LINEの問い合わせをAIに任せる3つの段階|AIチャットボット(β)・拡張ツール・自社RAGを有人切り替えとログの置き場所で選ぶ

LINEの問い合わせをAIに任せる方法を、公式のAIチャットボット(β)、拡張ツールのAI、Messaging APIと自社RAGの3段階に分け、答えの根拠・有人への切り替え・会話ログの置き場所で比べます。Q&A100件の上限、使えない業種、応答トークン1分などは公式情報で確認しました。

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この記事の要点

  1. LINEの問い合わせをAIに任せる方法は、公式のAIチャットボット(β)、拡張ツールのAI、Messaging API+自社のRAGの3段階に分けられる。段階ごとに、答えの根拠・人への切り替え・記録の置き場所が違う。
  2. AIチャットボット(β)は、登録したQ&A(100件まで)から合う回答を選んで返す、チャットProオプション(月額3,000円・税別)の機能。医療・福祉、金融、宗教、政治・行政、法律に関わる業種では使えない場合がある。
  3. 顧客ごとの契約や注文の状態を見て答える、よく聞かれる質問が100件に収まらない、会話の記録を自社の基盤に置きたい。どれかに当たるなら、段階2か段階3を比べる。
段階1公式のAIチャットボット(β)答えの根拠登録したQ&A(100件まで)から選ぶ人への切り替え応答設定と応答時間で決め、担当者は管理画面のチャットで返信記録チャット履歴を管理画面に保存(チャットProで5年)
段階2拡張ツールのAI答えの根拠ツールに入れたFAQや資料(製品ごとに違う)人への切り替えツールの画面か、管理画面のチャットで引き継ぐ記録ツール会社のシステム(保存期間は契約で確認)
段階3Messaging API+自社のRAG答えの根拠社内の資料と、アカウント連携した顧客データ人への切り替え条件も画面も自社で設計する記録自社のシステム(ログの保存は自社で行う)

図. 段階が上がるほど、答え方と記録の持ち方を自社で決められる範囲が広がり、自社で引き受ける作業も増える

LINE公式アカウントに届く問い合わせをAIに任せる方法は、3つの段階に分けると整理できます。1つ目はLINE公式アカウントの管理画面にある「AIチャットボット(β)」、2つ目はLINEヤフー以外の会社が提供する拡張ツールのAI、3つ目はMessaging APIで自社のシステムにつなぎ、社内の資料や顧客データを検索してから答える仕組み(RAG)です。段階ごとに、AIが何を根拠に答えるか、どこで人の対応に替わるか、会話の記録がどこに残るかが違います。

公式のAIチャットボット(β)は、利用者の質問に対して登録済みのQ&Aから合う回答を選んで返す機能です。Q&Aは100件まで登録でき、チャットProオプション(月額3,000円・税別)の有償機能として提供されています。医療・福祉、金融、宗教、政治・行政、法律に関わる業種のアカウントでは、使えない場合があります。担当者が対応するチャットの履歴はLINE公式アカウントの管理画面に保存され、まとめて書き出すときは、直近5年間のチャット履歴をCSVで作成します(1週間に1度まで)。

顧客ごとの契約や注文の状態を見て答える必要がある、よく聞かれる質問が100件に収まらない、会話の記録を自社の基盤に置いて監査や分析に使いたい。このどれかに当たるなら、段階2か段階3を比べることになります。この記事では、LINE公式アカウントの運用支援と生成AIの業務への組み込みを手がけるAurant Technologiesが、LINEヤフー for Businessのマニュアル・ヘルプセンターとLINE Developersのドキュメントをもとに、大企業のカスタマーサポート部門が段階を選ぶときに確かめる点を整理します。AIチャットボット(β)の設定手順は、LINE AIチャットボット(β)の使い方で画面に沿って解説しています。

料金・上限・画面の表示文言は、2026年9月25日にLINEヤフー for Businessのマニュアル・サービスページ・ヘルプセンターと、LINE Developersのドキュメントで確認した内容です。AIチャットボット(β)を使えない業種の内訳は、予告なく変わることがあるとされています。導入の前に、リンク先で最新の記載を確かめてください。

3つの段階を、答えの根拠・人への切り替え・記録の置き場所で比べる

3つの段階の違いを、カスタマーサポート部門が確かめる点ごとに並べると次のとおりです。

比べる点段階1 公式のAIチャットボット(β)段階2 拡張ツールのAI段階3 Messaging API+自社のRAG
AIが答える根拠登録したQ&A(100件まで)。AIは質問に合うQ&Aを判別し、登録した返信メッセージを送るツールに登録したFAQや資料。何を参照できるか、文面を生成するかは製品ごとに違う自社で選んだ資料やデータベース。検索した内容をもとにAIが文面を作る
顧客ごとの情報返信に可変で入れられるのは、友だちの表示名とアカウント名自社の会員データとつなげられるかは製品ごとに確認するアカウント連携で自社の会員IDとひもづければ、契約や注文の状態を引ける
人への切り替え応答設定と応答時間で応答方法を決め、担当者は管理画面のチャットで返信するツールの画面で引き継ぐか、管理画面のチャットで引き継ぐかを決める切り替えの条件も画面も自社で設計する。チャットをオンにしたままWebhookを受け取れる
記録の置き場所LINE公式アカウントの管理画面。チャット履歴はチャットProの契約中は5年保存ツール会社のシステム。保存期間や書き出し方は契約で確認する自社のシステム。LINEヤフーはAPIやWebhookのログを提供しない
まとめて書き出す方法チャット履歴のCSV(直近5年、作成は1週間に1度まで、チャットルーム10万件まで)製品ごとに確認する(CSV、APIなど)受け取ったWebhookと送信の記録を、自社のシステムに保存する
前提と費用チャットProオプション(月額3,000円・税別)。使えない業種があるツールの料金。AIの返信をプッシュメッセージで送るなら、料金プランの通数も使う開発と運用の体制。応答メッセージは通数に数えず、プッシュメッセージは数える

出典:AIチャットボット(β)マニュアル、応答設定マニュアル、チャット設定マニュアル、チャットProオプション、ヘルプセンター(使えない業種)、Messaging API開発ガイドライン、ユーザーアカウントの連携、Messaging APIの料金

段階1は、LINEヤフーが用意した枠の中で設定すれば動きます。段階3は、答え方も記録の持ち方も自社で決められる代わりに、応答の時間制限への対応や記録の保存を自社で引き受けます。段階2はその間にあり、多くをツール会社に任せる分、ツール会社に何を確かめるかが選定の中身になります。

段階1 公式のAIチャットボット(β):登録したQ&Aから選んで返す

AIチャットボット(β)は、利用者から届いたテキストが、登録した「お問い合わせ例」に当てはまるとAIが判別したときに、そのQ&Aの返信メッセージを送る機能です(マニュアル)。AIが決めるのはどのQ&Aを返すかで、利用者に届く文面は自社で登録したものです。回答の文面を前もって社内で確認しておける一方、答えられる範囲は登録したQ&Aの中に限られます。

AIチャットボット(β)が返信するまで

利用者がテキストを送る
登録した「お問い合わせ例」に当てはまるかを、AIが判別するAIが決めるのは、どのQ&Aを返すか
そのQ&Aの返信メッセージを送る利用者に届く文面は、自社で登録したもの

当てはまるQ&Aが無いとき →「適切な回答が見つからない」、テキスト以外が届いたとき →「テキスト以外のメッセージを受信」のシステムメッセージが返る。条件は変えられないが、文面は変えられる

出典:AIチャットボット(β)マニュアル

Q&Aの上限と作り方

  • 登録できるQ&Aは100件までです。
  • 作り方は、1件ずつ作る、CSV(UTF-8かShift-JIS)で一括で作る、PDFや画像から自動で作る、の3つです。自動生成は月30回まで、参照に使うファイルはPDFと画像がそれぞれ10個まで、1ファイル30MB以下です。
  • 登録したQ&Aと利用者のフィードバックをもとに、AIが追加・更新・削除・分割・統合を提案する「Q&A改善」は月30回までです。
  • 返信メッセージに可変で入れられるのは、友だちの表示名とアカウント名です。
  • 登録したQ&Aの動きは「Q&A応答テスト」で確かめられます(1日あたりの回数に上限があります)。

出典:AIチャットボット(β)マニュアル(2025年11月19日更新)

社内のFAQが100件を超えるなら、問い合わせの多いものから100件に絞るか、段階2・3で扱う範囲と分けることになります。すでにFAQの一覧を持っている場合は、元になる一覧を社内で管理してCSVで登録する形にしておくと、文面の改定を社内の承認の流れに乗せやすくなります。

始める前に確かめる条件

  • チャットProオプション(月額3,000円・税別)の有償機能です。契約していないと、応答設定でAIチャットボット(β)を有効にできません(ヘルプ)。
  • Q&Aの登録と応答テストは、チャットProを契約していなくても試せます。ただし、LINEヤフーの認定セールスパートナーが開設または管理しているアカウントは、登録とテストにもチャットProが必要です(マニュアル)。
  • 利用の開始に同意できるのは、管理者権限を持つ担当者だけです。AIチャットボット(β)の画面は、Web版の管理画面からのみ使えます(マニュアル)。
  • 利用者の機微な情報(健康状態、信条、財務状況など)を扱う可能性があるとして、次の業種のアカウントでは、チャットProの契約にかかわらず使えない場合があります(ヘルプ)。
業種ヘルプに挙がっている例
医療・福祉関連病院、診療所、介護施設など
金融関連銀行、保険、証券など
宗教関連寺院、神社、教会など
政治・行政関連官公庁、自治体、政党など
法律関連弁護士・法律事務所など

ヘルプはこれらを例示とし、ほかにも機微な情報を扱う可能性があると判断した場合は提供を断ることがある、としています。銀行・保険・証券会社や自治体のように例に挙がっている業種では、段階1を前提に計画を立てず、段階2と段階3を比べる進め方になります。どちらの段階でも、機微な情報が会話に含まれる前提で、記録の扱いと生成AIのサービスの扱いを先に決めます。

人への切り替えは、応答設定と応答時間で決める

AIチャットボット(β)を使うときに、[設定]>[応答設定]で選べる応答方法は次のとおりです(応答設定マニュアル、2026年3月25日更新)。

応答時間の中と外で選べる、AIチャットボット(β)を含む応答方法

応答時間のスケジュールに合わせて、応答方法が自動で切り替わる

応答時間内

  • 手動チャット+AIチャットボット(β)
  • 手動チャット+応答メッセージ+AIチャットボット(β)

応答時間外

  • AIチャットボット(β)
  • 応答メッセージ+AIチャットボット(β)

出典:応答設定マニュアル(2026年3月25日更新)、ヘルプ

応答時間の中は担当者だけが返信し、外の時間だけAIに答えさせることもできます。応答時間のスケジュールに合わせて、応答方法が自動で切り替わります(ヘルプ)。応答時間は曜日ごとに設定でき、祝日の扱いも選べます(チャット設定マニュアル)。

AIに答えさせず担当者に回したい言葉は、応答メッセージのキーワードに登録しておけます。応答メッセージを含む応答方法を選んでいれば、キーワードに完全一致して応答メッセージで返せる場合は応答メッセージが優先され、AIチャットボット(β)は返信しません(ヘルプ)。1つの応答メッセージには、キーワードを51個まで設定できます(応答メッセージマニュアル)。「担当者」「オペレーター」のような言い方の違いをまとめて登録し、担当者が返信するまでの目安を返す、という使い方ができます。

AIが答えられないときの返信も決めておきます。登録したQ&Aに当てはまらないときは「適切な回答が見つからない」、画像などテキスト以外が届いたときは「テキスト以外のメッセージを受信」というシステムメッセージが返ります。返信の条件は変えられませんが、文面は変えられます(マニュアル)。商品の写真が送られてくる窓口なら、この文面で、担当者が確認して返信することと受付時間を伝えます。

トーク画面のアカウント名の下には、応答状況を伝える文言が出ます。手動チャットだけのときは「担当者が返信します」ですが、AIチャットボット(β)を含む応答方法のあいだは、Q&Aの登録状況にかかわらず一律に「AIが自動で返信しています」になります(応答設定マニュアル)。応答時間内に「手動チャット+AIチャットボット(β)」を選んでいる場合も同じなので、担当者に替わったことは、担当者の最初のメッセージで伝えます。担当者の側は、管理画面のチャットで「要対応」「対応済み」の振り分けや担当者の設定ができます(チャットマニュアル)。

記録は管理画面の中に残る

  • チャット履歴の保存期間は、無料の範囲で6か月、チャットProオプションで5年間です(2024年1月1日以降の履歴が対象。ヘルプ)。
  • チャットProでは、チャット設定から直近5年間のチャット履歴のCSVを作れます。作成は1週間に1度までで、チャットルームが10万件以上ある場合は、更新の新しい順に10万件までがファイルに入ります(チャット設定マニュアル)。
  • AIチャットボット(β)の分析画面では、応答した回数、「適切な回答が見つからなかった割合」、利用者のフィードバック(Good/Badの比率)を、7日間か30日間で確認できます(マニュアル)。
  • 会話ログや、Q&Aの自動生成でアップロードした情報は、AIの学習に使われません(ヘルプ)。
  • 「分析 – メッセージ通数」の説明では、AIチャットボット(β)の回答は、応答メッセージやチャットと同じく有償タイプに入っていません(マニュアル)。

チャット履歴の保存期間

2024年1月1日以降の履歴が対象

無料の範囲6か月
チャットProオプション5年間

出典:ヘルプ

「適切な回答が見つからなかった割合」は、登録したQ&Aで答えた回数と見つからなかった回数を合わせたうち、見つからなかった回数の割合です(マニュアル)。Q&Aを直してもこの割合が下がらない場合は、見つからなかった問い合わせの中身を担当者の対応記録と突き合わせ、100件の外にあるものが多いかを確かめます。多ければ、段階2・3を検討する材料になります。

記録を社内の問い合わせ管理やデータ基盤に取り込みたい場合は、書き出しの頻度が要件に合うかを先に確かめます。マニュアルで確認できた一括の書き出しはCSVの作成で、頻度は1週間に1度までです。日ごとに社内のシステムで追いかける運用なら、この頻度では足りません。なお、AIチャットボット(β)・チャット・チャット設定の各マニュアルには、AIの返信が履歴やCSVにどう入るかの説明はありません。取り込みを前提にするなら、契約後にテスト用の問い合わせで確かめておきます。

段階2 拡張ツールのAI:答えも引き継ぎもツールの側で持つ

この記事では、LINEヤフー以外の会社が提供し、Messaging APIでLINE公式アカウントにつないで使うツールを拡張ツールと呼びます。LINEヤフーのTechnology Partnerの一覧では、ソリューションの「AI/チャットボット」「有人チャット」「コールセンター連携」や、利用する会社の規模(1000人~など)で候補を絞り込めます。AIが何を参照して答えるか、どの画面で人に引き継ぐか、記録をどこに何年残すかは製品ごとに違うため、ここでは製品名を挙げず、自社で決めることとツール会社に確かめることを分けて並べます。

つなぐ前に自社で決めること

1つ目は、Messaging APIを有効にするときのプロバイダーです。LINE公式アカウントでMessaging APIを有効にするときに選ぶプロバイダーは後から変更できず、LINEログインのチャネルと連携する場合は同じプロバイダーを選ぶ必要があります(Messaging APIマニュアル)。同じ利用者でもユーザーIDはプロバイダーごとに別の値になるため(LINE Developers)、どのプロバイダーで有効にするかで、自社のLINEログインなどと同じ顧客として扱えるかが決まります。ツール会社のプロバイダーで作るのか、自社で管理するプロバイダーで作るのかを、契約の前に決めておきます。

2つ目は、担当者がどの画面で返信するかです。応答設定マニュアルの表では、チャットがオンでもオフでもWebhookは受け取れ、チャットをオンにすると管理画面のチャットも使えます。ツールの画面で返信するのか、管理画面のチャットで返信するのかを決めておかないと、同じ問い合わせを2つの画面で追うことになります。

3つ目は、管理画面側の自動応答の扱いです。応答設定であいさつメッセージや応答メッセージがオンになっているか、チャットがオンで応答方法に自動の返信が含まれていると、LINE公式アカウント側も自動で応答します(LINE Developers FAQ)。ツールのAIと管理画面の自動応答の両方から返信が届かないよう、どちらが返すかを決めて応答設定を合わせます。

つなぐ前に自社で決めること

1つ目

Messaging APIを有効にするプロバイダー

  • 有効にするときに選ぶプロバイダーは、後から変更できない
  • LINEログインのチャネルと連携するなら、同じプロバイダーを選ぶ
  • 同じ利用者でも、ユーザーIDはプロバイダーごとに別の値になる

決めること:ツール会社のプロバイダーで作るか、自社で管理するプロバイダーで作るか

2つ目

担当者が返信する画面

  • チャットがオンでもオフでもWebhookは受け取れる
  • チャットをオンにすると、管理画面のチャットも使える

決めないと:同じ問い合わせを2つの画面で追うことになる

3つ目

管理画面側の自動応答

  • あいさつメッセージや応答メッセージがオンか、チャットがオンで応答方法に自動の返信が含まれていると、LINE公式アカウント側も自動で応答する

決めること:ツールのAIと管理画面の自動応答のどちらが返すかを決め、応答設定を合わせる

出典:Messaging APIマニュアル、応答設定マニュアル、LINE Developers、LINE Developers FAQ

ツール会社に確かめること

候補のツールを比べるときは、段階1との違いが出る点を質問にします。

確かめる点質問の例関係する仕様・理由
答えの根拠AIが参照できるのは登録したFAQだけか、PDFなどの資料や自社システムのAPIも含むか。回答の文面を生成するのか、登録した文から選ぶのか生成する方式なら、承認していない表現を出さない仕組みもあわせて確かめる
顧客ごとの情報自社の会員IDとどうひもづけるか(Messaging APIのアカウント連携、LINEログインなど)。参照できる顧客データの範囲契約や注文の状態を答えるには、利用者を特定する仕組みが要る
人への切り替え切り替わる条件(キーワード、答えが見つからない、利用者の希望など)、担当者への通知、担当者が返信している間のAIの扱い、AIに戻す条件段階1では応答設定と応答時間で決まる。ツールでは製品ごとに違う
記録会話の保存場所と保存期間、書き出しの形式と頻度(APIの有無)、契約が終わったあとのデータの扱いLINEヤフーは、APIやWebhookのログを問い合わせがあっても提供しない(開発ガイドライン)。記録を持つのはツール会社になる
送信の取り消し利用者がメッセージの送信を取り消したとき、記録や、回答の改善・評価に使うデータから外すかLINE Developersは、送信取消イベントを受けたら表示の取り消しや削除をするよう推奨している(開発ガイドライン、Webhookの受信)
生成AIの扱いどの会社の生成AIのサービスを使い、入力が学習に使われない設定になっているか会話には、氏名や注文番号などの個人情報が含まれうる
メッセージ通数AIの返信を応答メッセージで送るか、プッシュメッセージで送るかプッシュメッセージは料金プランの通数に数えられ、応答メッセージは数えられない(料金プラン)

段階3 Messaging API+自社のRAG:社内の資料と顧客データを引いて答える

検索させる規約や手順書の仕分けと古い版の外し方、答えに根拠の文書名と箇所を添える出し方は「社内の文書をAIで引けるようにする前に」で解説しています。

RAGは、質問に関係する資料やデータを先に検索し、見つかった内容を根拠にAIが回答を作る仕組みです。段階3では、Messaging APIで受け取ったメッセージを自社のサーバーで処理し、検索する資料の範囲も、人に替わる条件も、記録の持ち方も自社で決めます。顧客ごとの契約・注文・予約の状態を見て答える、改定の多い規約や手順書を根拠にする、会話の記録を自社の基盤で監査や分析に使う、といった要件はこの段階で扱います。その代わりに、次の仕様への対応を自社で引き受けます。

顧客を特定するには、アカウント連携を使う

自社の会員アカウントとLINEのアカウントは、Messaging APIのアカウント連携でひもづけられます。利用者がLINE公式アカウントを友だち追加していることが前提で、連携トークンは10分間有効・1回限りです。利用者がいつでも連携を解除できるようにし、連携するときに解除できることを知らせる必要があります(LINE Developers)。連携していない利用者には一般的な質問だけに答え、契約内容に触れる質問では連携を案内するか担当者に回す、というように答える範囲を分けておきます。

応答トークンは1分。生成に時間がかかる前提で組む

  • 応答メッセージに使う応答トークンは1回だけ使え、Webhookを受け取ってから1分以内に使う必要があります。1分を超えた場合の動作は保証されません(Messaging APIリファレンス)。
  • 間に合わずにプッシュメッセージで送ると、料金プランのメッセージ通数に数えられます。応答メッセージは数えられません(Messaging APIの料金)。
  • 回答を作っている間は、トーク画面にローディングのアニメーションを5〜60秒の範囲で表示できます。1対1のトークだけが対象で、利用者がトーク画面を開いているときにだけ表示されます(LINE Developers)。

応答トークンの1分と、間に合わないとき

Webhookを受け取る応答トークンは1回だけ使える
検索して回答を作るその間、ローディングのアニメーションを5〜60秒の範囲で表示できる(1対1のトークで、トーク画面を開いているとき)
1分以内に応答メッセージで返す応答メッセージは、メッセージ通数に数えられない

1分を超えた場合の動作は保証されない。間に合わずにプッシュメッセージで送ると、料金プランのメッセージ通数に数えられる

出典:LINE Developers(Messaging APIリファレンス、Messaging APIの料金、ローディングのアニメーション)

検索と生成にかかる時間を、本番に近い量の資料で測っておきます。そのうえで、1分以内に返せない質問をどう扱うか(プッシュメッセージで送るか、担当者に回すか)を先に決めます。

人に替わる仕組みは、管理画面のチャットと組み合わせる

応答設定でチャットをオンにしたままでも、Webhookは受け取れます(応答設定マニュアル)。このとき、利用者から届いたメッセージには自動で既読がつきません。Webhookで届く既読トークン(有効期限なし)を使うと、指定したメッセージとそれより前のメッセージに、Messaging APIで既読をつけられます(LINE Developers)。「AIか担当者が受け付けた時点で既読にする」と決めておけば、利用者にも受け付けたことが伝わります。

担当者に替わる条件は、検索で根拠が見つからない、契約の変更や本人確認が必要、利用者が担当者を希望した、などを自社で決めます。AIの返信を止めて担当者に替わり、対応が終わったらAIに戻す実装の型は、自動応答と有人チャットの切り替え設計で解説しています。段階1から移る場合は、AIチャットボット(β)を含む応答方法のままにしておくと管理画面側も自動で応答するため(LINE Developers FAQ)、切り替えの日に応答設定も合わせて変えます。

担当者に替わる条件の例

何を条件にするかは、自社で決める

1

検索で根拠が見つからないか

2

契約の変更や本人確認が必要か

3

利用者が担当者を希望したか

1つでも当てはまる → 担当者に替わるAIの返信を止めて担当者に替わり、対応が終わったらAIに戻す
どれも当てはまらない → AIが答える検索で見つかった内容を根拠に、AIが回答を作る

記録は自社で持つ前提になる

  • Messaging API開発ガイドラインは、Messaging APIへのリクエストと受け取ったWebhookのログを一定期間保存するよう推奨しています。LINEヤフーは、問い合わせを受けてもこれらのログを提供しません(開発ガイドライン)。
  • 利用者がメッセージの送信を取り消すと、送信取消イベントが届きます。自社の管理画面での表示を取り消す、データベースから削除する、といった扱いが推奨されています(開発ガイドライン、Webhookの受信)。RAGの検索対象や回答の評価に会話を使う場合も、同じ扱いにします。
  • Webhookの再送を有効にすると、同じイベントが重複して届いたり、届く順序が入れ替わったりすることがあります。重複はwebhookEventIdで、前後関係はtimestampで確かめます(LINE Developers)。

社外の生成AIのサービスに会話を送る場合は、入力が学習に使われない設定か、どこに保存されるかを情報システム部門と確かめます。LINEの顧客データをAIにつなぐときの個人情報の考え方は、LINE公式アカウント/Messaging APIとMCPの記事で扱っています。

記録を自社で持つと、問い合わせの種別や対応時間の集計にもそのまま使えます。当社の公開事例では、コールセンターの問い合わせログと通話記録をAPIでつなぎ、AIで問い合わせを分類して、種別・キーワード・対応時間をダッシュボードで見られるようにしました。マニュアルの整備や人員配置の見直しに、その数字を使っています。

どの段階から始めるか:カスタマーサポート部門で決める順番

段階は、次の4つの問いに順に答えると絞り込めます。1から3は公式の条件と仕様で、4は自社の方針で決まります。

  1. 自社の業種は、AIチャットボット(β)を使えない業種の例(医療・福祉、金融、宗教、政治・行政、法律)に当たるか。当たるなら、段階2と段階3を比べる。
  2. 答えに顧客ごとの情報(契約、注文、予約の状態)が要るか。要るなら、会員IDとひもづける仕組みが必要になり、段階3か、自社のシステムとつなげられる拡張ツールを選ぶ。
  3. よく聞かれる質問が、登録できるQ&Aの100件で足りるか。足りるなら、段階1から始められる。
  4. 会話の記録をどこに何年置くか。管理画面の中で5年、書き出しは週1回のCSVで足りるなら段階1、ツール会社での保存で足りるなら段階2、自社の基盤に置く必要があるなら段階3。

どの段階から始めるか(問いに順に答える)

1から3は公式の条件と仕様で、4は自社の方針で決まる

問い1

業種が、AIチャットボット(β)を使えない業種の例に当たるか

  • 当たる → 段階2と段階3を比べる

問い2

答えに顧客ごとの情報(契約、注文、予約の状態)が要るか

  • 要る → 会員IDとひもづける仕組みが必要。段階3か、自社のシステムとつなげられる拡張ツール

問い3

よく聞かれる質問が、登録できるQ&Aの100件で足りるか

  • 足りる → 段階1から始められる

問い4

会話の記録をどこに何年置くか

  • 管理画面の中で5年、書き出しは週1回のCSVで足りる → 段階1
  • ツール会社での保存で足りる → 段階2
  • 自社の基盤に置く必要がある → 段階3

段階1で始めて、答えが見つからなかった割合や、担当者に回った問い合わせの中身を見てから段階2・3に進む順番もとれます。その場合も、Q&Aの元になる一覧と担当者の対応記録を社内で管理しておけば、次の段階のFAQや検索対象の資料にそのまま使えます。問い合わせの棚卸しやKPIの置き方など、LINEでサポート窓口を作る全体の進め方は、LINEカスタマーサポート構築ガイドで扱っています。

LINEヤフーは、既存のメッセージやチャットとは別にAIが接客対応を行う「LINE OA AIモード」を、Agent i for Businessのページで案内しています。2026年9月25日に確認したページでは、提供時期は「夏頃から順次」、価格は「現時点では未定」とされていました。数年単位で仕組みを決めるときは、このページもあわせて確認しておきます。

Aurant Technologiesでは、応答設定と有人対応の分け方、拡張ツールの選定、Messaging APIでの連携開発をLINE公式アカウントの運用・連携支援として、社内の資料を根拠に答えるAIの設計(参照させる資料の範囲、権限、記録の扱い)を生成AIの業務導入支援としてお手伝いしています。

よくある質問

AIチャットボット(β)の回答は、メッセージ通数に数えられますか?
管理画面の「分析 – メッセージ通数」の説明では、AIチャットボット(β)の回答は、応答メッセージやチャットと同じく「有償タイプ」に入っていません(マニュアル)。管理画面から送るメッセージのうち、有償タイプとして数えられているのは、メッセージ配信(すべての友だち・絞り込み)とステップ配信です。
営業時間の外だけAIに答えさせることはできますか?
できます。応答時間のスケジュールに合わせて応答方法が自動で切り替わるため、応答時間内は手動チャット、応答時間外はAIチャットボット(β)、のように分けられます(ヘルプ、応答設定マニュアル)。
チャットルームが10万件以上あるアカウントでも、会話の履歴をまとめて書き出せますか?
チャットProオプションで作れるCSVは直近5年間の履歴が対象で、チャットルームが10万件以上ある場合は、更新の新しい順に10万件までがファイルに入ります。作成は1週間に1度までです(チャット設定マニュアル)。
Messaging APIで自社のボットに切り替えたのに、LINE公式アカウントからも自動で返信が届くのはなぜですか?
管理画面の応答設定で、あいさつメッセージや応答メッセージがオンになっているか、チャットがオンで応答方法に自動の返信が含まれていると、LINE公式アカウント側も自動で応答します(LINE Developers FAQ)。AIチャットボット(β)から移るときは、切り替えの日に応答設定も見直します。

LINE運用・伴走支援

LINE公式アカウントの友だち獲得の設計、セグメント配信・ステップ配信・リッチメニューの構築、自動応答、CRM/MAや基幹データとの連携までを支援します。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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「LINE公式アカウント 運用改善ガイド」

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