【保守費2,500万円削減】システム全体の俯瞰から実現した「攻め」の会計DX。BigQuery×freee連携で工数とコストの壁を突破
【インタビュー】保守費2,500万円削減の全記録——B社に聞く、会計DXで「守り」から「攻め」への転換
卸売・リテールを主軸とするB社(従業員約200名)は、年間約2,500万円のシステム保守費を抱え、経理部門では月数百時間が手作業に費やされていました。既存ベンダーが構築したオンプレ会計とAccessの複合体を、freee会計とkintoneの連携で十分に代替し、コストと工数を劇的に削減。さらに浮いたリソースを「経営計画策定」という攻めの領域に振り向けるに至った経緯を、経営企画・財務担当役員と経理部長、そして支援を手がけたAurant Technologiesにインタビューしました。
本インタビューは、実際の導入事例をもとに構成しています。B社様のご協力により、課題の実態、検討経緯、導入後の変化について詳細をお聞きすることができました。同じような悩みを抱える企業様のご参考になれば幸いです。
「このままでは限界だ」——プロジェクトのきっかけ
率直に言って、「このままでは限界だ」という思いでした。当社は卸売と自社リテールの両方を展開しており、取引先は数百社、月次の精算処理は2万件を超えます。15年以上前に導入したオンプレミス型の会計パッケージが基盤にあり、その隙間を埋める形でMicrosoft Accessで作ったクエリとマクロが無数に増殖していました。
当初の相談は「老朽化した会計システムの入れ替え」でした。しかし、Aurant Technologiesさんとお話しするうちに、単なるソフトのリプレイスでは根本解決にならないと気づかされた。彼らは「ビジネスフローに基づいたアーキテクチャの再設計」という切り口で、我々の業務を俯瞰し直してくれました。
B社様の経理フローを詳しく聞くうちに、「データが三つの箱に分断されている」ことが見えてきました。kintoneで案件管理、Accessで精算ロジック、オンプレ会計で仕訳——この三者間の受け渡しがすべてCSVや手入力で行われており、月次クロージングのたびにエラー修正と再実行のループが発生していました。さらに、Accessの計算ロジックは当時の担当者しか理解しておらず、属人化が極端に進んでいました。
我々の結論は明確でした。既存ベンダーが構築・運用していた古いシステム(Access、オンプレ会計ソフト)の機能を、freee会計とkintoneの連携により十分に満たすことができる。「クラウドでは高度な精算が再現できない」という先入観を一度捨て、必要最小限の機能をクラウドで再実装する方針を提案しました。
年間2,500万円の保守費の正体
保守費の内訳は、オンプレ会計ソフトの保守契約が年間約1,200万円、サーバー・インフラ・セキュリティパッチ対応が約800万円、Accessを含む周辺システムの保守が約500万円です。これに加えて、毎月の手作業に経理部門だけで推定280時間が費やされていました。kintoneから出力したCSVをAccessで加工し、会計ソフト用のフォーマットに変換してインポート——この工程で、取引先ごとの手数料率の適用ミス、部門配分のズレ、相殺ロジックのエラーが頻発し、その都度「数値を直接書き換える」という証跡の残らない修正が行われていました。
※手作業分を人件費換算すると年間約400万円以上のロス
| 観点 | Before(レガシー) | After(新構成) |
|---|---|---|
| 会計ソフト | オンプレミス型会計パッケージ | freee会計(クラウド) |
| データ加工・精算 | Accessのクエリ・マクロ(属人化) | kintone + BigQuery + Python(自動化) |
| 予実管理 | Excel + Access で手動集計 | Googleスプレッドシート(BigQuery連携で自動反映) |
| 年間保守費 | 約2,500万円 | クラウド利用料のみ(約1/10) |
| 月次手作業 | 約280時間 | 実質ゼロ(異常検知時のみ対応) |
Accessとオンプレ会計、なぜ「捨てる」決断ができたのか
当然あります。「Accessのロジックは複雑だから、クラウドでは再現できないのでは」「オンプレの方がセキュリティが高いのでは」といった声がありました。しかし、Aurant Technologiesさんが「Accessに実装されていた計算ロジック」を分解し、どれが本当に必要で、どれが「当時の技術制約でそうなっていただけ」なのかを整理してくれた。その上で、「freee + kintone + BigQuery + Python」の組み合わせで十分カバーできると具体的に示してくれたので、経営層として踏み切ることができました。
Accessの中身を解析すると、手数料計算や部門配分のロジックは確かに複雑でした。しかし、多くの部分が「SQLとVBAで書かれたビジネスルール」として整理可能でした。これをPythonでBigQuery上に再実装し、freeeとkintoneのAPIと連携させる。標準のfreee for kintoneではできない部分を、このハイブリッド構成で埋める——という設計を提案しました。結果、オンプレ会計で「必須」だと思われていた機能の多くは、クラウド+API連携でよりシンプルに実現できました。
freee×kintoneで「十分」と言い切れる理由
まず、二重入力が完全になくなりました。以前は、営業がkintoneで受注を入力し、経理がそのデータをAccessで加工して会計ソフトに手動で流し込んでいました。今は、kintoneのステータスが「検収完了」になると、freee側に売上計上の依頼が自動で飛び、担当者が承認するだけ。取引先マスタとの紐付けも、名称一致で自動で行われます。
部門や勘定科目の振り分けルールも、kintoneのフィールド(取引種別、部門、担当者など)に基づいて自動判定されるように設計しました。以前は「この取引はどの科目へ?」と毎回悩んでいたのが、ルール化されてゼロになりました。
| kintoneフィールド | freee連携先 | 備考 |
|---|---|---|
| 受注日 | 売上日(取引日) | 仕訳に自動反映 |
| 取引先名 | 取引先マスタ | 名称一致で自動紐付け、未登録時はアラート |
| 金額(税込) | 売上高 | 部門・勘定科目は振分ルールで自動判定 |
| ステータス | 請求・入金ステータス | 検収完了で請求書発行トリガー |
| 部門コード | 部門マスタ | 部門別損益に自動集計 |
(受注・案件) → freee会計 → BigQuery → 予実管理
(スプレッドシート)
予実管理をスプレッドシートに置き換えた意味
正直、「スプレッドシートで大丈夫なのか」という不安はありました。しかし、freeeの実績データがBigQueryに自動取り込みされ、スプレッドシート上のダッシュボードにリアルタイムで反映される——この仕組みを体感してから、考えが変わりました。月次クロージングが終わると、翌日には予実管理表が更新されている。以前は、クロージング後に経理がExcelを更新し、Accessで集計し直し、差異分析用のシートを手動で作る——という作業に1週間以上かかっていたのが、今では自動で翌日に完了します。
期首に策定した利益計画(売上目標、原価率、経費見込み)と、部門別・勘定科目別の実績を並べて差異を見る。これが、スプレッドシート上で常に最新の状態で見られる。経営会議の前日に慌てて数字を固める必要がなくなりました。
| 部門 | 期首予算(売上) | 実績(売上) | 差異 | 達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 営業部A | 1,200万円 | 1,150万円 | -50万円 | 95.8% |
| 営業部B | 800万円 | 860万円 | +60万円 | 107.5% |
| 営業部C | 600万円 | 580万円 | -20万円 | 96.7% |
| 合計 | 2,600万円 | 2,590万円 | -10万円 | 99.6% |
導入後の現場——経理部長の声
一番大きいのは、「数字の整合性を追う作業」から解放されたことです。以前は、kintoneと会計ソフトの数字が合わない、Accessの計算結果が怪しい、といった確認作業に膨大な時間を取られていました。今は、データがAPIで一気通貫に流れ、異常値があればアラートが飛ぶ。確認すべきポイントが明確になり、ミスも格段に減りました。
また、証跡が残るようになったことで、監査対応が楽になりました。以前は「この数字、どこでどう変わったの?」と聞かれても答えられないことが多かった。今は、どのデータがどこから来て、どのルールで変換されたかが追える。監査法人からの評価も上向いています。
経営層が語る「攻め」への転換
正直、これほどまでの成果が出るとは思っていませんでした。2,500万円の保守費カットもそうですが、現場のスタッフが「数字の整合性を追う作業」から解放され、前向きな分析に時間を使えるようになったことが最大の収穫です。今では、開発の枠を超えて、次期の経営計画策定まで相談に乗ってもらっています。売上構成のシミュレーション、新規店舗の採算モデル、部門別の利益率改善——そうした「攻め」のデータ分析を、社内リソースで回せるようになった。DXの目的はコスト削減(守り)ではなく、利益の最大化(攻め)にある。この事例は、まさにその証明だと思っています。
B社 経営企画・財務担当役員同じ悩みを抱える企業へのアドバイス
よく「クラウド会計ソフトは小規模向けでは?」と聞かれます。しかし、B社のように年間2万件超の取引を扱う中堅企業でも、freeeとkintoneの連携で十分に足りています。肝は、「自社の業務フローを正確に把握し、必要な部分だけをクラウドで再実装する」こと。既存システムをそのままクラウドに置き換えようとすると、無駄な機能まで移行してしまいます。
我々の強みは、会計実務を理解した上で「その機能、そもそも必要ですか?」と問い直せる点にあります。一般的な開発ベンダーは言われた仕様通りに作りますが、それでは無駄な業務フローまでシステム化してしまう。B社様のプロジェクトでは、Accessにあったロジックのうち、本当に必要なものだけをPythonで再実装し、残りはルールの簡素化で対応しました。結果、システムはよりシンプルになり、保守も容易になっています。
年間1,000万円以上の保守費を払っている、月次クロージングに2週間かかっている——そうした企業様は、一度「システムの健康診断」をされてみることをお勧めします。データ連携による工数削減のシミュレーションを、無料で作成させていただきます。
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※本記事は実際の導入事例をもとに構成しています。企業名・数値は匿名化し、表現を調整している部分があります。