Otter.ai と Notta と Google Meet の文字起こし|会議メモツール比較

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ビジネスにおいて「会議」は価値を生む場であるべきですが、その後の「議事録作成」に時間を奪われているケースが後を絶ちません。近年、AI技術の飛躍的向上により、Otter.ai、Notta、そしてGoogle Meet標準の文字起こし機能は、単なるテキスト化を超えた「意思決定のログ」へと進化しました。

しかし、各ツールには明確な「得意領域」と「不向きな環境」が存在します。本記事では、IT実務者の視点から、これら3つのツールを技術仕様、コスト、セキュリティの観点で徹底比較し、貴社の環境に最適な選択肢を提示します。

会議の「書く」を自動化する:主要3ツールの立ち位置

まず、今回比較する3つのソリューションの基本的な立ち位置を整理しましょう。

  • Otter.ai: 英語圏発のパイオニア。英語の認識精度、スピーカー識別(話者分離)、そしてAIによる会話の文脈理解に強みがあります。外資系企業や、海外ベンダーとの商談が多い組織に最適です。
  • Notta: アジア圏を中心に急速にシェアを伸ばしている日本市場向けの決定版。日本語の認識精度が極めて高く、スマホアプリ、Web、拡張機能と「どこでも使える」柔軟性が特徴です。
  • Google Meet 標準機能: Google Workspace(旧G Suite)に含まれる公式機能。追加コストを抑えつつ、GoogleカレンダーやDriveと密接に連携した運用をしたいチームに向いています。

これらのツールを導入する際、単に「文字が出る」ことだけを期待してはいけません。会議後のアクションをいかに効率化できるか、そして蓄積されたデータをいかに安全に管理できるかが、真のDX(デジタルトランスフォーメーション)の鍵となります。

徹底比較:Otter.ai vs Notta vs Google Meet 文字起こし機能

選定の基準となる主要項目を比較表にまとめました。最新の料金体系や仕様は、必ず各社の公式サイトをご確認ください。

比較項目 Otter.ai Notta Google Meet (標準)
対応言語 英語(メイン)、フランス語、スペイン語等 日本語・英語を含む104言語以上 日本語・英語を含む多言語
日本語精度 発展途上(基本は英語向け) 極めて高い(98.86%、第4世代モデル) 高い
主な入室方法 カレンダー連携・ボット参加 カレンダー連携・ボット参加・拡張機能 標準機能(設定からON)
AI要約機能 非常に強力(Otter AI Chat) 強力(GPT-4連携等) Gemini(Business Standard以上に標準搭載)
無料プラン あり(月300分、1会議30分まで) あり(月120分、リアルタイム5分まで) Workspaceプランに依存
公式サイト otter.ai notta.ai Google Meet

Otter.aiの特徴:英語会議における「世界標準」の選択肢

英語認識率の圧倒的な高さとリアルタイム編集

Otter.aiの最大の特徴は、英語音声の処理能力にあります。特許を取得している独自技術により、複数人が同時に話す場面でも正確に話者を特定し、文脈に沿った句読点を自動挿入します。また、リアルタイムでテキストが生成される様子を確認しながら、その場で重要箇所にハイライトを入れたり、コメントを残したりできる共同編集機能が優れています。

Otter AI Chatによる対話型議事録作成

単なる要約に留まらず、録音された内容に対して「この会議での決定事項は何?」「Aさんの懸念点は?」といった質問をチャット形式で投げることができます。これにより、1時間の会議を読み返すことなく、必要な情報を数秒で抽出可能です。

注意点:日本語対応の現状

長らく英語専用でしたが、現在は多言語対応を進めています。しかし、日本語の認識精度や「漢字の変換」「専門用語の処理」については、後述するNottaと比較すると、まだ実務レベルでは英語会議専用として割り切るのが賢明です。

Nottaの特徴:日本語特化型とマルチデバイス対応の利便性

日本語・多言語対応の精度と辞書登録

日本国内のユーザーにとって、Nottaは第一候補となるでしょう。最先端の音声認識エンジンを採用しており、日本語特有の「フィラー(えー、あのー)」の自動除去や、専門用語の辞書登録機能が充実しています。社内用語や業界用語をあらかじめ登録しておくことで、誤変換を劇的に減らすことが可能です。

録音から要約までを最短で完結させるUI

Nottaの要約機能は、OpenAI社のGPTモデルを活用しており、「章立て要約」「ネクストアクション」「発言者ごとの要約」をワンクリックで生成します。Google Meet、Zoom、Microsoft Teamsすべてに対応しており、会議URLを貼り付けるだけでAIボットが自動入室する仕組みもスムーズです。

Google Meet 標準機能の特徴:追加コストゼロのシンプル構成

Google Workspace ユーザーが即座に使える強み

Google Meetの文字起こし機能は、Google Workspaceの特定のライセンス(Business Standard以上など)を契約していれば、追加料金なしで利用できます。最大のメリットは、セキュリティポリシーの厳格な企業において「新たな外部SaaSを導入・審査する手間が省ける」点にあります。

Gemini によるAI要約:2025年1月から標準機能に

かつてGoogle MeetのAI要約機能は「Gemini for Google Workspace」アドオンの別途購入が必要でしたが、2025年1月以降の仕様変更により、Business Standard以上のプランにGeminiが標準搭載されました。追加ライセンス料なしで、会議の自動メモ生成・要約が利用できます。ただし、プランによって利用できる機能の範囲が異なるため、自社プランで使える機能を事前にGoogleの管理コンソールで確認してください。

課題:外部共有と編集機能の不足

一方で、Google Meetの標準機能には弱点もあります。文字起こし結果はGoogleドキュメントとして保存されますが、OtterやNottaのように「音声とテキストがリンクした状態」での再生や編集がしづらい点です。発言単位のタイムスタンプ付きでテキストを管理したい場合は、NottaのChrome拡張機能を併用するほうが実務上は便利なケースが多いです。

実務者が教える「導入・設定ステップバイステップ」

ツールを選定した後、運用を定着させるための具体的なステップを解説します。

1. カレンダー連携と自動参加の設定

OtterやNottaを導入する場合、最も効率的なのは「Googleカレンダー連携」です。連携を許可すると、予定されている会議にAIボットが自動で名前(例:Notta Bot)を連ねて参加します。手動でURLを貼る手間を省くことが、形骸化を防ぐコツです。

2. よくあるトラブルと対処法

  • ボットが「待機室」で止まっている: 主催者が入室を許可しない限り、ボットは録音を開始できません。参加者にはあらかじめ「AIが記録のために同席する」旨を伝えておくのがマナーです。
  • 音声が極端に小さい: PCのスピーカーから出る音を直接マイクで拾う形ではなく、ブラウザの音声ストリームを直接取得する拡張機能(Notta拡張機能など)を使うことで、クリアな音質を確保できます。

セキュリティとデータ活用のアーキテクチャ

会議データは情報の宝庫であると同時に、機密情報の塊でもあります。SaaSを導入する際は、以下の点を確認してください。

  • データの暗号化: SSL/TLSによる通信の暗号化および、保存データの暗号化が行われているか。
  • 学習への利用オフ: 多くのAIツールでは、設定画面から「データをモデルの改善に利用することを許可しない(オプトアウト)」ことが可能です。法人プランでは標準でオフになっている場合が多いですが、必ず公式のセキュリティホワイトペーパーを確認してください。

これらのデータを、例えばBigQueryなどのデータ基盤に集約し、社内のナレッジベースとして検索可能にすることで、会議の価値は最大化されます。

利用シーン別 文字起こしツール3択 用途×予算早見表

Otter.ai・Notta・Google Meet文字起こし機能は「どれが最高か」ではなく「どのシーンで何を使うか」で使い分けるのが実務の正解だ。以下の早見表で自社の主要会議タイプに合ったツールを確認してほしい。

主要会議タイプ 推奨ツール 理由 月額コスト目安
英語会議中心(グローバル企業) Otter.ai Pro 英語精度が最高水準。話者識別・リアルタイム翻訳で即座に共有可能 $10〜17/月
日本語会議中心(国内中小企業) Notta プロ 日本語認識精度が国内ツール最高水準。Zoom/Teams双方対応でツール非依存 1,650〜2,750円/月
Google Workspace全社導入済み Google Meet標準機能 追加コストゼロ。Google Docs/Driveへの自動保存でワークフロー最短 GWS契約内(追加0円)
社外・外部業者との会議多い Notta(ゲスト招待不要) 参加者側がアプリ不要でブラウザ参加可能。ゲスト接続トラブルを防ぎやすい 1,650円〜/月

実務でよくある失敗が「全社一律で1ツールを導入する」ことだ。英語会議の多い海外営業チームにはOtter.ai、日本語のみの現場部門にはNotta、全社会議はGoogle Meet標準機能、と会議タイプ別に使い分ける運用が最もコストパフォーマンスが高い。まず主要会議タイプの比率を把握してから導入判断をすることを強く推奨する。

まとめ:自社に最適なツールはどれか?

結論として、選定の基準は以下のようになります。

  1. 「英語会議がメインで、AIとの対話で情報を引き出したい」なら、Otter.ai
  2. 「日本語の精度を最優先し、スマホやブラウザで手軽に要約まで完結させたい」なら、Notta
  3. 「新たなコストやセキュリティ審査を避け、Googleエコシステム内で完結させたい」なら、Google Meet 標準機能

まずは各ツールの無料枠で、実際の社内会議(またはテスト会議)を通じ、自社の用語や話者のアクセントをどの程度識別できるかテストすることをお勧めします。議事録作成という「非生産的な作業」をAIに委ね、人間が本来行うべき「意思決定」にリソースを集中させましょう。

日本語精度の実態:専門用語・固有名詞・話者識別の現場感覚

「文字が出る」ことと「使えるテキストが出る」ことは別物だ。日本語の会議録で実務上問題になりやすいのは、一般語の認識精度よりも専門用語・固有名詞の処理と、複数話者の発言が混在した際の精度低下だ。

Notta は2025年後半に第4世代ディープラーニングモデルを投入しており、公式ベンチマークでは認識精度98.86%(WER 4%)、平均遅延0.28秒という数値を出している。辞書登録機能が充実しており、「SAP」「freee」「インボイス制度」などの固有名詞を事前登録しておけば誤変換をほぼ排除できる。話者識別も、一人が大半をしゃべるような偏った会議構成でも比較的安定している。

Otter.ai については、英語と同等の日本語精度を期待するのは現時点では現実的でない。日本語ネイティブの会議で単体運用すると、漢字変換ミスや助詞の脱落が起きやすい。ただし「英語が7〜8割・日本語がたまに混じる」会議では実用になる場面もある。英語メインのグローバルチームが日本拠点との会議に使うケースでは、英語側の精度が担保されている分、混在会議での利便性は高い。

Google Meet は、Googleが自社の音声認識エンジン(YouTube・検索で積み上げた日本語データを活用)をベースにしているため、日常語の精度は高い。一方で、個人名・社名・カタカナ英語の処理はNottaより劣る印象がある。辞書登録機能が現状では提供されていないため、専門用語の多い業界では事後の手修正が必要になるケースがある。

録音データの保管場所と外部共有制限:情シスが確認すべき3点

文字起こしツールの導入審査で最も時間がかかるのがセキュリティ評価だ。以下の3点を各社のセキュリティポリシーページで事前確認することで、情シス部門の承認が通りやすくなる。

1. 録音・テキストデータの保管場所と残存期間
Notta は日本・韓国・米国のデータセンターで処理・保管しており、Businessプランではデータ削除リクエストに応じる仕組みがある。Otter.ai はAWS(米国)上に保管される。Google Meet の文字起こしはGoogle Drive(Workspace契約のデータ所在地に準拠)に保存されるため、データ所在地を日本またはEUに設定している組織ではGDPR・個人情報保護法の観点でも管理しやすい。

2. 外部共有制限の設定
三ツールとも法人プランでは「ワークスペース内のみ閲覧可能」な共有制限を設定できるが、デフォルト値が異なる。Notta Business はデフォルトでワークスペース限定共有が有効になっている。Otter.ai Business はリンク共有をOFFにする設定を管理者が事前に行う必要がある。Google Meet はGoogle Driveの組織共有ポリシーに完全依存するため、Drive側で「外部共有禁止」を先に設定しておけば一元管理できる。

3. AIモデルへの学習利用オプトアウト
無料プランではデータを音声認識モデルの改善に利用する規約になっているケースがほとんどだ。機密性の高い会議をテスト録音する場合は、必ず法人プランに切り替えてから行うこと。Notta Businessプランは学習利用を明示的に除外している。Google Workspace は管理コンソールで「Googleサービスの改善への使用」をオフにする設定があり、エンタープライズ契約では標準でオフになっている。

文字起こしテキストをClaudeで要約・アクションアイテム化する実務フロー

文字起こしが完成してからが本当の作業だ。会議の目的は「決定と実行」であり、1時間分のテキストを読み返す時間を作ることが目的ではない。以下のフローは、NottaまたはGoogle Meetの文字起こしテキストをClaudeなどの生成AIに渡し、議事録を実務に直結する形に変換する手順だ。

ステップ1:テキストをエクスポートする
Notta はテキスト・SRT・Docx形式でエクスポートできる。Google Meet の場合は会議終了後にGoogleドライブへ自動保存された文字起こしドキュメントを開き、テキスト全選択でコピーする。

ステップ2:Claudeにプロンプトとともに貼り付ける
プロンプト例:

以下の会議文字起こしを読み、①今日の決定事項(箇条書き)②担当者別アクションアイテムと期限③未解決の懸念事項、の3つに整理してください。社内用語のままで構いません。

【文字起こし本文をここに貼り付け】

ステップ3:出力をそのままSlack・メール・kintoneに転記する
Claudeが出力した決定事項・アクションアイテムは構造が揃っているため、コピー&ペーストでSlackチャンネルへの共有やkintoneのレコード登録にそのまま使える。kintoneとClaudeをAPIで接続すれば、このステップを自動化することも現実的な選択肢だ。

NottaやGoogle Meetに内蔵のAI要約機能でも近いアウトプットは得られるが、Claudeのような汎用LLMを活用することで「社内の特定フォーマットに合わせた出力」や「過去の議事録と照合した差分抽出」など、ツール固有の制約を超えた使い方が可能になる。文字起こしは素材であり、それをどう加工するかで会議の生産性は大きく変わる。

運用開始前に確認すべき「3つのチェックポイント」

ツールの選定を終え、実運用へ移行する前に、情シスや法務の視点でクリアすべき項目があります。特に「AIによるデータ学習」の扱いは、企業のセキュリティポリシーに直結するため注意が必要です。

確認項目 Otter.ai (Business) Notta (Business) Google Meet (Gemini)
AI学習への利用 デフォルトでオフ設定が可能 学習に利用されない(明文化あり) Enterprise系は学習に利用されない
SSO(シングルサインオン) 対応(SAML) 対応(SAML/Okta等) Google Workspace準拠
外部共有制限 リンク閲覧制限が可能 ワークスペース内限定が可能 Google Driveの権限管理に準拠

※最新のセキュリティ仕様は、各社のホワイトペーパー(Otter Security / Notta セキュリティ)を必ずご確認ください。

よくある誤解:無料版と有料版の「データの扱い」の違い

多くのユーザーが「無料版で精度を試して、そのまま業務で使う」というステップを踏みますが、ここには落とし穴があります。無料版ではデータの二次利用(AIモデルの精度向上)を許可する規約になっているケースが多いため、機密情報を扱う会議では、必ず法人向けライセンスを契約した状態でテストすることをお勧めします。

また、文字起こしツールを導入して会議を可視化した後は、そこで得た決定事項を「現場の業務アプリ」へ自動で流し込む設計が効果的です。例えば、Google WorkspaceとAppSheetを連携させれば、議事録のタスク一覧から直接進捗管理アプリを駆動させることも不可能ではありません。

管理部門の盲点:退職者のアカウント削除漏れ

OtterやNottaのような「便利なSaaS」が増えるほど、管理の目は届きにくくなります。会議ログには重要機密が含まれるため、退職者のアカウントが残存していると、社外から過去の議事録へアクセスされ続けるリスクがあります。導入と並行して、ジョーシスなどのツールを用いたアカウント管理の自動化も検討すべき重要なテーマです。

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上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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