リピート分析の進め方|初めて買った月で客を分け、2回目の時期と経路の予算を決める

月次報告の「リピート率が上がっています」は、店が続くだけで上がる数え方のことがあります。客を初めて買った月で分けて同じ日数で比べ、2回目を促す時期と経路の予算を決めるまでの進め方を、画面を使って書きます。

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月次の報告で「リピート率が上がっています」と書いた、あるいは聞いたことがあると思います。注文した人のうち、前にも買ったことがある人の割合が、前年の同じ月より5ポイントほど高い。ところが「では、何が効いたのか」と聞かれると答えに詰まります。2回目を促すメールを増やした月なのか、広告で集めた客が増えた月なのか、その数字からは分からないからです。

この割合は、店が続くだけで上がっていきます。過去に買った客が積み上がり、毎月の注文者のなかで既存の客が増えるからです。客が戻る力が変わっていなくても上がるので、それだけでは施策の判断に使えません。

リピートの分析は、ここを入れ替えるところから始めます。客を「初めて買った月」で分け、全員を同じ日数だけ待ってから比べる。この形にしておくと、2回目を促す連絡をいつ送るか、どの経路の広告にどれだけ予算を回すかを、数字で決められるようになります。Aurant Technologies は、通販や店舗の売上・顧客のデータを集めて、分析と画面づくりを支援している会社です。この記事では、当社の検証用の環境で架空の通販データから組んだリピート分析の画面を使いながら、その進め方を順に書きます。

リピート分析のダッシュボード全体。上に絞り込み(初めて買った時期・経路・見方)、要約の4つの数字(初めて買った人 29,975人、90日以内に2回目を買った割合 32.7%、2回目が来た日の中央値 77〜83日目、初回から365日の1人あたり売上 9,915円)、下に4枚のパネル(リピート率の2本の線、2回目までの日数、経路別の積み上げと表、初回の四半期ごとの色の表)
この記事で使う画面。説明のために作ったデモで、客・注文・数字は架空です(会員約3万人・注文55,792件、2024年1月〜2026年9月、基準日2026年9月30日、金額は税抜で返品を除く)。経路ごとの戻りやすさなどの傾向も説明のために置いたもので、実在の店の数字ではありません

最初に、この分析で何を決めたいかを書き出す

画面を作る前に、分析の結果で決めたいことを先に書いておきます。この記事では、次の3つに絞ります。1つ目は、2回目を促すメールや LINE、同梱物の案内を、初回から何日目ごろに届けるか。2つ目は、広告・自然検索・紹介といった経路のどこに予算を回すか。3つ目は、月次の報告で、客が戻ってきているかを何の数字で示すかです。

決めたいことが先にあると、作る画面も絞れます。この記事の画面は、3つ目の月次の指標に2本の線の画面、1つ目の連絡の時期と2つ目の経路の予算にそれぞれ1枚、施策の後に客が変わったかを見る色の表を1枚、という組み立てです。決めたいことが無いまま指標を並べると、冒頭の「上がっています」と同じで、見ても次の手が出てきません。

集めるデータは、注文の表1つでよい

必要なのは、1行が1件の注文になっている表です。使う列は、顧客の番号、その客を獲得した経路、その客の何回目の注文か、注文日、税抜の金額、返品の印、の6つです。顧客の番号・注文日・金額と、返品の印(あれば)は、ネットショップの管理画面やカートから書き出す注文データから取ります。手間がかかるのは、残りの2列です。

経路は、その客が初めて買った注文に付ける印です。広告のリンクに付けた流入元の印、経路ごとに分けたクーポンの番号、購入時のアンケートの「何で知りましたか」などから取ります。2回目以降の注文の流入元ではなく、初回の注文の経路をその客の経路として、全部の注文に写します。取れない客は「不明」という経路にまとめておきます。何回目の注文かは、管理画面に無ければ自分で数えます。注文の一覧を顧客の番号ごとに注文日の順に並べ、上から1、2、3と番号を振れば、1が初回、2が2回目です。

ここまでと、次の節の集計は、表計算ソフトで足ります。番号が1の行(1回目の行)の注文日を、同じ客の全部の注文の横に写し、初回の月の列を足します。番号が2の行(2回目の行)では、2回目の注文日から初回の注文日を引いた日数を出します。そのうえで集計表の機能(ピボットテーブル)を使い、初回の月ごとに、初めて買った人数(1回目の行の数)と、その日数が90以下の2回目の行の数を数えます。最後に、初回の月の末日に90日を足した日が、データを取り出した日より後になる月は、まだ数え終わっていないので外します。表計算ソフトには1枚に入る行数の上限があり(Excel ならおよそ100万行)、件数が増えるほど並べ替えや集計は重くなります。注文が増えて、毎月の作り直しが手間になってきたら、注文データを1か所にためて自動で集計する仕組みに移します。この記事の画面は、その形で作っています。

決めておくことが2つあります。金額は税抜にそろえること。返品された注文は、買った回数には数えて、売上からは外すこと。ここが報告ごとに揺れると、あとで比べる数字がそろいません。この画面も、金額は税抜で、返品の印がある注文を売上から除いています。

客は「初めて買った月」で分け、同じ日数だけ待って数える

表ができたら、客ごとに初めて買った日を決め、初めて買った月で客を分けます。そのうえで「初回から90日以内に2回目を買った人の割合」を、初めて買った月ごとに出します。分母はその月に初めて買った人全員で、2回目が来なかった人も入れます。

リピート率の2本の線。黒い線(注文した人のうち、前にも買っていた人、月ごと)は2024年1月の0%から上がり、2025年9月に45.6%、2026年9月に50.8%。オレンジの線(その月に初めて買った人のうち、90日以内に2回目)は2024年6月〜2026年6月の初回で29.8〜35.2%の橙の帯の中にある。灰色の点線は、90日が経っていない月まで切らずに描いた線で、2026年7月24.9%、8月7.8%、9月0.1%
黒い線が注文者のうち既存の客の割合、オレンジの線が初めて買った月ごとの90日以内の2回目の割合。灰色の点線は、90日が経っていない月まで描いてしまった場合

2本の線を並べると、違いがはっきりします。黒い線(注文者のうち既存の客の割合)は、データの最初の月の0%から、2025年9月に45.6%、2026年9月に50.8%まで上がりました。前年同月より5.2ポイント高い、というのが冒頭の報告の数字です。一方、オレンジの線は、2024年6月〜2026年6月の初回で29.8〜35.2%の間でした。写真の橙の帯はこの幅で、あとで施策の効き目を確かめるときの物差しになります。

ここで守ることが1つあります。90日が経っていない月は、線から切ることです。月の末日に90日を足した日が基準日より後の月は、まだ数え終わっていません。この画面の基準日は2026年9月30日なので、6月30日に90日を足した9月28日までの、2026年6月の初回までを使います。切らずに描くと、灰色の点線のように7月24.9%、8月7.8%、9月0.1%と、最近の月だけが急に落ちて見えます。全部の月を混ぜて1つの数字にしても、32.7%が28.9%に下がります。黒い線は捨てずに、売上のうち既存の客が占める重みとして、別の数字として残しておきます。

画面は3枚の順に作る:2回目の時期、経路、最近の客

初めて買った月で分けた表ができたら、そこから3枚の画面を作ります。最初に決めた3つのうち、連絡の時期と経路の予算に答える2枚と、施策の後に客が変わったかを見る1枚です。どの画面も、初めて買った時期と経路で絞り込めるようにしておくと、要約の数字と一緒に、選んだ客だけで出し直せます。

2回目までの日数を並べると、促す時期の候補が見える

2回目までの日数。灰色の棒は初回から7日ごとに2回目が来た人の割合、オレンジの線はその積み上げ。①立ち上がり 28〜34日目、②中央値 77〜83日目の縦線。灰色の点線は、直近の客だけで出した中央値 63〜69日目。線は130日目ごろに53%付近で平らになる
初回から何日目に2回目が来たか(7日ごと)。分母は2026年3月までに初めて買った20,070人で、181日を待ちきった客だけで描いている

1枚目は、初回から何日目に2回目が来たかを、7日ごとの棒と、その積み上げの線で並べた画面です。181日を待ちきった客(2026年3月までに初めて買った20,070人)のうち、181日以内に2回目を買ったのは10,665人(53.1%)でした。0〜27日目にはほとんど来ず、28〜34日目から線が立ち上がり、2回目を買った人の半分に届いたのが77〜83日目です。

連絡を置く日の候補は、この立ち上がりと中央値のあたりです。ただし中央値は「半分が来た日」なので、そこに1回だけ連絡を置くと、2回目を買う人の半分には、買った後に届きます。この画面のように35〜118日目の棒がほぼ同じ高さ(7日ごとに、初めて買った人の3.3〜4.2%)で並ぶ形なら、立ち上がりの手前と中央値のあたりに分けて置く、という置き方が考えられます。棒が山の形なら、置く場所は変わります。なお、181日が経っていない最近の客だけで中央値を出すと、遅く来る2回目がまだ起きていないぶん、63〜69日目と早く出ます。

経路ごとに同じ日数で比べると、予算の材料になる

経路ごとの2回目の積み上げと表。364日目で紹介が71%付近、自然検索が54%付近、広告が46%付近。表は広告 90日28.2%・365日45.8%・全期間の累計38.6%・365日売上8,099円・5,992人、自然検索 32.3%・53.9%・46.0%・9,432円・3,638人、紹介 43.8%・71.3%・60.8%・15,107円・2,435人
経路ごとの2回目の割合と365日の1人あたり売上。2025年9月までに初めて買った人だけで出している。灰色の列は、日数をそろえずに全期間で数えた場合

2枚目は、経路ごとに「初回から何日目までに2回目を買ったか」を積み上げた線と表です。ここでも、365日を待ちきった客(2025年9月までに初めて買った人)だけで比べます。表には、90日・365日以内に2回目を買った割合と、初回から365日の1人あたり売上(税抜・返品を除く)が並びます。この画面では広告が365日で45.8%・8,099円、自然検索が53.9%・9,432円、紹介が71.3%・15,107円です。

どの経路の客が戻りやすいかは店によって違うので、この画面の順位ではなく、自社の数字で並べ直します。気をつけるのは、日数をそろえずに全期間で「2回目を買ったことがある人」を数えないことです。灰色の列がそれで、広告38.6%、自然検索46.0%、紹介60.8%と、どれも低く出ます。まだ2回目を買うだけの日数が経っていない最近の客が混ざるからです。

初めて買った時期ごとに並べると、最近の客の変化が見える

初回の四半期ごとの色の表。行は2024年Q1(248人)から2026年Q3(5,230人)までの四半期、列は初回から30日ごとの区切り。太枠の30〜59日目の列は13〜16%。右下はまだ日数が経っていないため斜線
行が初めて買った四半期、列が初回から30日ごとの区切り。マスの数字は、その区切りの中で1回以上買った人の割合(%)

3枚目は、初めて買った四半期を行に、初回から30日ごとの区切りを列にした色の表です。列を縦に読むと、同じ経過日数で、時期の違う客を比べられます。この画面では、30〜59日目の列が13〜16%の幅に収まっています。施策を始めたら、その後の四半期の行が上の行より濃くなるかを、この表で見ることになります。右下の斜線は、その四半期の客がまだその日数まで来ていないマスで、0%ではありません。いちばん上の行(2024年1〜3月の初回)は客が合わせて248人しかいないので、色がぶれやすくなります。

分析の結果を、3つの施策に使う

画面ができたら、最初に書き出した3つに戻ります。連絡の時期は、2回目までの日数の画面で、自社の棒の形を見てから決めます。立ち上がりがはっきりしていれば、その手前に1回目を置き、中央値のあたりにもう1回置く、という形から試せます。

経路の予算は、初回の獲得単価の横に、経路ごとの365日の売上を置いて比べます。365日の数字が出るのは、初めて買った月の末日から365日後です。新しく試した経路の客は1年待つことになるので、それまでは同じ日数でそろえた90日の割合で比べます。待つ日数が足りない客に絞ったときは、数字を出さない作りにしておきます。

絞り込みで初めて買った時期「2026年1〜9月」、経路「紹介」を選んだ状態の要約。初めて買った人 2,817人。90日以内に2回目を買った割合 43.8%(90日が経った1,791人が分母、2026年6月の初回まで)。2回目が来た日の中央値 77〜83日目(181日以内に2回目が来た603人の真ん中)。初回から365日の1人あたり売上は「まだ出せない」(2026年の客は2027年に出せる)
2026年1〜9月に初めて買った紹介の客に絞った要約。365日の売上は、まだ誰も365日が経っていないので「まだ出せない」と出している

上の画面では、2026年1〜9月に初めて買った紹介の客2,817人のうち、90日以内の割合の分母は90日が経った1,791人だけで、365日の売上は「まだ出せない」と表示しています。0円や空欄にすると、最近の客ほど売上が低いように読まれてしまうからです。

月次の報告は、注文者のうち既存の客の割合の横に、初めて買った月ごとの90日以内の2回目の割合の線を足します。施策の効き目を聞かれたら、こちらの線で答えます。

効き目は、何もしなくても出る幅と、待つ日数を決めてから確かめる

施策を始めたあと、線が少し上がっただけで「効いた」と言わないために、月次の指標にするオレンジの線について、2つを先に決めておきます。1つは、何もしなくても線がどれだけ上下するかです。最初の2本の線の写真の橙の帯がそれで、オレンジの線は2024年6月〜2026年6月の初回(初めて買った人が300人以上いた月)で29.8〜35.2%の間を上下していました。この画面のデータは時期によって戻る力を変えずに作ってあるので、この幅は何もしなくても出る散らばりです。自社の線でも、施策の前の月々の散らばりを先に測り、施策の後の点が1か月だけでなく続けて外に出るかを見ます(これは目安で、限界の節に書くとおり統計の検定ではありません)。初めて買った人が少ない月は、何もしなくても外に出ることがあります。

もう1つは、どれだけ待つかです。6月に施策を始めたなら、7月の初回の点が出るのは、7月31日に90日を足した10月末ごろです。境目の月にも気をつけます。施策を始める前に初めて買った客にも、90日の窓の途中で施策が届くので、施策を始めた月とその前の3か月の初回は、前とも後とも言えません。比べるのは、それより前の月と、施策を始めた翌月からの月です。

ほかの画面も考え方は同じで、待つ日数と外す月が変わります。2回目までの日数は181日待ち、施策を始めた月の前の6か月の客は外します。181日以内に2回目を買った人の中央値は、181日が経った2024年6月〜2026年3月の月(初めて買った人が300人以上いた月)ごとに見ると、70〜76日目から84〜90日目の間で動きました。色の表は、30〜59日目の列が13〜16%の幅で動き、施策を始めた四半期とその前の四半期の行は外して比べます。

この画面の作り方と、試していないこと

画面は、当社の検証用の環境で、注文の表から初めて買った月×経路ごとの小さな表を先に作り、それを読み込んで描いています。待つ日数の決め方は上に書いたとおりで、30日ごとの区切りは初回の日からの日数で切りました(暦の月の差で数えると、月末に初めて買った人が翌月1日に買っただけで「1か月後」になるためです)。

試していないこともあります。連絡を置く日を変えたときの効き目は、この画面では確かめていません。経路によって初めて買った時期が偏る店で、経路の順位が入れ替わるかも試していません。経路が取れない客が多い場合の扱いも、この画面では試していません。表計算ソフトでの集計の手順は、この画面を作るときには試しておらず、同じ日に同じ客の注文が複数あるときの順序の付け方も試していません。帯の外に続けて出たら動いたとみなす見方は当社が置いた目安で、統計の検定はしていません。定期購入(サブスク)の継続率は数え方が別なので、この画面は向きません。LTV(1人の客がもたらす売上か粗利の合計)の出し方はLTV分析の記事で扱っています。

まず、月次報告のリピート率の横に1本の線を足す

明日できることは1つです。いま報告しているリピート率の横に、初めて買った月ごとの「90日以内に2回目を買った割合」の線を1本足し、まだ90日が経っていない月を切っておく。ほかから届くリピート率の数字も、分母は誰か、初回から何日待ったか、その日数が経っていない客を外したか、の3つを確かめると、どの数え方の数字かが分かります。

自社の注文データで、この分け方の表と画面を作り、施策の判断に使えるようにするところは、当社のデータ分析の支援で一緒に進められます。

アクセス解析・マーケティングデータ支援

GA4とGTMのタグ設計から、フォーム送信・電話タップ・資料DLといったコンバージョンの計測整備、Looker Studioでのダッシュボード化までを一貫して支援します。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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