ハンディターミナルを買う前に|スマホのカメラ読み取りで足りる在庫と、専用端末が要る在庫を分ける

在庫のバーコード化で、スマホのカメラで足りるか、ハンディターミナルが要るかは、置き場所と読み方で分かれます。端末の見積もりに出てこないラベル・商品マスタ・棚番の作業、システム費用が動く軸、1つの棚で試す順番を、Google・メーカー・GS1 Japanの公式で確かめて整理しました。

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この記事の要点

  1. 端末を選ぶ前に、置き場所と読み方を確かめます。Googleの説明では、スマホのカメラは一般的な1次元・2次元コードを読めますが、読めるかは画像の中での大きさとピントで決まります。コードが高い所や離れた位置にある、続けて大量に読む、落とす・濡れる場所で使う、1シフト電池を持たせたい、のどれかが当てはまるときに、専用端末(ハンディターミナル)を見積もりに入れます(当社の整理)。
  2. 端末の見積もりに出てこない作業があります。ラベルの印字と貼り付け、品番とコードを結ぶ商品マスタ、棚番の付け方です。GS1 Japanは、JANコードのない商品に自社の管理用コードを付ける決まりと、JANコードが変わる条件を公開しています。
  3. システム側の費用は、公開されている料金表の例では、使う人数・登録する数・機能の段で動きます。まず1つの棚で、スマホで入出庫と棚卸を試し、読めなかった回数を数えてから、専用端末の要否を決めます。

買う前に決める4つのこと(上から順に)

順番と、各段の問いは当社の整理。各段で使った公式の説明は、それぞれの節にリンクがある

1 読む場所と量で、端末を分けるスマホで足りるか、専用端末を見積もりに入れるか
2 見えない作業を数えるラベル・コード・商品マスタ・棚番
3 システム費用の軸を知る人数・登録する数・機能の段
4 1つの棚で試すスマホで読み、読めなかった回数を数える

端末の価格は、確かめた2社の公式ページに載っていなかったため、この記事に金額の相場は載せない

在庫をExcelで管理していて、バーコード化を考え始めると、最初に見るのはハンディターミナルの値段です。ただ、端末を決める前に決まることが2つあります。読みたい場所と量で、スマホのカメラで足りるか、専用端末が要るか。そして、端末の見積もりに出てこない、ラベル・商品マスタ・棚番の作業です。この記事は、この2つを、メーカーと各団体の公式ページで確かめたことと、当社の整理に分けて書きます。端末の金額の相場は載せません。

先に答えを書きます。棚の手の届く高さにあるコードを、1つずつ読む使い方なら、スマホのカメラで足りる可能性があります。コードが高い所や離れた位置にある、続けて大量に読む、落とす・濡れる場所で使う、1シフトを通して電池を持たせたい、のどれかが当てはまるなら、専用端末を見積もりに入れます。どちらの場合も、ラベルと商品マスタの整備は要ります。決める順番は、まず1つの棚で試して、読めなかった回数を数えることです。

在庫の数が現物と合わない原因は、バーコードで読む前の段階にもあります。出荷の入力の遅れや、ケースと個の換算などです。そちらは、Excelの在庫表が現物と合わなくなる理由にまとめています。在庫管理システムを作る費用はこちらの記事です。この記事は、読み取りの道具と、その前の準備の話です。

スマホで足りる条件と、専用端末が要る条件

Googleは、ML Kitのバーコードスキャンについて、Code 128・EAN-13・ITF・QRコードなど、一般的な1次元・2次元のコードを読め、端末の中で処理して通信は要らない、と説明しています(Barcode scanning)。iOSとAndroidのどちらにも提供されています。つまり、スマホのカメラで読めるコードの種類は、在庫の管理に使う主なものを含みます。

読めるかどうかは、コードの種類より、画像の中での大きさとピントで決まります。Googleの説明では、EAN-13は幅190ピクセル以上、いちばん細いバーは2ピクセル以上が目安で、ピントが合っていないと精度に影響します(Scan barcodes with ML Kit on Android)。棚の奥のラベルや、離れた位置のコードは、この条件を満たしにくいため、そこが専用端末との分かれ目になります(当社の整理)。

専用端末を見積もりに入れるか、4つ聞く(当社の整理)

問いは当社の整理。右の説明は、メーカーの公式ページに書かれていること

1

読みたいコードは、手の届かない高さや、離れた位置にあるか

専用端末には、約1m離れた位置や、倉庫の高い棚のコードを読めることを特長にしている機種がある

2

1か所で、続けて大量に読むか

専用端末には、1秒に約30枚の読み取りを特長にしている機種がある。棚のラベルを、なぞるように連続で読む使い方

3

落とす、濡れる、粉塵のある場所で使うか

専用端末の仕様表には、落下の強度と、防塵防水の等級(IP)が載っている

4

1シフトを通して、充電せずに使いたいか

専用端末の仕様表には、電池の容量や稼働時間が載っている。電池を取り替えられる機種もある

1つでも「はい」専用端末を、見積もりの候補に入れる。スマホとの差が出る所を、試すときに数える
4つとも「いいえ」スマホで足りる可能性がある。「試す順番」の節で、1つの棚で確かめる

出典:デンソーウェーブ BHT-M60、Zebra TC22/TC27 仕様書(2026年10月4日確認)

専用端末の差は、読み取りの距離と速さ、耐久、電池に出ます。2つのメーカーの公式の仕様から、確かめられたことを次の表に並べました。例として2機種を挙げただけで、推奨ではありません。BHT-M60は、販売終了の日がメーカーのページに2027年3月31日と書かれているので、実際に選ぶときは、販売状況も確かめます。

読み取りの条件、耐久、電池の違い(公式の説明と仕様から)
項目スマホのカメラ(Googleの説明)専用端末(2機種の公式の仕様)
読めるコードCode 128、EAN-13、ITF、QRコードなど、一般的な1次元・2次元コードを読める。通信は要らず、端末の中で処理する(ML Kit)BHT-M60は、1次元・2次元の主なコードに対応(公式)。TC22/TC27は、1D/2Dのスキャンエンジンを持つ(仕様書)
読める条件EAN-13は、画像の中で幅190ピクセル以上、いちばん細いバーは2ピクセル以上が目安。ピントが合っていないと、精度に影響する(ML Kit)BHT-M60は、約1m離れた位置のコードの読み取りと、ガラス越しの読み取りを特長に挙げている。TC22/TC27は、上位のスキャンエンジン(SE55)で、手元から倉庫の最上段の棚までを読めると説明している
落下・防塵防水(この記事では、スマホ本体の公式の値は取っていない)BHT-M60:コンクリート上3.0m、1.5m×60回以上、IP65/IP67。TC22/TC27:保護ブーツ付きで1.5mからコンクリートへの複数回の落下、IP68/IP65
電池(機種ごと。この記事では取っていない)BHT-M60:1900mAhで約14時間、3200mAhで約24時間。TC22/TC27:3800mAhは1シフト、5200mAhは複数シフト向けで、どちらも取り替えられる電池

端末本体の価格は、この2社の公式ページには載っていませんでした。価格帯を載せている記事はありますが、販売や仲介の側の記事で、公式の値ではないため、数字を引用していません。見積もりを取るときは、端末だけでなく、システム側の費用と、次の節の見えない作業を、同じ紙に並べます。

読み取りの道具の選び方から、受発注・在庫の仕組み全体までを、実際の倉庫や店舗に当てはめたいときは、当社の受発注・在庫管理システムのページから相談できます。

端末の見積もりに出てこない費用:ラベル・コード・商品マスタ・棚番

端末を決めたあとに時間がかかるのは、読ませるものを用意する作業です。読み取る機械の前に、次の4つが揃っていないと、読めても在庫の表に当たりません。

見積もりに出てこない4つの作業(当社の整理)

読み取る機械の前にこの4つが揃っていないと、読めても在庫の表に当たらない

1つ目

ラベルの印字と貼り付け

  • 何に貼るか(箱・棚・1個ずつ)
  • 貼る数=品目の数×貼る単位
  • 読める大きさ・白地・余白で印字する

決める:誰が、いつ、貼るか

2つ目

コードの決め方

  • メーカーのJANコードを使う品目
  • JANコードのない品目に付ける、自社のコード
  • ケースと1個のコードを分けるか

決める:自社コードの桁と付け方

3つ目

商品マスタ

  • 品番とコードと単位を結ぶ表
  • メーカーがJANコードを変えたときの更新
  • Excelの品番の表記ゆれを直す

決める:誰が表を直すか

4つ目

棚番

  • 置き場所に付ける番号
  • 棚に貼るラベルも、読み取る
  • 置き場所を変えたときの付け替え

決める:棚番の付け方と、更新の担当

出典:JANシンボル(GS1 Japan)、ソースマーキングガイド(GS1 Japan)、GTIN(JANコード)の変更ルール(2026年10月4日確認)

ラベル:読める大きさ、白地、余白

GS1 Japanは、JANシンボルの表示の大きさについて、基本寸法(モジュール寸法0.33mm幅)の0.8倍から2.0倍の範囲を規定しています。白いバーと余白は紙の白地か白色のインキ、黒いバーは黒のインキを使うのが理想的とされています(JANシンボル)。前の節のGoogleの説明と合わせると、小さく印字したラベルや、色の薄い台紙は、スマホでも専用端末でも読み取りにくくなる、というのが当社の見立てです。ラベルは、貼ってから読めるかを、実際の位置で確かめます。

コード:メーカーのJANコードと、自社のコード

GS1 Japanによると、JANコード(GTIN)は、商品のブランドを持つ事業者が、商品ごとに設定します(GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは)。メーカーが付けたJANコードが商品にあれば、それを読めば足ります。JANコードが付いていない品目には、自社でコードを付けます。GS1 Japanの資料は、先頭に20〜29を使う「インストアコード」を、JANコードが設定されていない商品に、事業者が社内管理のために設定するコードと説明しています。このコードは、社内での利用を想定したもので、企業間の取引には使えません(ソースマーキングガイド(用語集))。

メーカーのJANコードは、商品が変わると変わることがあります。GS1 Japanが公開している変更ルールでは、成分や機能の変更、正味内容量の変更、ブランドの変更、あらかじめ決められた組み合わせ商品の中身の変更で、新しいGTINを設定します。集合包装(ケースなど)は、入数を変更した場合にも新しいGTINになり、単品は変更になりません(GTIN(JANコード/集合包装用商品コード)の変更ルール)。同じ品目でも、コードが2つ並ぶ時期が出るので、商品マスタには、古いコードと新しいコードの両方を持てる列が要ります(当社の整理)。

商品マスタ:品番とコードと単位を結ぶ表

商品マスタは、Excelの在庫表の品番と、ラベルのコード、数える単位(ケース・個)を結ぶ表です。読み取りでコードが取れても、この表に無いコードは、在庫の行に当たりません。Excelで同じ品目が、違う書き方で複数行に入っている場合は、読み取りの前に、そこを揃える作業が要ります。ケースと個の換算がずれる問題は、Excelの在庫表の記事で、ロットや期限、セット品など、商品マスタで持ち方が分かれる在庫の形は、在庫管理システムの開発費用の記事で、それぞれ扱っています。

棚番:置き場所のコード

棚番は、品目のコードとは別に、置き場所に付ける番号です。棚に貼ったラベルを読むと、どこに何を置いたかが、記録に残ります。置き場所を変えたときに、棚番を付け替える担当を決めておかないと、記録と現物の位置がずれます(当社の整理)。

GTIN(JANコード)が変わる10の基準(GS1 Japanの公開ルール)

GS1 Japanは、既存の商品に変更を加える場合の目安として、次の10の基準を公開しています。単品・集合包装のそれぞれで、新しいGTINにするか、変更しないかは、公式のページの表にあります。

  1. 新商品を発売した場合
  2. 商品表示の変更をともなう成分や機能を変更した場合
  3. 商品表示の変更をともなう正味内容量を変更した場合
  4. 包装の外寸、または総重量の変更が20%を超える場合
  5. 認証マークを追加、または削除した場合
  6. ブランドを変更した場合
  7. 販促のために期間限定で包装を変更、または景品・試供品を付けた場合
  8. 集合包装の入数を変更した場合
  9. あらかじめ決められた組み合わせ商品の中身を変更した場合
  10. 商品本体に直接表示された価格を追加、変更、削除する場合(国内ではほぼ適用なし)

出典:GS1 Japan「GTIN(JANコード/集合包装用商品コード)の変更ルール」(2026年10月4日確認)

システム側の費用の決まり方:人数・登録する数・機能の段

読み取った値を受け取って、在庫の数に変えるのは、システムです。端末とは別に、システムの料金がかかります。料金の決まり方は、サービスごとに違うため、公開されている料金表の1つを例に、動く軸を確かめました。数字は、改定されることがあるため、確認した日付をつけています。

システム側の費用が動く軸の例(zaicoの公式の料金プラン)
費用が動く軸公開されている料金表で確かめられたこと(zaico)自社で先に数えるもの
人数スターターは、基本料金に、フルユーザー3名・閲覧10名を含む。フルユーザーの追加は1名につき月1,500円(税抜)。ベーシックは、フルユーザー10名を含み、追加は1名につき月4,500円(税抜)(料金プラン)入出庫や棚卸を入力する人と、見るだけの人の数
登録する数スターターとベーシックは、最大データ登録数が50,000件。プロフェッショナルは、要見積り(料金プラン)品目の数。ロット・期限を別に数えるなら、その数も
機能の段写真から在庫を探すAI機能は、スターターは月10回まで。ロット・期限の管理は、ベーシックから。外部システムとの連携は、プロフェッショナル(料金プラン)最初から要る機能と、あとで足してよい機能
カメラでの読み取りQRコード・バーコードをカメラでスキャンする入庫・出庫、棚卸、検索は、3つのプランのすべてで使える(スマホで在庫管理)スマホで読むなら、専用端末の費用は要らない。システム側の料金に、読み取りの追加はない
初期データの取り込みExcelや紙で管理していた在庫データの初期インポートの代行は、ベーシックでは有料のオプション(料金プラン)Excelの品目の数と、表記ゆれの直し方

表のうち、カメラでの読み取りが、すべてのプランで使える点は、専用端末が要らない運用のときに、費用がシステム側の料金に収まることを示します。一方で、人数と登録する数と機能の段は、プランごとに料金が変わる軸です。ほかのサービスや、自社専用に作る場合も、これらの軸のうち、どれで料金が決まるかを、見積もりの前に聞きます(当社の整理)。ロットや期限、セット品、預かり在庫のように、既製のサービスの標準の形に収まらない在庫の費用は、在庫管理システムの開発費用の記事に分けて書きました。買うか作るかの比べ方は、業務システムは買うか作るかの記事です。

試す順番:まず1つの棚で、スマホで読む

読み取りの道具は、手の届く範囲で試してから決められます。棚を1つに絞り、商品マスタとラベルをその棚の分だけ作り、スマホで読みます。結果を、最初の節の4つの問い(高さ・連続・環境・電池)に当てはめると、専用端末の要否が、実際の使い方から分かります。

1つの棚で試す、5つの手順(当社の整理)

棚の大きさや期間は、目安として当社が置いた数。決めるのは、自社の棚の数と、動き方

1 棚を1つ決める動きの多い棚。品目は、数十ほど
2 商品マスタに起こす品番・コード・単位・棚番を、その棚の分だけ作る
3 ラベルを印字して貼るスマホで、貼った位置・大きさのまま読めるかを見る
4 スマホで、入出庫と棚卸を読む1週間ほど。読めなかった回数と、1品にかかる時間を、自分で数える
5 結果を、4つの問いに当てる高さ・連続・環境・電池。当てはまる数で、専用端末の要否を決める

期間中の費用は、使うサービスの無料お試しに収まるかも確かめる(例:zaicoは14日間。料金プラン)(2026年10月4日確認)

試すときに数えるのは、読めなかった回数と、1品にかかる時間です。読めなかった原因が、ラベルの大きさや余白、ピントなら、端末を変えずに直せます。棚の高さや、連続して読む量が原因なら、専用端末の候補を見積もりに入れます。どちらも、1つの棚の結果という根拠があるので、見積もりの比べ方が決まります。

この記事の整理を、実際の在庫に当てはめたいときは、Aurant Technologiesの受発注・在庫管理システムのページからも相談できます。

この記事で確かめた範囲と、確かめていないこと

2026年10月4日に、次の公式ページを確かめました。Google「ML Kit バーコードスキャン」(概要とAndroidの入力画像の目安)、デンソーウェーブ「BHT-M60」、Zebra「TC22/TC27 仕様書」、GS1 Japanの「JANシンボル」「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは」「GTINの変更ルール」「ソースマーキングガイド」、zaicoの「料金プラン」「スマホで在庫管理」です。

確かめていないのは、端末本体の価格、スマホ本体の耐久と電池、iPhone向けの読み取りの条件、ラベルプリンターと印字の費用、zaico以外のサービスの料金です。端末の価格帯は、販売や仲介の側の記事に載っていますが、公式の値ではないので、数字を引用していません。zaicoは、料金の決まり方の例として使ったもので、推奨ではありません。

サービス一覧

業務ツール・Microsoft 365/Google Workspace・AI活用・データ基盤・広告運用・会計ソフト・LINE運用・アクセス解析の8領域で、選定から構築・定着まで支援しています。課題に近い領域からご覧ください。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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