SAP S/4HANA 移行完全ガイド 2026:ECC 6.0 からのモダナイゼーション戦略と RISE with SAP
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SAP ECC 6.0 を使う企業にとって、S/4HANA への移行は避けて通れないテーマです。ただし「2025年問題」「2027年問題」といった呼び方が混在し、いつまでに何をすべきかが分かりにくくなっています。本記事では、ECC 6.0 の保守期限の正確な内容、新規ライセンス販売をめぐる状況、そして Greenfield・Brownfield・Bluefield という移行3方式の選び分けを整理します。
2027年・2030年という期限の正確な理解
まず押さえるべきは保守期限です。SAP ECC 6.0 の標準保守(メインストリームメンテナンス)は2027年末に終了します。これはかつて2025年末とされていた期限が2年延長されたものです。さらに、保守基準料金に2%を追加する延長保守(カスタマースペシフィックメンテナンス相当)を使えば、2030年末まで保守を受けられます(EhP6以上の導入が条件)。
つまり「2027年に必ず止まる」わけではなく、追加費用を払えば2030年まで猶予がある、というのが正確な姿です。とはいえ、保守が続くこととシステムが時代に合っていることは別問題で、延長は移行の準備期間と捉えるのが健全です。なお、標準保守の終了後も第三者保守(サードパーティ保守)に切り替えて延命する選択肢もありますが、これは移行そのものを止める判断ではなく、移行計画の時間を稼ぐ手段として位置づけるべきです。
移行3方式(Greenfield / Brownfield / Bluefield)の選び分け
ECC 6.0 から S/4HANA への移行には、大きく三つの方式があります。
| 方式 | 考え方 | 向くケース |
|---|---|---|
| Greenfield | 業務プロセスを標準化したうえで S/4HANA を新規導入 | 長年の作り込みをリセットし、標準に寄せたい |
| Brownfield | 既存のアドオン・カスタマイズを原則そのまま S/4HANA へ移行(コンバージョン) | 現行業務を維持しつつ基盤だけ刷新したい |
| Bluefield | 設定やデータを選択して移行するハイブリッド | 残すものと捨てるものを取捨選択したい |
「Brownfield なら楽」と思われがちですが、現行のアドオンが多いほど S/4HANA の新しいデータ構造との整合に手間がかかり、結局は重い移行になることもあります。逆に Greenfield は標準化の覚悟が要りますが、長年の負債を清算できます。自社のアドオン量・業務の独自性・移行に割けるリソースを並べて、現実的な方式を選ぶことが第一歩です。
RISE with SAP / GROW with SAP とオンプレ新規販売の終了
ライセンス面の重要な変化として、SAP は2023年に S/4HANA のオンプレミス版を新規には販売しない方針を打ち出しました。これから新規に S/4HANA を導入する企業は、クラウド型の RISE with SAP(主に既存の大企業がクラウドへ移行するパッケージ)または GROW with SAP(新規・中堅企業向けのパブリッククラウド)を選ぶことになります。
これは「オンプレで塩漬けにする」道が将来的に狭まることを意味します。移行を検討する段階で、自社がRISE/GROWのどちらの世界に行くのか、クラウド前提でアドオンや連携をどう作り直すのかを見据えておくと、後の手戻りが減ります。
Clean Core ―― アドオンの整理が移行の軽さを決める
S/4HANA時代のキーワードが Clean Core(クリーンコア)です。標準のコアに手を入れず、拡張は外側(拡張用の仕組み)で行うことで、将来のアップグレードを軽くする考え方です。ECC時代に標準を直接改変するアドオンを大量に積み上げてきた企業ほど、移行時にこの整理が重くのしかかります。
移行を機に、本当に必要なアドオンと、標準機能や運用で代替できるアドオンを仕分けることが、移行コストと将来の保守性の両方を左右します。S/4HANA移行は単なる基盤更新ではなく、長年積み上げた独自仕様を見直す機会でもあります。
よくある疑問
SAP ECC 6.0 は2027年に必ず止まりますか?
標準保守は2027年末で終了しますが、保守基準料金に2%を追加する延長保守でEhP6以上なら2030年末まで保守を受けられます。必ず止まるわけではありませんが、延長は移行の準備期間と捉えるのが健全です。第三者保守で延命する選択肢もありますが、移行を止める判断ではなく時間を稼ぐ手段です。
Brownfield 移行なら簡単に済みますか?
現行のアドオンが多いほど、S/4HANA の新しいデータ構造との整合に手間がかかり、結局重い移行になることがあります。アドオン量が少なく現行業務を維持したいなら有力ですが、独自仕様が多い場合は Greenfield で標準化したほうが将来の負債を清算できます。自社のアドオン量と独自性で判断します。
これから新規にS/4HANAをオンプレで入れられますか?
SAPは2023年にS/4HANAオンプレ版の新規販売をしない方針を示しており、新規導入はクラウド型のRISE with SAP(大企業の移行向け)またはGROW with SAP(新規・中堅向け)が選択肢になります。移行検討の段階で、どちらの世界に行くのか・クラウド前提で連携をどう作り直すのかを見据えておくと手戻りが減ります。
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