう。

受け取る受け口が署名を検証して保存し、200を返す
起票するREST API で問い合わせアプリにレコードを追加
受付を返すレコード番号を添えて LINE に返信
担当者が進めるkintone のアクションボタンでステータスを変える
通知を受けるkintone の Webhook が受け口に届く
LINE に返すプッシュメッセージで進み具合を送る

受け口の順番は「LINE × Slack連携」に合わせた。段の分け方は当社の整理

LINE のユーザーIDは、問い合わせのレコードに持つ

LINE から届くイベントには、送ったお客様のユーザーIDが入っています。形は U に英数字32字が続く33文字で、表示名や LINE ID とは別の値です(ユーザーIDを取得する)。進み具合を返すときは、このIDを宛先にプッシュメッセージを送るので、起票のときに問い合わせのレコードへ持たせておきます。同じお客様が何度も問い合わせるので、このIDの項目は重複を許します。

ユーザーIDは、同じお客様でもプロバイダーごとに別の値になります。連携サービスが別のプロバイダーのチャネルを使うと、自社の LINE ログインや他のシステムのIDと合いません(「Salesforce と LINE をつなぐ」)。また、プロフィール情報の取得に同意していないユーザー(PC版の LINE だけを使っているユーザー)からの Webhook には、ユーザーIDが含まれません(プロフィール情報取得の同意)。この人たちへは、プッシュで進み具合を返せません。

プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作:保守する人と、IDの置き場で選ぶ

3つのつなぎ方を、誰が保守するかで比べる

どれでも、上の図の4本の矢印のどれを受け持つかが先。LINE の Webhook の送信先は1つだけ。

連携サービス・プラグイン

kintone の連携サービス一覧にある製品

  • 保守:提供会社
  • 価格:各社の見積りか公開ページ(KUZEN for kintone は個別見積り)
  • kintone 側の前提:スタンダードコース以上(プラグインなどの拡張機能はライトコースに無い)

先に確かめる:起票先のフィールドを自社で決められるか。LINE の Messaging API チャネルは自社のものを使うか

iPaaS(Zapier・Power Automate など)

ノーコードのフロー

  • 保守:自社でフローを管理
  • kintone → 外部は、kintone の Webhook の送信先に指定できる(ヘルプが Zapier・Power Automate・IFTTT を挙げている)
  • 外部 → kintone は、各ツールの kintone 用の部品か REST API

分かれ目:LINE の署名を検証できるか。同じイベントの重複を除けるか

自作(受け口+REST API)

サーバーレス・自社サーバー

  • 保守:自社
  • 受け口の順番も、フィールドの持ち方も、すべて自分で決める
  • kintone の同時実行100と Webhook の1分60回は、自分で守る

向く場面:LINE のIDと自社のデータを、細かく結びたいとき

出典:kintone ヘルプ「Webhookを設定する」、サイボウズプラグイン・連携サービス・料金、LINE Developers「ボットを作成する」。2026年10月6日確認

最後の注記が、選ぶときの落とし穴になります。LINE の Webhook の送信先に設定できるのは1つだけです(ボットを作成する)。すでに配信ツールなどがその URL を使っているチャネルに、kintone 用の受け口をもう1つ足すことはできません。足すなら、いまの送信先から受け口へ転送してもらうか、同じ受け口に統合します。

ノーコードで、どこまで作れるか

kintone → 外部は、ノーコードで組めます。kintone のヘルプは、Webhook の送信先に Zapier・Microsoft Power Automate・IFTTT などを指定して、レコードの追加やステータスの更新を外部サービスに渡す設定を案内しています(Webhookを設定する)。kintone → 外部の向きは、プラグインに頼らなくても組めます。

外部 → kintone、つまり LINE から起票する側は、LINE の署名の検証と、重複の除去が要ります。ノーコードのツールでこの2つを作れるかは、ツールごとに違います。作れないときは、署名の検証と保存だけを受け口に任せ、その後ろをノーコードのフローに渡す形にします。

無料で試せる範囲と、本番の前提

無料で試せる範囲
項目無料で使える範囲本番で変わること
kintone30日間のお試し(スタンダードコース、ユーザー数の制限なし)。開発者ライセンス:12か月無料、スタンダードコース相当、ユーザー5人、本番の運用には使えないライトコースは Webhook と API トークンが使えない。スタンダードコースは月額1,800円(税別)/1ユーザーで、最小10ユーザー(月額18,000円(税別)から)。ライトコースからスタンダードコースに上げるときは、その時点で契約を10ユーザー以上にする
LINEコミュニケーションプランは月額0円で、無料メッセージは200通。応答メッセージは通数に数えないプッシュは通数に数える。追加メッセージを送れるのはスタンダードプランだけで、20万通までは1通3円、超えた分は2.5円(税別)
受け口置き場所(サーバーレス・自社サーバー)の料金は、それぞれの提供元の料金—

本番では、kintone のコースで使える機能が変わります。料金ページは、外部サービス連携・プラグインなどの拡張機能をスタンダードコース以上の機能として並べ、1アプリごとの1日の API リクエスト数をスタンダードコースで1万、ワイドコースで10万としています(kintone 料金)。ライトコースの契約では、Webhook も API トークンも使えません(Webhookを設定する、APIトークンを生成する)。開発者ライセンスは、API の動作確認をする場所で、問い合わせを受ける本番の環境ではありません(kintone 開発者ライセンス)。LINE のコミュニケーションプランなどの内容は、LINE公式アカウントの料金プランにあります。

最小ユーザー数は、2024年10月以降の新しい契約から5ではなく10になりました。月額サービスで10ユーザー未満のまま契約している既存のお客様は、ユーザー数やコースを変えなければ2026年10月末まで契約した人数の料金で使え、2026年11月分(11月1日請求)から10ユーザーに自動で切り替わります。ユーザー数やコースを変えるときは、変更の時点で10ユーザー以上が必要です。ライトコースの10ユーザー未満の契約から、Webhook や API トークンを使えるスタンダードコースに上げるときも同じです(サイボウズ「クラウドサービスの価格改定に関するご案内」)。LINE 側は、2026年10月1日に追加メッセージの料金が改定されました(LINEヤフー for Business のお知らせ)。

kintone のアプリ:どのフィールドに何を入れ、誰が書くか

問い合わせを受けるアプリは、1つの問い合わせを1つのレコードにします。フィールドは、受け口が書くもの、担当者が書くもの、受け口が書き戻すものの3つに分けておくと、あとで「誰が書き換えたか」で迷いません。

問い合わせアプリのフィールドを、書く人で分ける

受付番号は、kintone のレコード番号をそのまま使える。

受け口が書く

LINE から届いたもの

  • 受付イベントID(重複禁止)
  • LINE ユーザーID
  • 問い合わせ本文・受信日時
  • 添付ファイル(画像など)

書くとき:起票のときに1回。担当者は書き換えない

担当者が書く

kintone のレコード画面

  • ステータス(プロセス管理のアクションボタン)
  • 作業者
  • 問い合わせ種別
  • 対応メモ(お客様に送らない)

ポイント:ステータスを変えると、お客様に通知が行く

受け口が書き戻す

通知のあと

  • 通知済みのステータス(最後に LINE へ返したもの)
  • LINE で連絡できるか(友だち・ブロック)

役目:通知の取りこぼしを拾い直す目印にする

重複禁止の設定はkintone ヘルプ「文字列(1行)」による。2026年10月6日確認

フィールドの型と、入れる値(表)
フィールド型入れる値注意
受付イベントID文字列(1行)・値の重複を禁止Webhook の webhookEventId重複を禁止した項目は、同じ値を複数のレコードに入れられない。入力できるのは最大64文字まで
LINE ユーザーID文字列(1行)Webhook の source の userId(33文字)1人が何度も問い合わせるので、重複は許す
問い合わせ本文文字列(複数行)message.textテキストは、受信したあとに取り直すためのAPIが無い。受け口で受けた時点で保存する
受信日時日時イベントの timestamp再送で順番が前後しても、この値で順序を確かめられる
添付添付ファイル画像・動画・音声・ファイル下で扱う
ステータス・作業者プロセス管理担当者がアクションで進めるAPI でレコードを登録するとき、ステータスと作業者には値を入れられない
通知済みのステータス文字列(1行)最後に LINE へ返したステータス名Webhook の取りこぼしを拾う目印
LINE で連絡できるかドロップダウンfollow/unfollow イベント受け口が、そのユーザーの未完了のレコードを検索して書く。ブロック後はプッシュが届かず、通数にも数えられない

API でレコードを登録するときは、存在しないフィールドコードを指定しても、そのフィールドが無視されるだけで、レコードは登録されます(1件のレコードを登録する)。フィールドコードを打ち間違えても、エラーにはなりません。登録のあとにレコードを取り直して、入るはずの値が入っているかを確かめる処理を、最初のテストに入れておくと安全です。

画像は、受けたその場で kintone に入れる

LINE で受けた画像・動画・音声・ファイルは、メッセージIDを使って取得できます。ただし、一定期間後に自動で削除され、保存期間は保証されません(コンテンツを取得する)。kintone に入れるときは、ファイルをアップロードするAPIで一時保管領域に置き、返ってきたファイルキーを、レコードの登録のときに添付ファイルフィールドの値にします。アップロードしたファイルは、レコードなどに添付しないと3日間で削除されます(ファイルをアップロードする、制限値一覧)。取得とアップロードと登録は、続けて行います。

1人が続けて送ったら、新しいレコードか、コメントか

メッセージのたびにレコードを作ると、1つの相談が何件にも割れます。当社なら、そのお客様の未完了のレコードがあるときは、既存のレコードにコメントで追記し、無いときだけ新しく起票します。未完了のレコードを探すには、アプリの閲覧権限が要ります。重複禁止はレコードの項目に付ける設定で、コメントには使えないので、コメントの二重投稿は、受け口の保存側で webhookEventId の処理済みを持って防ぎます(「LINE × Slack連携」)。コメントは、レコードコメントを投稿するAPIで入れられます。最大65,535文字で、アプリとレコードの閲覧権限が要ります(レコードにコメントを投稿する)。未完了かどうかは、ステータスで見分けます。

既存の顧客アプリと結ぶ

顧客を管理するアプリが別にあるときは、問い合わせアプリの顧客欄を、ルックアップで顧客アプリに結ぶ形があります。API でルックアップのコピー元の値を持ってきて登録するには、リクエストに両方のアプリの API トークンを指定します。1回のリクエストで指定できるトークンは9個までです(kintone REST APIの認証)。LINE のIDと顧客IDを、お客様のログインで結ぶ方法は、アカウント連携で作れます。連携トークンは10分間有効で1回しか使えません(ユーザーアカウントの連携)。Salesforce に置き換えた場合の流れは「LINEで受けた問い合わせを Salesforce のリードにする」にあります。

kintone の進み具合を LINE に返す:Webhook でステータスを受けて、プッシュで送る

進み具合を返す仕組みは、kintone の Webhook です。アプリの設定の「Webhook」で、送信先の URL と「通知を送信する条件」を設定し、「アプリを更新」で反映します。条件は、レコードの追加・編集・削除、コメントの書き込み、ステータスの更新から選びます。ブラウザーの操作だけでなく、REST API による操作でも通知されます(Webhookを設定する、Webhookを使ってみよう)。

ここで、条件は「ステータスの更新」だけにします。受け口が REST API でレコードを追加したり、通知済みの項目を書き戻したりしたときも、条件に「レコードの追加」「レコードの編集」が入っていると、受け口に通知が戻ってきて、ループになるためです。送信先の URL は、ヘルプの手順で、先頭の「https://」を除いて入れます。最大1,024文字、説明は64文字までで、1つのアプリに設定できる Webhook は10個までです。

届く通知は JSON で、ステータスを変えたときは type が UPDATE_STATUS、レコードの内容(record)、アプリのID(app.id)、レコードのタイトルとURL、通知ごとに付く固有のIDが入っています(kintoneの操作で送信されるWebhookの通知内容)。公式の一覧に、署名にあたる項目はありません。署名が無いので、届いた通知の中身をそのまま信じると、偽の通知でお客様に誤った進み具合を送りかねません。受け口は、通知の record は使わず、app.id と record のIDだけを受け取り、REST API でそのレコードを取り直して、現在のステータスを確かめてから送ります。送信先の URL に、推測されにくい文字列を含めておくのも有効です。取り直しは、あとの「拾い直し」と同じ手順にできます。

ステータスを、お客様に送る文面に変える

kintone のステータス名は、社内の言葉です。そのまま LINE に流さず、受け口で「ステータス名 → お客様向けの文面」の対応表を持ちます。表に無いステータスは、送りません。社内の差し戻しや保留が、お客様に届かないようにするためです。コメントの書き込み(ADD_RECORD_COMMENT)も、社内のやり取りが混ざるので、自動では転送しません。

ステータスと LINE の文面の対応(ステータス名と文面は当社の例)
ステータス(例)LINE に返す内容(例)送る手段
未対応(起票した直後)受け付けたことと、受付番号応答メッセージ。応答トークンは Webhook を受けてから1分以内に使う。過ぎたらプッシュ
対応中担当が決まり、確認を始めたことプッシュメッセージ
完了結果、または次の案内プッシュメッセージ
社内確認・保留など送らない—

返す手段で、通数が変わります。応答メッセージは通数に数えず、プッシュは数えます(Messaging APIの料金)。応答トークンは一度しか使えず、Webhook を受信してから1分以内に使う必要があります(Messaging API リファレンス)。進み具合は担当者が動いたときに送るので、ほぼプッシュです。たとえば1件の問い合わせで通知を3回送るなら、月200通の無料枠は66件ぶんで尽きます(試算。200 ÷ 3 ≒ 66)。コミュニケーションプランは、無料枠を超える追加メッセージを送れません(LINE公式アカウントの料金プラン)。通知の回数は、問い合わせの数から逆算して決めます。

お客様が LINE の画面を見るだけで進み具合が分かるようにするには、ユーザー単位のリッチメニューを使う手もあります。ユーザーごとに別のメニューを結べて、デフォルトより優先され、トーク画面に入り直さなくても即時に切り替わります(ユーザー単位のリッチメニューを使う)。

この「受け付けた」「準備できた」の通知がどう見えるかは、当社の公開デモ「モバイルオーダー」(架空の店舗・データ)で、注文から「できあがり」の通知までを操作して確かめられます。会員台帳と Messaging API のつなぎ方は「LINE×CRM連携」にあります。

kintone の Webhook は、取りこぼす前提で組む

kintone の Webhook は、ドメイン単位で1分間に60回までしか送られず、61回目以降の操作では通知が送られません(Webhookを設定する)。Excel や CSV の読み込み、複数のレコードの一括削除、複数のレコードを一括操作する REST API で操作した場合も、通知は送られません。通知に失敗する原因は、60回超えのほかに、通知のデータが1MBを超えた、kintone のタイムアウト、受け口側の停止やタイムアウトが挙がっています。実行ログで見られるのは、Webhook の設定ごとに直近10件までです(Webhookの実行ログを確認する)。

この性質のため、通知だけを頼りにすると、返したつもりの進み具合が届いていない状態が静かに起きます。受け口が LINE に返したあと、レコードの「通知済みのステータス」を、返したステータス名に更新しておきます。定期的に、現在のステータスと通知済みのステータスが食い違っているレコードを探し、食い違っていれば、同じ手順で送り直します。一括操作で通知が出なかったレコードも、同じ方法で拾えます。

通知の取りこぼしを、拾い直す

通知済みの印が、2つを同じ形にそろえる。

通常

kintone の Webhook

  • ステータスが変わると、受け口に通知が届く
  • 受け口が LINE にプッシュを送る
  • 送れたら、通知済みのステータスを更新する

件数の上限:ドメインで1分60回

拾い直し

受け口の定期ジョブ

  • 現在のステータスと通知済みを比べる
  • 食い違うレコードに、同じ送り方で通知する
  • 送れたら、通知済みを更新する

取りこぼす場面:1分60回の超過、一括操作、受け口の停止

出典:kintone ヘルプ「Webhookを設定する」・「Webhookの実行ログを確認する」。2026年10月6日確認

うまく動かないとき:同じ問い合わせが2件、通知が来ない、エラーで落ちる

運用で出る問題は、大きく3つに分かれます。症状ごとに、まず見る場所があります。

症状ごとに、見る場所と直し方

受け口の順番(保存してから処理する)が、どの症状でも土台になる。

同じ問い合わせが2件できた

起票側

  • 受付イベントIDの項目が、重複禁止になっているか
  • 再送や、受け口のやり直しで、同じイベントを2度書いていないか

直し方:重複禁止の項目に webhookEventId を入れる。同じ値は2つのレコードに入れられないので、2度目は通らない。通らなかったときは、読み取り用のトークンで同じ値のレコードを検索し、あれば処理済みとして扱う

通知が LINE に届かない

進み具合の側

  • Webhook の実行ログ(直近10件)に成功・失敗が出ているか
  • 1分60回を超えていないか、一括操作ではなかったか
  • そのお客様がブロックしていないか

直し方:通知済みのステータスで拾い直す。ブロック中は、別の手段で連絡する

API がエラーで落ちる

REST API

  • 同時実行が1ドメイン100を超えて、429が返っていないか
  • 日の上限を超えていないか
  • 認証(トークンの権限・IP制限)

直し方:受け口が同時に送る数を絞り、429のときは待って、保存したイベントからやり直す

出典:kintone ヘルプ「制限値一覧」・「Webhookの実行ログを確認する」・「文字列(1行)」、cybozu developer network「kintoneの性能Vol.2」。2026年10月6日確認

同時実行は、ドメイン全体で100

kintone の REST API の同時実行は、1つのドメインにつき100までで、上限を超えると HTTP ステータスコード429が返ります(制限値一覧)。100という上限は、カスタマイズや連携の REST API にかかるものです。性能の目安としての「同時リクエスト数」には、ユーザーの画面操作も含まれるので、人が多く使う時間帯は、REST API の処理も遅くなります。上限を超えたときは、原因になったアプリだけでなく、ドメイン全体で REST API のリクエストがエラーになります(kintoneの性能Vol.2)。LINE の一斉配信のあとに返信が集中しても、社内の他の業務アプリが道連れで止まらないよう、受け口が kintone に出す数は小さな値に絞ります。

一度に登録できるレコードは100件までで、処理に失敗すると、そのリクエストの登録はすべてキャンセルされます(複数のレコードを登録する)。受付イベントIDを重複禁止にしていると、すでに登録済みの1件が混ざっただけで、100件の登録全体が取り消されます。1件ずつ登録するか、重複を先に除いてからまとめる形にします。

1日の上限は、超えてもエラーにはならない

1日に実行できる API リクエスト数は、契約するコースで決まります(スタンダードコースは1アプリ1日1万、ワイドコースは10万)。数えるのは、リクエストで単一のアプリIDを指定する API で、bulkRequest で複数の API を動かしたときは、動かした API の数だけ数えます。リセットは日本時間の毎日午前9時です(制限値一覧、料金)。上限を超えても、リクエストの実行はエラーになりません。翌日の午前9時ごろに、サイボウズドットコムストアの管理者宛てに警告メールが届きます(kintoneの性能Vol.2)。

1件の問い合わせで通知を3回送るなら、API は、起票1回と、通知ごとの取り直し1回・通知済みの更新1回で、合わせて7回です。1万回は約1,400件ぶんです(試算。1 + (1 + 1) × 3 = 7、10,000 ÷ 7 ≒ 1,428)。重複の検索や拾い直しの取得は、この数に入っていません。

kintone 側の権限:連携用のトークンを、用途ごとに分ける

受け口が kintone に入るときの鍵は、API トークンが基本です。アプリごとに生成し、1つのアプリにつき20個まで作れます。生成したトークンには、許可する操作を選びます。ここで設定したアクセス権は、アプリ・レコード・フィールドのアクセス権の設定に関わらず、優先されます(APIトークンを生成する)。つまり、トークンの権限が、そのままアプリ全体への権限になります。

そこで、用途ごとにトークンを分けます。この記事の設計が使う操作は3種類です。起票(レコードの追加)、読み取り(同じ値のレコードの検索、未完了のレコードの検索、コメントの投稿、通知を受けたあとのレコードの取り直し)、書き戻し(通知済みのステータスの更新)。登録には、アプリのレコード追加権限と、値を入れるフィールドの編集権限が要り(1件のレコードを登録する)、更新にはレコードの編集権限が(1件のレコードを更新する)、コメントの投稿にはアプリとレコードの閲覧権限が要ります(レコードにコメントを投稿する)。そのため、トークンは3つにします。

トークンを用途で分ける(許可する操作の分け方は当社の案)
トークン許可する操作使う場面漏れたときに起きうること
起票用レコードの追加問い合わせの起票偽の問い合わせが入る。既存のレコードは読めない
読み取り用レコードの閲覧重複の検索、未完了の検索、コメントの投稿、通知後の取り直しアプリのレコードがすべて読める。3つの中でいちばん重い
書き戻し用レコードの編集通知済みのステータスなどの更新既存のレコードを書き換えられる

3つに分けても、「漏れても読めない」にはなりません。読める鍵を読み取り用の1つに絞れるだけです。読み取り用は、受け口の中でも読み取りの処理だけが持つようにして、置き場所の秘密情報の管理に入れます。重複の確認を「起票を断られたら処理済みとして扱う」だけにすれば、起票用だけでも動きますが、断られた理由が重複とは限らないので、検索で確かめる形を勧めます。トークンのアクセス権は、アプリ全体にかかります。APIトークンを使った操作は、kintone では Administrator による操作として扱われます(kintone REST APIの認証)。

ユーザーの権限で動かしたいときは、連携用のユーザーを作り、パスワード認証にします。2要素認証を有効にしたユーザーは、パスワード認証で REST API を実行できません。公式は、2要素認証を無効にした連携用ユーザーを用意するよう案内しています。ドメインに IP アドレス制限がある場合は、受け口の IP アドレスを許可するか、Basic 認証・クライアント証明書で実行します(同じページ)。

誰が、どの画面で、何を設定するか

設定する画面は5つ。1人が複数を持つことも多いが、画面ごとに権限が違う。

LINE の管理者LINE Developers コンソール
Messaging API 設定Webhook URL に受け口を設定し、Webhook の利用をオンにする。再送を使うかは受け口の設計とそろえる
チャネルの鍵チャネルシークレットとチャネルアクセストークンは、受け口にだけ置く
cybozu.com 共通管理者cybozu.com 共通管理
その他の設定Webhook の送信を許可する(禁止されていると、アプリで設定できない)
IPアドレス制限制限があるときは、受け口の IP アドレスを許可する
連携用ユーザーパスワード認証にするなら、2要素認証を無効にしたユーザーを用意する
kintone のアプリ管理者アプリの設定
フォーム受付イベントIDを、重複を禁止した文字列(1行)にする
プロセス管理ステータスとアクション(社内の言葉でよい)
APIトークン起票用(追加)・読み取り用(閲覧)・書き戻し用(編集)の3つを生成する
Webhook条件は「ステータスの更新」だけ。URL を入れ、アプリを更新する
受け口の開発側受け口(サーバー)
LINE → kintone署名の検証、保存、200、重複の除去、起票
kintone → LINEレコードを取り直して確認、ステータスを文面に変換、プッシュ
拾い直し通知済みと現在のステータスを比べて送り直す
担当者kintone のレコード画面
アクションボタンステータスを進める。お客様に通知が行くことを前提に操作する
対応メモ社内向け。LINE には送られない

画面名は、LINE Developers と kintone・cybozu.com のヘルプに合わせた。受け口の詳細は「LINE × Slack連携」へ。2026年10月6日確認

操作の記録は、cybozu.com共通管理者が監査ログで確認できます。Webhook の実行ログは、設定ごとに直近10件までなので、それより古い通知は監査ログで見ます(Webhookの実行ログを確認する)。受け口の側にも、受け取ったイベントのIDと処理の結果を残しておくと、お客様から「返事が来ない」と言われたときに、どこで止まったかを順にたどれます。

kintone と LINE のつなぎ方や、受け口の作り方、kintone の側のアプリの設計は、LINE運用・伴走支援のページから相談できます。kintone のアプリの開発は、業務ツール開発のページも見てください。

LINE運用・伴走支援

LINE公式アカウントの友だち獲得の設計、セグメント配信・ステップ配信・リッチメニューの構築、自動応答、CRM/MAや基幹データとの連携までを支援します。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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「LINE公式アカウント 運用改善ガイド」

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