ERP 介護業界 完全ガイド 2026:カイポケ・ほのぼのNEXT・ワイズマンシステムSPの選定
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「介護事業所を新規開設するが、介護ソフトの選定で迷っている」「ほのぼのNEXT・ワイズマンシステムSP・カイポケのどれが自施設に合うのか比較したい」「現行の介護ソフトの料金が高すぎる、もっとコスト効率の良い選択肢はないか」 — このような声を、Aurant では介護事業所の経営者・施設長・ケアマネジャーからよくいただきます。
セカンドラボの2026年シェアランキングによれば、介護ソフトのシェアは「ほのぼの」シリーズが1位、ワイズマンが2位、カイポケが3位です。それぞれ強みと適合事業所形態が異なり、自施設に最適な選択を見極めることが、業務効率と請求精度に直結します。
本記事では、介護ソフトの選定軸、主要3製品(ほのぼのNEXT・ワイズマンシステムSP・カイポケ)の詳細比較、新興のクラウド型製品、選定フロー、運用体制 / セキュリティ / 3年 TCO の差別化視点まで、論理ステップで整理していきます。
1. 介護業界の基幹システムとは — 国保連請求と介護記録の一体管理
介護業界の基幹システム(介護ソフト)は、「介護記録・ケアプラン作成・国保連請求」を1ツールで一体管理する総合型ソフトが主流です。介護保険報酬の請求業務を自動化し、ヘルパーの活動記録、利用者の状態管理、家族への報告などを統合します。
1-1. 介護ソフトの本質
介護ソフトの本質は、「国保連請求の正確性 + 介護記録の効率性」の両立です。国保連への請求エラーは収入の欠損に直結するため、請求機能の信頼性が最優先になります。同時に、ヘルパーの記録入力負担を最小化することが、業務効率化の鍵です。
1-2. 事業所形態と必要機能の違い
| 事業所形態 | 主な業務 | 介護ソフトの重点 |
|---|---|---|
| 居宅介護支援(ケアプラン) | ケアプラン作成、給付管理 | ケアプラン作成支援、AI 提案 |
| 訪問介護 | ヘルパー記録、訪問スケジュール | モバイル入力、GPS 連動 |
| 通所介護(デイサービス) | 送迎管理、施設介護記録 | 送迎ルート、バイタル連動 |
| 特別養護老人ホーム | 24時間記録、看護記録、栄養管理 | 看護師連携、多職種記録 |
| 有料老人ホーム | 利用料管理、入居者契約 | 利用料計算、契約管理 |
2. 介護ソフト選定が今活発化している背景
介護業界で介護ソフトの選定・乗り換えが活発化している背景には、4つの変化があります。
2-1. 介護報酬改定対応の頻発
介護報酬は3年ごとに改定されます(直近は 2024年4月、次回は 2027年4月)。改定のたびに介護ソフトの請求機能の更新が必要で、ベンダーの対応スピード・無料更新の有無が運用負荷に直結します。
2-2. 人手不足とDX推進
介護業界の慢性的な人手不足から、記録入力の効率化(音声入力、タブレット連動、バイタル機器連動)が急務になっています。これに対応する新世代介護ソフトの導入が広がっています。
2-3. AI 活用の本格化
AI を活用したケアプラン提案、要介護度予測、シフト最適化が、近年急速に実用化しています。NDソフトウェアの「SOIN(そわん)」のような AI 支援サービスが、現場の意思決定を支援する事例が増えています。
2-4. 経営支援機能のニーズ
介護経営の収益性悪化から、「介護記録 + 経営支援」を統合したソフトへのニーズが高まっています。カイポケのような経営支援機能特化のソフトが、中小事業所での導入を伸ばしています。
3. 主要介護ソフトの俯瞰
国内の介護ソフトは、シェア上位3製品(ほのぼの・ワイズマン・カイポケ)と、新興クラウド型(リハブクラウド・トリケアトプス・まもる君)に分かれます。
| 製品 | 提供元 | 導入実績 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ほのぼのシリーズ | NDソフトウェア | 72,000事業所超 | シェア1位・全事業所形態対応・AI 支援 |
| ワイズマンシステムSP | ワイズマン | 61,200件超 | シェア2位・初期費用無料・モジュール柔軟 |
| カイポケ | エス・エム・エス | 56,900事業所超 | シェア3位・経営支援機能・低コスト |
| リハブクラウド | リハブ・フォア・ジャパン | 新興 | クラウド型・多拠点リアルタイム同期 |
| トリケアトプス | トリケア | 新興 | シンプル UI・低コスト |
4. 選定フローチャート

5. ほのぼのNEXT — AI 支援 + 音声入力
NDソフトウェアのほのぼのNEXTは、タブレットでの音声入力やバイタル機器との自動連携により、スピーディーな入力を実現します。「ほのぼの」シリーズ全体では72,000事業所超で利用されており、介護ソフトのシェア No.1 です。
5-1. AI 支援サービス SOIN
AI 支援サービス「SOIN(そわん)」と連携することで、最適なケアプランの提案や要介護度の予測まで行えます。経験の浅いケアマネジャーでも、AI の提案を参考にケアプランを作成できる点が、ほのぼのNEXT の最大の差別化要因です。
5-2. 適合事業所
ほのぼのNEXT が刺さる事業所は、「ICT 投資に積極的」「タブレット運用ができる」「ケアプラン精度を上げたい」事業所です。導入コストは中堅以上で、機能を活かしきるには ICT リテラシーが必要です。
5-3. 全事業所形態への対応
ほのぼのシリーズは、訪問介護・通所介護・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・小規模多機能型居宅介護など、幅広い事業所形態に対応しています。複数事業を展開する大手介護法人での導入実績が豊富です。
6. ワイズマンシステムSP — シェア No.1 級の安定性
ワイズマンのワイズマンシステムSPは、事業所の規模や形態に合わせて、必要な機能を自由に組み合わせられることが特徴です。初期導入費用・サポート利用料・法改正対応が無料で、61,200件以上の導入実績があります。
6-1. ワイズマンの強み
ワイズマンの強みは「導入実績の多さ」「無料サポートの厚み」「事業所形態別カスタマイズの柔軟性」の3点です。訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど、事業所形態によって必要機能が異なるニーズに細かく対応します。
6-2. 初期費用無料の意味
ワイズマンの「初期導入費用無料」は、月額利用料に組み込む料金体系を意味します。これにより、新規開設の介護事業所でも資金負担を最小化して導入できます。タブレットレンタルが可能な点も、現場での運用を後押しします。
6-3. 適合事業所
ワイズマンシステムSP が刺さるのは、「中堅以上の介護事業所」「複数事業所形態を運営」「無料サポートを重視」する事業所です。長年の業界実績による信頼性が、選定の決め手になります。
7. カイポケ — 経営支援 + 低コスト
カイポケは、記録請求以外にも豊富な経営支援機能をもち、56,900事業所以上の導入実績があります。月額料金 1,000〜25,000円とコストを抑えて利用でき、過去データの移行や初回請求のサポートを無料で行ってくれます。
7-1. 経営支援機能の魅力
カイポケの経営支援機能は、「収益分析」「人件費分析」「稼働率予測」などです。介護経営の意思決定を支援する機能が、介護記録ツールに統合されている点が特徴です。中小事業所で経営者が直接データを見たい場合に刺さります。
7-2. 移行サポートの無料化
過去データの移行サポートが無料という点が、他社からの乗り換えを検討する事業所に強い訴求力を持ちます。乗り換えコストの大半が移行サポート費なので、これが無料になる影響は大きくなります。
7-3. 適合事業所
カイポケが刺さるのは、「中小介護事業所(10〜50人規模)」「経営者が直接データを見たい」「コストを抑えたい」事業所です。月額 1,000円〜のスタートで、機能追加に応じて月額が増える従量課金的な料金体系も魅力です。
8. クラウド型新興 — リハブクラウド・トリケアトプス
近年急速に普及しているのがクラウド型介護ソフトです。シェア上位3製品もクラウド対応していますが、新興クラウド型はさらに尖った特徴を持ちます。
8-1. リハブクラウド
リハブクラウドは、クラウド特化型の介護ソフトで、多拠点運営の事業所でリアルタイム同期ができる点が強みです。本部・現場間のデータ共有が即時に行えます。
8-2. トリケアトプス
トリケアトプスは、シンプルな UI と低コストが特徴のクラウド型介護ソフトです。中小事業所の業務に最適化されており、操作習熟が早く進みます。
9. 主要3製品の詳細機能比較
| 機能 | ほのぼのNEXT | ワイズマンSP | カイポケ |
|---|---|---|---|
| 導入実績 | 72,000事業所超 | 61,200件超 | 56,900事業所超 |
| 料金 | 中堅以上 | 初期費用無料 | 月 1,000〜25,000円 |
| AI 支援 | ◎ SOIN 連携 | ○ | ○ |
| 音声入力 | ◎ | ○ | ○ |
| 経営支援 | ○ | ○ | ◎ 豊富 |
| 移行サポート | 有償 | 無料 | 無料 |
| タブレット | 標準対応 | レンタル可 | 標準対応 |
| 事業所形態対応 | 全形態 | 全形態 | 全形態 |
| 法改正対応 | 有償 | 無料 | 無料 |
10. 選定基準 — 事業所形態・規模・ICT 成熟度
介護ソフト選定の基準は、「事業所形態」「拠点数・事業所数」「ICT リテラシー」「予算」の4点です。
10-1. 事業所形態で選ぶ
居宅介護支援中心ならケアプラン作成支援が強いほのぼのNEXT、訪問介護中心ならモバイル入力が強い製品、特別養護老人ホーム中心なら多職種記録が強いワイズマンシステムSP、というように事業所形態で軸を絞ります。
10-2. 拠点数で選ぶ
複数拠点運営ならクラウド型(リハブクラウド・カイポケなど)、単一施設なら従来型でも十分です。複数拠点でリアルタイム同期が必要かどうかが選定の分岐点になります。
10-3. ICT リテラシーで選ぶ
ICT に積極的でケアプラン精度を上げたいならほのぼのNEXT + SOIN、シンプルさ重視ならカイポケ・トリケアトプス、業界実績の安心感ならワイズマンSP、という選び方になります。
11. 移行プロジェクトの段階
| Phase | 期間 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1. 選定 | 1〜2ヶ月 | 製品比較・デモ・現場ヒアリング |
| 2. 設定 | 1〜2ヶ月 | 事業所マスタ・利用者マスタ移行 |
| 3. 並行運用 | 1〜2ヶ月 | 新旧両方で記録入力 |
| 4. 切替 | 1ヶ月 | 本番切替・初回請求 |
合計4〜7ヶ月が標準的な期間です。介護ソフトの移行は、医療業界 ERP より短期で完了するのが一般的です。
11-1. 切替タイミング
介護ソフトの本番切替は、月初1日に合わせるのが鉄則です。月途中で切替えると、月末の国保連請求でデータが分散し、エラーが発生するリスクがあります。
12. 運用体制の現実 — ヘルパー操作習熟と事務職員の請求業務
ここから3つの差別化セクションに入ります。介護ソフトを導入しても、運用体制が整わないと業務効率化は実現しません。
12-1. ヘルパー操作習熟の難しさ
介護ソフトの導入で最大の課題はヘルパー(特に高齢ヘルパー)の操作習熟です。タブレット操作・音声入力に慣れない世代が多いため、トレーニング設計の充実が必須です。標準的なトレーニング設計は、「導入前の集合研修 半日 + 個別フォロー 1〜2週間 + 稼働後ヘルプデスク対応 1ヶ月」です。
12-2. 事務職員の請求業務
事務職員の国保連請求業務は、月末月初に集中します。介護ソフトが請求業務を自動化していても、エラーチェックや個別対応で事務職員の業務負荷は依然として高い水準です。介護ソフト導入後も、事務職員の請求業務スキルは継続的に維持・育成する必要があります。
12-3. 中小事業所の人員配置
中小介護事業所では、「事務職員1名で全業務」というケースが多くあります。介護ソフト導入で業務負荷は下がりますが、事務職員退職時のリスクは変わりません。退職時の引継ぎプロセス、ベンダーへの問い合わせ窓口の文書化が、業務継続性のために必須です。
13. セキュリティ・データガバナンス — 利用者個人情報と介護記録の保管
介護業界のセキュリティ要件は、利用者個人情報と医療情報(バイタル・服薬等)の双方が対象になります。
13-1. 利用者個人情報の保護
利用者個人情報には、住所・電話番号・家族構成・要介護度・健康状態・生活習慣などが含まれます。介護ソフトのアクセス権限・データ持出制限の徹底が必須です。クラウド型を選ぶ際は、ハイパースケーラーが「医療情報安全管理ガイドライン準拠」を明示しているか確認します。
13-2. 介護記録の保管期間
介護保険法では、介護記録の保管期間は完結日から2年と定められています。ただし、医療連携・訴訟対応・保険給付に関わるデータは5年以上の保管が推奨されます。介護ソフトの長期保管設計を確認します。
13-3. ヘルパー退職時の権限管理
介護業界は離職率が高い業界(厚労省調査で年14.7%程度)です。ヘルパー退職時に介護ソフトの権限を即時解除する運用フローが、機密情報漏洩防止のために必須です。
14. 3年 TCO 内訳 — ライセンス + タブレット + トレーニング
介護ソフトの 3年 TCO は、ライセンス費だけでなく、タブレット・トレーニング・通信費まで含めて試算します。
14-1. 中小介護事業所(30人規模)の TCO 試算例
| 費目 | 初年度 | 2年目 | 3年目 | 3年合計 |
|---|---|---|---|---|
| カイポケライセンス(月額10,000円 × 12月) | 12万 | 12万 | 12万 | 36万 |
| 初期設定(無料) | 0 | — | — | 0 |
| タブレット 5台(リース) | 30万 | 30万 | 30万 | 90万 |
| 通信費(タブレット用) | 20万 | 20万 | 20万 | 60万 |
| ヘルパー・事務トレーニング | 30万 | 10万 | 10万 | 50万 |
| 合計 | 92万 | 72万 | 72万 | 236万 |
14-2. 中堅事業所(100人規模)の TCO レンジ
ほのぼのNEXT を導入する中堅事業所では、3年 TCO は500万〜1,500万円のレンジになります。SOIN 等の AI 支援機能を活用するなら、追加で年額数十万円の費用が発生します。
15. 失敗パターン
介護ソフト導入の典型的な失敗パターンを整理します。
15-1. 「ヘルパー操作習熟不足」
トレーニング不足のヘルパーが記録を正しく入力できず、月末の集計でデータ不整合が発生するケース。打開策は、トレーニング設計の充実と、現場リーダーの巻き込みです。
15-2. 「請求エラー」
初回請求で国保連エラーが多発し、収入の入金が遅れるケース。打開策は、Phase 2 のマスタ移行段階で、過去請求データを使った請求テストを実施することです。
15-3. 「事業所形態のミスマッチ」
選定時に事業所形態を細かく確認せず、訪問介護中心の事業所に通所介護向けソフトを導入してしまうケース。打開策は、Phase 1 のデモ段階で、現場業務に即したシナリオでデモを依頼することです。
16. まとめ — 自施設形態・規模別の判断軸
| 自施設の状況 | 推奨介護ソフト | 3年 TCO 目安 |
|---|---|---|
| 中堅以上・複数事業形態運営 | ほのぼのNEXT | 500万〜2,000万 |
| 中堅・無料サポート重視 | ワイズマンシステムSP | 300万〜1,500万 |
| 中小・経営支援機能重視・低コスト | カイポケ | 200万〜500万 |
| 多拠点・クラウド志向 | リハブクラウド | 300万〜800万 |
| 小規模・シンプル UI 重視 | トリケアトプス | 150万〜400万 |
判断のコツは、「事業所形態で機械的に絞る」「移行サポート無料を活用」「ヘルパー教育を Phase 1 から計画」「請求テストを Phase 2 で実施」の4点です。
介護ソフト導入は、技術より「ヘルパーの操作習熟」「事務職員の請求業務継続性」「現場リーダーの巻き込み」といった介護業界特有の運用設計が成否を分けます。Aurant Technologies では介護業界向けシステム選定支援を、デモ立会いから運用定着まで一貫してご提供しています。お気軽にご相談ください。
基幹システムの刷新・移行とデータ統合のご相談
老朽化した基幹システムの刷新やERP移行、社内システム同士のデータ連携を、業務を止めない形で支援します。移行方式や構成が妥当かを確認したい、という導入前後のセカンドオピニオンにも対応しています。