ふるさと納税ポータルサイトの選び方(自治体側)|2026年10月からの手数料と募集費用の比べ方
2026年10月からの指定対象期間は、寄附金活用可能額が寄附額の52.5%以上であることが基準で、ポータルへの支払いも募集費用に入ります。令和7年度はポータルへの実質的な手数料が1,490億円(経由した寄附額の11.5%)でした。各社の見積もりを総務省の区分で並べて比べる方法と、1社増やすときの計算を書きます。
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この記事の要点
- 2026年10月からの指定対象期間は、寄附金活用可能額(寄附額から募集費用を引いた額)が寄附額の52.5%以上であることが指定の基準です。ポータルへの支払いも募集費用に入り、基準は2029年10月からの60%まで段階的に上がります。
- 令和7年度は寄附の97.2%がポータル経由で、ポータル運営事業者への支払いのうち返礼品の調達・送付の分を除いた額は1,490億円で、ポータルを経由した寄附額の11.5%でした。各社の料率は公開の料金表で並べられないので、この区分で見積もりを取って比べます。
- ポータルを1社増やすかは、増えた寄附にかかる返礼品・送付・手数料と、増える職員の事務の合計が、上限の内に収まるかで決めます。すでに上限を超えているなら、増やす前に今の契約を見直します。
令和7年度、寄附額に占める募集費用の割合(全国)
2026年10月からの期間に募集費用として使える上限は、寄附額の47.5%(寄附金活用可能額52.5%以上の裏返し)
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」。令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の決算見込、全地方団体の合計
2026年10月1日から始まった指定対象期間では、寄附額から募集費用を引いた「寄附金活用可能額」が、寄附額の52.5%以上でなければなりません。ポータルサイトの運営事業者に払う費用は、この募集費用に入ります。ですから、どのポータルと何社契約するかは、寄附がどれだけ集まるかだけでなく、そのポータルへの支払いが募集費用の枠をどれだけ使うかも見て決める必要があります。
当社はポータルを運営する側ではなく、自治体のふるさと納税の予実管理や業務体制づくりを支援する側の会社です。この記事は、ポータルとの契約を増やす・見直す立場の担当の方に向けて書いています。寄附をする側から見た「どこがお得か」は扱いません。また、楽天ふるさと納税・ふるなび・さとふる・ふるさとチョイス・Yahoo!ふるさと納税の5つについて、手数料率を公開の料金表として確かめることができなかったため、各社の料率の数字は並べていません。代わりに、総務省が使っている区分で見積もりを並べて比べる方法を書きます。
ポータルとの契約で決まる支払いは、募集費用の約2割
総務省の現況調査(令和8年度実施)によると、令和7年度のふるさと納税の受入額は全国で約1兆3,314億円で、そのうち1兆2,947億円(97.2%)がポータルサイトを経由した寄附でした。令和6年度の94.5%から2.7ポイント増えています。ほとんどの寄附はポータルを通って入ってくる、というのが出発点です。
同じ調査で、ポータル運営事業者への支払総額は2,433億円、ポータル経由の受入額の18.8%でした。ただし、この中には、ポータルを通して返礼品の事業者に払う調達費(755億円)と、運送事業者に払う送料(189億円)が含まれています。この2つを除いた、広報・決済・事務費等への支払いが1,490億円で、ポータル経由の受入額の11.5%です。令和6年度は1,379億円で、割合は同じ11.5%でした。総務省はこの「調達・送付を除いた支払い」を実質的な手数料として扱っています(総税市第71号)。
令和7年度、ポータル運営事業者への支払い(全国、2,433億円)の内訳
色の濃い3つの合計1,490億円が、ポータル経由の受入額の11.5%
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」。令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の決算見込、全地方団体の合計
募集費用の全体は6,382億円で、受入額の47.9%でした。ポータルへの支払い2,433億円はその約38%ですが、この中の返礼品の代金755億円と送料189億円は、返礼品と送付の費用をポータルを通して払っている分です。ポータルとの契約の料率や条件で決まるのは、残りの広報・決済・事務費等の1,490億円で、募集費用の約23%にあたります(1,490÷6,382)。約38%と約23%は、どちらも当社の計算です。募集費用の2割あまりが、ポータルとの契約で動く部分ということです。
なお、現況調査は年度(4月〜翌年3月)の決算見込で集計されています。指定の基準は指定対象期間(10月〜翌年9月)で、募集費用は寄附金の受領日を基準に計上します。期間の区切りが違うので、全国の47.9%を、そのまま自分の団体が基準を満たすかどうかの判定には使えません。自分の団体の数字を、指定対象期間の区切りで出し直して確かめます。
2026年10月から、ポータル選びに関わる決まり
寄附金活用可能額の基準は、地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号、2026年3月31日公布)で設けられました(総務省 総税市第34号)。割合は指定対象期間ごとに段階的に上がります。
寄附金活用可能額の割合(寄附額に対して)
返礼品の調達費は寄附額の3割以下のまま(変更なし)
出典:総務省 現況調査(令和8年度実施)の資料「寄附金活用可能額の設定及び使途の公表」、総税市第34号(2026年4月1日)
52.5%を下回った団体は指定取消しの対象になりえ、取り消されると、その日から最大3年は指定を受けられません。総務省は、委託事業者に管理を任せきりにせず、自治体が自ら指定対象期間を通じて定期的に募集費用の執行と寄附の受入れを確かめるよう求めています(総税市第108号、2026年9月25日)。
ポータルの契約に関わるのは、次の4つです。いずれも総務省の通知「ふるさと納税に係る指定制度の運用について」(総税市第71号、2026年6月26日)に書かれています。
| 決まり | 中身 | ポータル選びへの関わり |
|---|---|---|
| ポータルへの支払いも募集費用 | 募集費用には、ポータルの運営事業者に払う費用、事務を委託する事業者に払う費用、ふるさと納税の業務にあたる職員の人件費(兼任を含む)、受領証の発行やワンストップ特例の申請受付の事務費まで、すべて含まれる | 手数料だけでなく、ポータルを増やして増える職員の手間も、同じ上限の中で数える |
| 受領日ベースでの計上 | 募集費用は、寄附金の受領日を基準に計上する方法に統一された | 月ごとの請求と寄附の受領を同じ区切りで並べないと、割合を正しく出せない |
| 手数料の引下げの要請 | 総務省は2026年5月22日、大手ポータル運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に、手数料の引下げを要請した。自治体にも、各事業者と見直しを調整するよう求めている。総務省は、対応状況を今後調べる予定としている | 契約の更新や見積もりの時期に、料率の見直しを話し合う根拠になる |
| 支払先の公表 | 年度の募集費用のうち、1つの支払先に100万円以上払ったものは、支払先・支払額・支払目的を、翌年度の9月30日までに自分の団体のウェブサイトで公表する。令和8年の指定では、令和7年度分を2026年9月30日までに公表することが求められた | ほかの自治体の一覧から、どのポータルにどれだけ払っているかを見られる(下の節) |
このほかの見直し(加工品の証明と一覧の公表、自治体のロゴを付けた品の扱い、寄附金活用可能額の使い道の公表)は、2026年10月の新ルールの記事にまとめています。
ポータル上の表現でも、取消しの対象は自治体
ポータルの上の表現を、自治体ではなく外部の事業者が書いた場合でも、指定を取り消される対象になるのは自治体です。総務省は2026年8月20日の通知(総税市第96号)で、一部のポータルサイトに「コスパ」「特別寄附額」「特別規格」「家計応援」「物価高応援」のように、必要な寄附額が割安だと受け取られる表現が見られるとして、募集の適正な実施の基準に違反するおそれが高いと書きました。必要な寄附額を将来引き上げると予告して募集することも同じです。当たるかどうかは表現の全体で判断するもので、Q&A に例示された表現を使わなければ違反にならない、という趣旨ではないとも書いています。通知は、ふるさと納税に関係する外部の事業者がポータル上でこうした表現をした場合でも、取消しの対象は自治体だと明記しています。
もう1つ、2025年10月からは、寄附に伴ってポイントなどの経済的利益を提供する事業者を通じた募集が禁止されています。総税市第71号は、これがポータルの付けるポイントに限られず、返礼品の事業者が通常の返礼品とは別に追加で品物を付けると表示して募集した場合も、基準に違反するおそれがあると書いています。委託している事業者が経済的利益を提供していないことを、定期的に確かめるよう求めています。
ですから、ポータルを比べるときには、料率と並んで「ポータル上の表現と付けている特典を、誰が・いつ確かめるか」を契約の中で決めておく必要があります。ポータルの数が増えるほど、確かめるページも増えます。
比べ方:総務省の区分で見積もりを並べる
ポータルごとの条件を比べるときは、現況調査と同じ区分で、各社の見積もりや今の請求を並べるのが確実です。区分をそろえておけば、同じ表で5社を横に並べられ、自分の団体の募集費用の計算にもそのまま入ります。総税市第71号では返礼品の調達費を消費税込みで数えるとされているので、見積もりと請求は、消費税込みか税抜きかをそろえて並べてください。
| 区分 | 各社に確かめること | なぜ分けるか |
|---|---|---|
| 事務費等 | 掲載・受付・管理の委託料が寄附額の何%か。寄附額や契約年数で率が変わるか。最低料金はあるか | 全国では、ポータルへの支払いの中で最も大きい区分(1,246億円) |
| 決済 | クレジットカードなどの決済手数料が委託料に含まれるか、別に請求されるか | 含むかどうかで、同じ料率でも実際の支払いが変わる |
| 広報 | 特集・広告枠に出る費用が委託料に含まれるか、追加か。年に何回出られるか | 追加の場合、出るほど広報の区分が増える |
| 調達・送付 | 返礼品の代金や送料を、ポータルを通して払うか、自治体から事業者へ直接払うか | 通して払うと支払総額は大きく見えるが、実質的な手数料とは別に数える |
| データ | 寄附者・寄附の記録をどの形式で出せるか、費用はかかるか。契約を終えるときに持ち出せるか | 受領日ベースの集計と、ほかのポータルとの合算に使う |
| 表現と特典の確認 | 商品ページの表現を誰が作り、誰が確かめるか。ポイントや追加の品物を付けていないことを、どう確かめられるか | 取消しの対象は自治体(総税市第96号・第71号) |
ここからは、説明のための架空の例を1つ使います。年間の寄附額が10億円で、ポータル3つと契約している町を考えます。この町の割合が全国の令和7年度と同じだとすると、募集費用は4億7,900万円(47.9%)です。2026年10月からの期間に使えるのは4億7,500万円(47.5%)までなので、400万円、0.4ポイント分を減らす必要があります。これは全国の割合を当てはめた当社の計算で、期間の区切りの違いは考えていません。
この町が見るべきなのは、3つのポータルへの支払いを上の区分に分けた表です。事務費等の率が契約年数や寄附額で変わる契約なのか、決済や広報が別の請求になっていないかを並べると、400万円をどこから減らせるかの候補が見えます。
何社と契約するか:1社増やすときの計算
ポータルを増やせば、そのポータルを使う寄附者からの寄附が見込めます。一方で、増えた寄附にも返礼品・送付・手数料がかかり、返礼品の登録や在庫の調整、寄附データの取り込み、受領証やワンストップ特例の事務が、ポータルの数だけ増えます。この事務にあたる職員の人件費も募集費用に入るので、増えた事務も上限の中で数えることになります。
先ほどの町が、まず今の3社の条件を見直して400万円を減らし、募集費用をちょうど4億7,500万円(47.5%)にしたとします。その後で、4つ目のポータルを足すと寄附が1億円増える、と考えてみます(架空の例です)。増えた1億円に全国の割合を当てはめると、返礼品の調達と送付で32.2%(26.5%と5.7%)、ポータルへの実質的な手数料で11.5%、合わせて43.7%、4,370万円です。4つ目のために増える職員の手間と事務費を X とすると、全体の割合は(4億7,500万円+4,370万円+X)÷11億円です。これが47.5%、つまり5億2,250万円以内に収まるのは、X が380万円以下のときです(5億2,250万円-4億7,500万円-4,370万円=380万円。当社の計算)。X が年に380万円を超えるなら、寄附は増えても、全体の割合は上限を超えます。
順番を逆にして、47.9%のまま4つ目を足すと、X が0でも全体は(4億7,900万円+4,370万円)÷11億円=47.52%で、上限の内には戻りません。すでに上限を超えている団体は、ポータルを増やす前に、今の契約の区分を見直すのが先です。いずれも全国の割合を当てはめた計算なので、実際の率は自分の団体の数字と各社の見積もりで置き換えてください。
ポータルを1社増やすか
今の募集費用の割合が、その期間の上限の内にあるか
例:町は400万円を減らして47.5%にした後
増える寄附にかかる返礼品・送付・手数料と、増える事務 X の合計が、増える寄附×上限の割合の内に収まるか
例:4,370万円+X が 1億円×47.5%=4,750万円の内か(X が380万円以下か)
数字は架空の例に、総務省 現況調査(令和8年度実施)の全国の割合を当てはめたもの
使い道と目標額を先に示して寄附を募るクラウドファンディング型は、令和7年度に516団体(指定団体の29.0%)が実施し、1,547事業で約333億円を受け入れています(同じ現況調査)。総税市第34号も、積極的に取り組むことが望ましいとしています。ポータルの数を増やす以外に寄附を集める方法として、同じ計算で比べられます。
返礼品の登録や在庫、寄附データの取り込みを複数のポータルにまたがって扱う業務システムは、業務システムの比較の記事で、委託する事業者の選び方は委託先・支援会社の比較の記事で書いています。
契約を結ぶ・更新する前に確かめること
見積もりの区分をそろえたら、契約の文面で次の点を確かめます。どれも、ポータルを替えたり減らしたりするときに困らないためのものです。
契約の前に確かめる5つ
1
料率の決まり方
- 寄附額・契約年数で率が変わるか
- 見直しの時期と手続き
2
料金に含まれるもの
- 決済手数料
- 特集・広告枠
- 問い合わせ・配送管理など
3
業務の切り分け
- ポータルが受け持つ範囲
- 自治体や別の委託先が受け持つ範囲
4
データ
- 出せる形式と費用
- 契約を終えるときの持ち出し
- 終了の予告期間・違約金
5
表現と特典
- 商品ページの表現を確かめる担当
- ポイント・追加の品物が無いことの確認方法
4の寄附の記録は、受領日ベースの集計やほかのポータルとの合算に使うものなので、ポータルを替えても自分の団体で持ち続けられるよう、契約の時点で持ち出しの条件を決めておくことをお勧めします。
ほかの自治体の公表の一覧を、相場の代わりに見る
各社の料率は公開の料金表で並べられませんが、令和8年の指定を申し出た自治体は、令和7年度の募集費用のうち1つの支払先に100万円以上払ったものを、2026年9月30日までに公表することになっていました。寄附額が近い自治体や、同じポータルと契約している自治体の一覧を開けば、どのポータルにいくら、何の目的で払っているかが分かります。ただし、令和7年4月から9月までの分について公表を避ける特段の理由がある団体は、令和7年10月から令和8年3月までの分を公表することになっています(総税市第71号)。一覧ごとに対象の期間が半年か1年かを確かめてから並べてください。
一覧の項目は支払先・支払額・支払目的なので、そのポータルを通じた寄附額が分からないと、料率までは出せません。その団体の受入額の公表と並べて、支払いの大きさの目安として使うのが確実です。自分の団体が公表した一覧も、同じ表に並べておくと、次の見積もりで比べる元になります。
次の見積もりの前に、今の支払いを区分に分ける
まず、今契約しているポータルそれぞれへの支払いを、調達・送付・広報・決済・事務費等の区分に分け、寄附金の受領日を基準に指定対象期間の区切りで並べてください。その表があれば、2026年10月からの47.5%と2027年10月からの45%に対して、どこまで余裕があるかが分かります。契約を増やすか、条件を見直すかも、各社に同じ区分で聞けます。
ポータル・会計・返礼品事業者に分かれた数字を集めて、募集費用の割合を月ごとに見られるようにする仕組みは、当社のふるさと納税の予実管理BIの支援で一緒に作れます。
数字は、総務省の現況調査(令和8年度実施、2026年7月31日公表)と、総税市第71号・第34号・第96号・第108号を2026年10月13日に開いて確かめたものです。通知と告示の一覧は総務省の「関連資料」のページにあります。各ポータルの料率と契約条件は、各社にお問い合わせください。
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