kintone と LINE をつなぐ:LINEの問い合わせをkintoneに起票し、進み具合をLINEに返す設計
kintoneとLINEをつなぐときに作るのは、起票・進み具合の通知・LINEユーザーIDの持ち方の3つです。プラグインや連携サービス、iPaaS、自作の選び方、無料で試せる範囲、フィールド設計、kintoneのWebhook(1分60回)と同時実行100の上限、API権限の分け方を、公式の仕様で整理しました。
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この記事の要点
- kintone が公式に用意している外向きの入口は Webhook と REST API で、LINE とは受け口(または連携サービス)を挟んでつなぐ。作る流れは3つ:LINE の問い合わせをレコードにする(起票)、担当者の進み具合を LINE に返す、LINE のユーザーIDをレコードに持つ。プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作のどれでも、この3つのどこまでを任せるかが選ぶ軸になる。
- 本番で使うなら kintone はスタンダードコース以上で、ライトコースは Webhook も API トークンも使えない。無料で試せるのは、kintone の30日のお試しと12か月の開発者ライセンス、LINE のコミュニケーションプラン(月200通)まで。進み具合の通知はプッシュメッセージで、通数に数えられる。
- 詰まりやすいのは3か所。同じ問い合わせが2件できる(受付イベントIDを重複禁止の項目に持つ)、通知が届かない(kintone の Webhook は1分60回を超えると送られない。通知済みの印を持って拾い直す)、エラーで落ちる(REST API は1ドメイン100の同時実行を超えると429で、同じドメインの他のアプリも巻き込む)。
LINE と kintone のあいだに受け口を置く:何が、どの向きで流れるか
両端のシステムは直接話さない。結ぶのは LINE のユーザーID(問い合わせレコードに持つ)。
向きによって使う仕組みが違う:LINE → 受け口は LINE の Webhook、受け口 → kintone は REST API、kintone → 受け口は kintone の Webhook、受け口 → LINE は Messaging API
出典:LINE Developers「メッセージ(Webhook)を受信する」、kintone ヘルプ「Webhookを設定する」、cybozu developer network「1件のレコードを登録する」。2026年10月6日確認
kintone と LINE をつなぐ、と言ったときに作るものは3つです。LINE で受けた問い合わせをレコードにする「起票」、担当者が進めた状況を LINE に返す「進み具合の通知」、その2つを同じお客様に向けるための「LINE ユーザーIDの持ち方」。プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作のどれを選んでも、この3つのどこまでを任せられるかが違うだけで、中身は同じです。
プラグインや連携サービスで済むかは、まず公式の一覧で見られます。サイボウズの「プラグイン・連携サービス」の一覧には、LINE 公式アカウントと kintone をつなぐ製品が載っています。たとえば KUZEN for kintoneのページは、kintone の顧客属性での配信と、LINE で取得した回答や行動履歴の kintone への連携を挙げ、価格は個別見積りとしています。どの製品でも、上の図の4本の矢印のうち、どれを受け持つかを先に確かめます。
「LINE WORKS と kintone」は別の話です。LINE WORKS は社内向けのチャットで、kintone とつなぐ製品は、LINE WORKS の連携ソリューションに Joboco・Smart at message for kintone・LITONE for チャットボットなどが載っています。このうち Smart at message for kintone は、提供会社がLINE公式アカウントにも対応したと案内しています(製品ページの連携先には LINE WORKS と LINE が並びます)。お客様の LINE 公式アカウントとつなぐのがこの記事の対象で、社内の通知や日報は「LINE Works × kintone連携ガイド」と「LINE WORKS と LINE の連携」を見てください。
3つの流れは、起票→担当者が進める→進み具合を返す、の順に動く
お客様が LINE にメッセージを送ってから、進み具合が LINE に戻るまでを、順に並べます。受け口の役目は、LINE から届いたものを失わずに保存して kintone に渡すことと、kintone の通知を LINE に渡すことです。受け口の作り方(署名の検証、イベントの保存、200を返す、重複の除去、失敗したときの再試行)は「LINE × Slack連携」にまとめたので、ここでは kintone との間だけを扱います。
お客様のメッセージから、進み具合が LINE に戻るまで
強調したのが、kintone に書き込む・kintone で操作する2か所。前半の3つは LINE から kintone へ、後半の3つは kintone から LINE へ向かう。
受け口の順番は「LINE × Slack連携」に合わせた。段の分け方は当社の整理
LINE のユーザーIDは、問い合わせのレコードに持つ
LINE から届くイベントには、送ったお客様のユーザーIDが入っています。形は U に英数字32字が続く33文字で、表示名や LINE ID とは別の値です(ユーザーIDを取得する)。進み具合を返すときは、このIDを宛先にプッシュメッセージを送るので、起票のときに問い合わせのレコードへ持たせておきます。同じお客様が何度も問い合わせるので、このIDの項目は重複を許します。
ユーザーIDは、同じお客様でもプロバイダーごとに別の値になります。連携サービスが別のプロバイダーのチャネルを使うと、自社の LINE ログインや他のシステムのIDと合いません(「Salesforce と LINE をつなぐ」)。また、プロフィール情報の取得に同意していないユーザー(PC版の LINE だけを使っているユーザー)からの Webhook には、ユーザーIDが含まれません(プロフィール情報取得の同意)。この人たちへは、プッシュで進み具合を返せません。
プラグイン・連携サービス・iPaaS・自作:保守する人と、IDの置き場で選ぶ
3つのつなぎ方を、誰が保守するかで比べる
どれでも、上の図の4本の矢印のどれを受け持つかが先。LINE の Webhook の送信先は1つだけ。
連携サービス・プラグイン
kintone の連携サービス一覧にある製品
- 保守:提供会社
- 価格:各社の見積りか公開ページ(KUZEN for kintone は個別見積り)
- kintone 側の前提:スタンダードコース以上(プラグインなどの拡張機能はライトコースに無い)
先に確かめる:起票先のフィールドを自社で決められるか。LINE の Messaging API チャネルは自社のものを使うか
iPaaS(Zapier・Power Automate など)
ノーコードのフロー
- 保守:自社でフローを管理
- kintone → 外部は、kintone の Webhook の送信先に指定できる(ヘルプが Zapier・Power Automate・IFTTT を挙げている)
- 外部 → kintone は、各ツールの kintone 用の部品か REST API
分かれ目:LINE の署名を検証できるか。同じイベントの重複を除けるか
自作(受け口+REST API)
サーバーレス・自社サーバー
- 保守:自社
- 受け口の順番も、フィールドの持ち方も、すべて自分で決める
- kintone の同時実行100と Webhook の1分60回は、自分で守る
向く場面:LINE のIDと自社のデータを、細かく結びたいとき
出典:kintone ヘルプ「Webhookを設定する」、サイボウズプラグイン・連携サービス・料金、LINE Developers「ボットを作成する」。2026年10月6日確認
最後の注記が、選ぶときの落とし穴になります。LINE の Webhook の送信先に設定できるのは1つだけです(ボットを作成する)。すでに配信ツールなどがその URL を使っているチャネルに、kintone 用の受け口をもう1つ足すことはできません。足すなら、いまの送信先から受け口へ転送してもらうか、同じ受け口に統合します。
ノーコードで、どこまで作れるか
kintone → 外部は、ノーコードで組めます。kintone のヘルプは、Webhook の送信先に Zapier・Microsoft Power Automate・IFTTT などを指定して、レコードの追加やステータスの更新を外部サービスに渡す設定を案内しています(Webhookを設定する)。kintone → 外部の向きは、プラグインに頼らなくても組めます。
外部 → kintone、つまり LINE から起票する側は、LINE の署名の検証と、重複の除去が要ります。ノーコードのツールでこの2つを作れるかは、ツールごとに違います。作れないときは、署名の検証と保存だけを受け口に任せ、その後ろをノーコードのフローに渡す形にします。
無料で試せる範囲と、本番の前提
| 項目 | 無料で使える範囲 | 本番で変わること |
|---|---|---|
| kintone | 30日間のお試し(スタンダードコース、ユーザー数の制限なし)。開発者ライセンス:12か月無料、スタンダードコース相当、ユーザー5人、本番の運用には使えない | ライトコースは Webhook と API トークンが使えない。スタンダードコースは月額1,800円(税別)/1ユーザーで、最小10ユーザー(月額18,000円(税別)から)。ライトコースからスタンダードコースに上げるときは、その時点で契約を10ユーザー以上にする |
| LINE | コミュニケーションプランは月額0円で、無料メッセージは200通。応答メッセージは通数に数えない | プッシュは通数に数える。追加メッセージを送れるのはスタンダードプランだけで、20万通までは1通3円、超えた分は2.5円(税別) |
| 受け口 | 置き場所(サーバーレス・自社サーバー)の料金は、それぞれの提供元の料金 | — |
本番では、kintone のコースで使える機能が変わります。料金ページは、外部サービス連携・プラグインなどの拡張機能をスタンダードコース以上の機能として並べ、1アプリごとの1日の API リクエスト数をスタンダードコースで1万、ワイドコースで10万としています(kintone 料金)。ライトコースの契約では、Webhook も API トークンも使えません(Webhookを設定する、APIトークンを生成する)。開発者ライセンスは、API の動作確認をする場所で、問い合わせを受ける本番の環境ではありません(kintone 開発者ライセンス)。LINE のコミュニケーションプランなどの内容は、LINE公式アカウントの料金プランにあります。
最小ユーザー数は、2024年10月以降の新しい契約から5ではなく10になりました。月額サービスで10ユーザー未満のまま契約している既存のお客様は、ユーザー数やコースを変えなければ2026年10月末まで契約した人数の料金で使え、2026年11月分(11月1日請求)から10ユーザーに自動で切り替わります。ユーザー数やコースを変えるときは、変更の時点で10ユーザー以上が必要です。ライトコースの10ユーザー未満の契約から、Webhook や API トークンを使えるスタンダードコースに上げるときも同じです(サイボウズ「クラウドサービスの価格改定に関するご案内」)。LINE 側は、2026年10月1日に追加メッセージの料金が改定されました(LINEヤフー for Business のお知らせ)。
kintone のアプリ:どのフィールドに何を入れ、誰が書くか
問い合わせを受けるアプリは、1つの問い合わせを1つのレコードにします。フィールドは、受け口が書くもの、担当者が書くもの、受け口が書き戻すものの3つに分けておくと、あとで「誰が書き換えたか」で迷いません。
問い合わせアプリのフィールドを、書く人で分ける
受付番号は、kintone のレコード番号をそのまま使える。
受け口が書く
LINE から届いたもの
- 受付イベントID(重複禁止)
- LINE ユーザーID
- 問い合わせ本文・受信日時
- 添付ファイル(画像など)
書くとき:起票のときに1回。担当者は書き換えない
担当者が書く
kintone のレコード画面
- ステータス(プロセス管理のアクションボタン)
- 作業者
- 問い合わせ種別
- 対応メモ(お客様に送らない)
ポイント:ステータスを変えると、お客様に通知が行く
受け口が書き戻す
通知のあと
- 通知済みのステータス(最後に LINE へ返したもの)
- LINE で連絡できるか(友だち・ブロック)
役目:通知の取りこぼしを拾い直す目印にする
重複禁止の設定はkintone ヘルプ「文字列(1行)」による。2026年10月6日確認
フィールドの型と、入れる値(表)
| フィールド | 型 | 入れる値 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 受付イベントID | 文字列(1行)・値の重複を禁止 | Webhook の webhookEventId | 重複を禁止した項目は、同じ値を複数のレコードに入れられない。入力できるのは最大64文字まで |
| LINE ユーザーID | 文字列(1行) | Webhook の source の userId(33文字) | 1人が何度も問い合わせるので、重複は許す |
| 問い合わせ本文 | 文字列(複数行) | message.text | テキストは、受信したあとに取り直すためのAPIが無い。受け口で受けた時点で保存する |
| 受信日時 | 日時 | イベントの timestamp | 再送で順番が前後しても、この値で順序を確かめられる |
| 添付 | 添付ファイル | 画像・動画・音声・ファイル | 下で扱う |
| ステータス・作業者 | プロセス管理 | 担当者がアクションで進める | API でレコードを登録するとき、ステータスと作業者には値を入れられない |
| 通知済みのステータス | 文字列(1行) | 最後に LINE へ返したステータス名 | Webhook の取りこぼしを拾う目印 |
| LINE で連絡できるか | ドロップダウン | follow/unfollow イベント | 受け口が、そのユーザーの未完了のレコードを検索して書く。ブロック後はプッシュが届かず、通数にも数えられない |
API でレコードを登録するときは、存在しないフィールドコードを指定しても、そのフィールドが無視されるだけで、レコードは登録されます(1件のレコードを登録する)。フィールドコードを打ち間違えても、エラーにはなりません。登録のあとにレコードを取り直して、入るはずの値が入っているかを確かめる処理を、最初のテストに入れておくと安全です。
画像は、受けたその場で kintone に入れる
LINE で受けた画像・動画・音声・ファイルは、メッセージIDを使って取得できます。ただし、一定期間後に自動で削除され、保存期間は保証されません(コンテンツを取得する)。kintone に入れるときは、ファイルをアップロードするAPIで一時保管領域に置き、返ってきたファイルキーを、レコードの登録のときに添付ファイルフィールドの値にします。アップロードしたファイルは、レコードなどに添付しないと3日間で削除されます(ファイルをアップロードする、制限値一覧)。取得とアップロードと登録は、続けて行います。
1人が続けて送ったら、新しいレコードか、コメントか
メッセージのたびにレコードを作ると、1つの相談が何件にも割れます。当社なら、そのお客様の未完了のレコードがあるときは、既存のレコードにコメントで追記し、無いときだけ新しく起票します。未完了のレコードを探すには、アプリの閲覧権限が要ります。重複禁止はレコードの項目に付ける設定で、コメントには使えないので、コメントの二重投稿は、受け口の保存側で webhookEventId の処理済みを持って防ぎます(「LINE × Slack連携」)。コメントは、レコードコメントを投稿するAPIで入れられます。最大65,535文字で、アプリとレコードの閲覧権限が要ります(レコードにコメントを投稿する)。未完了かどうかは、ステータスで見分けます。
既存の顧客アプリと結ぶ
顧客を管理するアプリが別にあるときは、問い合わせアプリの顧客欄を、ルックアップで顧客アプリに結ぶ形があります。API でルックアップのコピー元の値を持ってきて登録するには、リクエストに両方のアプリの API トークンを指定します。1回のリクエストで指定できるトークンは9個までです(kintone REST APIの認証)。LINE のIDと顧客IDを、お客様のログインで結ぶ方法は、アカウント連携で作れます。連携トークンは10分間有効で1回しか使えません(ユーザーアカウントの連携)。Salesforce に置き換えた場合の流れは「LINEで受けた問い合わせを Salesforce のリードにする」にあります。
kintone の進み具合を LINE に返す:Webhook でステータスを受けて、プッシュで送る
進み具合を返す仕組みは、kintone の Webhook です。アプリの設定の「Webhook」で、送信先の URL と「通知を送信する条件」を設定し、「アプリを更新」で反映します。条件は、レコードの追加・編集・削除、コメントの書き込み、ステータスの更新から選びます。ブラウザーの操作だけでなく、REST API による操作でも通知されます(Webhookを設定する、Webhookを使ってみよう)。
ここで、条件は「ステータスの更新」だけにします。受け口が REST API でレコードを追加したり、通知済みの項目を書き戻したりしたときも、条件に「レコードの追加」「レコードの編集」が入っていると、受け口に通知が戻ってきて、ループになるためです。送信先の URL は、ヘルプの手順で、先頭の「https://」を除いて入れます。最大1,024文字、説明は64文字までで、1つのアプリに設定できる Webhook は10個までです。
届く通知は JSON で、ステータスを変えたときは type が UPDATE_STATUS、レコードの内容(record)、アプリのID(app.id)、レコードのタイトルとURL、通知ごとに付く固有のIDが入っています(kintoneの操作で送信されるWebhookの通知内容)。公式の一覧に、署名にあたる項目はありません。署名が無いので、届いた通知の中身をそのまま信じると、偽の通知でお客様に誤った進み具合を送りかねません。受け口は、通知の record は使わず、app.id と record のIDだけを受け取り、REST API でそのレコードを取り直して、現在のステータスを確かめてから送ります。送信先の URL に、推測されにくい文字列を含めておくのも有効です。取り直しは、あとの「拾い直し」と同じ手順にできます。
ステータスを、お客様に送る文面に変える
kintone のステータス名は、社内の言葉です。そのまま LINE に流さず、受け口で「ステータス名 → お客様向けの文面」の対応表を持ちます。表に無いステータスは、送りません。社内の差し戻しや保留が、お客様に届かないようにするためです。コメントの書き込み(ADD_RECORD_COMMENT)も、社内のやり取りが混ざるので、自動では転送しません。
| ステータス(例) | LINE に返す内容(例) | 送る手段 |
|---|---|---|
| 未対応(起票した直後) | 受け付けたことと、受付番号 | 応答メッセージ。応答トークンは Webhook を受けてから1分以内に使う。過ぎたらプッシュ |
| 対応中 | 担当が決まり、確認を始めたこと | プッシュメッセージ |
| 完了 | 結果、または次の案内 | プッシュメッセージ |
| 社内確認・保留など | 送らない | — |
返す手段で、通数が変わります。応答メッセージは通数に数えず、プッシュは数えます(Messaging APIの料金)。応答トークンは一度しか使えず、Webhook を受信してから1分以内に使う必要があります(Messaging API リファレンス)。進み具合は担当者が動いたときに送るので、ほぼプッシュです。たとえば1件の問い合わせで通知を3回送るなら、月200通の無料枠は66件ぶんで尽きます(試算。200 ÷ 3 ≒ 66)。コミュニケーションプランは、無料枠を超える追加メッセージを送れません(LINE公式アカウントの料金プラン)。通知の回数は、問い合わせの数から逆算して決めます。
お客様が LINE の画面を見るだけで進み具合が分かるようにするには、ユーザー単位のリッチメニューを使う手もあります。ユーザーごとに別のメニューを結べて、デフォルトより優先され、トーク画面に入り直さなくても即時に切り替わります(ユーザー単位のリッチメニューを使う)。
この「受け付けた」「準備できた」の通知がどう見えるかは、当社の公開デモ「モバイルオーダー」(架空の店舗・データ)で、注文から「できあがり」の通知までを操作して確かめられます。会員台帳と Messaging API のつなぎ方は「LINE×CRM連携」にあります。
kintone の Webhook は、取りこぼす前提で組む
kintone の Webhook は、ドメイン単位で1分間に60回までしか送られず、61回目以降の操作では通知が送られません(Webhookを設定する)。Excel や CSV の読み込み、複数のレコードの一括削除、複数のレコードを一括操作する REST API で操作した場合も、通知は送られません。通知に失敗する原因は、60回超えのほかに、通知のデータが1MBを超えた、kintone のタイムアウト、受け口側の停止やタイムアウトが挙がっています。実行ログで見られるのは、Webhook の設定ごとに直近10件までです(Webhookの実行ログを確認する)。
この性質のため、通知だけを頼りにすると、返したつもりの進み具合が届いていない状態が静かに起きます。受け口が LINE に返したあと、レコードの「通知済みのステータス」を、返したステータス名に更新しておきます。定期的に、現在のステータスと通知済みのステータスが食い違っているレコードを探し、食い違っていれば、同じ手順で送り直します。一括操作で通知が出なかったレコードも、同じ方法で拾えます。
通知の取りこぼしを、拾い直す
通知済みの印が、2つを同じ形にそろえる。
通常
kintone の Webhook
- ステータスが変わると、受け口に通知が届く
- 受け口が LINE にプッシュを送る
- 送れたら、通知済みのステータスを更新する
件数の上限:ドメインで1分60回
拾い直し
受け口の定期ジョブ
- 現在のステータスと通知済みを比べる
- 食い違うレコードに、同じ送り方で通知する
- 送れたら、通知済みを更新する
取りこぼす場面:1分60回の超過、一括操作、受け口の停止
出典:kintone ヘルプ「Webhookを設定する」・「Webhookの実行ログを確認する」。2026年10月6日確認
うまく動かないとき:同じ問い合わせが2件、通知が来ない、エラーで落ちる
運用で出る問題は、大きく3つに分かれます。症状ごとに、まず見る場所があります。
症状ごとに、見る場所と直し方
受け口の順番(保存してから処理する)が、どの症状でも土台になる。
同じ問い合わせが2件できた
起票側
- 受付イベントIDの項目が、重複禁止になっているか
- 再送や、受け口のやり直しで、同じイベントを2度書いていないか
直し方:重複禁止の項目に webhookEventId を入れる。同じ値は2つのレコードに入れられないので、2度目は通らない。通らなかったときは、読み取り用のトークンで同じ値のレコードを検索し、あれば処理済みとして扱う
通知が LINE に届かない
進み具合の側
- Webhook の実行ログ(直近10件)に成功・失敗が出ているか
- 1分60回を超えていないか、一括操作ではなかったか
- そのお客様がブロックしていないか
直し方:通知済みのステータスで拾い直す。ブロック中は、別の手段で連絡する
API がエラーで落ちる
REST API
- 同時実行が1ドメイン100を超えて、429が返っていないか
- 日の上限を超えていないか
- 認証(トークンの権限・IP制限)
直し方:受け口が同時に送る数を絞り、429のときは待って、保存したイベントからやり直す
出典:kintone ヘルプ「制限値一覧」・「Webhookの実行ログを確認する」・「文字列(1行)」、cybozu developer network「kintoneの性能Vol.2」。2026年10月6日確認
同時実行は、ドメイン全体で100
kintone の REST API の同時実行は、1つのドメインにつき100までで、上限を超えると HTTP ステータスコード429が返ります(制限値一覧)。100という上限は、カスタマイズや連携の REST API にかかるものです。性能の目安としての「同時リクエスト数」には、ユーザーの画面操作も含まれるので、人が多く使う時間帯は、REST API の処理も遅くなります。上限を超えたときは、原因になったアプリだけでなく、ドメイン全体で REST API のリクエストがエラーになります(kintoneの性能Vol.2)。LINE の一斉配信のあとに返信が集中しても、社内の他の業務アプリが道連れで止まらないよう、受け口が kintone に出す数は小さな値に絞ります。
一度に登録できるレコードは100件までで、処理に失敗すると、そのリクエストの登録はすべてキャンセルされます(複数のレコードを登録する)。受付イベントIDを重複禁止にしていると、すでに登録済みの1件が混ざっただけで、100件の登録全体が取り消されます。1件ずつ登録するか、重複を先に除いてからまとめる形にします。
1日の上限は、超えてもエラーにはならない
1日に実行できる API リクエスト数は、契約するコースで決まります(スタンダードコースは1アプリ1日1万、ワイドコースは10万)。数えるのは、リクエストで単一のアプリIDを指定する API で、bulkRequest で複数の API を動かしたときは、動かした API の数だけ数えます。リセットは日本時間の毎日午前9時です(制限値一覧、料金)。上限を超えても、リクエストの実行はエラーになりません。翌日の午前9時ごろに、サイボウズドットコムストアの管理者宛てに警告メールが届きます(kintoneの性能Vol.2)。
1件の問い合わせで通知を3回送るなら、API は、起票1回と、通知ごとの取り直し1回・通知済みの更新1回で、合わせて7回です。1万回は約1,400件ぶんです(試算。1 + (1 + 1) × 3 = 7、10,000 ÷ 7 ≒ 1,428)。重複の検索や拾い直しの取得は、この数に入っていません。
kintone 側の権限:連携用のトークンを、用途ごとに分ける
受け口が kintone に入るときの鍵は、API トークンが基本です。アプリごとに生成し、1つのアプリにつき20個まで作れます。生成したトークンには、許可する操作を選びます。ここで設定したアクセス権は、アプリ・レコード・フィールドのアクセス権の設定に関わらず、優先されます(APIトークンを生成する)。つまり、トークンの権限が、そのままアプリ全体への権限になります。
そこで、用途ごとにトークンを分けます。この記事の設計が使う操作は3種類です。起票(レコードの追加)、読み取り(同じ値のレコードの検索、未完了のレコードの検索、コメントの投稿、通知を受けたあとのレコードの取り直し)、書き戻し(通知済みのステータスの更新)。登録には、アプリのレコード追加権限と、値を入れるフィールドの編集権限が要り(1件のレコードを登録する)、更新にはレコードの編集権限が(1件のレコードを更新する)、コメントの投稿にはアプリとレコードの閲覧権限が要ります(レコードにコメントを投稿する)。そのため、トークンは3つにします。
| トークン | 許可する操作 | 使う場面 | 漏れたときに起きうること |
|---|---|---|---|
| 起票用 | レコードの追加 | 問い合わせの起票 | 偽の問い合わせが入る。既存のレコードは読めない |
| 読み取り用 | レコードの閲覧 | 重複の検索、未完了の検索、コメントの投稿、通知後の取り直し | アプリのレコードがすべて読める。3つの中でいちばん重い |
| 書き戻し用 | レコードの編集 | 通知済みのステータスなどの更新 | 既存のレコードを書き換えられる |
3つに分けても、「漏れても読めない」にはなりません。読める鍵を読み取り用の1つに絞れるだけです。読み取り用は、受け口の中でも読み取りの処理だけが持つようにして、置き場所の秘密情報の管理に入れます。重複の確認を「起票を断られたら処理済みとして扱う」だけにすれば、起票用だけでも動きますが、断られた理由が重複とは限らないので、検索で確かめる形を勧めます。トークンのアクセス権は、アプリ全体にかかります。APIトークンを使った操作は、kintone では Administrator による操作として扱われます(kintone REST APIの認証)。
ユーザーの権限で動かしたいときは、連携用のユーザーを作り、パスワード認証にします。2要素認証を有効にしたユーザーは、パスワード認証で REST API を実行できません。公式は、2要素認証を無効にした連携用ユーザーを用意するよう案内しています。ドメインに IP アドレス制限がある場合は、受け口の IP アドレスを許可するか、Basic 認証・クライアント証明書で実行します(同じページ)。
誰が、どの画面で、何を設定するか
設定する画面は5つ。1人が複数を持つことも多いが、画面ごとに権限が違う。
画面名は、LINE Developers と kintone・cybozu.com のヘルプに合わせた。受け口の詳細は「LINE × Slack連携」へ。2026年10月6日確認
操作の記録は、cybozu.com共通管理者が監査ログで確認できます。Webhook の実行ログは、設定ごとに直近10件までなので、それより古い通知は監査ログで見ます(Webhookの実行ログを確認する)。受け口の側にも、受け取ったイベントのIDと処理の結果を残しておくと、お客様から「返事が来ない」と言われたときに、どこで止まったかを順にたどれます。
kintone と LINE のつなぎ方や、受け口の作り方、kintone の側のアプリの設計は、LINE運用・伴走支援のページから相談できます。kintone のアプリの開発は、業務ツール開発のページも見てください。
LINE運用・伴走支援
LINE公式アカウントの友だち獲得の設計、セグメント配信・ステップ配信・リッチメニューの構築、自動応答、CRM/MAや基幹データとの連携までを支援します。
