【漫画で分かるDX】第21回:三つのダッシュボード、三つの「成果」。SalesforceとBIでマーケはどう変わる

『漫画で分かるDX』第21回。—

あとがき ― SalesforceとBIでマーケを変えるとは

CRMとBIを並べるほど、「同じ言葉でも分子分母が違う」問題が表面化します。 佐藤さんと田中くんによる、分かりやすいIT・AI解説シリーズ。

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三つのダッシュボード、三つの「成果」。SalesforceとBIでマーケはどう変わる

月次レビューの朝、マーケティング部の会議室には三枚のスライドが並んでいた。いずれも「先月の成果」と書かれているのに、数字の並びだけが微妙に違う。

田中誠は営業支援として同席している。CRMから吐き出したリスト、広告媒体のレポート、そして経営会議用にBIで整形したダッシュボード——どれも正しいのに、説明のたびに「いま何の定義の話をしているか」が先に必要になる。

岸本麻衣が静かに言った。「ツールが増えるほど、比べたつもりで比べていないことが増える」。その言葉の向こうで、黒坂剛の名刺ケースが光った。「なら全部うちの箱に載せ替えれば一発ですよ」——いつもの合図だった。

挿絵 1

登場人物紹介

【本話の登場】田中・佐藤・岸本・黒坂・水野(マーケ/営業支援とBIの定義ずれが主題)。

田中 誠(29):営業支援。三つの「成果」スライドの間で説明に追われている。

佐藤 修(39):シニアDXアーキテクト。CRMを事実の母艦にし、BIを定義付きで見せる設計を徹底する。

岸本 麻衣(41):マーケ責任者。派手な載せ替えより、止まったときの現場負担を恐れる。

黒坂 剛(62):競合営業。全面刷新を煽る。

水野 澄(27):伴走コンサル。指標辞書と帰属ルールのたたき台を作る。

「営業のパイプライン、広告のコンバージョン、経営向けKPI——どれも『成果』と呼ばれていますが、分子分母が違う。会議が長いのは争いではなく、定義の確認が先に来るからです」

田中はメモの余白に「定義」とだけ書いた。誰も悪意はない。それでも説明責任は、橋を架ける側に降りてくる。

リード後の挿絵・コマ2
情景イメージ(コマ2。直後の地の文と対になる挿絵です)

「CRMもBIも、結局は同じ数字を見ればいいじゃないですか。載せ替えが一番早い」

黒坂の言葉に、岸本が首を振る。「載せ替えの途中で止まると、また現場がExcelで埋める。それを何度見たと思ってるの」

佐藤が静かに言った。「先に決めるのは、どの指標を『公式』にするかと、CRMをマスタにするかどうか。BIは可視化の窓口で、計算の正はデータモデル側に寄せる」

挿絵 3

「CRMに残すのは商談・キャンペーン・リードソースの事実。BI側では、日付の基準と除外条件をダッシュボードの隅に固定で書く。毎回口頭で説明する定義を、スキーマとドキュメントに落とす」

水野がメモを差し出す。「リードと商談の紐づけルール、キャンペーン帰属——ここが曖昧なままBIを綺麗にすると、絵だけ豪華になります」

佐藤が頷く。「例外は『要確認』キューに残す。全部を一枚の絵に押し込まない」

挿絵 4

数週間後。経営向けの画面は一枚に寄せきれなかったが、「公式の定義はこの脚注」と会議の冒頭が揃い始めた。広告担当と営業が同じグラフを見ても、喧嘩ではなく差分の説明に時間を使える。

田中は、説明できない違和感が減ったことに気づいた。比べ方が先に揃ったからだ。

挿絵 5

「SalesforceとBIの連携で変わるのは、魔法の一枚絵じゃない」佐藤が言う。「指標の親と子、更新タイミング、帰属のルール——それを先に文書化し、可視化はその上に載せる。マーケの変革は、勇ましいスローガンより、定義の共有から始まる」

田中は次の四半期のスライド台本に、「定義(改訂履歴付き)」という章を足した。

ここから先は、本文のストーリーとは切り離した解説です。

あとがき ― 仕事に落とすと

あとがき ― SalesforceとBIでマーケを変えるとは

CRMとBIを並べるほど、「同じ言葉でも分子分母が違う」問題が表面化します。**どのオブジェクトをマスタにし、どの指標を公式と呼ぶか**を先に固定し、ダッシュボードには**日付基準・除外条件・帰属ルール**を必ず添える——これが議論を前に進めます。

ポイント

指標辞書と改訂履歴: 口頭説明に頼らず、スキーマかドキュメントに残す。

キャンペーン・リードソース・商談の紐づけ: 曖昧なままBIを磨くと、絵だけが豪華になる。

例外キュー: 全件を一枚絵に押し込めず、要確認を運用で回す。

Aurant Technologiesは、CRM設計からデータモデル、BIの見せ方まで伴走します。

AT
aurant technologies 編集

上場企業からスタートアップまで、数多くのデータ分析基盤構築・AI導入プロジェクトを主導。単なる技術提供にとどまらず、MA/CRM(Salesforce, Hubspot, kintone, LINE)導入によるマーケティング最適化やバックオフィス業務の自動化など、常に「事業数値(売上・利益)」に直結する改善実績多数。

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