マイナンバーカード保有率81.7% — 普及が終わり、自治体の業務シフトが本番に入っている

2025年12月に1億枚突破、2026年2月で保有率81.7%。コンビニ交付は窓口の1/6の時間。窓口件数▲45%/国保資格証明▲30%の減少と、e-Tax対応・セキュリティ運用・BPO委託管理の増加という業務シフトを、総務省・デジタル庁公表データから5枚のSVGで整理する。

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マイナンバーカードの保有率は2025年12月に1億枚を突破し、2026年2月には81.7%に達した。「とにかく配る」フェーズは終わり、いま自治体現場では「カードがある前提で業務をどう再設計するか」が中心テーマになっている。窓口件数は減るがバックオフィスのデータ突合は増える、保険証はマイナ統合だがセキュリティ運用コストは上がる——本記事ではマイナンバーカード普及が自治体業務に与えている実際の影響を、5枚のグラフで整理する。

5年で25% → 81.7% — フェーズは「普及」から「活用」へ

マイナンバーカード保有率の推移(人口比)0%25%50%75%100%25.0%40.0%53.0%72.8%76.5%80.3%81.7%20202021202220232024202520262025年12月 1億枚突破 / 2026年2月 81.7%出典: 総務省「マイナンバーカード交付状況について」

マイナポイント施策が走った2022〜2023年で保有率は40%→72.8%に急増。その後はマイナ保険証への一体化や運転免許証連携を背景に、年率2〜5ポイントのゆるやかな上昇を続けている。2026年度を目途に「次期マイナンバーカード」(ICチップ高度化・セキュリティ強化版)への切り替えが予定されており、当面は更新・再交付の事務負担も山場を迎える。

都道府県別 — 地方ほど高く、都市部ほど低い

都道府県別保有率 — 地方ほど高い、都市部ほど低い上位は九州・東北。下位は都市圏で、外国人住民比率や転入転出の多さが影響▲ 上位5県1. 宮崎県84.2%2. 鹿児島県82.0%3. 秋田県81.6%4. 山口県81.2%5. 島根県80.9%▼ 下位5都府道県1. 沖縄県73.5%2. 東京都74.8%3. 大阪府75.4%4. 神奈川県76.1%5. 北海道76.4%出典: 総務省 都道府県別カード交付状況(2025年1月時点)

意外に思われるが、保有率トップ5は宮崎・鹿児島・秋田・山口・島根と地方県が占める。一方、下位は沖縄・東京・大阪・神奈川・北海道。理由は明確で、①地方は転入転出が少なく住民が安定しているため一度交付すれば長期保有される、②都市部は外国人住民比率が高く対象人口が膨らむ、③地方自治体のほうが交付率の目標管理を厳しく行ってきた。

下位の都市自治体ほど「窓口にカード未保有者がまだ多く来る」状況が続いており、窓口業務の二系統運用(紙申請+カード両対応)の負荷が高い。

コンビニ交付は窓口の1/6の時間で済む

住民票の写し1通あたり処理時間(職員稼働+住民待ち時間)コンビニ交付は職員稼働ゼロ、住民の所要時間も窓口の1/6。コンビニ収納手数料(1通100〜120円)が原価窓口(紙申請+手書き)18 分窓口(端末入力)10 分コンビニ交付(マイナカード)3 分オンライン申請+郵送6 分※ 当社支援自治体での実測平均値。窓口は混雑時に倍以上に伸びるケースあり

住民票の写しを1通発行する場合の処理時間を比較すると、コンビニ交付(マイナカード)は約3分、窓口(紙申請+手書き)は約18分。窓口の6分の1の時間で、しかも職員稼働ゼロ。住民の待ち時間も含めると差はさらに広がる。

原価面では、コンビニ収納手数料が1通100〜120円程度かかるが、これは窓口の人件費(職員1人月50万円÷月処理600通=1通あたり833円相当)と比べると圧倒的に安い。「コンビニ交付の手数料は高い」と渋る自治体は、本当のTCO比較ができていない

用途別利用は「証明書交付」と「保険証」に集中

マイナンバーカード活用シーン別 利用率(保有者・複数回答)コンビニ交付と保険証利用で6割超。マイナポータル行政手続もここ2年で急増コンビニ交付36%健康保険証として利用28%マイナポータルでの行政手続20%e-Tax確定申告10%公金受取口座登録4%運転免許証連携(2024〜)2%出典: デジタル庁「マイナンバーカードの普及と利活用の状況に関するアンケート」(令和6年度)

マイナンバーカード保有者の活用シーンを見ると、コンビニ交付が36%、マイナ保険証としての利用が28%、マイナポータルでの行政手続が20%。「カードを持っているが何にも使っていない」という層もまだ20〜30%程度残っていると推計され、ここに対する利用促進が次の自治体の重点課題になる。

運転免許証連携は2024年に開始したばかりで利用率はまだ2%だが、これは2026〜2027年にかけて急増することが見込まれている。免許更新時に窓口で「免許証もマイナンバーカードと一体化しますか」と聞かれる手続きが標準化される。

自治体側の業務影響 — 減る部門と増える部門

マイナンバーカード普及で自治体側に起きている業務変化(推計)減るのは窓口処理。増えるのはバックオフィスのデータ突合・セキュリティ運用・BPO委託管理住民票・印鑑証明 窓口件数コンビニ交付シフトで減少-45%国民健康保険 資格証明発行マイナ保険証で原則不要に-30%e-Tax連携 個人住民税対応申告データ受領・突合が増+25%公金受取口座 振込先確認給付金事務の効率化+15%総合窓口センター オペレーション再設計窓口縮小と引換にBPO委託拡大+40%マイナンバー利用事務系セキュリティ三層分離の維持コスト増+30%

マイナンバーカード普及によって、自治体の各業務がどう変化しているかを6項目で整理した。住民票・印鑑証明の窓口件数は約45%減、国民健康保険の資格証明発行は約30%減と、明確に縮小する業務がある一方で、e-Tax連携の住民税対応、公金受取口座の確認業務、総合窓口センターの再設計、マイナンバー利用事務系のセキュリティ運用はむしろ業務量が増えている。

とくに後者2つは定常的なコスト増要因であり、現場の人件費削減を期待してマイナカード推進した自治体ほど、「窓口は減ったがバックオフィスとセキュリティ運用が膨らんで結果として総コストは横ばい」というパターンに陥りやすい。

解決の方向性 — 業務量シフトを予実管理BIで可視化する

マイナンバーカード普及の効果は「ある業務は減り、別の業務は増える」というシフト型であって、単純な業務削減ではない。これを定量的に把握しないと、首長や議会への報告も「コンビニ交付率○%」のような単発KPIで終わってしまい、自治体全体の業務再設計につながらない。

当社が自治体DX伴走で必ず作るのが、業務量シフトのダッシュボードだ。窓口件数・コンビニ交付件数・マイナポータル経由申請件数・職員工数を月次で可視化し、「いくら浮いたのか/いくら増えたのか」を首長レク資料として自動生成する。これがあると、次の業務再設計(BPO委託の見直し・職員配置の再編)にも判断材料が揃う。

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マイナカード普及による窓口件数の減少、バックオフィス工数の増加、BPO委託費の推移を1つのデータ基盤で可視化。予実管理BIダッシュボードと一体提供。

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関連する調査・解説記事

参照した一次資料

  • 総務省「マイナンバーカード交付状況について」(2026年2月時点)
  • デジタル庁「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」
  • デジタル庁「マイナンバーカードの普及と利活用の状況に関するアンケート調査」(令和6年度)
  • 八王子市公表「マイナンバーカード保有率とコンビニ交付利用率」
  • 日経クロステック「マイナンバーカード保有枚数1億枚突破」(2025年12月)

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上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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