Amazon広告を商品ごとに続けるか止めるか|ACOSと損益分岐の線で決め、TACOSは総売上を見るきっかけに使う
スポンサープロダクト広告を商品ごとに来週も続けるかを決める進め方です。税抜の売値に対する利益率から損益分岐の線を引いて ACOS を当て、自分が予算や入札を変えた記録と並べた3行の表で決めます。TACOS は総売上の側を見に行くきっかけに使い、処置をした商品は記録を開いて確かめる日まで待ちます。
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週明けに管理画面を開くと、ある商品の先週の ACOS が損益分岐を超えている。止めようと売上を見ると、こちらは伸びている。別の商品は ACOS に問題がないのに、広告費ばかり増えて見える。来週もこの広告を出すかは、どの数字で決めればよいのでしょうか。
利益率から引いた損益分岐の線に ACOS を当て、自分が予算や入札を変えた記録と並べて決めます。線の上なら入札を下げ、線の下なら、予算か入札を上げた商品だけ上げる前と後で利益を比べます。TACOS は、総売上の側を見に行くきっかけに使います。
使うのは、商品ごとの利益率、毎週保存する広告と売上の数字、予算や入札を変えた記録です。スポンサープロダクト広告を商品ごとに見ている、出品者の担当者に向けて書きました。
ACOS と TACOS は、割る売上が違う
ACOS は、広告費を、広告から生まれた売上で割った値です。Amazon 広告の ACOS の解説でも、広告費 ÷ 広告収益とされています。商品ごとに見るときは、統合レポートの指標の「売上(プロモーション)」で割ります。広告に出した商品そのものの売上で、広告をクリックしてから7日以内に買われた分を、税抜で、クリックした日に付けた金額です。
同じレポートの「売上」の列には、「売上(Halo)」も含まれます。出品者の場合、広告をクリックした人が、自分の出品している別の商品を買った分です。この記事では損益分岐をその商品の利益率で引くので、割る売上もその商品の分にそろえます。「売上」の列で割った ACOS とは、別の数字になります。
TACOS は、同じ広告費を総売上で割った値です。総売上は、広告から買われたかどうかに関係なく、その商品の売上全部です。Amazon 広告の著者(書籍)向けのガイド記事にも、広告費を総売上に対する割合で示す指標として出てきます。ただ、2026年10月21日にヘルプと指標の定義を確かめた範囲では、広告の管理画面やレポートに TACOS の列は見当たりません。総売上を取ってきて、自分で割ることになります。日本語の資料では ACOS と同じ和名で書かれていることがあるので、この記事では和名を使いません。
2つは見ているものが違います。ACOS は、広告から来た注文で、平均して利益が残るかを見ます。ただし、広告が無くても買われていた注文も、広告のクリックを経ていれば売上(プロモーション)に入ります。TACOS は、商品の売上全体に対して、広告費がどれだけ重いかを見ます。分母には広告と関係なく買われた分まで入るので、TACOS が動いただけでは、広告のせいとも、広告のおかげとも言えません。この記事では、来週の処置は ACOS と自分の記録で決め、TACOS は総売上の側を見に行くきっかけに使います。
右から2列目の「来週やること」が、この記事で出したい答えです。そこまでに要る数字を、左の列から順に作っていきます。
損益分岐の線は、税抜の売値に対する利益率で引く
広告費を払っても利益が残るのは、広告費が、広告から来た注文の利益(円)より小さいときです。両方を売上(プロモーション)で割ると、ACOS が利益率より小さいとき、と言い換えられます。ACOS の解説にも、同じ関係が書かれています。だから、商品の利益率が、そのまま損益分岐の ACOS になります。
ここでの利益率は、広告費を引く前の数字です。売値から原価・販売手数料・配送の費用などを引いた残りを、売値で割ります。割る売値は税抜です。広告キャンペーンのアトリビューションのヘルプに、広告起因の売上には税金が含まれていない、とあるからです。商品ページの価格は税込なので、1個あたりの利益を、つい税込の価格で割ってしまうことがあります。税率10%の商品なら、線は1.1で割った分だけ低く出ます。
この例では、E のマグボトルで線の引き方の差が処置に出ます。1個あたりの利益は、税抜の売値2,255円 × 33% = 744円です。税込の2,480円で割ると30.0%で、直近8週の ACOS 31.4%は線の上に出ます。税抜の33%の線なら、ACOS は線の下です。このあとの表に当てると、税抜の線では「そのまま続ける」、税込で割った線では「入札を下げる」になります。線が3ポイントずれるだけで、線のそばにいる商品は処置が変わります。
ここで引いた線は、1回の注文で残る利益から出したものです。2回目以降の購入まで見込める商品なら、1回目の注文が赤字でも広告を続ける理由があります。ACOS の分母を LTV(同じお客さんが買い続けた売上の合計)に替える見方は、Amazon と EC の広告を LTV で見る記事にあります。
広告と売上の数字を毎週保存し、日曜〜土曜の週と税抜でそろえる
広告の数字は、統合レポートの「広告対象商品」で、商品ごとに出します。これまでのスポンサー広告のレポートは、2026年12月31日以降は使えなくなります。統合レポートのデータ提供期間のヘルプでは、「週」の単位で24か月分の履歴があり、1回に15か月まで取れます。「広告対象商品」は2025年2月13日から取れます(2027年2月13日を過ぎると、取れるのは24か月前までです)。
日本の画面での名前と、「広告対象商品」の行で広告費と売上(プロモーション)が出るかは、自分の画面で確かめてください。週の区切りが日曜〜土曜でなければ、「日付」の単位(1回に120日まで)で日ごとに取り、自分で日曜〜土曜に足します。
それでも、数字は毎週保存しておきます。理由は3つです。締めてから7日おいた数字を、その日の値で固めておくため。毎週の出し方を変えないため。そして、ビジネスレポートの側は遡れる期間を確かめていないためです。保存する列は次のとおりです。
| 列 | 書くこと | 取り元 |
|---|---|---|
| 週の始まり | 日曜の日付。週は日曜〜土曜 | — |
| 商品 | ASIN か SKU | — |
| 広告費 | その週にクリックされた分(統合レポートの指標では「合計費用」) | 統合レポート(広告対象商品) |
| 売上(プロモーション) | 税抜。クリックした日に付く | 統合レポート(広告対象商品) |
| 総売上(税抜) | 注文商品売上を、税抜に直した金額 | ビジネスレポート |
| 利益率 | 広告費を引く前、税抜の売値に対する割合 | 自社の原価の表 |
| レポートを出した日 | 週を締めてから7日以上たっているか | — |
| 在庫切れ・値段の変更・セール | その週にあったか。毎週書く | 自社の記録・管理画面 |
| 処置 | 上げた・下げた・止めた・戻した、のどれかと、処置の日・確かめる日・結果 | 自分の操作 |
今日始めるなら、まず直近8週のあいだに変えた予算・入札を、思い出せる範囲で処置の記録に起こします。変えた日が分からなければ、今日を処置の日として書きます。そのうえで、統合レポートで直近16週の広告の数字を取ります。ビジネスレポートは、自分の画面で日付の範囲をいちばん広く取れるところまで広げて、何週前まで出せるかを確かめます。いちばん古い週が日曜から始まっていなければ、その週は保存しません。16週そろえば、このあとの表の1行目と3行目はすぐに使えます。2行目は、上げた処置の確かめる日が来たときに使います。
確かめた範囲では、広告のレポートに総売上の列が見当たりません。総売上は、セラーセントラルのビジネスレポートから、商品ごとの売上を取ります。同じデータを出す API の公式の定義では、この売上の項目は注文商品売上(orderedProductSales)です。商品の価格 × 個数で出し、週は日曜に始まって土曜に終わります。日本の画面での列名は、自分の画面で見てください。
税も、自分のアカウントで確かめます。売上(プロモーション)は税抜ですが、ビジネスレポートの売上が税込か税抜かは、公式の文では確かめられませんでした。その商品が1個だけ売れた日を選び、その1日で出したレポートの金額を、その日の注文の明細(税額の分かるもの)と比べます。金額が合わなければ、前後の日のレポートも見ます。税込の価格と同じなら税込、税抜の価格と同じなら税抜です。この記事の画面は、総売上を税込として作り、税抜の売値に直してから割っています。
そろえないとどうなるかを、同じ時期で比べたのが次の画面です。そろえない版は、広告の数字を10月5日に直近30日(9月4日〜10月3日)で出し、総売上は9月の1か月を税込のまま足しました。そろえた版は、どちらも9月6日〜10月3日の4週で、広告の数字は10月12日に出し、総売上は税抜です。
この例では、そろえない版の TACOS が5商品とも低く出て、そろえた版の0.87〜0.91倍でした。いちばん効いているのは税です。総売上を税込のまま割ると、TACOS は1.1で割った値、つまり約0.91倍になります。商品によっては、そこに暦月と30日のずれが重なります。
裏を返すと、先月は税込の総売上で割り、今月から税抜に直した、というだけで、TACOS は約1.1倍に上がって見えます。保存する列を最初に決めておくのは、このためでもあります。ACOS は、この例ではそろえない版とそろえた版の差が小さく、損益分岐の上か下かは5商品とも変わりませんでした。なお、この表は4週で出しているので、このあと8週で見る ACOS とは値が違います。
締めたばかりの週の ACOS は、7日おいてから読む
売上(プロモーション)は、購入した日ではなく、広告をクリックした日に付きます。出品者のスポンサープロダクト広告では、クリックから7日以内の購入が数えられます。アトリビューションのヘルプには、ある日付の数字は、この7日が終わるまで未完成だとあります。冒頭の場面で見た「先週の ACOS」は、まさにこの、まだ埋まっていない週の数字です。
この例では、5商品とも、10月12日に出し直した版のほうが ACOS が低くなりました。D の水筒カバーは115.9%から96.6%に、C の保冷ボトルは37.7%から35.5%に下がっています。C は、締めた直後の数字だけを見ると、損益分岐からの離れ方を大きく見積もることになります。
週の判断に使うのは、締めてから7日以上たった週までにします。月曜に見るなら、前の週ではなく、その1つ前の週が直近の週です。広告の API の資料には、購入の数字が計上の1日後・7日後・28日後に直されることがあるとあるので、7日おいた数字も確定ではありません。それでも、締めた直後よりは、付くはずの売上がずっと多く入っています。TACOS は売上(プロモーション)を使わないので、この7日の遅れはかかりません。ただ、広告費もクリックの確認のため、発生から3日ほどは動くことがあります。
来週やることは3行の表で決め、処置は確かめる日に利益で確かめる
直近8週の ACOS は、8週分の広告費の合計を8週分の売上(プロモーション)の合計で割って出します。この ACOS と損益分岐の線、保存した処置の記録を、次の表に上の行から順に当てます。1週ごとの ACOS は、注文の少ない週ほど大きく上下するので使いません。
| 条件 | 来週やること |
|---|---|
| 1. 直近8週の ACOS が、損益分岐の線より上 | 入札を下げ、「下げた」処置を開く |
| 2. ACOS が線の下で、「上げた」処置の確かめる日が来た | 下の確かめ方で確かめる |
| 3. ACOS が線の下で、開いている処置が無い | 広告はそのまま。TACOS が前8週から上がった週だけ、保存の表の「在庫切れ・値段の変更・セール」を見て、見たことを書く |
処置を開いた商品は、確かめる日まで表に当てません。確かめる日は、処置をした週の次の週から8週を締め、7日おいた月曜です。自分で予算か入札を上げたときも「上げた」処置を開き、確かめる日には表を1行目から当てます。
確かめる日には、処置をした週の前の8週と、次の週からの8週で、広告費を引いた利益(総売上(税抜)× 利益率 − 広告費)を比べます。
- 減っていたら、処置を取り消して前の水準に戻し、記録を閉じる。減っていなければ、そのままにして閉じる
- 入札を下げた処置は、先に ACOS が線の下に入ったかを見る。入っていなければ広告を止め、「止めた」処置を開く
- 止めた処置と下げた処置で利益が減っていたら、前の入札で出し直し、「ACOS が線の上でも利益を足している商品」として一覧に残して、1行目の対象から外す。表の例外はこの1つだけ
- 比べる16週に在庫切れ・値段の変更・セールがあった週は、前後どちらの8週からも外し、外した週数を書く
- 前の年の同じ2つの8週が取れるなら、「後 ÷ 前」の利益の比を今年と前の年で出し、今年の比が前の年より小さいときだけ「減った」とする。取れないときは「季節の分は分けられない」と書く
- 閉じたら、次の週から1行目から当てる。止めたままの商品は広告を出していないので、出し直すまで表に当てない
3行目で、自分が変えていない動きに広告で応じないのは、何も変えていない商品でも TACOS がかなり動くからです。注文の少ない商品ほど、大きく動きます。この例の作り方で、予算も売れ方も変えずに400通り作り直しました。TACOS が上下どちらかに5%以上動いたのは、注文の多い A で14%、注文の少ない D で42%でした。
上下どちらかに E の実際の変化(+8.1%)以上動いたのは、400通りのうち9%でした。何も変えていなくても1割ほどは起きる大きさなので、TACOS が上がった週は、広告ではなく総売上の側を見に行くだけにします。
5つの商品に表を当てる
この例では、10月12日(月)に初めて表を当てます。直近8週は8月9日〜10月3日です。処置の記録は4月5日の週からつけてきた前提です。B と D には7月12日の週に予算を上げた「上げた」処置が、確かめる日(9月21日)を過ぎたまま開いています。初めて表を当てる日に、まとめて確かめます。
冒頭の場面で、ACOS が線を超えているのに売上が伸びていた商品は、C の保冷ボトル 2リットルです。ACOS は39.4%で35%の線の上、総売上は前8週から+14.0%でした。表では、総売上の伸びで1行目を外しません。その伸びが広告のおかげかは、この数字からは分からないからです。C は1行目で入札を下げ、「下げた」処置を開きます。処置のあとの8週(10月18日〜12月12日)を待ち、12月21日に ACOS と利益を確かめます。
D の水筒カバーは、「上げた」処置の確かめる日を過ぎているので、表を1行目から当てます。ACOS が70.4%で25%の線の上なので1行目に当たり、「上げた」処置は閉じて、「下げた」処置を開きます。確かめる日は C と同じ12月21日です。
冒頭のもう1つの場面、ACOS に問題がないのに広告費が増えていた商品は、B の水筒 1リットルです。ACOS は22.6%で線の下なので、「上げた」処置の確かめとして2行目に当たります。上げた週の前の8週(5月17日〜7月11日)と、次の週からの8週(7月19日〜9月12日)で、広告費を引いた利益を比べます。この16週に、在庫切れ・値段の変更・セールの週はありません。
広告費は81.6%増えましたが、総売上は3.5%増にとどまり、広告費を引いた利益は1,082,994円から786,116円に減りました。B は季節の波がある商品ですが、この例の画面には前の年の数字を入れていないので、「季節の分は分けられない」と書きます。利益が減っているので、処置を取り消して予算を上げる前の水準に戻し、記録を閉じます。次の週からは、また1行目から当てます。
A の子ども用の水筒は、ACOS が14.6%で線の下、開いている処置も無いので3行目です。TACOS は前8週から-0.6%で上がっていないので、数字を保存するだけで、広告はそのまま続けます。
E のマグボトルも、ACOS が31.4%で33%の線の下、開いている処置が無いので3行目です。こちらは TACOS が7.4%から8.0%に上がった週なので、総売上の側を見ます。広告費は前8週から+0.6%でほとんど変わらず、総売上が-6.9%でした。
保存の表の「在庫切れ・値段の変更・セール」の列を、直近8週について見ます。この例の E には、どれもありません。「見たが見つからなかった」と書き添えて、広告はそのまま続けます。
画面の数字の作り方と、確かめていないこと
画面の数字は、水筒の5商品について、2026年4月5日から10月3日までの26週を日ごとに作ったものです。広告から買われた注文の一部は、広告が無くても買われていた注文として扱い、その割合を商品ごとに変えました。B と D は7月12日の週から予算を上げ、クリック単価も少し上がるようにしています。C は広告以外の売上が少しずつ増え、A〜C には強さを変えて季節の波を入れました。A と E には、予算の変更も売れ方の変化も入れていません。
ヘルプとガイドは2026年10月21日に確認しました。そのうえで確かめていないことが3つあります。1つは、管理画面の ACOS が売上(Halo)を含む売上で割っているかで、この記事の ACOS と合わなければ、保存した列から割り直してください。2つめは、ビジネスレポートの売上を注文の日と出荷の日のどちらで数えるかです。売上(プロモーション)はクリックの日に付くので、週の境目では同じ購入が2つの数字で別の週に入ることがあります。3つめは、広告を止めて総売上を比べる試験の機能で、確かめた範囲では見つかっていません。この画面には、カートの割引、返品、セール、在庫切れは入れていません。
次の月曜にやること
- 統合レポートの「広告対象商品」で直近16週の広告の数字を取り、ビジネスレポートで同じ週の総売上を取って、保存の表を作る
- 7日以上前に締めた週までの直近8週で、商品ごとに ACOS を出し、損益分岐の線と比べる
- 開いている処置が無い商品と、確かめる日が来た商品に表を当て、開いた処置と確かめる日を保存の表に書く
止めて確かめるときは、季節やセール、在庫切れの影響も混ざります。期間を分けて比べる考え方は、広告が効いたかを確かめる方法の記事(Google 広告と Meta の例)が参考になります。当社のアクセス解析・マーケティングデータ支援では、保存の表を毎週自動で埋めるところから、確かめる日の知らせまでをお手伝いしています。
広告運用支援
Google広告・Meta広告・LINE広告・Yahoo!広告の運用を、GA4やCRMとのデータ連携を土台に立て直します。コンバージョン計測の整備から媒体をまたいだ改善まで、社内で判断できる形で伴走します。
