【比較】HubSpotとSalesforceの違いは?CRMの5つの壁と使い分け本音レビュー

HubSpotとSalesforceの違いをCRMの5つの壁の観点から本音レビュー。使い分けと選定の論点を比較形式で整理します。

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【プロのHubSpot本音レビュー】使いやすさNo.1の裏に潜む「5つの壁」と、Salesforceとの正しい使い分け

こんにちは。Aurant Technologiesです。

現場のリアルな実体験に基づき、有名SaaS製品の「本当のところ」を忖度なしで解説する本音レビューシリーズ。第1回の「kintone」、第2回の「Salesforce」、第3回の「Notion」に続き、第4回は世界中で導入が急増しているCRMプラットフォーム、「HubSpot(ハブスポット)」を取り上げます。

「マーケティングと営業のデータが分断されている」
「Salesforceを導入したけれど、画面が難しくて現場が入力してくれない」

このような課題を抱える企業にとって、HubSpotは有力な選択肢として注目されています。

しかし、システム全体のアーキテクチャを設計するプロの視点から見ると、HubSpotにも当然「得意なこと」と「苦手なこと」が存在します。特に、日本の複雑なBtoBの商習慣にそのまま当てはめようとすると、思わぬ壁に直面することがあります。

本日は、HubSpotの大きなメリットと、導入時に必ず直面する「5つの壁(制約)」、そしてSalesforceや他システムとの最適な使い分けについて解説します。

1. HubSpotの強み:直感的なUIとマーケから営業・CSまでを一体で扱える設計による顧客体験の統合

結論から言うと、HubSpotは「マーケティングから営業、カスタマーサポートまでのデータを一つの画面でシームレスに管理し、インバウンドマーケティングを加速させるツール」としては、世界でも評価の高いプロダクトの一つです。

マーケティングと営業が「同じデータベース」を見る強み

Salesforceの場合、MAツール(Pardot等)とCRM(Sales Cloud)は本来別のシステムであり、それらを「連携」させて使います。一方のHubSpotは、最初から一つのデータベースの上にMarketing Hub(マーケティング)、Sales Hub(営業)、Service Hub(顧客対応)が乗っている構造です。そのため連携エラーが起きにくく、マーケティングが獲得した見込み客のWeb閲覧履歴から、営業の商談記録、購入後のサポート履歴まで、顧客のタイムラインを誰でも一目で確認できます。

現場に定着しやすいUI/UX

システムの定着において、入力画面の使いやすさは命です。HubSpotは直感的でモダンなインターフェースを採用しており、マニュアルがなくても現場の担当者がすぐに使いこなせる設計になっています。Salesforceの複雑な画面に挫折した企業が、HubSpotに乗り換えてデータ入力が進みやすくなったというケースは珍しくありません。

インバウンドマーケティング向けの機能が揃っている

ブログの作成、LP(ランディングページ)の構築、SEO対策のアドバイス機能、Webチャットボットなどが標準で備わっており、見込み客をWebサイトに集めて育成する「インバウンドマーケティング」の基盤としては、他ツールと比べて差がつきやすい構成になっています。

2. 【事例】HubSpot導入で何が変わるか?

私たちが支援した、あるBtoBのSaaS企業の事例をご紹介します。

・【Before(課題)】 マーケティング部門は別のMAツールを使い、営業部門はExcelで顧客管理をしていました。マーケティングが獲得したリードを営業に渡しても、「この客はどんな課題を持っているのか」が伝わっておらず、的外れなヒアリングから始まり失注するケースが多発していました。

・【After(HubSpot導入後)】 HubSpotでマーケと営業のデータを統合。営業担当者は、商談前に顧客が「自社のどのブログ記事を読み、料金ページを何回見たか」をHubSpotのタイムラインで確認できるようになりました。これにより、顧客の関心事にピンポイントで刺さる提案が可能になり、商談化率と成約率が大幅に向上しました。

このように、マーケティングと営業の壁を壊し、顧客体験を滑らかにする点において、HubSpotは非常に高い効果を発揮します。

3. 導入前に知っておくべきHubSpotの「5つの壁」と「打開策」

しかし、企業が成長し、商流やバックオフィス業務が複雑になってくると、HubSpotの「手軽さ」が逆に足かせになる場面が出てきます。

実務で必ず直面する、HubSpotの「制約(壁)」と、プロが実践する打開策を5つ紹介します。

制約①:多階層・複雑なBtoB商習慣(データ構造)の壁

HubSpotのデータモデルは、「コンタクト(個人)」と「会社(企業)」、そして「取引(商談)」が基本です。非常にシンプルで分かりやすい反面、日本のBtoBビジネスでよくある「親会社と子会社が分かれている」「代理店を経由してエンドユーザーに販売する」「請求先と納品先が違う」といった複雑なリレーション(多階層のデータ構造)を表現するのが非常に苦手です。

カスタムオブジェクト機能を利用して拡張することは可能ですが、Salesforceのような強力なRDB(リレーショナルデータベース)としての柔軟性には及ばず、無理に組むとシステムが破綻しやすくなります。

【プロの打開策】 販売チャネルが複雑な大企業や、高度なテーブル結合が必要なビジネスモデルの場合は、顧客データを管理する「コア基盤」としてSalesforceや独自のWebAPPを採用します。そして、HubSpotのすべての機能を無理に使うのではなく、あくまで「他の基盤に加えたメール配信・MAツール」として割り切ってフロントエンドに特化させ、両者を連携させるハイブリッドなアーキテクチャを強く推奨しています。

制約②:日本特有の「複雑な見積書・帳票作成」の壁

HubSpotには標準で見積書作成機能がありますが、フォーマットが決まっており柔軟性に欠けます。建設業の多階層な積算見積もりや、製造業の部品構成表(BOM)を伴う見積もり、あるいは日本の商習慣特有の「細かい値引き表記」などをHubSpot上で実現しようとすると、ほぼ不可能です。

【プロの打開策】 見積書や請求書の発行など、複雑な演算や帳票出力が必要なバックオフィス業務はHubSpotに持たせません。独自の「WebAPP」を開発してHubSpotとAPIで連携させるか、kintoneなどの帳票出力が得意なツールに処理を逃がす切り分けを行います。

制約③:コンタクト数課金による「ランニングコスト肥大化」の壁

HubSpotのMarketing Hubは、「マーケティングコンタクト数(メール等を送る対象となるリードの数)」に応じて月額費用が従量で課金される料金体系です。マーケティングが成功してリードが数万件、数十万件と増えていくと、あるタイミングでシステムのランニングコストが急激に上がります。

【プロの打開策】 すべてのリードを漫然とHubSpotに貯め続けるのは危険です。エラーメールや何年も反応がない休眠顧客(ゴミデータ)を定期的にクレンジングし、マーケティングコンタクトから除外する運用ルールを組み込みます。また、顧客情報のマスター(基盤)自体は自社開発のWebAPPなどに逃がし、HubSpotは「今アプローチすべきアクティブな顧客リストへのメール配信機能」としてのみ利用することで、コストを抑えやすくなります。

制約④:大規模組織における「権限管理・ガバナンス」の壁

スタートアップや数十名規模の組織であれば、HubSpotのシンプルな権限設定で十分です。しかし、数百名を超える組織で「この部署にはこのフィールドは見せるが編集はさせない」「この役職以上だけがこの数字を見られる」といった、極めて緻密なプロファイル単位・項目レベルのアクセス権限(セキュリティ)を設定しようとすると、Salesforceに比べて設定の粒度が粗く、ガバナンスを効かせきれない場面があります。

【プロの打開策】 厳格なアクセス制御や監査対応(SOC1等)が求められるエンタープライズ企業の場合、やはり基幹となるCRMにはSalesforceを選択するのが安全です。

制約⑤:バックオフィス(会計システム)連携の壁

HubSpotはあくまでフロントエンド(マーケ・営業・CS)のツールです。商談が「クローズ(受注)」になった後の、会計システム(freeeや勘定奉行など)との連携や、継続的な入金消込といった裏側の業務をカバーするのには向いていません。

【プロの打開策】 バックオフィスの自動化(Quote to Cash)においては、HubSpotの取引データをAPI経由で会計ソフトや自社の請求管理システム(WebAPP等)へ確実に引き渡す「データ連携基盤」の構築が必須となります。

まとめ:他ツールとの比較と、プロの「おすすめ度」総評

HubSpotは、インバウンドマーケティングを軸に急成長を目指す企業や、Salesforceの複雑さに疲弊してしまった現場にとって、とても使いやすく、現場で活かしやすいツールになり得ます。

しかし、「商流が複雑な企業」や「厳密な権限管理が必要な大企業」が、すべての業務をHubSpotだけで完結させようとすると、機能の壁にぶつかります。自社のビジネスの複雑さを見極め、適切なツールと組み合わせることが成功の鍵です。

HubSpotはすべてを任せる万能ツールとしてではなく、強固な顧客基盤(SalesforceやWebAPP)に対する「加えて使うメール配信・MAエンジン」としてスポット活用した時、費用対効果を出しやすいケースが多いです。

【総評】主要業務ツールの「おすすめ度」と適正

  • HubSpot(ハブスポット)
    総合おすすめ度: ⭐️⭐️⭐️⭐️
    特定の条件: 複雑な商流(代理店販売や多階層管理)を持つ企業、または高度な権限管理が必要な大企業が全社基盤として利用する場合は ⭐️⭐️⭐️
    総評: 使いやすさとマーケティング・営業の連携(オールインワン)においては、市場で評価の高いCRMの一つです。現場への定着率が高く、マーケティング主導で売上を伸ばすフェーズの企業に向いています。ただし、複雑なデータ構造やバックオフィス業務への拡張性には限界があるため、「他の基盤と組み合わせたメール配信・MAツール」としての利用が現実的な最適解となるケースが多くあります。
  • Salesforce(セールスフォース)
    総合おすすめ度: ⭐️⭐️⭐️⭐️(高度なマーケティング・大企業向けは ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️)
    総評: 世界でもトップクラスのCRM基盤。複雑なデータ処理や強力な連携が可能ですが、ライセンス費用や構築の難易度が高いため事業フェーズを選びます。HubSpotのMA機能とSalesforceのCRM機能を連携させるハイブリッド構成も強力です。
  • Notion(ノーション)
    総合おすすめ度: ⭐️⭐️⭐️(小規模組織での簡易利用なら ⭐️⭐️⭐️⭐️)
    総評: ドキュメント管理やプロジェクト管理としては非常に優れていますが、本格的なデータベース(CRM/ERPの代替)としては不向きです。
  • kintone(キントーン)
    総合おすすめ度: ⭐️⭐️⭐️⭐️(UIにこだわる場合などは ⭐️⭐️⭐️)
    総評: 脱Excelの第一歩として、社内の業務フローを「標準化」するなら優れたコストパフォーマンスを発揮します。
  • 独自WebAPP開発(自社開発)
    総合おすすめ度: ⭐️4.5(高度なセキュリティ要件がある場合は ⭐️⭐️⭐️⭐️)
    総評: 既存SaaSのアカウント課金や機能の限界を突破できる選択肢。複雑な見積作成や外部パートナー向けのポータルなど、HubSpotの手が届かない領域を補完するのに向いています。
  • Google Workspace(グーグルワークスペース)
    総合おすすめ度: ⭐️⭐️⭐️
    総評: メールのインフラや基本的なファイル管理としては必須級ですが、これ単体で複雑な業務フローを自動化するには限界があります。

最後に:ツールの「適材適所」を見極める

導入を成功させる鍵は、「自社のビジネスフェーズにおいて、どのツールの特性が最もフィットするか(適材適所)」を冷静に設計することです。

「HubSpotかSalesforceか、自社に合う方がわからない」
「HubSpotを入れたが、複雑な見積もりやバックオフィス連携でつまずいている」
「リードが増えてHubSpotの利用料が高騰している」

もし、こうしたシステム選定の壁にぶつかっていらっしゃるなら、ぜひ一度ご相談ください。私たちは特定のツールを売り込む代理店ではないため、フラットな視点で貴社に最適な全体アーキテクチャをご提案します。

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aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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