受発注システムを比べる前に、取引先の分け方を決める|Webに移る取引先と移らない取引先で、比べる製品の型が変わる

受発注システムを比べる前に、取引先を「これからどこから注文してくるか」と「製品の設定で表せない条件があるか」で分け、注文件数で重みを付けます。Web受注の型と販売管理と一体の型のどちらを比べるか、取引先のEDIで届く注文の取り込み、試用の進め方、表せない条件が残ったときの選び方を、経済産業省と中小企業庁の資料をもとに整理しました。

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この記事の要点

  1. 比較サイトの機能表で受発注システムが同じに見えるのは、機能の名前が同じでも、注文を入れる人の前提が製品ごとに違うから。取引先が注文画面を使う前提のWeb受注の型と、社内の担当者が受注を入れて請求まで回す販売管理と一体の型とでは、合う取引先が違う。
  2. 比べる前に、取引先台帳に「これからどこから注文してくるか(自社の注文画面・FAXや電話のまま・取引先の仕組み)」と「製品の設定で表せない条件があるか」の列を足し、群ごとに月の注文件数を足す。BtoB-EC化率43.1%(2024年、取引金額に占める割合)は、自社の取引先がWebに移る割合の代わりにならない。
  3. 件数の多い群が、比べる製品の型を決める。試用では群ごとに代表の取引先を選んで先月の注文を流し、表せない条件が残ったら、その注文の件数で、手作業で残すか、足りない部分だけ作るかを選ぶ。

取引先を注文の来方で分け、件数の多い群に合わせて製品の型を選ぶ

型を決めるのは、取引先の数ではなく群ごとの注文件数

自社の画面に移れそうな取引先

Web受注の型を比べる

  • 取引先が画面で注文する前提
  • 取引先ごとの品目と単価の出し分けを見る

確かめること:残るFAX・電話の注文を、社内で代わりに入れられるか

FAXや電話のまま残る取引先

販売管理と一体の型を比べる

  • 社内の担当者が受注を入れる前提
  • 入れる手数と、請求までのつながりを見る

確かめること:取引先が入れるWebの画面を、後から足せるか

取引先の仕組みで来る取引先

どの型でも、取り込めるかを先に見る

  • 取引先のEDIや発注サイトから届く
  • データの形は取引先が決める

確かめること:そのデータを、選ぶ製品に取り込めるか

製品の設定で表せない条件を持つ取引先の注文が多ければ、その部分を自社用に作る場合も並べて比べる

当社の整理

受発注システムを比べるときは、製品の一覧を見る前に、自社の取引先を分けます。分け方を決める問いは二つです。一つは、その取引先がこれからどこから注文してくるか。自社が用意するWebの注文画面に移れそうか、FAX・電話・メールのままか、取引先が決めたEDIや発注サイトで来るか、のどれかです。もう一つは、その取引先の条件(単価の決め方、締め日、納品先、品番の呼び方など)を、製品の設定で表せそうかどうかです。分けたまとまり(この記事では「群」と呼びます)ごとに、1か月の注文件数を足します。

件数のいちばん多い群が、比べる製品の型を決めます。自社の注文画面に移れそうな取引先の注文が多ければ、取引先が画面で注文することを前提にしたWeb受注の型(Web受発注システム、BtoBの受注サイト)を比べます。FAX・電話・メールのままの注文が多ければ、社内の担当者が受注を入れ、在庫の引当から請求までを同じ台帳で進める販売管理と一体の型が候補の中心になります。取引先の仕組みで届く注文が多いなら、どちらの型でも、その注文を取り込めるかを先に確かめます。設定で表せない条件を持つ取引先の注文が多いときに、その部分を自社用に作る場合も並べて比べる意味が出てきます。

この記事では、取引先台帳に足す列、注文件数での重みの付け方、型ごとに製品の説明で読むところ、試用の進め方、表せない条件が残ったときの選び方を順に書きます。製品の名前を並べたランキングは載せていません。Aurant Technologiesは特定の製品の販売代理店ではなく、既製の受発注サービス、kintoneなどで組む形、専用のWebアプリのどれで作るかを、業務と取引先の事情から選んでいます。

比較表で製品が同じに見えるのは、注文を入れる人の前提が違うから

比較サイトの一覧は、受発注システムを機能と料金で並べています。受注の管理、在庫との連携、請求書の発行、取引先ごとの価格、スマホからの注文。多くの製品の説明に似た名前の機能が並ぶので、表を見比べるほど違いが分からなくなります。

違いは、機能の名前の下にある前提にあります。同じ「受注の管理」でも、取引先が自分で注文を入れる画面を中心に作られた製品(この記事ではWeb受注の型と呼びます)は、取引先がその画面を使うことを前提にしています。社内の担当者が受注を入れ、在庫の引当から出荷・請求までを同じ台帳で進める製品(販売管理と一体の型)は、FAXや電話、メールで届いた注文を人が入れることを前提にしています。取引先が決めたEDIや発注サイトから届く注文は、どちらの型にとっても、相手の形式に合わせて取り込むものです。

業務に合う製品が見つけにくいのは、珍しいことではありません。東京商工会議所が主に東京23区の中小企業を対象に行っている調査で、「業務内容に合ったデジタルツール・サービスが見つからない」をデジタル化の課題に挙げた企業は、2025年1月公表の集計で22.4%(1,218社、複数回答。集計結果(詳細版)p.11)、2026年6月公表の集計で21.4%(1,272社、複数回答。集計結果p.16)でした。2025年1月の集計に載っている前回(2023年7月)の24.5%を含め、3回続けて2割を超えています。2026年の自由回答では、卸売業(6〜20人)の回答者が、市販のシステムやSaaSは業務に合わず追加の開発が要ること、そのまま使えば業務の効率が落ちるおそれがあることを挙げ、乗り換えに慎重になると書いています(p.34)。

合うかどうかを分けるのは、機能の有無より、自社の取引先がどこから注文してくるかと、その取引先ごとの条件です。どちらも比較表には載っておらず、自社の取引先台帳から数えるしかありません。

BtoB-EC化率43.1%は、自社の取引先がWebに移る割合ではない

経済産業省の「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の企業間の電子商取引(BtoB-EC)の市場規模は514.4兆円で、EC化率は43.1%でした(前年から3.1ポイント増。「その他」に分類された業種を除く。経済産業省の発表)。企業間の取引金額の4割あまりが電子で受発注されている、という数字ですが、自社の取引先に当てはめるときは、次の二つに気をつけます。

一つ目は、取引の金額に占める割合だということです。この調査のEC化率は、電話・FAX・Eメール・対面なども含めたすべての取引金額に対する、ECでの取引金額の割合です(報告書p.16)。裏を返せば、2024年でも取引金額の半分あまり(56.9%)は、電話・FAX・Eメール・対面など、EC以外の方法で受発注されています。そして、大口の取引がECで動いていれば、小口の取引先の多くが電話やFAXのままでも、割合は高く出ます。取引先の数の割合ではありません。

二つ目は、ECの中に、取引先が決めた仕組みでの受発注も入っていることです。この調査のECは、コンピューターのネットワーク上で受発注が行われる取引を指し、インターネットを使うものに加えて、専用回線やVANを使う従来型のEDIも含みます(報告書p.14)。自社が用意したWebの注文画面に、取引先が移った割合ではありません。

業種ごとに見ると、卸売業は40.3%、製造業は業種によって47.8%から88.6%まで開きがあります(報告書p.92)。報告書は、卸売業のEC化率が増えた要因として、大手の総合スーパー(GMS)やスーパーマーケットを中心に、流通BMS(流通業で使うEDIの標準の取り決め)に代表されるEDIの標準化が進んでいることを推察しています(p.93)。

業種別のBtoB-EC化率(2024年)

取引金額に占めるECの割合。分母には電話・FAX・Eメール・対面での取引も入る

全体(「その他」を除く)43.1%
製造業:輸送用機械88.6%
製造業:食品81.3%
製造業:電気・情報関連機器76.6%
製造業:繊維・日用品・化学56.2%
製造業:鉄・非鉄金属50.6%
製造業:産業関連機器・精密機器47.8%
卸売業40.3%

出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(2025年8月)図表6-4。製造業と卸売業を抜き出した

業種別の数字を表で見る
業種2024年のEC化率
全体(「その他」を除く)43.1%
製造業:輸送用機械88.6%
製造業:食品81.3%
製造業:電気・情報関連機器76.6%
製造業:繊維・日用品・化学56.2%
製造業:鉄・非鉄金属50.6%
製造業:産業関連機器・精密機器47.8%
卸売業40.3%

経済産業省の報告書の図表6-4から、製造業と卸売業の値を抜き出しました。EC化率は、電話・FAX・Eメール・対面なども含めたすべての取引金額に対する、ECでの取引金額の割合です(報告書p.16)。ほかの業種の値は、同じ図表にあります。

受発注を電子にする仕組みを誰が決めるかについては、中小企業庁の委託調査の報告書(2022年3月)が、電子受発注システムは大企業の主導で系列・業種ごとに整備されているのが実情で、中小企業が複数の系列や業種と電子で取引するには、それぞれに対応したシステムを入れる必要がある、と書いています(p.3)。

平均の割合からは、自社の取引先のうち、どこが自社の注文画面で注文してくれるのか、どこが自分の仕組みを使うよう求めてくるのかは分かりません。それを数える場所が、自社の取引先台帳です。

取引先台帳に、注文の来方と条件の列を足す

取引先台帳(取引先の一覧のExcelや、販売管理の取引先マスタから書き出したもの)に、次の列を足します。ここで足すのは、製品を選ぶために数える列です。FAXや電話の注文を一つの受注一覧で回すために台帳へ持たせる列(差出元、注文の締め時刻など)は、「FAXで注文してくる取引先が残っても、受注のシステム化はできる」で扱いました。

取引先台帳に足す列と、入れる値

製品を選ぶために数える列。受注を回すための列とは別に足す

列1

月の注文件数と明細の行数

  • ふだんの1か月分。繁忙期が別なら、その月も
  • 受注伝票・FAX・メールから数える

列2

今の注文の来方

  • FAX・電話・メール・自社のWeb・取引先のEDIや発注サイト・LINE
  • 複数あれば、いちばん多いもの

列3

これからの来方(見込み)

  • 自社の注文画面に移れそう
  • FAX・電話・メールのまま
  • 取引先の仕組みで来る
  • 分からない

列4

製品の設定で表せなさそうな条件

  • 単価の決め方、締め日と請求書のまとめ方
  • 納品先、取引先の品番、取引の上限、指定の伝票

当社の整理

列3の見込みは、その取引先を担当している営業に聞いて埋めます。取引先から、指定のEDIや発注サイトを使うよう求められているなら「取引先の仕組みで来る」です。注文の回数が少ない取引先は、画面を覚える手間に見合う得が小さいので、移ってもらいにくいと見ておきます。中小企業庁の同じ報告書も、鉄鋼の業界について、週に1回ほどしか取引のない得意先にはデジタル化の利点を感じてもらいにくいと書いています(p.40)。決めきれない取引先は「分からない」のままで構いません。頼む順番と頼み方は、先の記事に書きました。

列4は、条件の中身を細かく書くより、ほかの取引先と違う点があるかどうかと、それが何かを一言で残せば足ります。条件を、ほかの取引先と共通の型と、一社だけの決まりに分けて数える方法は、「受発注システムの開発費は、取引先と例外の数で決まる」で説明しました。製品の設定で表せるかどうかは、後の試用で確かめます。

注文件数の多い順に並べ、群ごとに足す

列を埋めたら、取引先を月の注文件数の多い順に並べ、列3の群ごとに、注文件数と明細の行数を足して割合を出します。見るのは、群ごとの取引先の数ではなく、注文件数の割合です。製品の型が前提にしている受け方から外れる注文は、1件ごとに代わりの入力や打ち直しになるので、影響は件数に比例して大きくなるからです。取引先の数では多くても、注文の少ない取引先ばかりの群は、どの型を選んでも手間への影響が小さくなります。売上への影響も見たいなら金額でも足しますが、受注の手間を減らすのが目的なら、件数と明細の行数を重みにします。

群の重みは、取引先の数ではなく注文件数で見る

件数の多い順に並べる取引先ごとの月の注文件数と明細の行数
群ごとに足す自社の注文画面・FAXや電話のまま・取引先の仕組み・分からない
上位の取引先を1社ずつ見る指定の仕組みを使うか、表せない条件があるか

上位の取引先が指定の仕組みを使うなら、それを取り込めない製品は候補から外す

「分からない」が多ければ、試用で何社かに画面を見てもらってから決める

当社の整理

上位の取引先は、1社ずつ見ます。件数で上位の取引先が指定のEDIを使っているなら、その注文を取り込めない製品は、機能表で丸がいくつ付いていても候補から外れます。上位の取引先に製品の設定で表せない条件があるなら、件数の少ない多くの取引先の条件より重く見ます。

「分からない」の群が大きいときは、その群を無理にどちらかへ入れず、試用のときに何社かに画面を見てもらって確かめます。それでも見込みが立たないなら、私たちは、どの入口から来た注文も入る社内の受注台帳を先に決め、Webの注文画面は、移る取引先が出てきたときに足せる組み合わせを選ぶよう勧めています。見込みが外れても、受注の置き場を移さずに済むからです。

件数の多い群で、比べる製品の型が決まる

群ごとの件数がそろったら、いちばん多い群に合わせて、比べる製品の型を決めます。型が決まると、製品の説明のどこを読めばよいかも決まります。

件数の多い群で、比べる型と、製品の説明で読むところが決まる

自社の注文画面に移れそうな群が多い

Web受注の型

  • 取引先ごとの品目と単価の出し分け
  • 残るFAX・電話の注文を社内で入れる画面
  • 販売管理・会計へ渡すデータの形

FAX・電話・メールのままの群が多い

販売管理と一体の型

  • 1件の注文を入れる手数
  • 注文の原本を付けて残せるか
  • Webの注文画面を後から足せるか

取引先の仕組みの群が多い

取り込みを先に確かめる

  • 取引先ごとのデータの形
  • 形式が変わったときの直し方

表せない条件の群が多い

作る場合も並べて比べる

  • 足りない部分だけ作ってつなぐ
  • 受注の台帳から作る

当社の整理

自社の注文画面に移れそうな取引先の注文が多いなら、Web受注の型を比べます。製品の説明で読むのは、取引先ごとに見せる品目と単価を出し分けられるか、残るFAXや電話の注文を社内の担当者が代わりに入れる画面があるか、受けた注文を今の販売管理や会計へどんな形で渡せるか、です。

FAX・電話・メールのままの注文が多いなら、販売管理と一体の型が候補の中心です。読むのは、1件の注文を入れる手数(前回の注文を呼び出せるか、取引先ごとの単価が自動で入るか)、FAXの画像など注文の原本を付けて残せるか、在庫の引当・出荷・請求まで同じ台帳で進むか、取引先が入れるWebの注文画面を後から足せるか(同じ製品の機能か、別の製品とつなぐか)です。今の販売管理で受注を入れているなら、販売管理ごと入れ替える前に、今の受注の入力で足りない部分(FAXの読み取り、前回の注文の呼び出しなど)を補う形も比べます。

取引先の仕組みで届く注文が多いなら、型を決める前に、その注文を取り込めるかを確かめます(次の節)。製品の設定で表せない条件を持つ取引先の注文が多いなら、既製品と並べて、その部分を自社用に作る場合も比べます(最後の節)。群の大きさが近いときは、どの群の注文も同じ受注の台帳に入る組み合わせを比べ、どちらを台帳にするかは後の節で決めます。

どの型でも、料金が何で増えるか(取引先の数、社内で使う人の数、注文の件数など)を料金表で確かめ、群ごとの件数が数年後にどう変わるかを入れて比べます。人数や取引先の数で決まる料金を5年分で足す方法は、「業務システムは買うか作るか」で説明しています。

取引先の仕組みで届く注文は、取り込めるかを先に確かめる

大口の取引先から、その取引先が使うEDIや発注サイトで注文を受けるよう求められることがあります。受ける側は、取引先ごとに決められた仕組みに合わせることになります。

先の中小企業庁の報告書は、大企業がWebサーバー上に用意し、取引相手がブラウザで操作する形のEDI(Web-EDI)について、複数の得意先のサイトにログインして確かめたり入力したりする作業が要ること、データの形式が企業ごとに違うため自社のシステムとつなぐのが難しいことを課題に挙げています(p.17の表6)。鉄鋼の業界への聞き取りでは、大手の需要家(鋼材を買って使う取引先)が運営する個社仕様のWeb-EDIで受注したあと、社内のシステムに手で入れ直す作業があり、ある事業者では5人体制で1日の6割の時間をこれに割いていると記しています(p.41)。

取引先の都合で形式が変わることもあります。同じ報告書には、需要家からEDIのデータの形式の改修を求められると自社のシステムの改修費がかかり(例として、形式に2行を足すだけで100万円ほど)、その負担の交渉に苦労している例も載っています(p.39)。

そこで、この群の取引先ごとに、次のことを確かめてから型を決めます。

  • 注文の届き方:取引先の画面で見るだけか、ファイルで落とせるか、データで送られてくるか
  • データの形:ファイルの項目の並び、取引先の品番か自社の品番か、数量の単位
  • 取り込み:比べる製品が、そのファイルを取引先ごとの項目の対応づけで取り込めるか。流通BMSのような決まった形式なら、製品が直接受けられるか、EDIの変換サービスを間に置くことになるか
  • 形式が変わったとき:社内の設定で直せるか、提供元や開発会社への依頼になるか

取引先の仕組みで届く注文は、データの形を取引先が決める

取引先の仕組みEDI・発注サイト。仕様は取引先ごと
注文のデータ画面で見るだけ/ファイルで落とす/データで届く
社内の受注台帳項目を対応づけて取り込む

取引先が形式を変えたとき、社内の設定で直せるか、改修の依頼になるかを確かめる

取り込めない注文は、どの型を選んでも打ち直しで残る

中小企業庁「中小企業の受発注のデジタル化推進方策に関する調査」報告書(2022年3月)p.17・p.39・p.41をもとに当社が整理

取り込めない注文は、どの型を選んでも、画面を見ながらの打ち直しとして残ります。件数の多い取引先の注文がそうなるなら、機能表のほかの差より大きく効きます。

特別な条件は、製品の設定でどこまで表せるかを試す

取引先ごとの特別な条件は、製品の説明にある機能の名前だけでは判断できません。「取引先別の価格」と書かれていても、掛け率で決めるのか、取引先ごとの単価表で持つのか、数量や期間で変わる単価まで持てるのかは、説明からは読み取れないことがあります。試用では、次の問いを、自社の注文を入れて確かめます。

条件は、自社の注文を入れて確かめる

1

その取引先の注文画面と社内の代理入力で、その取引先の単価が自動で入るか

掛け率、取引先ごとの単価表、数量や期間で変わる単価

2

取引先ごとの締め日で、請求のデータが分かれて出るか

納品ごとに出すか、月でまとめるか

3

取引先の品番や呼び方で来た注文を、自社の品番に置き換えられるか

FAX・メール・取引先の仕組みで来る注文

4

納品先、取引の上限、指定の伝票を、取引先ごとに持てるか

納品先ごとに条件が違う取引先も試す

表せない条件が残るその取引先の注文件数を見て、残し方を選ぶ(最後の節)
どれも設定で表せた次は、受けた注文の行き先を確かめる

当社の整理

確かめるときは、設定の画面に項目があるかどうかではなく、その取引先の先月の注文を実際に入れ、出てきた単価・請求のデータ・伝票が今と同じになるかで見ます。項目があっても、組み合わせになると表せないことがあるからです。納品先ごとに単価が違う、取引先の部署ごとに締め日が違う、といった組み合わせは、件数の多い取引先から試します。

受けた注文の行き先は、台帳をどちらで持つかで決まる

注文を受けた後は、在庫の引当、出荷、請求、会計へと進みます。Web受注の型の製品を今の販売管理とつないで使うと、取引先・品目・単価の台帳(マスタ)が、Web受注の側と販売管理の側の2か所にできます。取引先に見せる単価はWeb受注の側に、請求に使う単価は販売管理の側にあるので、片方だけを直すと、注文画面の単価と請求書の単価が食い違います。

そこで、台帳ごとに、どちらを正にして、どちらへ、いつ写すかを決めます。請求に使う側を正にして注文画面の側へ写す形にすれば、請求の数字を基準にそろえられます。在庫の数も同じで、引き当てる場所は1か所にし、注文画面に在庫を見せるなら、その数がいつの時点の、どちらの在庫かを決めておきます。

Web受注の型を今の販売管理とつなぐなら、台帳の正を1か所に決める

販売管理(正の台帳)取引先・品目・単価。請求に使う
写す決めた向きと時刻で
Web受注の注文画面取引先に見せる品目と単価

受けた注文をどちらで引き当てるかも、1か所に決める

両方の台帳で直すと、注文画面の単価と請求書の単価が食い違う

当社の整理

販売管理と一体の型なら、台帳はその製品の中にそろいます。確かめるのは外へ渡す側で、会計へ渡す仕訳や請求のデータ、倉庫へ渡す出荷の指示を、今の相手が取り込める形で出せるかです。どちらの型でも、試用で先月の注文を流したら、出てきたデータを今の販売管理や会計に取り込んでみて(検証用の環境があればそちらで)、手で直した箇所を数えます。つなぐ相手・向き・頻度の書き出し方は、先の開発費の記事で扱いました。

試用は、群ごとの代表の取引先と先月の注文で行う

試用(無料の試用期間や、提供元が用意するデモの環境)は、機能を一通り触る場ではなく、ここまでの群と条件を確かめる場にします。

試用で、群と条件を確かめる

選ぶ

代表の取引先

  • 群ごとに、件数の上位1〜2社
  • 表せない条件のいちばん多い取引先

入れる

その取引先の先月の注文

  • 全件を入れる
  • FAXの画像や電話のメモも使う

触ってもらう

ふだん受注を扱う人

  • FAX・電話の注文を入れている担当者
  • 請求の担当者
  • できれば、移れそうな群の取引先1社

記録する

表せたこと、表せなかったこと

  • 1件あたりの手数
  • 表せなかった条件と、手で直した箇所
  • 販売管理・会計に取り込めたか

当社の整理

実際の取引先名や単価を試用の環境に入れてよいかは、提供元の利用規約と社内の決まりで確かめます。入れられないなら、名前だけを置き換え、単価の決まりや締め日はそのまま再現します。

移れそうな群の取引先に注文画面を触ってもらえれば、列3の見込みを確かめられます。ログインの手間や品目の探しにくさのように、社内の人では気づきにくい点も出てきます。

結果は、群ごとに「設定で表せた」「表せない条件が残った」に分けてまとめます。表せない条件が残った製品も、すぐに候補から外さず、次の節の選び方にかけます。

設定で表せない条件が残ったら、その注文の件数で選ぶ

試用で表せない条件が残ったら、その条件を持つ取引先の注文件数を見て、残し方を選びます。

表せない条件の残し方は、その取引先の注文件数で選ぶ

件数が少ない手作業で残す

その取引先の分だけ、社内で単価や請求を直す。誰がいつ直すかを書いておく

取引先と話せる表せる形にそろえてもらう

締め日や伝票を、ほかの取引先と同じ形にできないか相談する

件数が多い足りない部分だけ作ってつなぐ

単価の計算、締めの計算、取り込みの変換など、表せない部分を作って既製品とつなぐ

多くの群にまたがる受注の台帳から自社用に作る

既製品に合わせると業務が回らないときの選択肢。見積もりの前に数える項目をそろえる

当社の整理

件数の少ない取引先の条件なら、その取引先の分だけ社内で直す運用で足ります。直す人と時期を決めておかないと、その取引先の請求だけが毎月遅れる、といった形で残るので、手順として書いておきます。取引先と話せる関係なら、締め日や伝票の形を、ほかの取引先と同じにしてもらえないか相談するのも一つの方法です。

件数の多い取引先の条件が表せないときは、製品を替える前に、表せない部分だけを作って既製品とつなぐ形も比べます。kintoneで受注を管理しているなら、締め日の計算のように決まりのはっきりした部分は、日付から次の締め日を出す当社の締め日自動計算プラグインで補う方法もあります。

表せない条件が多くの群にまたがり、既製品に合わせると業務が回らないなら、受注の台帳から自社用に作る(外注を含む自社開発)ことが候補になります。その場合は、開発費の記事の数え方で見積もりの前提をそろえ、5年の総額と、使い始めてから直せる人で、既製品と並べて比べます(買うか作るかを5年の総額で比べる記事)。

Aurant Technologiesでは、受発注の仕組みを、取引先の注文の来方と条件を数えたうえで、既製の受発注サービス、kintoneなどで組む形、専用のWebアプリの中から選んで組み立てています。作り方ごとの違いと、最初のお見積もりまでに伺う内容は受発注・在庫管理システムの開発に、kintoneなどの業務ツールで組む場合の進め方は業務ツール導入・活用支援にまとめています。

サービス一覧

業務ツール・Microsoft 365/Google Workspace・AI活用・データ基盤・広告運用・会計ソフト・LINE運用・アクセス解析の8領域で、選定から構築・定着まで支援しています。課題に近い領域からご覧ください。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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