ふるさと納税の全国データ|現況調査(令和8年度実施・令和7年度実績)を自団体と比べて読む

令和7年度のふるさと納税の受入額は約1兆3,314億円、募集費用は受入額の47.9%でした。47.9%は全団体の合計で、団体の中央値は48.1%です(Excelから当社が計算)。年度と指定対象期間の違いと、自団体と比べる列を書きます。

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この記事の要点

  1. 令和7年度(2025年4月〜2026年3月、決算見込)のふるさと納税の受入額は約1兆3,314億円で前年度より4.6%増え、受入件数は約5,963万件でした。総務省が2026年7月31日に公表した現況調査(令和8年度実施)の数字です。
  2. 募集に要した費用は受入額の47.9%ですが、これは全団体の合計です。総務省が公表している団体ごとの Excel から当社が数えると、団体の中央値は48.1%で、1,787団体のうち1,048団体(58.6%)が47.5%を上回っていました。市区町村だけなら中央値48.2%、1,740団体のうち1,039団体(59.7%)です。
  3. 47.5%は、2026年10月から始まった指定対象期間の基準(寄附金活用可能額52.5%以上)を、募集費用の側から見た線です。現況調査は年度で、基準は指定対象期間(10月〜翌年9月)で数えます。自団体の判定には、寄附の受領日で区切り直した自団体の数字を使います。

団体ごとの募集費用の割合(令和7年度、1,787団体)

全団体の合計は47.9%、団体ごとの中央値は48.1%。色の濃い2本(計1,048団体)が、47.5%を上回った団体。都道府県47団体も入っていて、そのうち23団体は「40%以下」にある。都道府県には、指定を受けていない東京都も含む。年度の数字で、指定基準の判定ではない

40%以下177団体
40%超〜45%以下219団体
45%超〜47.5%以下343団体
47.5%超〜50%以下966団体
50%超82団体

出典:総務省「各自治体の令和7年度受入額等」(Excel)。受入額が0の1団体を除く1,787団体(都道府県47を含む)で、列「令和7年度の受入額(A)に占める費用の割合」の合計の値を数えたもの

2026年7月31日に公表された総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」によると、令和7年度(2025年4月〜2026年3月、全地方団体の決算見込)のふるさと納税の受入額は約1兆3,314億円、受入件数は約5,963万件でした。募集に要した費用は6,382億円で、受入額の47.9%です。寄附した人の住民税からの控除額は、令和8年度課税で約9,524億円、控除を受けた人は約1,151万人でした。

当社は、自治体のふるさと納税の予実管理や業務体制づくりを支援している会社です。寄附を受け入れる側でも、ポータルサイトを運営する側でもありません。この記事は、自団体の数字を全国の数字と並べて、庁内や住民に説明する立場の方に向けて書いています。寄附する人の控除の手続きや、返礼品の選び方は扱いません。

全国の数字を自団体と並べるときに読み違えやすい点は、3つあります。1つ目は、全国の数字の多くが全団体の合計で、団体の真ん中の値とは違うことです。2つ目は、数字ごとに期間の区切りが違うことです。現況調査の受入額と費用は年度(4月〜翌年3月)、指定基準は指定対象期間(10月〜翌年9月)、住民税の控除は前の年の1月〜12月の寄附で数えています。3つ目は、総務省が全国の集計の PDF とは別に、団体ごとの数字を載せた Excel を公表していることです。この記事では、数字ごとに、何の期間に何を数えたかと、自団体のどの数字と比べればよいかを書きます。割合・倍率・団体数のうち資料に書かれていないものは、公表された数字と Excel から当社が計算しました。

受入額は全国で4.6%増え、減った団体も794あった

令和7年度の受入額は13,314.3億円で、令和6年度の12,727.5億円より586.8億円、4.6%多くなりました。令和6年度の伸び(前年度比13.9%)より小さくなっています。受入件数は5,963.0万件で、令和6年度の5,878.7万件より1.4%多い数です。件数は、令和5年度の5,894.6万件から令和6年度にいったん減っていました。1件あたりの受入額は約22,300円(受入額1,331,428百万円÷受入件数59,630,027件)で、令和6年度は同じ計算で約21,700円です。

ふるさと納税の受入額の推移(全国計)

平成21〜24年度は77.0〜121.6億円(下の一覧)

平成20年度81.4億円
平成25年度145.6億円
平成26年度388.5億円
平成27年度1,652.9億円
平成28年度2,844.1億円
平成29年度3,653.2億円
平成30年度5,127.1億円
令和元年度4,875.4億円
令和2年度6,724.9億円
令和3年度8,302.4億円
令和4年度9,654.1億円
令和5年度11,175.0億円
令和6年度12,727.5億円
令和7年度13,314.3億円

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」2ページの推移表。地方団体が個人から受領した寄附金

この受入額は、地方団体が個人から受け取った寄附金を数えたものです。平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金などは、含まれていないものもあると注記されています。平成20年度の81.4億円と比べると約164倍です。前年度より減ったのは平成21年度、平成24年度、令和元年度(4,875.4億円、前年度は5,127.1億円)の3回です。受入額のうち、ワンストップ特例制度を使った寄附は4,254.0億円・2,201.2万件で、受入額の32.0%にあたります。

全国の4.6%は、自団体の伸びと比べる基準にはなりません。総務省の「各自治体のふるさと納税受入額及び受入件数(平成20年度〜令和7年度)」という Excel には、団体ごとの受入額が年度ごとに並んでいます。令和6年度と令和7年度の両方に受入額がある1,786団体を数えると、増えたのは992団体(55.5%)、減ったのは794団体(44.5%)でした。全国の合計が増えた年でも、4割あまりの団体は減っています。自団体の伸びを説明するときは、同じ Excel の自団体の行を、前の年度と並べるのが確かです。

年度別の受入額・受入件数の一覧(全国計)
ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移(現況調査 2ページ)
年度受入額(億円)受入件数(万件)
平成20年度81.45.4
平成21年度77.05.6
平成22年度102.28.0
平成23年度121.610.1
平成24年度104.112.2
平成25年度145.642.7
平成26年度388.5191.3
平成27年度1,652.9726.0
平成28年度2,844.11,271.1
平成29年度3,653.21,730.2
平成30年度5,127.12,322.4
令和元年度4,875.42,333.6
令和2年度6,724.93,488.8
令和3年度8,302.44,447.3
令和4年度9,654.15,184.3
令和5年度11,175.05,894.6
令和6年度12,727.55,878.7
令和7年度13,314.35,963.0

受入額の半分は、136団体に集まっている

都道府県別の受入額は、その都道府県の分と、区域内の市区町村の分を足した数字です。令和7年度の上位10は次のとおりです。

都道府県別の受入額の上位10(現況調査 3ページ。割合と前年度比は百万円の値から計算)
順位都道府県令和7年度(億円)全国に占める割合令和6年度(億円)前年度比
1北海道1,887.714.2%1,799.6+4.9%
2宮崎県624.74.7%582.8+7.2%
3福岡県602.14.5%560.0+7.5%
4静岡県584.34.4%533.7+9.5%
5山梨県514.13.9%458.8+12.1%
6大阪府472.73.6%396.4+19.2%
7茨城県450.03.4%391.3+15.0%
8新潟県440.13.3%443.1-0.7%
9鹿児島県439.93.3%430.5+2.2%
10山形県415.83.1%449.4-7.5%

北海道は2位の宮崎県の約3倍で、全国の14.2%を占めます。上位3道県で全国の23.4%、上位10都道府県で6,431億円・48.3%です。いちばん小さいのは徳島県の44.4億円で、北海道はその約43倍です。令和6年度に3位だった兵庫県は、582.5億円から354.0億円に減り、上位10から外れました。減った理由は、資料には書かれていません。

現況調査の PDF に載っている市区町村別の一覧は、受入額と住民税控除額それぞれの上位20団体です。受入額の上位10団体は次のとおりです。

市区町村別の受入額の上位10(現況調査 11ページ)
順位団体令和7年度の受入額(億円)寄附件数(万件)
1大阪府 泉佐野市230.4135.2
2北海道 白糠町223.3127.6
3宮崎県 都城市216.5105.8
4北海道 別海町211.6133.8
5愛知県 名古屋市174.535.2
6宮崎県 宮崎市143.172.4
7宮城県 気仙沼市134.886.8
8京都府 京都市132.634.0
9北海道 紋別市124.759.4
10北海道 根室市122.655.3

上位10団体には名古屋市と京都市も入っています。名古屋市は寄附件数が約35万件で、1件あたりの受入額は約5万円です(受入額÷件数)。11位以下の10団体は、PDF の11ページにあります。

上位の一覧の外まで含めて見るには、団体ごとの Excel を使います。令和7年度の受入額を大きい順に並べると、上位100団体で全国の43.8%、上位136団体で全国の半分に達します。反対に、受入額が0の1団体を除くと、受入額が1億円未満の団体は553あり、合計しても212億円、全国の1.6%です。全国の合計は、受入額の大きい一部の団体の数字に強く引っ張られています。この偏りが、次の募集費用の割合の読み方に効いてきます。

募集費用の47.9%は全団体の合計で、団体の真ん中は48.1%

現況調査は、募集に要した費用を区分ごとに、全団体の合計で示しています。令和7年度は6,382億円で、受入額の47.9%でした。令和6年度の46.4%から1.5ポイント上がっています。受入額から募集費用を除いた額は6,932億円(52.1%)です。総務省の通知では、募集に要する費用には、募集と受領によって生じた費用が全て入ります。受領証の発行やワンストップ特例の申請の受付の事務費、ふるさと納税の業務にあたる職員の人件費(ほかの業務と兼ねている職員の分を含む)、ポータル運営事業者や事務を委託する事業者への支払いも入ります。

ふるさと納税の募集に要した費用(全団体の合計、現況調査 5ページ)
区分令和7年度(億円)受入額に占める割合令和6年度(億円)受入額に占める割合
返礼品の調達に係る費用3,52826.5%3,20825.2%
返礼品の送付に係る費用7565.7%7335.8%
広報に係る費用930.7%660.5%
決済に係る費用1961.5%2181.7%
事務に係る費用等1,80913.6%1,67613.2%
合計6,38247.9%5,90146.4%

この47.9%は、全団体の費用の合計を、全団体の受入額の合計で割った値です。受入額の大きい団体の割合ほど強く効きます。総務省は、団体ごとの受入額と費用の区分を「各自治体の令和7年度受入額等」という Excel で公表していて、「令和7年度の受入額(A)に占める費用の割合」という列もあります。受入額が0の1団体を除く1,787団体を、この列の合計の割合で並べると、中央値は48.1%です。真ん中の半分の団体は、45.6%から49.6%の間に入ります。分布は記事の最初の図のとおりです。Excel の費用を足し上げると、PDF の区分と同じ6,382億円になります。

この1,787団体には都道府県47が入っています。都道府県の中央値は41.1%で、令和7年度に指定を受けていない東京都(0%)のように、返礼品をほとんど出していない団体も含みます。市区町村だけ(1,740団体)で数えると、中央値は48.2%です。47.5%を上回ったのは1,039団体(59.7%)、50%を上回ったのは82団体です。市区町村の担当の方は、こちらの値と比べるほうが条件が近くなります。

受入額の大きさで団体を分けると、割合の傾向も違います。

受入額の帯ごとの募集費用の割合(Excelの1,787団体から計算)
令和7年度の受入額団体数団体の中央値その帯の合計の割合47.5%を上回った団体
1億円未満55346.9%44.8%238(43.0%)
1億円以上10億円未満89948.5%47.2%570(63.4%)
10億円以上100億円未満32148.6%48.1%228(71.0%)
100億円以上1449.7%49.0%12(85.7%)

受入額の帯ごとに、募集費用の割合が47.5%を上回った団体の割合

令和7年度の受入額で分けた。年度の数字で、指定基準の判定ではない

1億円未満(553団体)43.0%
1億円以上10億円未満(899団体)63.4%
10億円以上100億円未満(321団体)71.0%
100億円以上(14団体)85.7%

出典:総務省「各自治体の令和7年度受入額等」(Excel)。受入額が0の1団体を除く1,787団体(都道府県47を含む)で、列「令和7年度の受入額(A)に占める費用の割合」の合計の値を数えたもの

令和7年度の数字では、受入額の大きい帯ほど、割合の高い団体が多くなっています。なぜそうなるかは、資料には書かれていません。どの帯でも、団体の中央値はその帯の合計の割合より高くなっています。合計の割合だけを見ると、その帯の真ん中の団体より低く見えるということです。

説明のための架空の例として、令和7年度の受入額が5億円、募集費用が2億4,250万円(48.5%)だった町を考えます。全国の47.9%と並べると、0.6ポイント高く見えます。けれども、受入額1億円以上10億円未満の899団体の中央値も48.5%で、この町はその帯のちょうど真ん中です。同じ規模の団体と比べたいときは、Excel の同じ列で、受入額の近い団体を並べてください。

何に払っているかまで比べたいときは、各団体が公表している支払先の一覧も使えます。年度の募集費用のうち1つの支払先に100万円以上払ったものは、支払先・支払額・支払目的を、翌年度の9月30日までに団体のウェブサイトで公表することになりました。総務省の通知では、2026年10月からの期間の指定を受けた団体は、令和7年度分を2026年9月30日までに公表することとされています。

47.5%の線と比べるときは、期間と数え方をそろえる

ふるさと納税の対象になるのは、総務大臣が指定した地方団体への寄附です。この指定の制度は2019年6月1日に始まりました(総務省「基準違反事案について」)。指定を受けるには、募集の適正な実施、返礼品の調達費3割以下、返礼品を地場産品とすることなどの基準に合っている必要があります。指定対象期間は原則として10月1日から翌年9月30日までの1年です。2026年9月25日には、2026年10月1日から2027年9月30日までの期間の指定が行われました(総務省のお知らせ)。

2026年10月からの期間では、募集費用を受領した寄附金の5割以内とする告示の基準に代わり、法律で寄附金活用可能額の基準が設けられました。寄附金活用可能額は、その期間に受領する寄附金の額から、募集費用を引いた額です。基準は、この額が受領する寄附金の合計の52.5%以上であることです(令和8年法律第2号の附則、総務省の通知)。募集費用の側から言えば47.5%以下です。この割合は、指定対象期間の初日によって段階的に上がります。

寄附金活用可能額の割合の段階(指定対象期間の初日で決まる)

2026年10月〜52.5%以上(募集費用は47.5%まで)
2027年10月〜55%以上(45%まで)
2028年10月〜57.5%以上(42.5%まで)
2029年10月〜60%以上(40%まで)

返礼品の調達費は、個別の寄附ごとに3割以下のまま

出典:総務省の通知(令和8年法律第2号の抄)、現況調査 15ページ

令和7年度の数字にこの47.5%の線を引くと、上回った団体は1,048(58.6%)、50%を上回った団体は82(4.6%)でした。ただし、これは線を引いてみた目安で、基準に合っていたかどうかの判定ではありません。理由は3つあります。

  • 期間が違います。現況調査は年度(4月〜翌年3月)の決算見込で、基準は指定対象期間(10月〜翌年9月)で数えます。
  • 令和7年度は、52.5%の基準の対象ではありません。令和7年度(2025年4月〜2026年3月)は、2024年10月〜2025年9月と、2025年10月〜2026年9月の2つの指定対象期間に半分ずつまたがります。どちらの期間も、基準は募集費用が受領した寄附金の合計の5割以内でした(現況調査 5ページ)。
  • 費用の数え方が変わりました。2026年10月からの期間は、寄附金の受領日を基準に費用を数える方法に統一され、支払った日を基準にする数え方は使えなくなりました(総務省の Q&A の別紙2、問16)。それより前の期間は、支払日を基準にする数え方も否定されていませんでした(同じ Q&A の別紙1、問8の2)。現況調査の費用がどちらの数え方で集められたかは、公表資料には見当たりません。

同じ寄附でも、数字ごとに区切りが違う

現況調査の受入額・募集費用

年度(4月〜翌年3月)

  • 令和7年度=2025年4月〜2026年3月
  • 2つの指定対象期間に半分ずつまたがる
  • 全地方団体の決算見込

指定基準(寄附金活用可能額)

指定対象期間(10月〜翌年9月)

  • 2026年10月〜2027年9月は52.5%以上
  • 費用は寄附金の受領日を基準に数える
  • 団体ごとに判定する

住民税の控除額

前の年の1月〜12月の寄附

  • 令和8年度課税=2025年1〜12月の寄附
  • 寄附した人が住む団体の側の数字
  • 2026年6月1日時点

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(留意事項)、総務省の通知(2026年6月26日・2026年9月25日)

総務省は2026年6月26日の通知で、2025年10月〜2026年9月の期間の募集費用と寄附金受領額の実績を調べる予定だとしています。その調査で5割を超えたことが分かった団体は、指定取消しの対象となり得ます。2026年9月25日の通知では、2026年10月からの期間についても、寄附金活用可能額の割合の実績を調べる予定としています。あわせて、委託事業者に任せきりにせず、団体が自ら定期的に費用の執行と寄附の受入れを確かめるよう求めています。

先ほどの町なら、48.5%は47.5%より1.0ポイント、受入額5億円に対して500万円分高い数字です。けれども、2026年10月からの期間の判定に使うのは、2026年10月1日から2027年9月30日までに受領した寄附と、その寄附のための費用です。町の台帳で、寄附ごとの受領日と、費用がどの寄附のためのものかを並べて、出し直します。会計の決算の数字とどう突き合わせるかは、ふるさと納税の寄附金の会計処理の記事で書いています。

3割の基準は、全国の26.5%ではなく、返礼品ごとに見る

返礼品の調達費は、全団体の合計で受入額の26.5%でした。けれども、返礼品の調達費を寄附金の3割以下とする基準は、個別の寄附ごと、返礼品ごとに満たす必要があります(地方税法第37条の2第2項第3号、総務省の通知)。合計の割合が3割を下回っていても、基準を満たしている証明にはなりません。同じ通知は、物価の上昇で調達費が変わったことも例外にならず、数量や必要寄附金額を見直す必要があると書いています。

2025年6月に指定を取り消された岡山県吉備中央町では、返礼品の米の生産者に、買取費用とは別に出荷量に応じた奨励金を出していました。2024年10月〜2025年3月の米1俵あたりの調達費は、奨励金を含めると、必要寄附額44,000円に対して約57%でした(総務省「基準違反事案について」)。総務省の通知では、奨励金や補助金、プロモーション費用といった名目でも、返礼品の数量を増やすことにつながる支出は調達費に入ります。調達費は消費税を含めて数えます。

同じ2025年6月には長野県須坂市も指定を取り消されました(告示は6月17日施行)。返礼品のシャインマスカットを扱う事業者の産地偽装に対して、産地名の適正な表示を確保するための措置を講じていなかったとされています(総務省「基準違反事案について」)。9月には岡山県総社市、佐賀県みやき町、長崎県雲仙市、熊本県山都町の指定が取り消されました(告示は9月30日施行)。これらの取消しは、総務省が6月13日と9月26日に発表しています。総務省の通知によると、2026年4月1日以降に基準に反する事実が生じた場合、取り消された団体が指定を受けられない期間は、それまでの2年から3年以内になりました。

返礼品の基準は、2026年10月からの期間で次の点も変わっています。根拠は、2025年6月24日の告示改正(令和7年総務省告示第220号)と、その後の通知です。全国の数字の読み方には直接関わりませんが、返礼品の調達費や地場産品の確認を自団体で並べるときの前提になります。

  • 付加価値の証明と公表:区域内の工程で価値の過半が生じたとする加工品などは、製造する者の証明の内容を、募集を始める日までに団体のウェブサイトで公表した場合に限り地場産品と認める。区域内で生じた価値は、原則として総務大臣通知の標準的な算出方法で出す。合理的な理由なく一般に販売する価格より高く調達している場合は、適合に疑義が生じ得る。
  • 広報目的の返礼品:団体独自のものと分かる品で、期間が始まる前の1年間に団体が広報の目的で自ら調達・配布・販売した実績があり、その数量を超えない範囲などに限る。
  • 確認の事務:前の期間の確認で返礼品の基準への適合が否認されなかったことなどを基に総務省が認める団体(特定地方団体)は、返礼品の書類の提出を原則として省略できる。

ポータル経由が97.2%、調達・送付を除いた支払いは経由した寄附の11.5%

現況調査は、ポータルサイト運営事業者への支払いも、全団体の合計で示しています。割合の分母は、全体の受入額ではなく、ポータルを経由した受入額です。

令和7年度のポータル経由の受入額と、ポータル運営事業者への支払い

受入額 1兆3,314億円全地方団体の合計
ポータル経由 1兆2,947億円受入額の97.2%(令和6年度は94.5%)
支払総額 2,433億円ポータル経由の受入額の18.8%
調達・送付を除く 1,490億円ポータル経由の受入額の11.5%(令和6年度も11.5%)

支払総額の内訳:調達755億円、送付189億円、広報76億円、決済167億円、事務費等1,246億円

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」6ページ

支払総額の18.8%には、ポータルを通して返礼品の事業者に払う調達費(755億円)と、運送事業者に払う送料(189億円)が含まれています。これを除いた広報・決済・事務費等の支払いが1,490億円で、ポータル経由の受入額の11.5%です。令和6年度は1,379億円で、割合は同じ11.5%でした。総務省は2026年5月22日に、大手ポータル運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に、ポータルサイト手数料の引下げを要請しました。2026年6月26日の総務省の通知(総税市第71号)は、この要請を挙げたうえで、各団体にも、手数料などの見直しに向けて事業者と調整するよう求めています。

寄附に伴ってポイントなどの経済的利益を提供する者を通じた募集は、2025年10月1日から禁止されています。告示の改正(令和6年総務省告示第203号)は、2024年6月28日に公表されました。禁止はポータル運営事業者のポイントに限りません。総務省の通知では、返礼品の事業者が通常の返礼品とは別に品物を追加すると表示して募った場合も、基準に違反するおそれがあるとされています。

団体ごとの Excel にも、ポータル運営事業者に支払った費用の列があります。ただし、ポータルごとの内訳と、団体ごとのポータル経由の受入額は載っていません。自団体の11.5%に当たる割合は、この Excel だけでは出せません。自団体の契約ごとの支払いを同じ区分に分け、ほかの団体が公表した100万円以上の支払先の一覧と並べて比べる方法は、ふるさと納税ポータルサイトの選び方(自治体側)の記事で書いています。

住民税の控除額は、受入額から引き算できない

寄附した人の側では、翌年度の住民税から控除が行われます。令和8年度課税の控除額は約9,524億円で、前年度より9.0%増えました。控除を受けた人は約1,151万人で、6.5%増えています。どちらも、平成21年度課税からの推移の中で最も大きい値です。令和8年度課税は2025年1月〜12月の寄附に係るもので、数字は2026年6月1日時点です。

ふるさと納税に係る住民税控除額と控除適用者数(現況調査 8ページ)
課税年度住民税控除額(億円)控除適用者数(万人)
令和6年度7,689.01,001.4
令和7年度8,740.81,081.4
令和8年度9,524.41,151.4

控除額は道府県民税と市町村民税の合計で、控除適用者数は市町村民税で数えた人数です。令和8年度課税のうち、ワンストップ特例制度で控除された分は3,768.1億円・614.2万人でした。都道府県別の控除額が大きいのは、東京都(約2,351億円)、神奈川県(約985億円)、大阪府(約749億円)、愛知県(約679億円)、埼玉県(約559億円)の順です。市区町村では、横浜市(約373億円)、名古屋市(約215億円)、大阪市(約207億円)が上位です。団体ごとの控除額は、「各自治体の令和8年度課税における住民税控除額等」の Excel にあります。

受入額は「寄附を受けた団体」の側の、年度(4月〜翌年3月)の数字です。控除額は「寄附した人が住んでいる団体」の側の、前の年の1月〜12月の寄附の数字です。数える人も期間も違うので、2つを引き算して、その団体の収支とすることはできません。先ほどの町でいえば、町の受入額5億円と、町の住民がほかの団体に寄附したことによる控除額は、別々に説明する数字です。

受入額と使い道の公表は、85.4%の団体が両方している

現況調査は、団体が受入額や寄附金の使い道をどこまで公表しているかも調べています。割合は、全指定団体に占める割合です。指定団体の数は、使途を「選択できる」1,749団体と「選択できない」32団体を足した1,781団体です。

ふるさと納税の受入額の実績や活用状況の公表(現況調査 12ページ)
公表の状況(令和7年度)団体数割合前の年度
受入額の実績と活用状況の両方を公表1,52185.4%1,494
受入額の実績のみ公表20111.3%228
活用状況のみ公表201.1%19
どちらも公表していない392.2%45

寄附の募集のときに使途を選べる団体は1,749(98.2%)で、分野を選べるのが1,684(94.6%)、具体的な事業を選べるのが586(32.9%)です。寄附者に事業の進み具合や成果を報告している団体は923(51.8%)、寄附者と続けてつながるための取組をしている団体は882(49.5%)でした。目標金額と募集期間を決めて特定の事業に寄附を募るクラウドファンディング型は、516団体(29.0%)が1,547事業で実施し、受入額は約333億円でした(令和6年度は451団体・1,228事業・約227億円)。

使途として選べる分野ごとの受入額(令和7年度)

複数の分野にまたがるもの、寄附先の団体に任せるものなどは含まない

子ども・子育て1,948.3億円
地域・産業振興995.1億円
教育・人づくり881.5億円
環境・衛生650.2億円
健康・医療・福祉616.0億円
まちづくり・市民活動587.8億円
観光・交流・定住促進337.9億円
スポーツ・文化振興312.8億円
安心・安全・防災300.9億円
災害支援・復興77.3億円

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」12ページ

上の分野ごとの受入額は、寄附者が選んだ分野の数字で、実際に何に使ったかとは別のものです。2026年10月から始まった期間からは、期間の初日と末日が属する年度の寄附金活用可能額の使い道も、各団体がウェブサイトで公表することになりました(総務省の通知)。

自団体と比べるときは、全国の85.4%と並べるより、団体ごとの Excel を使うほうが確かです。「各自治体の令和7年度受入額等」には、「ふるさと納税を募集する際の取組」(Ⅳ、使途の選び方の設問)と、「ふるさと納税の受入額の実績等の公表及び受入後の取組」(Ⅴ)について、各団体の回答の列があります。受入額の近い団体の回答と自団体の回答を並べれば、公表や寄附者への報告で何をしていないかが分かります。

自団体の行を Excel で開いて、同じ列で並べる

現況調査の PDF と Excel は、総務省のふるさと納税の「関連資料」のページの「ふるさと納税に関する現況調査」にあります。PDF は全国の集計と上位の一覧、Excel は団体ごとの数字です。

総務省が公表している団体ごとの Excel
ファイル中身自団体と比べるときに使う列
各自治体の令和7年度受入額等令和7年度の団体ごとの受入件数・受入額、募集に要する費用の区分、そのうちポータル運営事業者への支払い、使途や公表の取組の回答「令和7年度の受入額(A)に占める費用の割合」の各区分と合計、Ⅳ・Ⅴの回答
各自治体のふるさと納税受入額及び受入件数平成20年度から令和7年度までの団体ごとの受入額(千円)と件数自団体の行の、前の年度との差
各自治体の令和8年度課税における住民税控除額等令和8年度課税の団体ごとの寄附金税額控除の適用状況控除額と控除適用者数(受入額とは引き算しない)

反対に、寄附者が翌年も同じ団体に寄附する割合、ポータルごとのシェアや手数料率、寄附額の価格帯ごとの構成、業務委託の使い方は、今回開いた現況調査の PDF と Excel には見当たりませんでした。こうした数字を見かけたときは、出典が公的な資料かどうかを確かめてから使ってください。

まず、Excel で自団体の行と、受入額の近い団体の行を並べ、募集費用の割合の各区分を見比べてください。そのうえで、2026年10月からの期間の基準に照らすときは、寄附の受領日で指定対象期間に区切り、その寄附のための費用を同じ区分で数え直します。全国の47.9%と比べるのは、その後の参考で足ります。

寄附・会計・ポータルの数字をつないで、指定対象期間の区切りで募集費用の割合を見る予実管理の仕組みづくりは、当社のふるさと納税の予実管理の支援で一緒に進められます。

数字は、総務省の現況調査(令和8年度実施、2026年7月31日公表)の PDF と Excel 3本、通知(総税市第33号・第34号・第71号・第108号)、基準違反事案の資料、告示の改正と指定取消しの報道資料(2024年6月28日・2025年6月24日・2025年6月13日・2025年9月26日)を、2026年10月14日に開いて確かめたものです。割合・倍率・団体数のうち資料に無いものは、当社がこれらの数字から計算しました。引用するときは総務省の資料を出典にしてください。

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