【導入事例】過去の仕訳を、期ごとに残高を突き合わせながら移す。オンプレミスの会計ソフトからクラウドの会計ソフトへ切り替えた通信販売業A社の導入の裏側
オンプレミスの会計ソフトと固定資産の管理ソフトを使っていた通信販売業A社。内部統制を強めることと、オンプレミスからの脱却を目的に、クラウドの会計ソフトへの切り替えを決めました。当社はマスタの取り込みと、過去の数期分と進行中の期の仕訳の移し替えを担当し、期ごとに旧ソフトの残高と突き合わせてから納品しました。
本事例は、当社が支援した実際の案件をもとに構成しています。企業名と、お客様の環境にある製品の名前は伏せ、業種・規模・時期は一般化して記載しています。オンプレミスの会計ソフトからクラウドの会計ソフトへの切り替えや、過去の仕訳の移し替えを検討する際の参考にしていただければ幸いです。
業種:通信販売業
期間:2025年に着手し、数か月で進行中の期まで仕訳を移して納品
使った製品:クラウドの会計ソフト、クラウドの固定資産の管理ソフト
オンプレミスの会計ソフトからの切り替え
A社は、オンプレミスの会計ソフトと固定資産の管理ソフトを使っていました。内部統制を強めることと、オンプレミスからの脱却を目的に、会計と固定資産の管理をクラウドのソフトへ切り替えることにしました。移し替えの対象は、進行中の期と過去の数期分です。
当社の役割は、当初は作業の計画づくりと進み具合の管理、疑問点の解消でした。キックオフの打ち合わせで、マスタの設定やデータの移し替えまで任せたいという要望を受け、範囲を見直しました。その結果、マスタの取り込みと仕訳のデータの移し替えを当社が担い、操作の指導は含めないことで、先方と改めて合意しました。
会計:オンプレミスの会計ソフトと固定資産の管理ソフト
目的:内部統制を強めることと、オンプレミスからの脱却
範囲:進行中の期と過去の数期分の仕訳
マスタは旧ソフトのコードのまま取り込む
勘定科目や補助科目などのマスタは、旧ソフトから取り出したデータを新しいソフトの取り込み用の形式に整え、コードを振り直さずにそのまま取り込みました。資金繰りのためのマスタや管理会計のためのマスタは、この段階では作らないことにしています。マスタを作り直す時間を抑え、コードが変わらないぶん、仕訳の移し替えも進めやすくするためです。
期ごとに、旧ソフトの残高と突き合わせる
移し替えは、いちばん古い期の期首の残高から始めました。補助科目ごとの期首の残高を入れ、旧ソフトと新しいソフトの補助科目別の試算表を並べて差がないことを確かめ、その結果を文書に残してから、仕訳の取り込みに進みます。
旧ソフトの中で、勘定科目ごとの残高と補助科目ごとの残高の合計が合わない科目がありました。この差は「その他」の補助科目に入れて勘定科目ごとの金額にそろえることで、先方と合意しています。期によって補助科目の名前が変わっている点にも気をつけて進めました。
仕訳は期ごとに取り込み、期末の残高を勘定科目と補助科目の両方で旧ソフトと突き合わせました。最初の期は、勘定科目ではすべて一致し、補助科目では売掛金や未払金などいくつかの科目に差が出たため、補助科目の間の振替の仕訳で直して一致させてから、次の期に進んでいます。
件数が多い期は、取り込みと承認に時間がかかりました。取り込みが一部しか反映されなかった期は、いったんすべて消してから入れ直しています。こうして、進行中の期まで移し終えました。
移し替えの進め方
期ごとに残高を突き合わせてから、次の期に進みました
手順1
マスタを移す
- 旧ソフトのコードのまま
手順2
期首の残高を合わせる
- 補助科目ごとに比べる
手順3
仕訳を期ごとに移す
- 期末の残高を突き合わせる
図:構成を簡略化して描いています(画面や実際のデータではありません)。
| 作業 | 確かめたこと |
|---|---|
| マスタの取り込み | 旧ソフトのコードのまま取り込み、振り直さない |
| 期首の残高 | 補助科目別の試算表を新旧で比べ、差がないことを文書に残す |
| 旧ソフトの中の差 | 勘定科目と補助科目の合計が合わない分は「その他」の補助科目へ(先方と合意) |
| 仕訳の取り込み | 期ごとに、期末の残高を勘定科目と補助科目の両方で比べ、差は振替の仕訳で直す |
納品と、その後の相談
会計の移し替えとあわせて、固定資産の管理も期首の残高から新しいソフトで始める方針で準備を進め、納品しました。
納品のあと、支払の管理についても相談を受けました。請求書を経理で集めて仕訳を起こし、部門ごとに振り分けて承認してから振り込む流れを、会計ソフトと同じ提供元の製品で組みたいという内容で、進め方を提案しています。
会計:クラウドの会計ソフトに、進行中の期と過去の数期分の仕訳を移した
確認:期ごとに、勘定科目と補助科目の残高を旧ソフトと突き合わせた
次の相談:支払の管理(部門ごとの振り分けと承認)
オンプレミスの会計ソフトからの切り替えを含む移行の進め方は、基幹システムの刷新・レガシー移行のページでも紹介しています。
※本事例は、当社が支援した実際の案件をもとに構成しています。企業名と、お客様の環境にある製品の名前は伏せ、業種・規模・時期は一般化して記載しています。